ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第19話:エルフなウェイトレスとの逢瀬の約束は間違っているだろうか

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「あれ? ボク……」

 

 真新しいベッドと布団、そして目を開けると……

 

「知らない天井だ」

 

 見知らぬ天井があった。

 

「どうしてこんな知らない部屋に?」

 

 女神ヘスティアはキョロキョロと辺りを見回して、部屋そのものに見覚えが無い事に焦りを覚える。

 

「って、うおっ!? 何でボクはおっぱいを晒しているんだい!」

 

 プルンプルンと動く度、左右上下に揺れてる巨乳。

 

 きっとベル・クラネル君が視れば、鼻血でも噴き出して倒れただろう。

 

「ひょっとして、ボク……誰かに御持ち帰りされてしまった!? そ、そんな、ベル君……ボクは……」

 

 状況的に、晒された胸に知らない部屋のベッドへと寝ていた点、御持ち帰りをされたと判断するのに充分過ぎるのだ。

 

 青褪めるヘスティア。

 

「くっ、何処の誰だい! 女神であるボクを御持ち帰りするなんて!」

 

 最早、涙目となって愚痴愚痴と呟くヘスティアは、取り敢えず晒された侭だったおっぱいをいそいそ仕舞って、犯人を捜すべく部屋を出ようとベッドを降り、大股で歩き出す。

 

 コンコン!

 

「ヒッ!」

 

 突然のノックに息を呑む辺り、どうやら強がっていただけらしい。

 

 まあ、女の子が知らない間に知らない男から御持ち帰りをされ、それで愉快になどなれる筈もない。

 

 怒るにせよ泣くにせよ、或いは不安がるにしても……喜びはしないもの。

 

「だ、誰だい?」

 

「神様? 僕です。ベルですけど、入れて貰っても良いですか?」

 

「ベル君!?」

 

 すぐにドアを開くと確かにベルが立っていた。

 

「ボクを御持ち帰りしたのはベル君だったのかい?」

 

「うえ? 御持ち帰り!? ち、違いますよ!」

 

「な、何だ……違うのか」

 

 ちょっとガッカリ。

 

「だとしたら誰が?」

 

「えっとですね、僕も知らない部屋に寝かされていたんですが、部屋の扉に名札が付いていたんです」

 

「名札!?」

 

 部屋の外に出て扉を確認すると──【ヘスティアの部屋】と書かれていた。

 

 神聖文字(ヒエログリフ)ではなく共通文字(コイネー)で書かれた名札。

 

「ボクの……部屋だって? それじゃまるで此処が、ボクらの本拠地みたいじゃないか!?」

 

「それが……調べてみたら正しく、此処はあの教会の地下にある部屋から続いているんですよ神様」

 

「な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええっ!?」

 

 驚愕のヘスティアは急ぎ廊下を駆けてみると……

 

「ほ、本当だ」

 

 その先に在ったのはいつもの寝床であったと云う。

 

 確りと食べ掛けであったじゃが丸君も残っていて、それが如何にも自身の住処であると醸し出す。

 

「気に入って貰えたかな」

 

「「うわっ!?」」

 

 背後から突然声を掛けられた二人は、ビクリと肩を震わせて叫んだ。

 

「ユートさん!」

 

「ユート君かい!」

 

 相手は話を聞きたかったマサキ・優斗その人。

 

 自分のホームなのに勝手を知らない場所をユートに案内され辿り着いた場所、それはみんなでワイワイガヤガヤと騒げる広さを持つ空間……リビングだった。

 

「それで、これはいったい何なんだい?」

 

「見ての通り、ヘスティア・ファミリアの本拠地だ。ちょっと改装したけど」

 

「「ちょっと!?」」

 

 明らかに数十……というか百倍は広くなってしまった本拠地、ちょっとというには余りにも大きい。

 

「今までは遠征の事もあったから着手しなかったが、あんな狭苦しい一室だけで僕ら三人が暮らせる?」

 

「うっ! そう言われると辛いんだけどね」

 

 ヘファイストスが用意を

してくれたのは、雨風を凌げる教会の地下にあるあの一室だった訳で、ファミリアの団員が増えれば当然ながら直面する問題が広さ。

 

