ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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 多分、15禁レベル……





第10話:スキルの確認をするのは間違っているだろうか

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 レフィーヤは荷物を運び終えると、おもむろに両手を開いたり握ったりして、ふと未だに熱を持っていると錯覚してしまう部位に手を添えてみる。

 

 確りと男の子に触れられたのは初めてで、抱えられていた部分がまだ熱い。

 

 この世界のエルフは潔癖症な処があり、一般的には性別を問わず触れられるのは本人が認めた相手だけ。

 

 初めて会った相手だと云うのに、触れられた忌避感は全く無かった。

 

 中には触れられた瞬間、手を弾くくらいのエルフだって居る。

 

 レフィーヤは其処までではないが、やはり少なくともファミリアの人間と多少の触れ合いはしようとも、まったくの部外者に触られるのは遠慮願いたい。

 

 少なくとも、この世界の人間(ヒト)はエルフというのはそういう種族である、殆んどがそう認識をしているのだろう、一部の物知らずを除いての話だが……

 

「ハァ、悩んでみても仕方がない……ですよね? 後でリヴェリア様に相談してみるしかないかな」

 

 ふと、幹部が集まっているテントを見遣ると……

 

「あれ? ティオナさんと……ユートさん?」

 

 二人が出入口から出てくるのが見えた。

 

 無乳ではないが微乳である褐色肌の少女が、ユートと連れ立ってテントから出て行ったかと思えば、何故かサポーターの少女を呼び止めて小さなテントを受け取ると、今度はそそくさと人気の無い場所へとこっそり移動を始める。

 

「あ、怪しい……」

 

 レフィーヤはこっそりと後を付けた。

 

 稍、離れた位置にテントを張った二人は中へと入っていき、それっきり全く出て来ない。

 

 ソッと足音を消しつつ、辺りに気配を紛れさせながらテントに近付き、エルフらしい長い耳で聞き耳をしてみると……

 

「ん、や……」

 

 余りにもティオナらしくない声が響いた。

 

「……え? 二人共、いったいナニをしてるの?」

 

 まあ、何をしているのかとユートが問われたなら、きっと『ナニをしていた』と答えるだろうが、幾ら何でも今日出逢ったばかりの二人が、しかも周りが忙しくしている最中で空気を読まなさ過ぎる行為だ。

 

 しかも、幹部が誰も見咎めなかったという事はだ、つまりは黙認をしている。

 

 フィンもガレスもベートもティオネも……アイズやリヴェリアでさえも。

 

 LV.5〜6の第一級冒険者として高い格を持ち、普段から荒々しいベートもそれなりの常識を持っているというのに、どういう事かティオナがユートとナニをするのを見送った。

 

 意味が解らない。

 

 ティオナ・ヒリュテとはアマゾネスである。

 

 二つ名は【大切断(アマゾン)】だが、そんな二つ名の由来たるや色気の欠片も無い。

 

 それは兎も角……アマゾネスという種族は基本的に強い男を性的に喰う。

 

 イシュタル・ファミリアにアマゾネスが多いのも、冒険者が訪れれば幾らでも喰えるし、上手くヤれれば子孫も残せるからだ。

 

 とはいえ、アマゾネスとしては変わり者なヒリュテ姉妹は、余りそこら辺に関してはガツガツしてない。

 

 尤も、姉であるティオネ・ヒリュテは団長のフィンに御執心だけど。

 

 ヒトに歴史有り。

 

 ヒリュテ姉妹にも過去、色々とあったのである。

 

 そんな双子の片割れたるティオナがだ、(ユート)とこっそり一人用の小さなテントを一目憚りながらも建てて、その中へ二人きりで入っていったと思えば、ティオナの色めかしく艶やかな嬌声を上げたのだ。

 

 中ではきっと二人は肌を寄せ合い、ユートが色々とティオナに触れている。

 

 時には唇を付けながら、舌をあの褐色の肌へと直接這わせて……

 

 ボンッ!

