ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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 明けましておめでとうございます。

 新年最初の更新。




第3章:剣姫
第35話:フィルヴィス・シャリアとの出会いは間違っているだろうか


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 黒いフードを被る者――声質からして男だろうか? ユートが歩いていると話し掛けて来た。

 

「やあ、暫く振りだ」

 

「確かフェズル?」

 

「惜しい、フェルズだ」

 

 意外にもノリが良い。

 

「で、話し掛けて来たって事は何か用事?」

 

「また幾つか極彩色の魔石を手に入れたろう?」

 

「ああ、あれね」

 

「コチラで引き取ろう」

 

 例の花のモンスターから手に入れた魔石だったが、フェルズからはギルドだけでなく基本的には売らない様に言われており、高値で買ってくれるからユートも敢えて言う通りにした。

 

「まだ大して手に入ってはいないが……まあ、小遣い程度にはなるか」

 

 幾つかの魔石を取り出してフェルズに渡すと……

 

「これだとこんなもんか」

 

 フェルズがヴァリスの入った袋を出してきた。

 

「多少の色は付けている。だから次に手に入れた場合も私に渡して欲しい」

 

「了解」

 

 持ちつ持たれつだ。

 

 食人花(ヴィオラス)というモンスターの魔石。

 

 ユートにとってちょっと高めな売りアイテム。

 

「話は終わりか?」

 

「否、もう一つあるんだ。冒険者依頼(クエスト)を君に頼みたくてね」

 

「へぇ、どんな?」

 

「ダンジョンの三〇層まで行き、とあるモノを回収して貰いたい」

 

「三〇層? 構わないが、どんな代物だ?」

 

「このくらいの玉状のモノであり、中に胎児が入っているみたいなモノだな」

 

「そりゃ、一風変わっているモノだね。手に入れたら持って来てアンタに渡せば良いのか?」

 

「否、一八層に運び屋を用立てるから渡してくれれば冒険者依頼はクリアされたと見なす。合言葉を設定しているから、ある場所まで行って合言葉を言い反応した者に渡して欲しい」

 

「了解した。報酬は?」

 

「戻ってくれば報酬の保管場所と、それを手に入れる鍵を君に渡そう」

 

「……ふむ、まあ良いか。すぐに行った方が良い?」

 

「出来るだけ早く頼む」

 

「判った。なら、サーシャ……アテナに手紙を渡して貰えないか? 今から行くなら彼女に言付けはしておかないと……ね」

 

「その程度なら承ろう」

 

 ユートはサラサラと……〝日本語〟で書いて渡す。

 

 サーシャは日本語の読み書きが出来るらしいから。

 

「ああ、そうだ。異端者(ゼノス)のリドってリザードマンに会ったんだが」

 

「聞いているよ。どうやら君はモンスターに隔意を持たないみたいだ」

 

「直に何かされた訳じゃあ無いからね。同種のモンスターは殺しまくったけど、【リド】という個体からは何もされていない」

 

「成程、興味深い。いつか彼らについて話す時がくるやも知れないな」

 

「楽しみにしていよう」

 

 手をヒラヒラさせて踵を返すと、ユートはダンジョンへと向けて歩き出す。

 

 この事により、原典では無惨な死に様を晒す羽目に陥ったとある第二級冒険者だが、彼はこの世界線では生き延びる事となった。

 

 少なくとも、この時点ではの話ではあるが……

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「待って欲しい」

 

「ん?」

 

 ユートがバベルでとある事をした後に少しブラついていると、背後から女性らしき高めな声を掛けられ、付けられていたのは承知していたからか振り返る。

 

 とても整っている美しい容姿だ。

 

 白い肌は恐らく種族的なものだろうし、長い耳からしてエルフだと判った。

 

 ユートが出逢ったエルフだと、非常に珍しい黒髪を背中にまで伸ばしたロングヘアーで緋色の瞳、頭に着けた水色のあれは額冠などの類いだろうか?

