ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第23話:リリルカ・アーデとの再会は間違っているだろうか

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「剛魔・神雷降臨!」

 

『ギャビリィィィン!』

 

 ピシャーンッ! 強大な雷の束がモンスターへと降り注ぎ、敵対していたそいつらを纏めて黒焦げに。

 

 ダンジョン内部の大気と水分を天井近くで操作し、雷撃として静電気を強く束ねて落とす【神雷降臨】という魔法は、魔法耐性とか高くないと一撃で敵対者を屠れる程に強い。

 

 流石に一五層のモンスターともなれば、大型は一撃とまではいかないだろう、然しまだ小型種なら確実に屠っていた。

 

「す、凄い。これが魔法、ラブレスさんの魔法……」

 

 未だに、魔法もスキルも発現していない──と思わされている──ベルは羨望の眼差しでラブレスを見るしかなかった。

 

「ベル、ラブレスを羨んでる暇は無いぞ? 小型種のモンスターがまた集まって来ているし、お前も戦闘に参加をしろ!」

 

「は、はいぃぃっ!」

 

 ユートにケツを蹴られ、慌ててナイフを揮う。

 

 そのナイフは黒々とした刃で、ベルが然るべき意志を以て手にすると神聖文字(ヒエログリフ)が浮かび、切れ味が弥増す。

 

 とはいえ、他人が持つと刃が何も斬れない凡骨以下の死んだナイフに成り下がる為、ベル専用としか言い様が無い武器だ。

 

 このベル専用ナイフに付いた銘は【神の(ヘスティア)ナイフ】と云い、主神のヘスティアがヘファイストスに頼み、彼の【神匠】が自ら鎚を揮って鍛えたという正に逸品。

 

 アテナであるサーシャがラブレスに【神の恩恵】を刻む間、同盟条約を締結さた後にヘスティアがヘファイストスに頼み込んだ。

 

 無論、ヘファイストスは白眼視した訳だが……

 

 何しろ、ヘファイストス・ファミリアの武具とは、どれもこれもが一級品とされており、まだLV.などが低い鍛冶師は低い値段で売っているが、基本的にはナイフ一振りがン千万ヴァリスも珍しくない。

 

 幾ら神友とはいっても、技術者が自らの腕を安売りなどする筈もなく断った訳だが、其処へユートが介入をしてきて話が変わる。

 

 お金は払うから、ベルに武器を打って欲しいと言われたヘファイストス。

 

 だからユートの識らない原典の世界線では三日は経っていたナイフ造りにも、即日からヘスティアの手も借りてナイフを打った。

 

 値段は言わずもがな。

 

 ヘスティアがナイフへと【神聖文字】を刻んだ為、ナイフにステイタスが発生した特殊兵装。

 

 怪物祭(モンスター・フィリア)が始まる前に完成をみたナイフはベルにすぐにも贈られて、喜び興奮をしたベルに抱き締められたヘスティアは感慨無量と、真っ赤になって倒れた。

 

 完徹で造った甲斐があったと云うもの。

 

 朝を待ちユートと共に、紹介されたラブレスも伴ってのダンジョン探索。

 

 連れて行かれた先は中層の第一五層で、ミノタウロスすら現れる場所だ。

 

 ベルは震えてしまうが、斃すのはユートがやるから兎に角、戦えと無情にも突き放されてしまう。

 

 ラブレスはまだ基本的な事も学んでおらず、ユートの言葉に従うだけで言われるが侭に魔法を使った。

 

大裂撃(ダズ・ダルテ)ッッ!」

 

 爆裂を起こしてモンスターを打ち砕く。

 

 小型であるが故に効いてはいても、ステイタスが低いから一撃とはいかない。

 

 かといって、神雷降臨を何発も使える程の精神力もまだ無いラブレスは、魔法で傷付けてユートにトドメを刺して貰うか、ベルが傷付けたモンスターに大型の魔法を撃ち込んで斃すか、いずれかになる。

 

『ブモォォォッ!』

 

 低い唸り声が響いた。

 

「ヒッ!」

 

 思わず息を呑んだベル、足も震えている。

 

「そうか、ベルは第五層で確かアレに襲われたな」

 

 謂わばトラウマ。

 

 今のベルではミノタウロスを相手に出来ない。

 

 ズシンズシンと足音を響かせて現れる牛頭人体……LV.2相当のモンスターであるミノタウロスだ。

 

「来たれ鬼光剣!」

 

 左掌から右拳をぶつけ、引き出す様にエネルギーが剣の形に顕現、物質化して完全な剣として顕れた。

 

 斬っっ!

