ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第34話:ランクアップの報告は間違っているだろうか

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 ゴブニュ・ファミリアでもヘファイストス・ファミリアの時と同じく、黒鍛鋼を五〇本ばかり卸してきて再びオラリオの都市を巡るユートは、イシュタル・ファミリアが経営する娼館で春姫を抱き、色々と不穏なこのファミリアの情報を集めてみたりした。

 

 どうもイシュタル主導で春姫にマイナス要素しかない事が企まれて、その事がアーシアを思い起こす程の不愉快さがある。

 

 いずれはアクションを入れる事になりそうだ。

 

 そして、ユートは天を衝く白亜の塔――バベルへと足を向ける。

 

 一方、バベルでは一足先にベル・クラネルが担当官のエイナ・チュールの元へ訪れていた。

 

 ハーフながらエルフという種族の美しさを醸し出すエイナは、担当官としては厳しいながらも人気は高いから、ベルもそれなりには幸運だったのだろう。

 

 まあ尤も、エイナから見たベルは弟分でしかなく、ベルはベルで姉貴分くらいの認識だ。

 

「ベル君、もう一度言って貰えるかな?」

 

「え? はい。僕、あの人から第一二層までならソロ活動の許可を得まして」

 

「一二層? いったい何を考えてるの! ベル君……君は冒険者になってどのくらい経つ?」

 

「へ? 半月が過ぎました……かね」

 

「そう、まだ一ヶ月も経っていないんだよ? それがソロで一二層とか、有り得ないでしょうが!」

 

 厳しい事を言うエイナ、然しながらせめて担当した冒険者には長生きして欲しいという思いが強く出て、何よりまるで頼り無い弟分なベルは、冒険者になってからこっち全く言う事を聞いてくれない。

 

「前々から言ってるよね、『冒険者は冒険しちゃいけない』って! 理解してくれてるのかな!?」

 

「そ、それは勿論!」

 

「じゃあ何で?」

 

「だから予め師匠でもある先輩、ユートさんから許可を貰ったんですよ」

 

「ユート君からね。ベル君が嘘を吐くとは思わない、だけど何を根拠に?」

 

「ステイタスが殊の他上がりまして、中には可成りのアップをしていたものまで在ったんです」

 

「あのね、ベル君。ステイタスってのはそんな簡単には上がらないのよ?」

 

 そんなポンポンと上がるなら、世の冒険者は苦労などしやしないだろう。

 

 命懸けで戦って経験値を取得し、それで漸く数値が上昇していくのである。

 

 まだベルは知らないが、ユートのランクアップにしても、自身の持つもの全てを使ってでも闘う姿勢が、良質な経験値となって数値を上げて、数回に亘っての階層主との戦闘経験による偉業達成が理由だ。

 

 そしてベルはユートとの修業、そしてランクや数値に見合わない階層での戦いに加え、【憧憬一途】というスキルの――早熟するの一文から窺える成長速度、それらが綯い交ぜとなってユートがソロで上層全てを廻る許可を与える程度に、数値的な成長をしていた。

 

「……本当は良くない事だと解ってはいるんだけど、ベル君のステイタスを見せて貰えるかしら? ああ、勿論だけどスキルとかまでは見ないわ」

 

「判りました」

 

 口先だけで語っても信じては貰えないであろうし、実際にシルバーバック戦後に行った更新で得た数値を見せた方が確かに早い。

 

 エイナの事は信用しているし、きっと問題は無いだろうとステイタスを見せる事を了承した。

 

 別室に移って服を脱いだベルは、エイナへと自分の背中を向ける。

 

 神聖文字(ヒエログリフ)を読めるエイナは、まじまじとベルの基本アビリティを見て驚愕してしまった。

 

「う、嘘……何なのこの伸び方は?」

 

 実際に数値化されたのを見てしまっては、エイナとて認めざるを得ない。

 

 

 

ベル・クラネル

所属:ヘスティア・ファミリア

種族:ヒューマン

職業:冒険者

 

LV.1

力:A872

耐久:C638

器用:B771

俊敏:S924

魔力:I0

 

《魔法》

【】

 

《スキル》

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する

・懸想が続く限り効果持続・懸想の丈により効果向上

 

