ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】 作:月乃杜
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人々が右往左往しながら悲鳴を上げている。
誰よりも遠くへ安全圏へ逃げる為、だけどどこに逃げれば安全なのかも判らぬ侭に、だからどうしたって錯綜してしまうのだ。
ユートは逆にモンスターが居るであろう地へ向け、ひたすらに走って……少なくとも逃げる一般人と真逆の方向へと駆けた。
その最中、ユートは機器を取り出してカードを装填すると、その機器を自らの腰へと宛がう。
待機音が流れる中で機器に付いたレバーを引いた。
「変身!」
《TURN UP》
展開されるは蒼白い龍の紋様が描かれた光の膜――オリハルコンエレメント。
それを潜ると……
《Vanishing Dragon Balance Breaker!!!》
ベルトとは違う声で音声が響き、白い鋭角的な鎧に龍の如く兜と尻尾を持ち、背中には青い光翼を展開した姿へと変わっていた。
【白龍皇の鎧】と呼ばれるこの鎧は、二天龍と呼ばれていた龍の一角――バニシング・ドラゴンのアルビオンが封じられている。
嘗てユートが行った――【ハイスクールD×D】の世界、其処には聖書の神が創り上げた神器(セイクリッド・ギア)なる物が存在しており、【神の子(にんげん)】か或いはその血を引くハーフやクォーターに宿るとされている。
勿論、神が『貴方にこれを授けよう』とか言って、選定している訳ではない。
神のシステムに神器についてのものが在り、それによって誕生時にランダムで与えられるのだ。
だから、とある事件の折りに堕天使の女が言っていた科白――『こんな餓鬼に神滅具が!?』とかはハッキリ言ってナンセンス。
人間の血を引く者であるならば、餓鬼や家無し子であろうが宿るのだから。
というか、誕生時に宿るのだから基本的に最初の頃は赤子で子供で……二十年くらいしてやっと大人。
某・堕天使は何を思ってあんな科白を言ったのか?
本来の二天龍は聖書の神より遥かに強く、三大勢力が戦争をしていた処へ喧嘩をしながら雪崩れ込んで、怒り心頭な神や魔王を相手に取り――『高が神如きが魔王如きが、我らの邪魔をするな!』と逆ギレして、三大勢力全てに喧嘩を売ったから堪らない。
彼らは一時休戦をして、二天龍と戦う羽目に。
幾ら強い二天龍とはいえ
ユートは生まれついての
【白龍皇の光翼】も実は別世界で保有者から義妹が奪い、それを宿す事により後天的な白龍皇となった。
故に、この姿に成れる。
「何処の誰がやらかしたかは知らないがアルビオン、こうなれば暴れるぞ!」
《応! 私の力、存分に揮うが良い!》
神器に封じられてしまったアルビオンも、暴れる事に異論は無いのかはっきりと言い放つ。
早駆けするユートは手早くモンスターを見付けて、タンッ! とジャンプ一番で近付いて手にした武器――偽・瞬撃槍にて突き殺してしまう。
「モンスターの気配が余りに多いな。首謀者は何を思ってこんな数を……」
少なく見積もって五〇、下手をすれば百に届く。
そんな数が闊歩しているのだから、オラリオの一般人は戦々恐々としていた。
ヒューマンなら恩恵無しだと最弱なゴブリンに劣る能力だから、明らかにそれより強いモンスターに襲われれば普通にログアウトをするだろう。
リアル・デスゲームだ。
「次は……あっちか!」
飛行して現場に着くと、ユートは降りる勢いの侭にモンスターを一刀両断!
断っ!