 

 レフィーヤの妄想は本人が顔を真っ赤にして爆発した事で皮肉にも停まって、気が付くとゴクリと固唾を呑んでおり、懲りもしないで再び聞き耳を立てた。

 

 彼女にだってこの手の事に興味はあるという訳だ。

 

 我知らず正座になって、煩いくらい高鳴って早鐘を打つ心臓の音、汗がじんわりと流れていていつの間にか体温も感情の昂りに応じてか、高くなっているのにも気付いてないし、ユートがティオナに卑猥な言葉で責める時、ついつい自分が言われている場面を妄想してしまうし、いつものとは全く異なるティオナの態度に自分が応じている妄想をしてみたり、二人のやり取りを聞いている内に息遣いが僅かに荒くなる。

 

 そして到頭、決定的瞬間を迎えたのが解る科白に、それに続く動作による水音がレフィーヤの脳髄を熱く甘く鮮烈に焼いて、知らない間にお腹の奥が熱せられたかの如く。

 

 レフィーヤは『こんなのイケナイ』とか、『私は悪い子です』とか、『ごめんなさい……リヴェリア様、アイズさん』だのと呟きながら耳はテントの中で起きている出来事の音声を拾うのに必死になっていた。

 

 余りにも熱くて甘い感覚に支配されて、レフィーヤの右手がつい自然と湿った布越しに秘裂をソッとなぞっても仕方がない。

 

 自分でもナニをヤっているのか理解もしておらず、小さな肢体を駆け巡る悦楽に身を委ね、何故だか同調(シンクロ)したティオナの嬌声に合わせ、レフィーヤの肢体も跳ねていた。

 

 より正確に云うのなら、ユートの動きに快楽を受け容れたティオナの……で、まるっきりテントの内部で秘め事をしているのが恰かも自分である様な気分で、遂にはゾクゾクッと背筋を駆け上がる最高潮を迎え、それでもこっそりと聞き耳を立てている自覚はあったらしく、袖口を噛み締めながら声を押し殺す。

 

 初めての感覚に戸惑い、更にティオナはレフィーヤと同じタイミングで最高潮に至っていたが、ユートは未だだったのか……

 

「ティオナ、悪いけど僕はまだだからさ。実験を続けさせて貰うよ?」

 

「え……? ちょい待ち! 私、今はスゴく!」

 

「ダ〜メ、待たない」

 

「ひあっ!?」

 

 なんて声が聞こえたかと思うと、再び内部を満たす水音と激しいまでに響いてくるティオナの声。

 

 流石に疲労感から動けないレフィーヤだったけど、確りと音声は聞いていた。

 

 そしてどれくらいの時間が経ったのか、一分? 或いは十分? 脳内が痺れて判断出来なかったのだが、漸くユートも欲望の猛りをティオナのお腹の中へ吐き出したらしい。

 

 ティオナがそれらしい事を叫んでいたから。

 

「ハァハァ……こんなのって初めての感覚で……」

 

 肩で息を吐きながらも、気だるい感覚と虚しい気分を味わいつつ、グッタリとテントに凭れ掛かる。

 

「私、何をやってるんでしょうか?」

 

 先輩冒険者の情事を盗み聞きし、それをオカズ代わりに自分を慰めるなんて、おバカな事をしてしまったレフィーヤは、虚しさという強敵と戦っていた。

 

 そんなレフィーヤの耳に飛び込むユートの声。

 

「ティオナ、ロキ・ファミリアって他人の情事を盗み聞きする趣味の人間でも居るのか?」

 

「……へ?」

 

 ビックゥゥゥッ!

 

 ティオナは間抜けた声を返すが、実際にやらかしたレフィーヤからすれば心臓を直撃されたに等しい。

 

「初めっから最後まで居るんだが、気配の乱れ方から云うと僕らの情事で愉しんでいたみたいだ」

 

「うぇ! 本当に? 誰だよ〜もう……」

 

「ま、取り敢えず第一回目の実験は終わりだ。どんな具合かはリヴェリアに確認をして貰え」

 

「そうする」

 

 実験……レフィーヤからすれば意味が解らない会話だが、どうやら先程からの情事は何らかの試し事で、恋愛関係などから及んだ訳では無いのだと推察。

 

「と、兎に角離れないと」

 

「何だ、レフィーヤも混ざりたかったのか?」

 

「ふぇっ!?」

 

 其処には上半身に何も身に付けてないユートの姿、下は……穿いていた。

 

「い、いつの間に!?」

 

 さっきまでティオナとの会話をしていた筈なのに、僅か数秒でレフィーヤから背後を取っている。

 

「幾らLV.3だとはいっても、事実上の実力は僕の方が上なんだ。況してや、レフィーヤの未熟な隠行と僕の隠行、一緒にして貰っては困るね」

 

「っ!」

 

「自然を親しむエルフだけあって、気配を周囲に溶け込ませたのは評価するが、チラホラと気配が浮かんでは意味が無い」

 

「はう!」

 

 エルフは森の民。

 

 故に、森へと馴染む様に極々自然と気配を周囲に溶け込ませる真似も出来る。

 

 気配を消す【気殺】というのは、確かに自分の存在感を隠す技術として一般的だろうが、気配を消してしまうと自然界に遍在している気配に空白が生じてしまうが故に、達人級ともなればそれで気付けるのだ。