 

 

 エイナが見たのは飽く迄も基本アビリティのみで、他は全く見ていない。

 

 だが然し、その基本アビリティの数値が一ヶ月足らずの冒険者生活としては、決して有り得ない数値を弾き出していた。

 

「力がA評価、俊敏に至ってはSゥ!?」

 

 極めて低い数値の時に、ベルは中層で死に掛けながらも奮闘、それが今の高い数値を出している。

 

 当たり前だがユート達が居なければ死んでいた。

 

 死が日常茶飯事なベル、そんなダンジョン生活では温い事は出来ない、更にはスキル補正まで付いていては上がらずを得まい。

 

 余りにも余りな事に驚愕して、エイナは茫然自失でベルの背中に書かれていた神聖文字を眺めている。

 

 この数値なら後は何かしら偉業さえ達成をしたら、ランクアップする事も夢ではないだろう。

 

「確かにこの数値なら……認めざるを得ないかも」

 

 それに最近になってベルが纏う鎧、あれは中々に良い代物である。

 

 少なくとも、今まで使っていた胸だけを申し訳程度に覆う安物とは大違い。

 

 ユートは気付かないが、何気に原作のデートイベントが潰れた瞬間だった。

 

 本来ならこのイベントが起きたなら、ベルの防御に不安があったエイナが新しい防具を捜そうと、デートに誘う筈であったが……

 

 今のベルの防具は所謂、兎鎧改(ピョンキチ・マジ)という銘で、ヴェルフ・クロッゾが売りに出していた鎧を改良した物で、非常に防御能力が高くなっている上層では一線級の代物。

 

 パーティに加わった際、ヴェルフはメンバーに合った防具を贈ったのだ。

 

 ユートは必要が無かったから辞退したけど。

 

 というか、ヴェルフによる武器防具の命名が余りにもアレだったから。

 

 ピョンキチ・マジかマジキチかで迷われても困る。

 

 それは兎も角、エイナは上層に置けるベルの防具に不安が無く、だからデートも誘わなかった訳だ。

 

「仕方がない。本当にソロは上層だけだよ? 中層にはまだソロで行かないと、私に約束をして」

 

「判りました! っていうか基本的にパーティで進みますから大丈夫です」

 

「パーティか。そういえばパーティを組んでたわね。確か、ヘファイストス・ファミリアのヴェルフ・クロッゾ氏。アテナ・ファミリアのラブレス・ソーディアン氏。アテナ・ファミリアのリリルカ・アーデ氏に、ミアハ・ファミリアからはナァーザ・エリスイス氏。それにユート君……もか」

 

 エイナも知っていた。

 

 ユートがランクとかとは無関係に強いのは。

 

 まあ、ユートは少し弱らせたりダンジョンに於ける【モンスターハウス】――【怪物の宴】が起きた場合の潰し役ばかりだ。

 

 後は必要に応じて戦闘補助呪文を掛ける。

 

 まだナァーザ以外は中層進出が早いLV.1だし、【全員に攻撃力防御力速度が倍加される合体呪文】を使ったりもしていたり。

 

 そして、ラブレスはそれすらラーニングしていた。

 

「取り敢えず、無茶だけはしないでね?」

 

「はい、エイナさん!」

 

 エイナはベルを心配しているが、それでも担当官としてやるべき仕事はする。

 

 コンコン。

 

 話が一通り終わった頃、扉を叩く音が響く。

 

「どなた?」

 

「あ、エイナ。私」

 

「ミィシャ?」

 

 ミドルショートな桃髪、ミィシャ・フロット。

 

 エイナと同じくカウンターを任される女の子だ。

 

「どうしたの?」

 

「エイナにお客様まだよ、ユート君」

 

「え? 判ったわ」

 

 どうやら一仕事が終わったらまた仕事らしいけど、エイナは無意識に髪の毛を手櫛で鋤いて扉を開けた。

 

「ユート君、今日は何か用があったかしら?」

 

「まあね。ん? ベル」

 

「え、あ! いえ、違うの! ベル君にはダンジョンの事で話をしてて!」

 

「そりゃ、担当なんだから当然だけど……何を慌てているんだ?」

 