 

 断ち難い筈のミノタウロスの肉だが、それをアッサリと斬り裂いてネイチャーウェポンの斧を持つ右腕を落とした。

 

「フフ、どう? 痛い? 痛いでしょう? アハハ、アハハハハッッ!」

 

 斬! 斬! 斬!

 

 嬉しそうな表情でミノタウロスを斬り刻み、返り血で顔を汚しながら更に斬撃を喰らわせていく。

 

「アハハハハ! 気・持・ち・良いぃぃぃ!」

 

 角を落とし目玉を抉り、残された左腕も斬り落としたラブレスは、ニヤ〜ッと口角を吊り上げて嗤うと、真ん中から一刀両断にしてトドメと成す。

 

 鬼光剣はすぐに消失し、ラブレスもフラリと崩れ落ちてしまうが、其処は駆け付けたユートに支えられ、何とか立ち上がる。

 

「ラブレスの今の精神力で鬼光剣はまだ早いな」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 先程まで嗤いながら戦っていたとは思えないしおらしさ、ベルはあのドSでしかないラブレスと今現在の可愛いラブレス、この余りのギャップに首を傾げる事しか出来ない。

 

 神がこれを見ればきっと『ギャップ萌え!』とか、要らん事を叫び出す事請け合いである。

 

 鬼光剣は鬼光術に於ける最終奥義、この術を使った少年も独力では完成せず、最後の最後で死んだおっちゃんの力を借りて、鬼光剣を発動させたのだ。

 

 LV.1のラブレスでは扱えたとしてもすぐガス欠となるし、まだ使うのには制限が掛かるのだろう。

 

 とはいえ、多少の誇張はあれど如何なるモノも斬り裂く最強の剣、それこそが鬼光剣という奥義。

 

 ならば階層主とさえ戦える戦力と成り得る。

 

 一方のベルはミノタウロスに震え、未だに未更新で能力が低いとはいえ中層の戦いでトドメなぞ、殆んど刺せていない現状では役立たずの体だが、確かな光るモノを備えてもいた。

 

 最初は弱くとも大成するタイプであろう。

 

「そろそろ更新させるか」

 

 こんな中層で戦わせたのは経験値を稼ぐ為、より強い敵と戦えば良質な経験値を得られるからだ。

 

 今は戦うだけで良い。

 

 それでも経験値は入り、確実な基本アビリティ向上に役立つのだ。

 

 それに、ユートは密かに補助系呪文を掛けている。

 

 スカラ、バイキルト、ピオラ、フバーハなどだ。

 

 尚、魔法であったからかラブレスにも掛けた際に、どうやら修得したらしい。

 

 【体感学習(ラーニング)】──恐るべし。

 

 特にヘルハウンドと戦うなら、フバーハは役に立つ呪文だから修得が出来るならさせておきたい。

 

「インストールカード無しで覚えるとか大概だなぁ、ラブレスも……」

 

 昔なら有り得なかった、然しながらサーシャの神血による恩恵の効果、それがラブレスを良い方向に押し上げたのだ。

 

 地上に戻ったユートは、纏めて魔石やドロップアイテムを売却した。

 

 ユート自身も戦った分、やはりお金は多くて五十万は稼げてしまう。

 

 上層ではとても稼げず、中層ならではか。

 

「ベル、今晩辺りステイタスの更新をしておけ」

 

「え? 良いんですか?」

 

「ああ、単独での探索階層も七階層まで許可するが、基本的にはラブレスと一緒に行くように」

 

「は、はい!」

 

 嬉しそうに走るベルは、漸くのステイタスの更新に浮かれていた。

 

 どれだけ上昇したのか、凄く楽しみだからだ。

 

「さて、ラブレスは先に帰っていてくれ」

 

「はい」

 

 ユートはラブレスを帰すとオラリオ探索に出掛け、何かしらを捜しているのかキョロキョロとしている。

 

「お、あれは!」

 

 見付けたのは幽霊少女。

 

 積尸気を扱えるユートは当然、幽霊なども普通に視る事が可能。

 

 視た処、冒険者だったらしい服装でしかも若い。

 

