ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第2章:怪物祭
第21話:神の宴でのお話は間違っているだろうか


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 ガネーシャ・ファミリアの本拠地──【アイアム・ガネーシャ】という建造物がどっしりと建っている。

 

 それは人型がどっしりと座っている形をしており、ガネーシャが常に被っているマスクと同様、象の顔をしているおかしな建物。

 

「うわぁ……」

 

 しかも入口が股間の真下だとか、ヘスティアは複雑な表情となって呟く。

 

「股間が入口だとかさ……ガネーシャの奴、頭は大丈夫なのかい?」

 

 本当は来る心算などなかった【神の宴】であるが、神友のヘファイストスにはどうしても用が有るが故、ユートが自室に用意してくれていた純白のドレスにて着飾り、こうしてガネーシャの本拠地まで来た。

 

 何故だかスリーサイズがピッタリなのは少し話し合いが必要な気もしたけど、折角の好意に甘えてドレスを着て、アクセサリーを身に付けての来場である。

 

 それを見ていた男神共はいつもみたく『ロリ巨乳』呼ばわりせず、何処か気品に溢れるヘスティアの姿に見惚れていた。

 

 派手派手しくないドレスとアクセサリーだったが、然し地味な訳でもなかったからか、ヘスティアの容姿にマッチして当社比二割増しに美を体現している。

 

 美の女神でもないのに。

 

 実際、着飾ったヘスティアに見惚れている男神の中には美の女神フレイヤや、或いは歓楽街の支配者であるイシュタルに気を寄せる者共も居る辺り、男という哀しい生き物は神も地上人も変わらないのだろうか?

 

 とはいえ、ユートが用意したドレスはヘスティアの巨乳を下品にならない程度にチラ見せし、背の低さなどアクセントくらいにしかならず、マイナスにはみられてはいなかったし、寧ろそれが巨乳を際立たせる。

 

 何と無く視線の意味を察するヘスティアだったが、それで増長はしない。

 

 【アイアム・ガネーシャ】の股間──もとい、入口を通り抜けて広いメインの会場に入ると、立食形式でテーブルには沢山の食べ物が並んでいた。

 

 少し前までのヘスティアであれば、ベルへのお土産にタッパーへ食事を詰められるだけ詰め、自分自身も大量に食してはっきり云えば色気も何もあったものじゃなくなるが、今や食事には困っていないからか? 軽く渇いた喉を湿らせるといった程度にワインを飲むに留まっている。

 

 白い肌がほんのり桃色に染めると、唯でさえ高まる色気に艶やかさが増し増しとなり、男神共は『ロリに目覚めてしまう!』とか呻きながら前屈みに……

 

「う〜ん、ヘファイストスは何処に居るのかな?」

 

 基本的に【神の宴】にはオラリオ内の神々が招かれる訳で、何処ぞの酒造りが大好きな神みたいなのや、貧乏暇無しな薬神でもなければ参加をしている筈。

 

 斯く云うヘスティアも、ヘファイストスに用事がなければ不参加だった。

 

「ヘスティア、貴女も来ていたのね」

 

 短く刈った赤毛に右目を眼帯で覆った、真っ赤なパーティードレスを身に纏った女神ヘファイストス。

 

 丁度、捜していた相手から声を掛けられた。

 

「ヘファイストス!」

 

「一ヶ月振りね」

 

 ヘスティアが彼女と以前に会ったのは、遠征準備にユートと本拠地に言った時であり、それも約一ヶ月前くらいの話。

 

 それからは特に用事も無かったし、ヘファイストスは鍛冶師としてもファミリアの主神としても忙しく、ヘスティアだってアルバイトを未だ続けていたから、互いに会いに行ってない。

 

「兎に角、会えて良かったよヘファイストス!」

 

「何よ、言っておくけれどもう一ヴァリスも貸さないわよ? まあ、今の貴女には必要無いでしょうけど」

 

「勿論さ! ボクが神友の懐を漁る神だとでも?」

 

「いや貴女、ついこの間までウチでゴロゴロしていたじゃないの」

 