 

 仮令、この事を識らずとも違和感……とでも云うのだろう、そんな超感覚的なもので。

 

 気配を消していた筈なのにバレる……とは、とどのつまりそういう事だった。

 

 

「そんな事より、僕らの事を盗み聞きして随分と愉しんでいたみたいだね?」

 

「ひゃん!」

 

 アンタッチャブルな部位を右の人差し指がなぞり、唯でさえ敏感になっていたソコから電撃みたいな感覚が奔る。

 

「だ、ダメ……ですよ……こんな……こ、と……」

 

「身体は期待しているみたいだけど?」

 

 指先にこびり着く飛沫が口以上にモノを言う。

 

「ま、レフィーヤを苛めるのは後回しにしようか」

 

「……へ?」

 

 思わず『やめちゃうの?』と口にする処だったが、すぐに口を閉じた。

 

 助けられたとはいえ少しおかしい、自分はこんなにチョロかっただろうか?

 

 羞恥心に紅く頬を染めながら猛省する。

 

「ティオナ、準備は?」

 

「オッケー!」

 

「なら、フィンの所に急ぐとしようか」

 

「は? ???」

 

 二人の会話に付いていけないレフィーヤだったが、どうやら冗談とかではなさそうで、ちょっと下半身に違和感が残るのが気にはなったものの、ユート達に付いて行くしかなかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「やあ、来たね」

 

「待ち構えていたという事は当然?」

 

「気付いているさ。親指がウズウズ言ってるからね、来るんじゃないかな?」

 

 フィン・ディムナのコレは所謂第六感にも等しく、恐らくは三十年前後という永きに亘る冒険者生活で、彼やファミリアを助けてくれた信頼出来る【システム外スキル】みたいなモノ。

 

 SAOやALOなどの、VRMMOをプレイしていた時に使っていたシステムに既定されないスキル……キリトがALOで使用したスキルコネクトもそうで、裏技に近いものだ。

 

 フィンのそれにしても、決してスキルや魔法や発展アビリティの類いでなく、故にこそ仮に【神の恩恵】を無くしたとして、これが喪われたりはしない。

 

 そういう意味ではユートの【叡智の瞳】も、ハルケギニア時代では【システム外スキル】に相当していると云っても決して過言ではあるまいが……

 

「なら、今夜の第五〇階層での逗留は中止だね?」

 

「ああ、既にファミリアの皆には撤収の準備を急がせているよ」

 

 折角、設置したキャンプではあるが仕方がない。

 

「流石団長だね、フィン」

 

「ふふ、この感覚に助けられているからね」

 

 愉しそうに笑うフィン、本来なら途中ででも何でも呼びに行くべきかとも話していたが、敢えてフィンはユートに報せないと言う。

 

 ユートであれば自ずと気が付く筈だ……と。

 

 そして目論見通りに戻って来たのだから、フィンならずとも苦笑いが浮かぶ。

 

 まあ、その真意はフィンにせよガレスにせよベートにせよリヴェリアにせよ、勿論の事だが姉のティオネにせよ他人の情事など見たくはないという話。

 

 アイズにはまだ早いし、下手に興味を持たれてしまって事に及べば、当然ながらアイズを猫っ可愛がりをしているロキがキレる。

 

 曰く──『アイズたんは嫁にやらん!』と言い切る程であり、だからといって婿をファミリア内に取ろうとも思うまい。

 

 何より、まだ早いと判断する理由としてアイズ自身がその手の知識に疎いというのもあり、実際に羞恥心は普通にあるアイズだが、男女関係の機微にはどうしても鈍くなる。

 

 リヴェリアとしては何と無く傍に居たい男──でも出来ればと思うが、そんなに上手くはいかない。

 

 それはまあ良いとして、気付かない様なら仕方がないからティオネ辺りにでも行って貰ったが、やっぱり気付いてくれたか──と半ば安堵したのは秘密だ。

 

「リヴェリア、取り敢えずは一発はかましたから後でステイタスを調べてくれ」

 

「そ、そうか……」

 

 ユートの感覚であれは、きちんと中へ出さねば意味を成さないと思う。

 

 問題はその出せる位置が三ヶ所在り、何処でも良いのか否かという事。

 

 とはいえ、最初の実験なのだからオーソドックスにいき、マニアックな部位には手出ししてはいない。

 

 否、手は出したが……

 

「それで? 恐らくはもう時間が無いと思うがどうする心算なんだ?」

 

「敵が……現れるモンスターがどの程度か判らなければ作戦を立てようが無い。とはいえ、あの芋虫モンスターを鑑みれば危険な存在である可能性は高いね」

 