「っ! べ、別に……」

 

 ユートに指摘されてしまったエイナは、仄かに赤い頬でそっぽを向いた。

 

「僕の今のステイタスなら一二層くらいまではソロで行けそうで、エイナさんに相談をして貰ったんです」

 

「その話か。許可は?」

 

「無茶はしないように言われましたが、取り敢えずは許可を貰えましたよ」

 

「そうか。まあ、基本的にはラブレスやヴェルフ達と潜るんだけどな」

 

「アハハ、そうですね」

 

 とはいえ、パーティメンバーの都合がつかない場合もあるし、予め相談をしておくのも必要な事だ。

 

「で、ユート君の用は?」

 

「正式にアテナ・ファミリアに改宗したから、ギルドに報告しに来たんだよ」

 

「ああ、以前に話していた事よね。改宗したんだ」

 

「ああ、それに伴って僕がアテナ・ファミリアの団長に就任。ヘスティア・ファミリアはベルが団長って事になるかな」

 

「うぇ? 僕がですか?」

 

「そう。まあ、今はミッテが居るだけで実働部隊にはベルしか居ないけどな」

 

 ミッテルトが居なければベルしか存在しない。

 

 そもそも、三つのファミリアを合わせて十人足らずな同盟、団員が居ないなら団長になるしかなかった。

 

「それと、ランクアップをしたからその報告もね」

 

「「へ?」」

 

 エイナだけでなくベルも驚き、ちょっと間抜けな声で返してしまう。

 

「「ラ、ランクアップゥゥゥゥッ!?」」

 

 図らずも同時に絶叫を上げる二人。

 

「え、だって! ユート君が冒険者になったのって確か一ヶ月半くらい前で!」

 

「ん? 早いのか?」

 

「早いなんてものじゃないよ! 今までで最速記録はロキ・ファミリアに於けるアイズ・ヴァレンシュタイン氏の一年だよ? 彼女でさえ一年も掛けたのに!」

 

「ほう、なら随分と早かった訳だね。アイズが記録の元保持者……か」

 

 だが、今のアイズは伸び悩んでいるみたいだ。

 

 LV.5となって三年、基本アビリティが深層での暴れっ振りでも二〇か其処らの上昇でしかない。

 

 こうなるとアイズが更に強くなりたいのであれば、器の昇華――即ちLV.6へのランクアップをする、若しくはユートに抱かれて基本アビリティを伸ばす。

 

 まあ、お勧めはランクアップであろう。

 

 器自体が昇華されれば、単純な基本アビリティによる伸びより遥かに強い。

 

 力を九九九にまで伸ばすより、ランクアップをしてしまった方が実質伸びている事になるからだ。

 

 まあ、ギリギリまで基本アビリティを伸ばしてからランクアップした方が良いのだろうが、伸び悩むならランクアップした方が早いという訳だった。

 

「発展アビリティは多分、未だに出てないレアモノ。【反英雄】を選んだ」

 

「「【反英雄】?」」

 

「効果は……」

 

 その効果を説明すると、ベルは複雑な表情ながらも瞳が輝き、エイナはちょっと考え込んでしまう。

 

「複合アビリティ。確かにレアだわ、ギルド職員になってから今までに聞いた事すら無いもの……」

 

 アビリティに二つ以上の効果を持つものなどとは、寡聞にして聞いた事が無かったが故に驚愕する。

 

 普通は【狩人】であれば『交戦経験のあるモンスターに対して基本アビリティに補正』とか、【耐異常】なら『状態異常に対する耐性アップ』など一つの効果があるのみ。

 

 それだけに、レアな発展アビリティだと云える。

 

「ユート君」

 

「うん?」

 

「ベル君にも言うんだけど……この発展アビリティに関しては基本、秘匿していく方向でお願いするわ」

 

 真剣な顔で言うエイナ。

 

 そんな顔も可愛らしいとは思うが、茶化す雰囲気では無さそうなので黙る。

 

「それは他の冒険者からのやっかみか?」

 

「……まあ、無いとは言わないんだけどね。一番厄介なのは神々よ」

 

「――へ?」

 

 いまいちよく解らないのかベルが首を傾げた。

 