「早く逃げろ!」
「は、はいぃ!」
腰を抜かしていた一般人を一喝、逃げたのを確認して再び戦場を移す。
白き龍は青い光の翼にて羽ばたき、大空へ向かって飛び立つのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おかしいわね」
フードを被った女性が、辺りの騒ぎに首を傾げた。
「私が解放したのは九体。それなのに十倍はモンスターが暴れている?」
彼女こそがモンスターを解き放った首謀者だけど、そもそもにして八体は謂わば捨て駒に過ぎず、本命の一体がとある人物――神物を追い回し、その眷属たる白髪紅目の少年が戦う。
どんな結果になるにしろ少年は成長する筈。
それが目論見だったし、必要以上のモンスターなど居ても意味が無い。
「まあ、モンスターは彼が斃してくれてるし、ロキの眷属もやってくれてるから問題は無さそうだけど」
そう言って女性――女神は路地裏から姿を消した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ロキ・ファミリアの面々――ティオネとティオナ、レフィーヤの三人だが普通に怪物祭に興じていた。
アイズ・ヴァレンシュタインは勝手にダンジョンへ潜った罰として、ロキから自分のお供という名のデートに連れ出されている。
ベート・ローガがこんな祭に興味を懐く筈も無く、ロキ・ファミリア三幹部はそもそも細かい仕事が山盛りだから動けない。
他のメンバーは何処かに居るのだろう。
少なくともこの三人だけで今は動いていた。
ガネーシャ・ファミリアの怪物調教は派手さ加減もあり、見応えがあったのは見物客として良かったが、どうにも様子がおかしい。
明らかにトリを務めると思われる調教が行われて、ガネーシャ・ファミリアのメンバーが慌ただしい。
不審。
三人はすぐに行動開始。
アイズ・ヴァレンシュタインもロキの許可を得て、モンスター退治に出掛けるのであった。
高い建物の屋根の上……アイズはトロールを見付けると――「
超短文魔法に属するものであり、一言――つまりは一小節で紡げる魔法だ。
当然ながら高威力なんて期待は出来ない魔法だが、使い勝手という意味でならアイズとしてはホイホイと使うくらいの具合の良さ。
自らに纏う事により防御が可能、脚に纏って速度を上げられるし軽く飛翔すら出来る上、剣に纏わせての切れ味向上すら出来る。
必殺技もこの魔法を発動してのものだ。
「リル・ラファーガ!」
飛翔しながら目標へ突っ込み、アイズの持つレイピアがトロールを串刺しにしてしまう。
尚、技名を呟くのは前にロキから『技名を口にすると威力が増すんやでぇ』と言われたから。
元来のアイズが使う武器の威力自体は実際の処で、第一級冒険者が扱うにしては大した事のない物だが、一部の上級鍛冶師にしか造れない不壊属性が施された
例えるなら威力だけなら銀の剣の方が倍くらい高いけど、ナバールが初期装備で持つキルソードはクリティカルの嵐で、最終的には後者の方が役立つとかそういった感じだ。
勿論、文字通り刃が立たなければ意味が無いが……
ダンジョンという武装の磨耗が激しい場所、少しでも長く戦う為にアイズ・ヴァレンシュタインが選択をした武器――それこそが【デスペレート】であるが、今はそれはゴブニュに預けて無いら、代剣のレイピアの扱いには慎重を期する。
壊したら弁償だし。
「それにしても、数が……多い、過ぎる!?」
次々とモンスターを屠りながら、それでも減った気がしない数に辟易する。
自然に発生する筈なく、誰かが持ち込むしかない。
持ち込んだのは当然だがガネーシャ・ファミリア、彼らが怪物祭の為に捕獲していたモンスターが逃亡。
だが幾ら何でも多い。
そもそも、ガネーシャ・ファミリアが捕獲してきたモンスターは二十にも及ばない筈が、明らかに百近い数が解き放たれていた。
つまり、有り得ない。
そうなると、ガネーシャ・ファミリア以外の誰かが持ち込んだという事に。
「三!」
撃破数を口にしながら、アイズは思考する。
「四!」
そんなアイズを見遣り、ティオネ達もモンスターを狩り始めた。
「哈ッ!」
武器なぞ持ってきてはいないアマゾネスの姉妹は、素手による戦いを余儀なくされていた。
「チッ! 幾ら何でも素手じゃ殺り難いわ……ね!」
それでも雑魚なら一撃で粉砕している辺り、流石は第一級冒険者と云えよう。
「うりゃ! 本当だねぇ」
ティオナが姉に応えるかの如く呟く。
「お二人共、素手だというのに余裕ですね」
杖くらいは持っているからレフィーヤも戦えるが、あの二人程に余裕を持っている訳ではない。