「うぐっ! それは……」

 

 ヘファイストスの鋭過ぎるツッコミを受け、息を詰まらせてしまう。

 

「確か、曰く『明日からは本気出す』だったかしら? 翌日も『明日からは本気出す』って言ってゴロゴロしていたけどね?」

 

「がはっ!?」

 

 正に【自宅警備員】的な科白であったと云う。

 

 まあ、ゴロゴロしていて警備員は失格だろうが……

 

「ふふ、相変わらずなのねヘス」

 

「うん? ボクをヘスって呼ぶのは……」

 

 にこやかな笑顔を浮かべるのは、純白のドレスに身を包み右手に先端が翼を広げた様な意匠な黄金の杖、腰までサラリと伸ばしている長い藍色の髪の毛に碧色の瞳、ヘファイストスの後ろから歩む姿は高貴さを醸し出しながら、何処か庶民的な所作が親しみを感じさせる佇まい。

 

「あら、アテナ」

 

「サーシャ!」

 

 ヘファイストスとヘスティアが同時に彼女の名前を呼ぶが、何故か二人は違う名前で呼んでいた。

 

「ヘス、久し振り」

 

「うん、久し振りだね!」

 

 彼女は知恵と芸術と工芸を司る戦女神アテナ。

 

 然し、ヘスティアは何故かアテナの事をサーシャと呼んでおり、アテナもまたヘスティアをヘスと愛称で呼ぶ神友の間柄。

 

 これに純潔神アルテミスを加えると、三大処女神(トップスリー)となる。

 

 尤も、純正の純潔神とは違ってアテナは処女性には拘りが無く、単純にその気になれる男が居なかったに過ぎない。

 

 これはヘスティアも同様であり、故にこそこの二人は神友になれたのだろう。

 

 ヘファイストスは二人の共通の神友なのだ。

 

「サーシャはまだヘファイストスの所かい?」

 

「うん、中々居ないよね。ファミリアに入りたいって言ってくれる人」

 

「だよねぇ……」

 

 片やベルみたいにファミリア行脚で冷遇されている一般人も居れば、片やヘスティアやらアテナみたいに冒険者志望の地上人捜しに奔走し、尚且つファミリアに入団してくれる者が居ないと嘆く。

 

 逆にベルとヘスティアの様に、互いに需要を見出だせれば眷属に……といった流れにもなる。

 

 残念ながらアテナは現状でヘスティアみたいな運命の出逢いはなく、ヘファイストスの世話になりながら眷属を捜していた。

 

「けど、ヘファイストスも酷いよな」

 

「何がよ?」

 

「ボクの事は無理矢理にでも追い出した癖に、サーシャは今でも本拠に住まわせてるんだろう?」

 

「あのねぇ、貴女は本当にゴロゴロしていただけだったけどね、アテナはウチでアルバイトをしながら眷属捜しも真面目にしてるの。追い出す必要が無いわね」

 

「げふっ!」

 

 盛大に自爆した。

 

 とはいえ、基本的に変わらない神だから食っちゃ寝しても太らないし、それでヘスティアの美が損なわれたりはしなかったが……

 

 ヘスティアが無駄に遊び呆けている間に、アテナは確りと地に足を付けてくらしていたのが、何を間違ったのかヘスティアには眷属が二人──ミッテルトが増えて三人になっているにも拘わらず、アテナには未だに頼るべき依る辺となるであろう、眷属には全く巡り会えないでいた。

 

「それでサーシャ、君ってこういう宴には余り来ないのに、今日はどういう風の吹き回しだい?」

 

「実はね、先日ダンジョンで小宇宙を感じたの」

 

「コスモ……サーシャが言っていたボク達の、神の力──アルカナムの劣化版」

 

「あれは……私がよく知る小宇宙だったわ」

 

「そ、そうなのかい?」

 

「テンマもアローン兄さんももう居ない。若し可能性があるとしたら彼だけ」

 

 嘗て、蟹座のマニゴルドと魚座のアルバフィカと共にイタリアより聖域にやって来た少年。

 