 ヘスティアとベルが暮らすだけでも精一杯なのに、最初の団員たるユートまで増えたら容量不足となる。

 

 そういう意味ではこうして広くなった本拠地は歓迎するべきであり、ヘスティアの不手際から狭い部屋を押し付ける訳にもいかず、黙るしかなかった。

 

「今のヘスティアファミリアの本拠地は各人の部屋にくわえて、このリビングに食堂や訓練室などが在る。特に訓練室は街中で剣を揮う訳にもいかないんだし、必要な設備だろう。それに僕の工房や武器や防具なんかの製作を行う鍛冶部屋、一応は各人の部屋にも小さいながら有るけど、大浴場も用意をしておいた」

 

 広い個人部屋に運動場に大浴場だとか最早、これは現代的な高級ホテル並だったと云う。

 

「ま、助かるのは事実なんだけど……さ。昨日の今日っていうか昨夜の内だろ? どうやってこんな地下にこれだけ大規模な設備を揃えたんだい?」

 

「まあ、ちょっと特殊能力をつかってね。家具は元から持っていた物を出したに過ぎないよ」

 

「ふーん……」

 

 納得し切れはしないが、これだけのモノを用意して貰っておいて、文句を言うのも違うからか取り敢えずは生返事を返す。

 

「さて、これからの事とかも鑑みると掃除洗濯調理、やるべき事は人を雇ってでもしないとな」

 

「当面はボクがやるよ」

 

「ヘスティアが?」

 

「バイトもあるけど君らには冒険者として、そっちに集中して貰いたいからね」

 

「判ったよ」

 

 既にバイトなぞしなくても暮らせるし、借金の返済も可能となってはいるが、だからといってヘファイストスの所でやっていたみたいな食っちゃ寝をしていて愛想を尽かされ、ユートやベルが出て行ったら生きる希望を失う。

 

 特にユートなど事実上、【神の恩恵】を必要としていないから、愛想を尽かされたらすぐに出て行く。

 

 だからこそ、ヘスティアは何かしら頑張って魅せねば主神として居たたまれないのである。

 

 立つ瀬がないのだよ。

 

「ベルは基本的に訓練だ。ダンジョンにも潜って貰うけど、確りと闘い方を確立した方が良いからね」

 

「は、はい!」

 

 ベルは良い返事をする。

 

「ユート君はこれからどうするんだい?」

 

「うん? ベルの訓練に付き合ったりはするけど……基本的には独自行動だね。まだまだやるべき事は一杯あるんだし……」

 

「そっか」

 

 主に性欲解消とか。

 

 流石のユートも【特定の相手に懸想している】とかに手は出し難いし、何よりヘスティアは処女神だ。

 

 この世界では単純に男神に興味を示さなかっただけであり、処女であり続ける意味を見出だしていないらしいが……

 

 ユートが見る限りでは、ヘスティアはベルに特別な感情を懐いている。

 

 これが百合なら相手ごと喰ったろうが、そうでないならユートにとってどれだけ魅力的に映ろうと、対象範囲外にカテゴライズされてしまう。

 

 よって、この本拠地では性欲解消は不可能。

 

 自慰? しません。

 

 ティオナを抱いていたから速急に欲しいとは思っていないが、やはりそこら辺の利便性は欲しかった。

 

「取り敢えず、朝食にしようか」

 

「そうだね。だけど何を食べるんだい? 若しかして食糧も確保済みとか?」

 

「食糧は有るけど、今から調理とかは面倒臭いだろ。この遅い時間なら既に【豊穣の女主人】が開いてる。食べに行こう」

 

「お金は……」

 

「一ヶ月近く深層域に遠征していたんだ。一千万ヴァリスしか稼げない訳もないだろう? 僕が奢るから」

 

「なら良いかな。ベル君も構わないかい?」

 

「あ、はい」

 

 つい先日に無様を晒した店ではあるものの、ユートもヘスティアも外食する気満々だったし、ベルもお腹が空いて鳴っている。

 

「んじゃ、レッツゴー!」

 