レフィーヤは魔導師で、魔法を扱うのが主だ。
詠唱には時間が掛かり、無防備にもなるから下手に使えないし、強すぎる魔法を地上で……しかも街中で使うなら注意が必要。
一般人を巻き込んでしまったら目も当てられない。
引き替えて、ティオネとティオナは殲滅能力にこそ劣るが、一撃一撃を確実に打ち込める分だけ一般人を巻き込む心配が無かった。
まあ、モンスターをぶっ飛ばした先に一般人が居ました……とかなら別だが、そんなマヌケで無様を晒す素人な二人では無い。
ゴゴゴ……
「? 何、この震動」
「ちょ、ティオネ! これヤバくない?」
「ヤバいわよ!」
突然の震動。
それが間近で起きる意味は余りにも怖い。
まだモンスターも数十と存在するのに、ここに来て謎の震動が近場に在るとか勘弁して欲しい処。
どう考えても嫌な予感しかしないのだから。
「レフィーヤ、注意しなさいよ!」
「は、はいぃぃっ!」
前線へと常に出る戦士、ティオネとティオナとアイズは兎も角、レフィーヤは後衛職たる魔導師であるが故に、戦闘に於ける直感はこの四人の中で最も低い。
これが副団長のリヴェリア辺りなら話も違うけど、このレベルに到達するにはレフィーヤでは、LV.も経験も全く足りなかった。
まだモンスターの半数が残る中、またぞろ出てこられたら鬱陶しいで済むのはレフィーヤ以外の三人。
LV.的にも場数的にもレフィーヤに余裕は無く、兎にも角にも余り派手ではない魔法で斃すか、杖での撲殺かを選んでいた。
幸い、現れたモンスターは上層のものばかりだったから、飽く迄も比較的非力なレフィーヤも撲殺が可能だったのである、
だが然し……
「キャァァァァァァァァァァァァァッ!?」
女性の悲鳴、通りの一角から湧き出す膨大な土煙、石畳を押し退けて現れたるは蛇にも似た長大なモンスターであった。
ゾクリ! と背筋に奔る悪寒に、ティオナ達は顔色を変えると……
「ティオネ、何かアイツってヤバくない?」
「ええ、征くわよ!」
叫ぶのと同時に駆けた。
「ふっ!」
「おらぁぁっ!」
ティオナはまだ兎も角、ティオネは凡そ女性らしくない雄叫びを上げ、モンスターへと殴り掛かった。
ガンッ!
「かったぁぁぁーっ!」
「〜〜っっっ!」
だがモンスターを打ってみて判ったが、第一級冒険者たる二人の攻撃を受けてビクともしない処か、逆にティオナ達の方が拳にダメージを受ける硬さ。
如何に素手とはいえど、仮にもLV.5の拳ならばそこら辺のモンスターなど粉砕されるというのに。
特にパワフルなティオナなど、ステゴロでも充分な戦闘力を発揮するだろう。
それを防ぐのだから相当な防御力となる。
「くっそー! こんな事なら武器持ってくれば良かったよ〜!」
「アンタのバカでかいのを持ち歩かれても困るわ! だけど確かに打撃じゃ埒が明かないわね……」
硬過ぎる、ダメージは通っているみたいだが如何せん打撃耐性からか、怒らせただけらしい。
魔法円――マジックサークルを展開しレフィーヤが詠唱をする。
「【解き放つ一条の光、聖木の
其処まで唱えてみたが、魔法を放つべく魔力を集中した途端、モンスターが振り向いてきた。
「っ!?」
先程まで戦っていた筈のティオナ達を放ってまで、明らかにレフィーヤの魔力が集中された瞬間に振り向いたという事は――
「まさか、魔力に反のっ! しまっ!?」
ボコリ! と地面が捲り上がって、黄緑色の突起物が伸びてきて……
「キャァァァッ!?」
四本の突起物がレフィーヤの四肢を拘束した。
「は、放して!」
空中に磔にされたみたいな形で晒され、ミニスカートだか白いショーツが下からも前からも丸見え。
それを理解しているのかレフィーヤの頬がほんのりと赤く、序でに化け物に触られている嫌悪感が表情に出ていた。
唯でさえこの状態であれショーツがチラ見えしているのに、モンスターはあろう事かレフィーヤの脚を、Mの字に開かせる。
所謂、M字開脚だ。
「イヤァァッ! 見ないで下さぁぁぁぁいっっ!?」
余りの恥ずかしさに涙ながらに訴える。
白いショーツだけでなく透明感ある白い美脚、太股すらもバッチリと見える様になって、避難しようとしていた一般人の男共が思わず足を止めてガン見。
気持ちは判らんでもないがさっさと避難をしろと、ティオネやティオナは叫びたい気分であった。
だが、今はレフィーヤを救出するのが先であると、打撃耐性持ちの気色の悪い黄緑色モンスターを殴る。
「くっ、このモンスター! レフィーヤをHA☆NA☆SE!」
「ティオナそれ、使い方を間違ってるわよ!」
意外と余裕か?