 その際には暗黒街の暗黒聖闘士を斃すのに一役買っており、マニゴルドもアルバフィカも彼を敵対者とは見ていなかった。

 

 教皇は当然ながら疑惑の目で視ていた訳だが、それは嘗て似た様な出来事が起きていたからだ。

 

 牡羊座・アリエスの黄金聖闘士アヴニールという、未来から来た男である。

 

 彼と同じく未来から来たユート、これは疑惑を持っても当然であろう。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

『ユートと言いましたね。貴方がいったい何処から来たのか、そして何故その……杯座(クラテリス)の白銀聖衣を身に纏ってるのか、私達は理解をしなければなりません。現在我らに杯座の同胞は存在していない』

『僕は……正真正銘、杯座の白銀聖闘士だ』

 

 但し、麒麟星座の青銅聖闘士だったり双子座の黄金聖闘士だったりするが……

 

『ならば、御主はアヴニールの同胞という事か?』

 

『誰だ?』

 

『前聖戦に於いて我々の前に現れた牡羊座の聖闘士、アヴニールだ』

 

『牡羊座? いったいいつの時代から来た? 僕の知る牡羊座はアヴニールなんて名前じゃないし、次代の牡羊座も違う筈だ』

 

 冥王ハーデスとの最終聖戦で牡羊座はムウであり、順当に往けばその弟子である貴鬼が牡羊座を継ぐ。

 

 アヴニールなんて聖闘士など、黄金聖闘士処か雑兵にも名前を聞かない。

 

『確か、アヴニール本人は一九九〇年代だ……と』

 

『僕の居た時代だな……」

 

 それで得心がいった。

 

 ユートはこの世界に干渉した事で一巡目からND──二巡目にシフトした世界が自分の世界と認識していたが、どうやら三巡目だったらしい。

 

『そういう事な……』

 

『どういう事か?』

 

『僕の世界とはアヴニールの居た世界からシフトした三巡目の世界、この世界を基点とするアヴニールによる干渉を受けた世界が二巡目の世界、そして恐らくはアヴニールの居た滅亡した世界が一巡目の世界だ』

 

『ふむ……』

 

 理解したのかしてはいないのか、教皇セージは顎を擦りながら頷く。

 

『ならば、彼は見事に世界を救えたのだろうか?』

 

『そうかもね』

 

 冥王ハーデスは斃した。

 

 ならば、確かにアヴニールは世界を救ったのだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 あの出逢いから暫くして魚座のアルバフィカが死亡をして、ユートがピスケスを一時的に継ぎ闘った。

 

 ひょっとしたら聖戦が始まってからは、テンマより長く側に居たであろう。

 

 尚、ピスケス聖衣を継いでからは基本的に薔薇を使って闘っていた。

 

「サーシャ?」

 

「あ、うん。ヘスにお願いがあるの」

 

「お願いって?」

 

 実はヘスティアこそが、ヘファイストスにお願いがあって宴に乗り込んだ。

 

 それがまさか、アテナであるサーシャにお願いされる立場になるとはと身構えてしまう。

 

「若し、貴方の所に私が知る彼が居るなら……改宗(コンバージョン)を認めて欲しいの」

 

「な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!?」

 

 サーシャからの余りにも余りな嘆願に、ヘスティアは驚愕して叫んでしまう。

 

「だ、だ、駄目だよっ! 彼はうちの謂わば稼ぎ頭、持って行かれた日には再び貧乏生活に!?」

 

 ブルブルと震えながらの主張故に、とても説得力に溢れていてヘファイストスを引かせた。

 

 一応は一千万ヴァリスの貯蓄があるのだが、下手に使えば無くなると考えたら迂闊に使えないだろうし、ベルが一人で稼げる額などまだまだユートの稼ぎからすれば雀の涙。

 

 何故にベル一人でか? ミッテルトがユート配下であるが故に、ユートが改宗したら自動的に彼女も……という事になるからだ。

 