 【豊穣の女主人】へ移動をする三人──正確に云うと二人と一柱──は店内に入り、アーニャ・フローメルの案内で席に着く。

 

 アーニャ・フローメルは茶髪をショートカットにした猫人(キャットピープル)で、ユートの見立てでは普通に顔は可愛いけれど所謂、アホの子である。

 

 おば可愛いアーニャは、正に残念美人。

 

 まあ、ユートのお目当てはリューと呼ばれるエルフ女性なので、アーニャ・フローメルがどうであれ関係などありはしない。

 

 リュー本人もユートの事を意識している。

 

 初めて逢った際に偶々、手が触れたのを驚いた顔になって、自分の手をまじまじと見つめながら固まり、ちらほらとユートの方へと目を向けていたリュー。

 

 この時はまだユートも、この世界のエルフの特性などを知らず、だからリューの行動に首を傾げた。

 

 その後に給仕に来たシル・フローヴァから、エルフの特性について教えて貰って得心がいったのだ、

 

「ハァ……」

 

「あからさまに溜息を吐かなくても良いだろうに」

 

「このお店は店員に御酌をさせる場ではありません」

 

「ミアさんは許可したんだろう?」

 

「だからこうして居ます」

 

 リュー・リオンに御酌をして貰い酒を煽るユート、どうせ幾ら飲んでも酔わないのだからと、朝っぱらからアルコール度数も考えずに飲んでいる。

 

 勿論、朝御飯も普通に食べながらの話だ。

 

 とはいえ、もう朝としては遅い時間だから昼食も兼ねていた。

 

 美人エルフの御酌は気分良く飲めるし、不埒な悪行三昧をしなければミア母さんはオッケーを出してくれたので、折角だからリューにも酒を飲ませてしまう。

 

 少しばかり酔いが回ったのか、リューの白い頬が赤みを帯びている。

 

 確かアーニャ・フローメルを唆して聞き出したリューの年齢はニ一歳だという話だが、ほろ酔い状態のリューは可愛らしさの方が目立つ。

 

 この侭、酔い潰してしまってベッドに運びたいなんて不埒な衝動さえ俄に沸き起こる程、彼女の可愛いさは凶悪だ。

 

 勿論、やらないが……

 

「何故か分かりませんが貴方は酔いませんね」

 

「まあね」

 

 これだけ飲んでいて未だに正体を失う処か、顔を赤らめさえしないユートを見て不思議そうだ。

 

「僕は今生で酒に酔った事は確かに無いな」

 

「……それでも貴方は飲むのですか?」

 

「味は解るから」

 

 ユートにとってアルコール──酒とは酔っ払う為のアイテムではない。

 

 純粋に味そのものを楽しむ為のものだ。

 

 そもそもユートが酔わなくなったのは古く、ハルケギニア時代の事だというから驚きだ。

 

 水の精霊王と契約をした結果、一切の毒を受け付けなくなったというか、勝手に分解してしまうから。

 

 恐らくは肉体に変調を来すとして、アルコール成分を毒素と認識しているのだろう。

 

 本当に味わうだけが目的で飲むのである。

 

 ユートのグラスに酒を注ぐリュー、返礼に注いだユートと互いに注ぎ合っている二人。

 

 そして互いに煽る。

 

「判りました、私の負けという事ですね」

 

 グラスを置いて宣言。

 

「多少の心得はあった心算でしたが、酔わない貴方にはそもそも勝てる道理もありませんから……」

 

「ええっ? リューさんとユートさん、いつから勝負なんて!?」

 

 青天の霹靂と謂わんばかりに驚愕し、目を見開いているベル。

 

「お互いに飲み始めた時なんだが?」

 

「そうですか……」

 

 目と目で通じ合ったとでも云うのか、互いに注ぎ合ってニヤと笑ったあの時、あの瞬間に始まったらしい飲み勝負。

 

「それで、貴方が勝利した訳だが何を報償に望みますか? 勿論、常識の範囲で……ですが」

 

 当たり前だがえっちな望みは却下される。

 

 精々、お金で支払うなら一〇〇ヴァリス程度であろうか?