神々――正確にはロキが偶に口にする神語(笑)を出せる程度には。
だけどそんな余裕もぶち壊す所業を、モンスターは始めてしまった。
もう一本の四肢を拘束するのよりも比較的に細身な突起物、それがボコリッと地面から現れたかと思うとまたもう一本がレフィーヤのショーツをビリッと破り取ってしまう。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァッ!」
秘裂が公衆の元に晒されて絶叫を上げた。
レフィーヤを拘束していた四本は、彼女を更に高く空へ上げると今度は勢いよく下へ……
「ヒッ! まさか!?」
事ここに至ってその意図に気付いたレフィーヤは、叫ぶのもやめて顔を血の気を引かせ真っ青になる。
軌道上に突起物が先端を向けて待ち構えていたし、何よりわざわざショーツを破って秘裂を露わにしたという事実。
「嫌っ! ダメ! あんなのが
何の準備もなくそんな事になったら、レフィーヤのアソコは二度と使い物にはならなくなるだろう。
レフィーヤ・ウィリディスの優秀な魔導師エルフの遺伝子、モンスターはそれを後世に残させない心算なのかも知れない。
仮に壊れずともエルフ、肌を触れられる事すら厭う種族が、モンスターに処女を散らされたなんて事になれば自殺もの。
確かに恐ろしい話だ。
「「レフィーヤ!」」
ティオナもティオネも、叫びながら殴る力と速度を更に上げるが、やはりビクともしない。
「チクショウ!」
「レフィーヤを放しなさいモンスター!」
斬っ! 斬っ!
LV.5の第一級冒険者二人が、目にも留まらない迅さで突起物が斬り落とされてしまい、レフィーヤがその場から居なくなる。
「「え?」」
辺りを見回すと空中に、真っ白なフルプレートの鎧兜に身を包み、背中に青く輝く翼を持ったナニかが、レフィーヤをお姫様抱っこで抱えて浮いていた。
「新手のモンスター?」
ティオネが首を傾げながら呟くと……
「モンスターは酷いな……確かに龍がモチーフっていうか、龍なんだろうけど」
背後から声が響く。
「嘘……」
目を放した訳でもないのに見失い、背中を見せてしまった段階で相手が敵なら終わっている。
「その声、ユート?」
ティオナが訊ねた。
カシャン!
兜の部位がどんな理屈か消え、其処には確かに見知った顔が在る。
「よく判ったねティオナ」
「そりゃ、夜にあんだけ声を聞かされたし……」
ちょっと照れながら言うティオナ。
ユートは黙ってひたすら腰を動かしてた訳でなく、相手が股を開き易くて熱くなる科白を、耳許で囁いたりしていたからティオナも声は確り耳に残る。
「ユ、ユート……さん?」
素顔を見せられたからかレフィーヤが掠れた声で、ユートの名前を呼んだ。
「済まなかったなレフィーヤ……遅くなって。怖い思いをしただろう?」
優しい表情に優しい声、レフィーヤは涙を浮かべてゴツゴツした鎧を着込んでいるが、ユートの胸に顔を押し付けて泣いた。
突起物は全部斬ったから多少の猶予はある。
とはいえ、すぐに新しい突起物が地面から現れた。
「チッ、情緒の無いモンスターだな!」
「あれ、蛇とかじゃなくて植物なの!?」
ティオネは漸くモンスターの正体を覚る。
「ま、植物系なら火なんだろうが……街中だからね」
こんな街中で炎系の魔法を使うのは如何にも拙い。
「本体も出てきたか」
成程、蛇には非ず植物のモンスターである。
突起物が付いた触手は、植物の蔓だったらしい、
「レフィーヤを頼む」
ユートは、ティオネへとレフィーヤを託す。
「どうする心算よ?」
「奴を討つ」
「出来るの?」
「勿論だ」
「判ったわ」
レフィーヤを抱えて下がるティオネ。
「本当に大丈夫かな?」
「ユートの実力、LV.1とは思えない程なのは知ってるでしょ? ティオナ」
「う、うん」
それでも肌を重ねた相手を心配する。
「ティオネ、ティオナ! レフィーヤは?」
「「アイズ!」」
「アイズさん!」