「まあ、そこら辺は取り敢えず会ってから決めたら? それと、ヘスティアは何か用事でもあったの?」

 

 男前なヘファイストス、女神にあるまじき貫禄を以て二人を止める。

 

「実は……ヘファイストスに頼みがあるんだ!」

 

「貴女は私に? さっきも言ったけど一ヴァリスも貸さないわよ?」

 

「だから違うよ!」

 

 今度はヘファイストスとやり合うヘスティアだが、其処へ新たなる人影が……

 

「あらあら、色々とお話が弾んでるのね」

 

 長い銀髪の女神。

 

「フ、フレイヤ!」

 

「あ、フレイヤ」

 

 ヘスティアは引き気味、サーシャは喜色満面で女神フレイヤを迎えた。

 

「あら、ヘスティア。若しかしてお邪魔だった?」

 

「そ、そんな事は無いけど……ボクは君が少し苦手なんだよ」

 

「フフ、貴方のそういう処が私は好きよ」

 

「ヘファイストスやサーシャと居たのかい?」

 

「ええ、偶々ヘファイストスとアテナを見掛けたから一緒に廻っていたのだけど……少し用があって離れていたのよ」

 

 神でさえうっとりとする様な美しい容姿、綺麗な銀の髪の毛に紫水晶の瞳……それが男神は疎か女神さえ見惚れるので業が深い。

 

「そうなのかい? まあ、ボクは苦手な君より大嫌いな奴が……」

 

 言った瞬間、赤毛糸目で絶壁貧乳な女性が手を振りながら走って来る。

 

「お〜い! ファイたん! フレイヤ! アテナ! ドチビ〜〜ッッ!」

 

 即ち、ロキだ。

 

「居るんだけどね!」

 

 立派なドレスに身を包むロキ、完全なる絶壁であるが故に簡単に男装が出来そうな感じだが、パーティードレスを着れば成程確かに女性であったと云う。

 

 ロキはヘスティアとの仲こそ不倶戴天であるけど、彼女の神友たるヘファイストスやサーシャとは意外なくらいに仲が良い。

 

 やはり胸か?

 

 それとも相性が徹底的に悪いのだろうか?

 

 ヘファイストスもサーシャも身長に合った平均値、それに比べてヘスティアは身長の低さ顔の幼さに反比例して、その胸は余りにも大きいモノであり凶器。

 

 正反対の絶壁なロキは、やはりヘスティアの凶器を羨むのだろう。

 

 ヘスティア側に立てば、ロキが彼女を羨んで苛ついて突っ掛かり、それが故にヘスティアとの仲が悪くなったと考えられる。

 

 ロキ側に立つなら彼女の動きが気に食わないから、ヘスティアがロキを一方的に嫌ったから仲が悪くなったとも考えられた。

 

 まあ……いずれにしても二人の仲が悪いのは変わらない事実であり、その過程を余人が知った処で誰も楽しくはないだろう。

 

「何しに来たんだ、君は」

 

「何や、理由がなきゃ来ちゃあかんのか? ──『今宵は宴じゃ〜っ!』とかいうノリやろ? 寧ろ、理由を探す方が無粋っちゅうもんやないか。はぁ……マジで空気読めてへんよなぁ、こんドチビは」

 

 ビキビキッ! 青筋が浮かび上がるくらい怒りに顔を歪ませるヘスティア。

 

「顔がスゴい事になっているわよ?」

 

 ヘファイストスが指摘、取り敢えず表情を戻す。

 

「き、君のファミリアへと所属しているヴァレン何某について訊きたいんだよ」

 

「ああ、噂の【剣姫】ね? それは私もちょっと聞きたいかも知れない」

 

 ヘスティアの質問を受けたヘファイストスも乗り、ロキへと視線を向ける。

 

「あん? ドチビがウチに願い事やなんてな、明日は槍か鉄槌でも降るんとちゃうか? こう、神々の最終戦争! みたいな感じで」

 

 随分と物騒な事を宣った事はスルーし、ヘスティアは重大な質問をした。

 