 

 全体的に白いヒラヒラな服装、ケープや上着は水色で縁取られていて清潔感が漂ってくる。

 

 腰に佩くのは細剣……というか短めな辺りバゼラートっぽい。

 

 頬を仄かに朱に染めているのは……ユートがエルフを惹き付けるからか。

 

「初めまして……だよな」

 

「はい。私は貴方を知っていますが、話すのは初めてに相違ありません」

 

 凛とした涼やかな声質、クールビューティーといった処だろうか?

 

「成程、何処で知った?」

 

「先日……貴方が食人花のモンスターを屠った処を」

 

「ああ、フィリア祭か」

 

 怪物祭(モンスター・フィリア)……通称フィリア祭と呼ばれるガネーシャ・ファミリア主催の祭。

 

 あの時にどうやら視ていたらしい。

 

「名乗らせて貰おう。私はディオニュソス・ファミリアが団長、フィルヴィス・シャリアという」

 

 ΔΙΟΝΥΣΟΣ(ディオニュソス)……ギリシア神話に於ける若きゼウスを意味する名前、ヘスティアに代わりオリンポス一二神にも数えられる。

 

 葡萄酒を伝えた酒の神でもあり、ローマ神話に於けるバッカスと同一視をされたりもした。

 

 嘗ての世界では特に関わり合いにならなかったが、この世界では会ったりするのかも知れない。

 

「それで、用事なのだが」

 

「うん?」

 

「貴方は、あの食人花を斃した後に魔石を手に入れただろうか?」

 

「手に入れたけど?」

 

「出来るなら一つ譲って貰いたい」

 

「魔石を?」

 

 フィルヴィス・シャリアは首肯する。

 

「一〇万ヴァリスでなら」

 

「じゅっ? 高過ぎる!」

 

「とはいってもな。少なくともそれくらいで買ってくれる奴も居てね」

 

「っ!?」

 

「一応、一つだけ残してあるのを渡すのは構わない。だけど同じ値段を付けるのは当然だろ? 一〇万以下で渡すよりソイツに一〇万で渡した方が良いし」

 

「そ、それは……」

 

 一〇万ヴァリスともなればそこそこの大金であり、そんな額を持ち歩いたりは普通しない。

 

 況してや、中堅層ファミリアでは割と大金なのだ。

 

「じゃあ、デートしよう」

 

「――は?」

 

 ぽかんとなり開いた口が塞がらないフィルヴィス、意味が解らないのだろう。

 

「金は良いからその代わりにデートをしようって話。美女とのデートなら、多少のあれこれは問題にならないからね」

 

「わ、私には触れない方が良いと思う」

 

 苦々しい表情で言う。

 

「触れるなではなく?」

 

「……私は死神に憑かれているからな」

 

「死神……ねぇ。どれ?」

 

「なっ!? 触れない方が良いと言っただろう!」

 

 ユートがおもむろに髪の毛へと触れると、驚いた様に飛び退き頭を押さえる。

 

 顔が最初より紅くなり、嫌がっているというよりは自らを危険視した行動で、成程とユートはフィルヴィスを見遣った。

 

「エルフ特有の特定の者にしか触れさせない……とかじゃなく、自分が死神に憑かれているから離れたか」

 

「わ、解ったら二度と触れないでくれ!」

 

「そうか……」

 

 何処か寂しそうな瞳。

 

「だが断る!」

 

「何故に!?」

 

 あっさり『そうか』などと言いながら、行き成りの『断る!』という科白には驚愕を隠し得ない。

 

 しかも不意なその科白、寧ろ断られた瞬間に薄くだが笑みを浮かべた自覚と、高鳴る心音に戸惑う。

 

 ユートから感じられている懐かしい故郷の森の如く雰囲気、フィルヴィスとしては声を掛ける前から少し自分らしくもない高揚感があったけど、『触れるな』と言った瞬間に寂しいとさえ感じたもの。

 

 だからだろう、断られてきっと嬉しかったのだ。

 

 つまりはまた触れてくれるという事だから。

 

 だけど頭を振る。

 

 エルフとしての本能的にはユートを求めながらも、理性ととある存在しか自分を受け止められないという気持ちが、本能と鬩ぎ合っていて動きが止まった。

 