 二十歳にも達していない辺り、恐らくLV.1程度の元下級冒険者だろう。

 

 未だに冒険者と呼ぶにはスレてない眼差し、ボーッとオラリオの街並みを見つめているだけの幽霊少女。

 

 ユートはその幽霊に声を掛ける事にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 二時間か其処らで廃屋から出てきたユート。

 

 廃屋の中には声を掛けた元冒険者な幽霊の少女が、グッタリとしながらも然しだらしなく涎を口元から垂れ流しつつ、何処か満足気な表情で空ろを視ていた。

 

 しかも幽霊とはいえ裸体を晒している訳で、ナニがあったのか丸判りである。

 

 情報収集がてらナンパ、上手く誘い出せたら廃屋に連れ込み、言葉巧みに肉欲をも刺激──霊体だが──しつつ最後までヤり遂げ、ヤりながら色々と知っている事を訊いた。

 

 面白い事も識っており、お礼も兼ねてとタップリとイカせてやる。

 

 それが彼女の現状。

 

 勿論、一時的な実体化をして女性の肢体をエミュレートしてヤった訳だが……

 

 前世では六十年モノや、三百年モノな幽霊を相手に同じ事を仕出かしており、手馴れたものだった。

 

 違うのは積尸気冥界波でユートの冥界の極楽浄土へ送り、死後の安寧を約束していた事くらい。

 

「汝の魂に幸いあれ」

 

 文字通り昇天した少女に最後の言葉で送る。

 

 ユートは少女からの情報を元に、捜し出すべきモノを捜すべく動き出した。

 

 暫く歩くと廃屋と廃屋の間的な場所で、ヒステリックな男の声が響く。

 

「あれかな? 透明化呪文(レムオル)

 

 姿を消して気配も周囲に同化してから近付いた。

 

 それなりに筋肉質な男、ソイツが険しい表情となって小柄な、恐らく小人族でパッと見でFFの白魔道士っぽいローブを着ており、癖毛らしい茶髪を覗かせている様はユートの知る少女に対し、叫びながら乱暴に手を引っ張っている。

 

 端から視れば幼気な少女を強姦しようとする下種にしか見えず、しかもユートはサポーターとしてのリリは要らないが、女の子としてのリリは気に入っているからか、ピキッ! と青筋を額に浮かべていた。

 

 笑顔で。

 

 実際、ローブごと腕を引っ張られた所為だろうか、ローブが捲れてボロボロな服装と柔肌が露出した。

 

 何故か服の下部分が破れたボロな為、お腹が完全に丸出し状態となっていて、小人族だから見た目に反して決して幼女ではないし、胸に脹らみがそれなりにはあったから、何だかエロティカルな格好で倒れる。

 

 そしてズボンにも見える赤い超ミニスカートから、眩しいまでの太股と秘部を隠す白いショーツが露わになって、元々の可愛らしい容貌と処女をユートに捧げ色気が出たのも相俟って、男が喉を鳴らすくらい淫靡な姿を晒していた。

 

 摩れた黒いストッキングがそれを強調する。

 

 男はリリのそんな姿に、股間を醜く膨らませながら髪の毛を掴み、無理矢理に起き上がらせるとニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべて口を開く。

 

「おい、リリルカ……許して欲しかったらヤらせろ」

 

「──は?」

 

 目を見開くリリ。

 

 実は今までで何のかんのいって、リリの肉体を求めてきたのは賭けをして寝る事になったユートのみ。

 

 ユートに会うまでに一度たりとて身体を許した事が無かったのは、単純に要求をされた事が無いから。

 

 小人族の自分は異種族、下手をすれば同族から視ても魅力が無いのかとなと、安堵しながらも首を傾げた事だってある。

 

 だからこそ、ユートに求められた時も嫌がる素振りこそ見せたが、実は自分にも異性に求められる魅力があるのだと悦びも感じた。

 

 だが、それは賭けで勝利したからと遠慮無く奪ったとはいえ、何処か愛情の様ものを感じたから許せたのであって、目の前の男に許せるかと言われれば『断じて否』と答えるだろう。

 

 只々、イヤらしいだけの視線なんて嬉しくもない。

 

「い、嫌です! だいたいお金はもう渡せるだけ渡しました、これ以上はどうにも出来ません!」

 

 勿論、嘘八百である。

 

