インフィニット・ストラトス IS〜ヒロインは簪さん 作:如月睦月
俺は荷物を入れたバックを下に置きながらお礼をする。
「一年半、お世話になりました」
「いいのよ別に。こっちも一夏君と会えて楽しかったから」
「一夏さん、また遊びに来てくださいね」
「おりむ〜また遊ぼうね〜!!」
別荘に行ってから一週間後、ついに自宅に帰ることになった。
こうしてみると、一年半が短く感じられる。
「あれ?そういえば簪は?」
「簪ちゃんはさっきどっか行ってたわよ?」
「ちょっと、悲しいです……」
「あらあらぁ?彼女に見送ってもらえなくて残念かしら?」
「……彼氏いない人が何を」
「グフっ!!」
刀奈さんは俺と簪が付き合っていると分かった途端、おちょくるようになった。
これがその撃退法だ。
ちなみに、虚さんにもこのネタを使われ轟沈を通り越し真っ白になっていたという。
「くっ…一夏君もやる様になったわね……」
「やられっぱなしは嫌ですから」
「そうね…。私も嫌だわ……。それと車はもう用意してあるから行きなさいな」
「はい。本当に一年半ありがとうございまいました!」
そう言って俺は屋敷の玄関を出て、門まで歩いていきそこに止まっていた車に乗り込み家に帰った。
「久しぶりの我が家だな……と言っても、二週間前に来たが」
数十分後、家に到着し荷物を地面に下ろす。
腕時計で時間を確認すると、現在午後六時半。
「風呂入ろうかな」
そう言って家の鍵を開け、家に入ると
「お帰り一夏、ご飯にする?それともお風呂?」
バン!!
俺は勢い良くドアを閉めた。
「あれ?あらら?」
おかしいな、俺の彼女が俺の家の玄関にいるぞ?
しかも結構際どい服の着崩し方で。
どういう事だ。
まぁ落ち着こう、織斑一夏。
きっと幻覚だろう。よしTAKE2だ!
ガチャ
「お帰り一夏、ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」
バン!!
二回目も勢い良くドアを閉める。
何か一回目と違ったぞ?特に最後。
気を引き締めよう!TAKE3だっ!
ガチャ
「お帰り一夏、私にする?私にする?それとも…私?」
「もはや選択肢が無いっ!!」
「一夏…こういうの嫌いだった?」
「いや、最高です」
ああ、口が勝手に反応を……
「一夏鼻血出てるよ?」
「簪の格好がエロチックだから」
そう言うと簪は自分の姿を顧みて、脱兎のごとくリビングへ突撃した。
「ううう……」
「まずなんであんな格好で出てきたんだ」
「お、お姉ちゃんが、さっきのが一番いい出迎え方だって言うから……」
刀奈さん、俺は今貴女は神がかった人だと思い知らされました。
「あのね一夏」
「ん?」
「とりあえず千冬さんにこの鍵渡しといてくれる?」
「な、なぜ簪が千冬姉の鍵を……」
見覚えのあるキーホルダー(ビールのグラス)が付いた家の鍵。
確実に千冬姉の家の鍵だ。
「……何でだろうね?」
「はぐらかすのか…。ていうか千冬姉いつ帰って来るんだ?」
「今帰ったぞ」
「うわぁ!?」
噂をすればなんとやら。千冬姉がいいタイミングで帰ってきた。
「…何だその幽霊でも見た悲鳴は。さすがの私も傷付くぞ」
「ごめんなさい…」
とりあえず謝っておいた。
「千冬姉いつ日本に帰って来たんだ?」
「一時間程度前だ。その後そこにいる更識妹と会った」
「でも何で教えてくれなかったんだよ。迎えに行きたかったのに」
「すまんな。先に帰って少し驚かせようと思ってな」
「なるほど。あ、晩ご飯何がいい?」
「私は何でもいいぞ。更識妹、好きな物を言え。一夏なら大抵の飯は作ってくれる」
「じゃあ…ハンバーグを」
「OK。屋敷から食材貰ったし。それと風呂沸いてるから入って来ていいぜ」
「では私は風呂に行かせてもらう。寝間着は脱衣場か?」
「ああ。そうだな」
「分かった」
そう言って千冬は風呂に向かった。
一夏と簪は少し緊張していた。
「ねえ一夏、いつ言うの?」
「飯食ってからにするか。そっちの方が言いやすいと思うし」
「分かった」
そう言って簪は一夏の手伝いを始めた。
千冬が風呂から上がり、食事が始まる。
食事中には何も無く、黙々と晩ご飯を食べる。
そして食べ終わった頃、一夏が切り出した。
「千冬姉、ちょっといいか?」
「なんだ、改まって」
「…俺は今隣に座ってる簪と付き合ってるんだ!!」
一夏がそう言うと千冬は手に持っていた缶ビールを離してしまった。
「なん…だと…」
千冬にとっての一夏は『唐変木』や『タチの悪い天然同い年キラー』だった。
そんな一夏に彼女。千冬は頭が混乱する。だがそれでも冷静を装い缶ビールを再び持ち口に持っていく。
そこに追い打ちのごとく、
「それに…結婚も視野に入れての交際なんだ!」
「ブフゥ!?」
千冬は気分を落ち着かせるため口に含んでいたビールを吹き出してしまった。
「どわっ!?千冬姉、めっちゃ飛んできたぞ!?」
「ゲホッゲホッ…す、すまん一夏。シャワーでも浴びてこい」
「そうするよ…」
そう言って一夏は風呂場へ行った。
「…さて更識妹、本気なのか?」
千冬は鋭い目で簪を見るが
「はい。私も本気です」
簪は微動だにせず答える。
「アイツのどこに惚れた?」
「最初はよく分からなかったんですけど…一夏と一緒に生活してく中でだんだんとそれが恋心だなって気付いたんです。 」
「なるほど…」
千冬はビールを飲みながら簪を見る。
「最後の質問…というか私からの願いだ」
「何でしょうか?」
「一夏の事を、最後まで裏切らない事だ。もちろん一夏にも言うが…もしそうなれば私が直々に鉄槌を下す」
「そんな事はしません。絶対に」
「そうか。ならば明日は将来の義妹のためのお祝いをしなくてはな」
「…ありがとうございます!」
簪は頭を下げ、お礼を言った。
その直後一夏が風呂から上がり、入れ替わりで簪が風呂に入る。
その時千冬は一夏にも簪に質問したことを聞き、本気である事を確かめ交際を認めるのであった。
だがその夜
「ちょっ、何で簪布団の中に!?てか、服着ろ服!!」
「お義姉さんが許してくれたから。だから一夏…」
「まだ早いから!!あと二、三年我慢してくれ!!」
千冬の差し金による簪の夜這い未遂が発生した。
どうも、如月睦月です。
千冬さんが帰国しました。
さてこれからどうなるのかな?
千冬に関係を告白した一夏と簪。
だがあと数ヶ月もすれば学校が離れてしまう二人。
それでも二人は愛を貫く。
一夏は平穏を求めるが、その平穏はやって来ない。
次回、『平穏を下さい』
「なんでこうなるんだ!?」 「一夏は不幸体質だから」
※次回タイトルは変更する場合があります。
…こんなんでいいかなぁ?次回予告。