バカみたいに多くて邪魔なモンスターを蹴散らし、漸くこの場まで辿り着いたアイズを三人は見遣る。
「レフィーヤは無事よ」
「良かった」
胸を撫で下ろすアイズ。
「心配をお掛けして申し訳ありません」
「ううん、レフィーヤが無事だったなら良かったよ」
「は、はい……」
レフィーヤの胸には熱い何かが灯るが、その何かはユートに救われた際に感じた熱さとは違う。
それが故に気付いた。
アイズからは安堵感からくる熱さだが、ユートへと感じたのはもっと甘くて、蕩ける様な熱さだ……と。
「ユートさん、何をするんでしょうか?」
「……多分」
アイズは理解している。
ダンジョンであの巨体を斃したのをみていたから。
「此処で消えて貰う!」
ユートは腕を前に伸ばして両手を組み、それを高らかに天へと掲げた。
魔力を使った劣化版……
「
ユートの言葉と共に放たれた凍気、それは植物型のモンスターは躱せる筈もなくまともに浴びて、全身がガチガチに凍り付いた。
この技は本来だと小宇宙で放つが、今はすぐに使えないから劣化版として魔力を用いて使用したのだ。
劣化版とはいっても強力な必殺技な為、黄緑色をしている植物型のモンスターはアッサリ死んでしまう。
ユートは凍結したそれを邪魔だと謂わんばかりに、思い切り蹴飛ばして破壊をしてしまった。
見てないから判らなかったけど、ユートのアイテムストレージにこのモンスターの極彩色の魔石とドロップアイテムが格納される。
「アイズ、他のモンスターはどうなっている?」
「何人か強い冒険者が出てきて退治してくれてる」
「そうか」
その強い冒険者というのはユートの知る連中。
ラブレスやミッテルト、二人は一応LV.1でしかないが、ユートと同じくで普通より遥か上を往く。
その実力は見た目の可憐さとは裏腹で、下手に手出しをすれば粉微塵にされる強さだった。
まあ、ラブレスは能力的には間違いなくLV.1なのだが……
「ベルはどうしたかな? 今日はヘスティアとデートしていた筈だけど」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ハァ、ハァ、ハァ……」
短い漆黒の刃に灯っている
此処はダイダロス通り。
東と南東のメインストリートに挟まれる区画にある広域住宅街で、都市の貧困層が住む複雑怪奇な領域は一度迷い込んだなら最期、二度とは出て来られないとまで言わしめる。
ベルはモンスターであるシルバーバック――白い毛並みの大型な猿を相手に、背後にはヘスティアを庇いながら戦っていた。
互いに一進一退の激戦、今正に最後の決着を着けるべく互いが動く。
「せやぁぁぁっ!」
「ウゴオオオオオッッ!」
ゾブリ!
跳躍したベルが空中前転をしながらシルバーバックの攻撃を躱し、返す刀とばかりに姿勢制御して脳天に刃を突き立てた。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
堪らず暴れて暴れてベルを振り払おうとしてたが、遂には力尽きたのかピタリと止まって倒れ伏す。
「や、った?」
最早、ピクリとも動かないシルバーバック。
「ふぃぃ……」
相手の確かな死に安堵をしてしまうベルに……
「ベルく〜ん!」
感極まったヘスティアが抱き付いた。
「ベル君ベル君ベル君! ありがとう、やっぱり君って奴は最高だぜ!」
グリグリと胸に顔を埋めて言うヘスティアに対し、悪い気はしないベルはされるが侭になっている。
「ハハハ、程々でお願いしますね神様」
ユートの心配を他所に、ベルは確りと上がっていた実力を発揮、シルバーバックというデカブツを討ち斃してしまうのだった。
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ベルは強化されていたからシルバーバック戦では、原作程にボロボロにはなりませんでした。
アイズはモンスターへの処理で遅れ、レフィーヤは触手プレイをされたり……