 

 リューの美しい肢体が、僅かに一〇〇ヴァリスなど有り得ない、それは誰にでも理解が及ぶだろう。

 

「そうだね、いずれ暇を見てベルの戦闘訓練でも付けてくれるか?」

 

 ピクリと眉根を顰めたリューだが、ユートくらいになれば気付いてもおかしくないと考えて、すぐに眉を元に戻す。

 

「貴方がそれを望むならクラネルさんを鍛えるくらいは吝かではありませんよ。シルの伴侶となる方に簡単に死なれても困る」

 

「エルフ君! 君は何を言ってるんだい!?」

 

 慌てて叫ぶヘスティアの所為で、ベルは文句を言いそびれてしまう。

 

 然し、リューは気にした素振りも見せず更に言い放った。

 

「ですがクラネルさんを鍛える事は、貴方が望むべき事では無い」

 

「望みとは無関係に鍛えてくれるって事?」

 

「はい。ですので望みは別の何かを……」

 

 ユートがリューの顔を観察すると、何か期待めいた綺麗な翠色の──エメラルドみたいな瞳。

 

 正直、リューが護身の為なのか何か常にスカートの下に隠してる小太刀の存在から、彼女の得意な獲物が小太刀と当たりを付けて、ベルのナイフ以外の獲物に小太刀を考えたからリューに訓練を頼みたかった。

 

 ユートも小太刀くらい使えるが、実は実戦での使用は殆んどしていなかった、冒険者時代に使ってたであろう彼女に教わった方が、恐らくベルにとって有意義であると判断する。

 

 とはいえ、勿体無いと思ったのも事実だ。

 

 それに自惚れて良いのならば、リューはきっとそっちを期待してる。

 

 ユートは自分が何故かエルフに好かれ易いのだと、理解をしていたけどそれがリューにも軽い影響を与えているのだと気付いた。

 

 その上で仲良くしていたからだろう、リューからの好感度は極めて高い。

 

 だけどユートが他の者みたいに誘ったりしなかったのは、何故だろうかリューには自戒の念が見て取れたからである。

 

 けど、今回のこれは良いチャンスなのだ。

 

 賭けに負けたから仕方無く負債を支払う。

 

 言い訳には充分。

 

「ならリュー、今度開かれる怪物祭(モンスターフィリア)へ一緒に出掛けないか?」

 

「賭けに負けたら仕方ありません、ミア母さんから許可を得ましょう」

 

 『仕方ない』とか言いながら、声は若干ながら弾んでいた。

 

 自戒の念から幸福を捨てているきらいがあったリューだが、女である事まで捨てていないらしいからホッとする。

 

 それと同時にリューとのデート、愉しくなりそうだと酔った彼女を見つめながら思った。

 

 尚、リューの酔いは魔法で浄化して、仕事に差し支えが出ないように計らっておく。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 愉しい昼食の後に、訓練でベルを扱いてから夕飯の後でダンジョンへと向かう二人。

 

 ベルには内緒だが、更にこの後でイシュタル・ファミリア経営の娼館に行き、久方振りに春姫を抱こうと考えていた。

 

 それは兎も角……

 

「あの、ユートさん?」

 

「何だ?」

 

「此処は何処?」

 

「上層最後の一ニ層」

 

 次に階段を降りたら何と中層となる。

 

「目の前で叫んでる、僕の数倍はありそうなモンスターは?」

 

「階層主が存在していない上層で事実上、階層主的な扱いのレアモンスターである【インファント・ドラゴン】だね」

 

 ユートも以前に遠征で顕れたのを斃したが、レアであり且つミノタウロスより強い筈の能力。

 

「どうして僕はドラゴンに武器を持って相対をしてるんですか?」

 

「そりゃこれからアレと戦うからさ、ベルが」

 

「ですよねぇっっ!?」

 

 シクシクと涙を流して、パプニカナイフ・レプリカを手にして駆けるベル。

 

 とはいえ、幾ら俊敏さを武器に最接近をしてナイフで斬り付けても、ベルの腕力では毛ほどにも傷を付けられない。

 