「……訊くよ、ヘファイストス曰く噂の【剣姫】は、付き合っている様な男とか或いは伴侶が居るかい?」

 

「あほぅ、アイズはウチのお気に入りや。嫁には絶対出さんし、誰にもくれてやらんわ。ウチ以外にあの子へちょっかい出してきたらそいつは八つ裂きや!」

 

「ちぃっ!」

 

「何でそのタイミングで舌打ちしてんのよ?」

 

 呆れるヘファイストス。

 

「まあ、いつか奪われそうで戦々恐々やがな……」

 

「ん、何か言ったかい?」

 

「何も言うとらんわ!」

 

 ロキは心配していた。

 

 あのユートのもっているレアスキル、あれをアイズが知れば間違いなく彼女はユートに股を開く。

 

 強さに焦がれるが故に、アイズが躊躇う理由なんて有り得ない。

 

 ヘスティアは不満だ。

 

 ベルの獲たレアスキル、【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】の対象となっているのは、間違いなくロキの所の【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインである。

 

 懸想が強ければ強い程、それに比例してベルは成長を促される筈。

 

 今はユートの命令から、ステイタスの更新をしてはいないが、修業が一段落ついて更新したらきっと驚くべき飛躍をしていよう。

 

 だけど何故? 選りにも選ってロキの眷属(こども)だったのかと思う。

 

 地上の子供達は自分達、神々と違って変化し易い。

 

 それはきっと喜ばしい、だけど素直に喜べない自分に嫌悪した。

 

「ああ、折角やからウチからも質問や」

 

「珍しいね? 何だい?」

 

「ドチビん所の子供やけど……まさかウチらの力を使うてへんよな?」

 

「ボクらの? 【神の力(アルカナム)】を? 使う訳が無いだろ!」

 

「ならエエわ」

 

 あんな、他人に多大過ぎる影響を与えるスキルが、自然発生するものなのか? ロキはだからヘスティアの反則を疑った。

 

 だが、いけ好かない女神だとはいえ嘘を吐ける性格でもないし、だからすぐに追求をやめたのだ。

 

 神々に人類は隠し事が出来ず嘘も吐けない、だけど神の考えている事は神にも解らないもの。

 

 そして神は曲者が多い。

 

 とはいえ、アテナみたいな純朴に過ぎる女神も居る訳だが……

 

「にしても、ドチビが普通にドレスやとはな」

 

「ふん、悪かったね」

 

「別に、あの子なら買えるやろうしなぁ。フレイヤ、ちょう飲みに付き合えや」

 

「あらあら、仕方ないわねロキったら。私も取り敢えずは知りたい事も知れたし構わないわよ」

 

 そう言いロキは美の女神フレイヤと去って行った。

 

「……何だったの?」

 

「さあ?」

 

 あっかんべーをしているヘスティアと去るロキと、二人を見ながらヘファイストスとサーシャは首を傾げるしかなかったと云う。

 

「じゃあ、取り敢えず私達も河岸を変えましょうか。ウチの本拠に御招待させて貰うわ」

 

 ヘファイストスの言葉に従い、ヘスティアとサーシャは彼女の本拠に向かう。

 

 其処では丁度良くユートが赤毛の男と話していた。

 

 それを見たサーシャは、瞳を潤ませながら呟く。

 

「──優斗?」

 

「え?」

 

 サーシャが声を掛けたらユートが振り向く。

 

「会いたかった!」

 

 駆けるサーシャはユートの背中に腕を回し、しっかとその身体に抱き付く。

 

「あ゛!」

 

 驚くヘスティア。

 

「沙織……お嬢さん……? 否、この感じはサーシャなのか?」

 

 嗚呼、間違いない。

 

 自分の知る優斗だ!

 

 アローンもテンマも居なくなり唯一、出会える可能性があった男の子。

 

 アテナの聖闘士・双子座のユートだった。

 

 この世界のアテナとして生まれ変わったサーシャ、何億年が経ったか判らないけど、嘗ての自分を知る者に出会えた瞬間だった。

 

 

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 原作入りしても原作とは異なる部分が……


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