「そうだな、あれを基準に考えるべきだろう」

 

 当然、ユートも現れるであろう脅威度を判定しかねてはいるが、それなりにはヤバい……とはいっても、ユート自身はそれ程では無いだろうと考えている──相手であろう。

 

「多分、僕なら普通に闘えるとは思うけど……?」

 

「そうなのかい? ああ、あの吹雪の魔法なら!」

 

「いや、擬似的なら未だしもあれは少なくとも一日は使えない。しかも神々から許可を得ないといけないから面倒なんだ」

 

「擬似的には使えると?」

 

「ああ、使うエネルギーの純度の違いだからね」

 

 魔力、氣力、念力、霊力は飽く迄も小宇宙から剥離したエネルギー。

 

 実際、どれだけ魔力を籠めようと音速や超音速なんて出せはしないし、出せても音速を越えれば人間は砕け散るしかない。

 

 小宇宙は肉体を確り保護するから、音速を越え光と同じ速度を出しても肉体が壊れたりしないのだから。

 

 尚、某・【闇の魔法(マギア・エレベア)】は別格だからまた違う。

 

 あれは魔力を呼び水として精霊を召喚し、そいつを自らの肉体に霊体に魔法を融合させる謂わば、魔装機神の精霊憑依(ポゼッション)に近いものであろう。

 

 但し、魔装機神という器を用いずに自分の肉体を使うからか、肉体が霊質ごと変質してしまう様だが……

 

「なら、頼んでも?」

 

「構わない。上手くやれば魔石やドロップアイテムも手に入るからね」

 

「若しや、あの芋虫からも手に入れていたのかい?」

 

「まあね」

 

「いつの間に……」

 

 驚くフィンだが、ユートはサポーターを必要としない魔法──ステータス・ウィンドウを持つ。

 

 フルスペックのあれは、他人からしたなら巫山戯た機能を有している。

 

「撤退の状況は?」

 

「まだ六〇パーセントって処だね。とはいっても上層に上がればモンスターが出てくるから、ベート達には先立って退路を作って貰わないといけないけどね」

 

「そうか、急いでくれ……可成り近いみたいだ」

 

 感覚というより既に気配が感じられる為、ユートも少し焦りを覚えていた。

 

 ユートだけなら兎も角、流石に大量の人間を抱えては彼らを無傷で済ませるのは難しいのだから。

 

 敵が何処から来るか判らない以上、結晶障壁を使っても余り意味は無い。

 

「もう時間が無いか」

 

 地震。

 

 地面が揺れる。

 

 現れたのはとても巨大なモンスター、それは第一七階層にて現れる階層主──ゴライアスみたいな巨体であった。

 

「あれが破裂したらヤバかったな。即時撤退が効を奏したといった処か?」

 

「……だね」

 

 ヒリュテ姉妹やレフィーヤが青褪める中、ユートとフィンは苦笑いだ。

 

「だけど、僕なら充分に斃せる程度でしかないかな。ゴライアスやウダィオスやバロールに比べれば雑魚でしかない」

 

「ああ君か、第一七階層と第三七階層と第四九階層の階層主を斃していたのは。考えてみれば当然か」

 

 階層主は別格の強さだったが、ユートもゴーレムを使っての連携で確りと斃してやっている。

 

「あの巨大モンスターの何がヤバいって、斃した際に飛び散る溶解液の範囲だ。つまり、ロキ・ファミリアに配慮しなければ如何にも容易い相手だ」

 

「というと?」

 

「現れたの位置が良かったって処だよ」

 

 ユートはニヤリと口角を吊り上げ、撤退を続けているロキ・ファミリアと反対方向へ歩き始める。

 

 そしてロキ・ファミリアが居なくなった処で……

 

結晶領域(クリスタル・テリトリー)!」

 

 結晶障壁(クリスタル・ウォール)結晶護衣(クリスタル・ローブ)とも異なる独自技、結晶領域を展開して斃しても溶解液が誰も犠牲にならない様にした。

 

 まあ、芋虫と同じくやるから飛び散りはしないが、ロキ・ファミリアも気分的に脅威だろうから。

 

「で、アイズ? どうして出て来たのかな?」

 

「……一人じゃ危険……だったから」

 

 寧ろ、数が居た方が危険だったのだが、結晶領域は張り終えてしまったから、追い戻すのは無理。

 

「判った、僕が奴を封じるからトドメを頼む」

 

「うん」

 

 奇しくも、アイズ・ヴァレンシュタインと共同作業をする運びとなったユートだが、其処には愉しそうな笑みが浮かんでいた。

 

 

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