 当然だろう、ドラゴンの鱗はドラクエでは鋼鉄並の硬度を持つとされる。

 

 この世界でも適応されるかは兎も角、それでも相当の硬度なのは間違いない。

 

 ベルの基本アビリティに於ける【力】の項目は評価が未だにIでしかなくて、俊敏がHになっている程度でしかないのだ。

 

 パプニカのナイフ・レプリカの攻撃力はオリジナルと同じか、下手をしたならそれ以上ではあるのだが、使い手がへっぽこでは意味が無かった。

 

 一応、成長促進型のレアスキル──【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】を発現しているけど、ユートの意見により実はステイタスの更新をしていない。

 

 

【憧憬一途】

・早熟する

懸想(おもい)が続く限り効果持続

・懸想の丈により効果向上

 

 

 この文面からベルが想いを寄せる相手に対して強く憧憬を懐き、それがベルの中で続けばどんどん成長をしていくらしい。

 

 何処までも成長──飛躍していけるレアスキルだ。

 

 ベルには内緒で教えて貰ったスキル、とはいえ教導に手加減などしない。

 

 スキルの効果は大きい、それならユートのやり方にも幅が広がる。

 

 ユートは考えた。

 

 まるでゲームのパラメーターみたいな【神の恩恵(ファルナ)】だが、それならゲームみたいな効果をも期待が出来るのでは?

 

 つまり、レベルが低い内からレベルの高い敵と戦えばより大きな経験値を得るに至り、より早く強くレベルアップするのでは?

 

 ティオナから聞いた話ではアイズは現在、ステイタスの数値的には伸び悩んでいるのだと云うし、何よりもティオナ自身もユートのスキルによって大幅に上昇していなければ、やっぱり大した上昇はしていなかった筈だ……と。

 

 LV.5である第一級冒険者としては、既に可成りのパラメーターだから。

 

 事実、アイズに教えて貰った基本アビリティの上昇数値は、二〇も上がってはいなかったらしい。

 

 アイズは深層のモンスターをこれでもか……と云わんばかりに殺しているが、それで上がった数値が僅か十数程度だ。

 

 アイズのLV.5としての成長は既に限界であり、これ以上を望むならそれは即ち器の昇華──ランクのアップが必須なのだろう。

 

 ならば逆に云うならば、低い数値の侭で強敵と戦えば数値は上がり易くなり、続けていればコンスタンスに数値は上がる。

 

 勿論、それにも限度というものはあるのだろうが、今のベルなら効果抜群だ。

 

 最終更新がレアスキルを得た──ベルは知らないが──時のもので、それではインファント・ドラゴンは斃せないだろう。

 

 それでもベルがドラゴンと戦う事にこそ意味があるのであり、斃すのはユートがやれば良いのだから。

 

「ベル、間違っているぞ」

 

「何がですか!?」

 

「狙うのは鱗じゃない! 眼だ、口の中だ! 硬い鱗は今のベルには斬れない、だけど柔らかい眼や口内ならベルでも斬れる!」

 

「っ! 解りました!」

 

 まあ、それで万事が上手くいきはしないのだけど、ベルはアドバイスに従ってインファント・ドラゴンの眼をナイフで突き、暴れながら大口を開けた瞬間に、もう一振り──パプニカのナイフ・レプリカで突く。

 

 更にグリグリと喉奥にまで突き立てた刃を動かし、だめ押しにダメージを与えていく。

 

「がはっ!」

 

 殴られて吹き飛ばされ、壁に激突して気絶した。

 

「詰めが甘いけど……よく頑張ったものだね」

 

『グギャアアアッ!』

 

「喧しいわ、爆裂呪文(イオラ)!」

 

 ドカーンッ!

 

 極大爆裂呪文(イオナズン)も斯くやの大爆発に、インファント・ドラゴンの首は喪われていた。

 

 ユートは魔石とドロップアイテムが、ストレージ内に格納されたのを確認し、ベルを肩に担いで呟く。

 

「リレミト」

 

 その瞬間、ユートの姿はダンジョンから消えた。

 

 

.




 また原作から少し離れてしまった……


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