 ユートから受け取っていたお金はノームの貸金庫、宝石といっしょくたにして詰め込んだ。

 

 リリがこの男に渡したのは飽く迄も、見せ金でしかないから損失は損失だが、全体から視れば三分程度の損失でしかない。

 

 リリとしてもお金は渡せないし、貞操だってユートに初めてを散らされたとはいっても、そこら辺の莫迦にくれてやる程に安い心算もなかった。

 

 だが然し、問題となるのはリリのLV.が1で男のLV.が2だという事。

 

 たった一つ違うだけで、これが大違いなのだ。

 

 つまり、元から小柄なのに加えて力の基本アビリティが余り上がらないリリ、この筋肉質な男に腕力で敵う筈もなくて、ズルズルと引き摺られながら更に人気の無い場所に連れ込まれ、当たり前だがこんな裏道に居る連中が助けてくれる訳もないから、リリの貞操は最早風前の灯火。

 

「てめえに断る権限なんざねーんだよ! 大人しく、俺のモノを啣えてりゃいいんだからな!」

 

 そう言ってガチャガチャとベルトを外し、ズボンを下ろす姿は焦りが見え見えで寧ろ滑稽だが、リリとしてはこれから起きる悪夢を思うと笑え……

 

「見ろ! 俺のモノを!」

 

「プッ、ちっさ!」

 

 ……てしまった。

 

 思わず噴き出したリリ、当の強姦魔はといえば顎が外れんばかりに口を開き、下半身モロ出しで情けない格好を晒す。

 

 この男のモノはリリが言う程に小さくはないけど、リリが思い起こす比較対象が余りにも悪かった。

 

 何しろ、ユートだ。

 

 元は常識的な範囲だが、ハルケギニア時代──前々世でクトゥルーという邪神に犯され、タップリと精を注ぎ込まれた結果として、無限リロードに大量の精液の生成、更に分身の肥大化と夜の性活部分が軒並みに強化され、魂にまで刻み込まれてしまったから大変、リリの目の前の滑稽な男の分身の三倍以上はあろうかという大きさで、然し相手に大き過ぎる負担を与えず寧ろ、どういう理屈か二度目からはすんなりと入り、リリの情欲を引き出した。

 

 可哀想だが目の前の男とでは、潜ってきた修羅場が既に違い過ぎる。

 

「こ、こ、このアマ!」

 

 涙ぐみながらリリに襲い掛かる男だが、プスッ! とマヌケな音が響くと共に欲情を顕していた分身が、ヘニャヘニャと縮んだ。

 

「──は?」

 

 男は突然の事に唖然となって、すぐに縮んで皮を被る分身を掴んだ。

 

「おい、どうなってんだ? 何で……小さく?」

 

 擦ったりと刺激を与えても全く無反応。

 

「無駄だ、お前に【不能の短剣】を刺した。そいつに刺されると二度と勃ち上がる事は無い!」

 

「な、何だと!?」

 

 肩を見れば確かに短剣、先程のマヌケな音はこいつが刺さった音らしい。

 

「ユ、ユート様?」

 

 呆然となって呟くリリ。

 

 高速移動で男の隣に立ち短剣を抜くが、血の一滴も短剣には付着しておらず、男の肩からも血は全く流れ出てはいない。

 

 男が気付かなかったのも痛みが無かったから。

 

「お前の子孫なんて残す様な価値も無いし、世界的に問題なんて全く無いな?」

 

「ふ、巫山戯るな!」

 

 未だにおっぴろげた侭、男が剣を揮う。

 

「巫山戯てなどいないさ、リリに手ぇだそうとしたんだからなぁ……お前の代でお前の遺伝子は仕舞いだ」

 

 ドグッ!

 

「げはっ!?」

 

 喧嘩キックで壁まで吹き飛ばしてやると、男は全く動かなくなってしまう。

 

 どうやらあっさりと気絶したらしい。

 

「ふん、公然猥褻罪にでも問われて捕まれ!」

 

 憐れにも下半身を晒した侭に気絶し、しかも二度とは役に勃たない分身がふにゃりと寝ている。

 

「さて、落ち着いて話せる場所に移動しようか?」

 

 ドキリ! 賭けに負けたのが原因とはいえ、一度は身体を許した相手だからだろうか? 行き成り爽やかな笑顔を魅せるユートに、リリの胸が高鳴った。

 