 神々と言われてユートも『はて?』と疑問に思うのだが、すぐにその理由へと辿り着いてしまう。

 

「成程、神々は天界が退屈だから地上に降りてきた。神々にとって地上の出来事は謂わば娯楽劇でもあり、其処にはスパイスが入ると嬉しい訳だ。つまりレアとかユニークとか、そういった某かが出てくれば愉しくて仕方がない。ファミリアを持つ神なら欲しくもなるという事だね」

 

「理解が早くて助かるわ」

 

 純朴なベル・クラネルには理解が追い付かないが、如何せんユートはネットワークゲーム、MMORPGをそれなりにプレイしてきた身なれば、そういう現象には心当たりがあった。

 

 SAOやALOやGGOといったVRMMORPGもプレイしたし、その中でレアやユニークなど手に入れたプレイヤーの対応とは基本的に二種類、自慢するか秘匿をするかである。

 

 例えば、SAOに於いてキリトは【二刀流】というユニークスキルを、ギリギリまで秘匿していた。

 

 理由は悪目立ちする為。

 

『スキルの出し方は?』

 

『何でお前が!』

 

 そういった煩わしさから逃れる為に……だ。

 

 だからこそユートも最初は冒険者のやっかみを例に挙げたのだし、すぐに神々の暴挙にも気付けた。

 

 因みに、ユートもユニークスキルは少し早めに――本来は九〇層以降でないと手に入らないが、二刀流と神聖剣とユートが手にしたのは別――取得をしたが、何と無く取得理由が判っていたから公開してみたら、誰も乗らなかったり。

 

 ソロで二五層以上は上のボスモンスターを屠る事。

 

 出来る訳がないから。

 

 それは即ち、クォーターポイントのボスに一人で挑めという事である。

 

 ユートはとある場所にてそれを成し遂げた。

 

 そしてそのユニークスキルは第七五層で大いに活躍をしてくれて、ユートの識らない原典に比べて死者が一桁と少なく済んだ。

 

「神様達がそんな?」

 

「今のベルはヘスティアやサーシャやミアハという、善良な神としか付き合いが無いからね。だけど覚えておくと良い、神々は基本的に享楽的なモノが多いし、人間を玩具扱いモノ扱いな連中だって居る」

 

 エイナがウンウンと瞑目しながら首肯する。

 

 中には路傍の石扱いとかだってあるのだから。

 

「そ、そうなんですか?」

 

 事実、ヘスティアがベルのスキルを隠しているのもレアスキルだからだ。

 

 知られればベルは間違いなく弄ばれる。

 

「それで、もう一つ……」

 

「もう一つ?」

 

「うん。決まりでね、次のLV.にランクアップした冒険者に、その道程を訊く事になってるんだ」

 

「道程を……何故?」

 

「他の冒険者に勧めて早くランクアップ出来る様に」

 

「……エイナって、誰かしら抹殺したいLV.1とか居るのか?」

 

「「えええっ!?」」

 

 目を見開いて訊ねてくるユートに、エイナもベルも寧ろ吃驚してしまう。

 

「ま、抹殺って何!?」

 

「いや、だって……な? セクハラされたとか」

 

「されてないし、別に抹殺なんて考えてません!」

 

 目を逸らすユート。

 

「何で目を逸らすのかな? 本当だからね!」

 

 若干、焦っている感じで慌てて言う。

 

「まあ、話せと言うのなら話すのは吝かじゃないよ」

 

「そ、そう? ならお願いするわ」

 

 ユートは語る。

 

 自分が一ヶ月と半くらい前から、ダンジョンに潜ったその道程を。

 

「先ず、恩恵と肉体の擦り合わせに第一層でゴブリンやコボルトを叩いた」

 

「ふんふん……」

 

 比較的に普通だ。

 

「取り敢えず大丈夫だったから、さっさとダンジョンを降りて第七層。キラーアントを数匹ばかり半殺しにしてやった」

 

「ふんふん……うん?」

 

 行き成り怪しくなった。

 

「半殺しになったキラーアントが放つフェロモンに惹かれて、続々と現れた仲間を次々に剣と魔法を駆使して屠ったけど、余りに退屈な作業になったから一二層まで降りた」

 