「は、はい……」

 

 どの道、こんな場所には一秒たりと居たくなかった事でもあったし、紅い頬を見せまいとリリは俯きがちに頷いた。

 

 それで連れて来られたのは雰囲気の良い喫茶店? みたいな店である。

 

「あ、あの……結構高そうなお店ですけど」

 

「割と高いね。けど問題は無いから何か飲み物なり、食べ物なり頼むと良いよ」

 

 これだ。

 

 サポーターなんて要らないと拒絶しておきながら、リリを抱いた後は余りにも優しくて、あの時も翌朝に大金をポンとくれた。

 

 今もこんな風に接してくれている。

 

 とはいえ、ひねくれ者なリリは精々高い品物を集ってやろうと、値段が一桁は上のケーキやお茶を注文してみたが、ユートもそれなりに高値なモノを頼んでいる辺り、リリの目論見なんてあっさり瓦解していた。

 

「それで、リリにお話でもあるのですか?」

 

 ケーキを食べてお茶にて後味を消し、喉を湿らせたリリは問いたい事を問う。

 

「捜していたんだよ」

 

「リリを……ですか?」

 

「ああ」

 

「けど、ユート様はサポーターを必要としてない筈」

 

「そうだね、僕にはサポーターが必要無い」

 

「ならば、何故ですか? それとも……また抱きたいとかでしょうか?」

 

 躊躇いがちに訊く。

 

「……まあ、リリくらいの娘ならまた抱きたいかな? でもそんな理由で捜していた訳じゃないさ」

 

 リリは少し思案して……

 

「僕には……ですか」

 

 答えに辿り着く。

 

「つまり、新しい御仲間が増えたのでそちらの方にはサポーターが必要と?」

 

「流石、頭の回転が早い。その通りだよ」

 

 頷いたユートはリリの頭を撫でる。

 

「もう、リリはこう見えて子供ではありません!」

 

 心地好さと恥ずかしさと意地っ張りな部分と綯い交ぜとなり、顔を真っ赤に染めながらもユートの手を取ってどかせた。

 

「一応、一五歳なんです」

 

「そうだね」

 

 言っておいてなんだが、いざ手が離れると淋しいと感じてしまう。

 

「僕が所属していたヘスティア・ファミリアだけど、遠征に行っていた一ヶ月の間に新人が入っていてね。今は彼の訓練やら何やらに付きっきりだよ。だけど、いつまでもそうはして居られないし、僕が居る間ならまだ良いけど離れたらもうサポートも出来ないんだ。だから的確なサポートと、魔石やドロップアイテムの収集が出来そうな、そんな優秀な人材が欲しい」

 

「そ、それでリリを?」

 

「ああ、出来たら一時的なパーティじゃなく改宗込みで来て欲しいんだよ」

 

「改宗……それは難しいと思います」

 

「どうして?」

 

「ファミリア退団はリリも考えています。でもそれには大金が必要ですから」

 

 そうでなければリリも、冒険者を嵌めてまで金を獲たいと思わない。

 

 全ては【ソーマ・ファミリア】を脱退する為。

 

 退団したとしてその後をどうするかまで決めてはいないが兎に角、あのファミリアに居続けたいとは微塵にも思わなかった。

 

「なら、そこら辺は此方で何とかしよう」

 

「──え?」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ヘスティア&アテナ・ファミリア本拠──【聖域の竈(仮)】にて、ヘスティアの部屋のベッドに寝転んでいるベル・クラネル。

 

 勿論、エロな意味では決してなくてステイタス更新の為である。

 

「漸く更新か、どうなったか楽しみですよ神様」

 

「ボクもさ。それじゃあ、久し振りな更新だ……」

 

 針でプツッと傷付けて、流れ落ちる神血(イコル)

 

 それを用いてヘスティアは手慣れた感じで、ベルの背中に書かれたステイタスを更新していく。

 

 

 

ベル・クラネル

所属:ヘスティア・ファミリア

種族:ヒューマン

LV.1

力:E452

耐久:G281

器用:F468

俊敏:D583

魔力:I0

 

《魔法》

【】

 

《スキル》

【憧憬一途】

・早熟する

・懸想が続く限り効果持続

・懸想の丈により効果向上

 

 

 

「な、何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

 その日、廃教会に大凡そ女神らしくない絶叫が響いたのだと云う。

 

 

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