「――は?」

 

 エイナは目を点にする。

 

「インファント・ドラゴンとかオークとか叩いていったけど、どれも大した事が無かったから中層に降りて戦ったな」

 

「ええっと……」

 

 表情がおかしくなっているエイナ。

 

「ヘルハウンドも火を吐くくらいしか能が無かった、ミノタウロスも馬鹿力しか無いし、一気に一七層最奥の【嘆きの大壁】まで進んで迷宮の孤王ゴライアスを打ちのめした」

 

「……」

 

 絶句。

 

「一八層のリヴィラの街のある森で一泊して、さっさと一九層に降りた後は取り敢えず出てくるモンスターを斃しながら、ウダイオスやバロールとか迷宮の孤王も屠って、深層五一層では強竜(カドモス)を斃した。しかも何でも溶かす体液を吐く新種とかも」

 

「つまり、ソロで深層まで降りた……と?」

 

「そうだね」

 

 エイナの確認にユートがあっけらかんと答えると、ぷるぷると肩を震わせて顔を俯かせ……

 

「ぼ……」

 

「ぼ?」

 

「冒険者は冒険をしちゃ、いけませぇぇぇんっっ!」

 

 大爆発をして絶叫をしたのだと云う。

 

「いや、冒険者は冒険するのが仕事だろう。冒険しない冒険者は単なるニートでしかないぞ?」

 

「ニートって何?」

 

 どうもこの世界にこの手の言葉はまだ無いらしい。

 

「サーシャやヘスティアは普通に使っていたんだが」

 

「ああ、神語なんだ」

 

「神語って……」

 

 色々と認識に隔たりがありそうだった。

 

「だいたい、冒険しなきゃランクアップなんて出来やしないぞ。偉業を成すってそういう事なんだからな」

 

「だけど、死んじゃったらそれまでなのよ!?」

 

「そうだね。死ねば終わりなのが冒険だからさ」

 

 ハイリスクだがハイリターンでもある。

 

 危険を避けてはLV.も上がり難いのだし、思い切って冒険をするのもアリだとユートは考えていた。

 

 勿論、死ねば終わりであるからには軽々しく勧める心算もないのだが……

 

「兎に角……エイナが言いたい事もまぁ判るんだが、いざという時に冒険が出来る冒険者が、真に冒険者とよべるんじゃないかな?」

 

「……」

 

 それでもエイナは冒険者が冒険をして帰って来ないのは嫌だから……

 

「私は言い続けますから。冒険者は冒険しちゃいけないんです!」

 

「それはそれで良いのさ。忠告に従って安全に動く、それもまた選択肢だから」

 

 手をヒラヒラと動かし、ユートはギルドを出た。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ゴブニュ・ファミリアへアイズ・ヴァレンシュタインは訪れ、借りていた剣を主神ゴブニュへと見せる。

 

「よもや、たったの数日で使い潰してしまうとはな。お前にしろ誰にしろロキ・ファミリアの面子は本当に鍛冶屋泣かせだな」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 そう、アイズは借りていたレイピアを折ってしまっていたのだ。

 

 原典でも折っていたが、その時はあの花を斬ろうとしての事、だがこの世界線では大量のモンスターを、数十と斬っていたら限界がきたのかポキッと逝った。

 

「そ、それで……あの……弁償代金は?」

 

「これ、安くはないのだぞ……締めて四千万ヴァリスといった処か」

 

 ガンッ!

 

 四〇〇〇〇〇〇〇という数字が、まるで物理的衝撃を持つかの如くアイズの頭を直撃してくれる。

 

 今のアイズには自身の剣――デスペレートの修理費だけでカツカツだった。

 

 こうなると強くなるならない以前に、お金を稼ぐ為にもダンジョンへ潜る必要があるであろう。

 

 一応、御得意様でもあるアイズは弁償代金を稼ぐまで待って貰えるが、こうなれば早急に稼がねばならないから、明日か遅くなっても明後日にはダンジョンに潜ろうと決心した。

 

 新たな何かが起きる事も知らないで……

 

 

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 今章、前章の半分程度で終わってしまった……


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