「濡羽色の綺麗な髪の毛、ルビーの様な輝きの緋色の瞳に誰にも踏まれた事のない初雪の様な肌、触れられないなんて男として我慢がならないな」

 

 スラスラと歯の浮きそうな科白を紡ぐユート。

 

「わ、私は神会(デナトゥス)で神々に与えられるだろう二つ名とは別に、冒険者の間で『死妖精(バンシー)』などと呼ばれて忌避をされているんだぞ!」

 

「バンシー?」

 

「そうだ! 私とパーティを組めば私以外が必ず死ぬ事から、そう呼ばれる様になってから久しい。今や、ディオニュソス・ファミリアの団長でありながらも、ファミリア内ですら孤立をしているくらいだ!」

 

 主神たるディオニュソス以外、彼女とは顔すら合わせたくないくらいに。

 

「ならそのジンクスで僕を殺してみなよ?」

 

「っ! 何を?」

 

「例えば僕とパーティを組んでダンジョンに行けば、僕をそのジンクスで殺せるって話だろ?」

 

「そ、それは……」

 

 そうだったが、フィルヴィスは誰も死なせたくなどないのだ。

 

「僕を殺したいならせめてゲッターエンペラーでも……じゃあ解り難いかな? フルスペックの神々でも連れて来いと言っておく!」

 

 それでも死んでやる気は更々無かったが……

 

 神々は今はルール上から【神の力(アルカナム)】は使えないし、身体能力とて普通の人間の一般人レベルにまで落ちている。

 

 然しフルスペックなら、指パッチンで大陸すら沈める程の神力(デュナミス)を操り、身体能力も人間では仮に彼の【猛者(おうじゃ)】だとしても掠り傷一つも負わせられない。

 

 大言壮語にも程がある。

 

 【神の恩恵】を授けられた眷属とは、確かに神々の子としてランクアップすれば器たる肉体が昇華され、徐々にだが確実に神々へと近付いていく。

 

 だが然し、フレイヤ・ファミリア団長の【猛者】たるオッタルのLV.7とて神々のフルスペックからしたら、弱卒と呼ぶのでさえ烏滸がましいもの。

 

 きっと、神々の末席へと名を列ねる事さえ最低限でキリ良くLV.12くらいは欲しいのでは?

 

 そのくらい神々は強い。

 

 恩恵無しでも古代の英雄はモンスターと戦えたが、それでも甚大な被害を出してきたし、一般人なぞ言わずもがなだったろう。

 

 そんな人々からすれば、巫山戯た理由で降臨してきた神々、それでも片手間のレベルでダンジョンに蓋をしてしまい、【神の力】を封じたウラノスの祈祷にて封じ続けているくらいだ。

 

 その力は推して知るべしと云うしかあるまい。

 

 尚、そんな神々の降臨がとある種族を腐らせたが、それはその種族の復興を願う男が起っている。

 

 そんな神々を連れてこいと豪語するユートだけど、実際には異世界で神々と呼ばれる存在と闘い、勝利さえ掴んできた実績を持ち、だからこそそれだけ豪語をしても堂々としていた。

 

 そして、自分の不吉過ぎる二つ名をものともしないと言われたフィルヴィス、自分がエルフで彼が異種族であると理解しているし、ディオニュソス以外は決して受け容れて貰えなかった現実は確かに有るのだが、余りにも威風堂々と言われて自らの〝女〟が疼くのを感じている。

 

 ドキドキと心音が高まっていたし、羞恥心とは違う意味で血流が激しくなって顔は赤みを増していた上、お腹の奥ではジュン! と甘い痺れが襲っていた。

 

 若しも、端から今現在のフィルヴィスを視たなら、誰もが目前の男に恋焦がれる乙女に見えたであろう。

 

 何しろ瞳がウットリと蕩けていたのだから。

 

 エルフを堕とすのに定評があるユート、それは正にエルフキラーだったとか。

 

 というか、今回のユートのあれは独りが内心で寂しい女性に、自分が付いていると熱く語るナンパに他ならなかったり。

 

 それでもフィルヴィスは普通は堕ちないだろうし、今の現状で決して堕ちた訳でも無い。

 

 とはいえ、神しか居ないという殉教者的な彼女が、今を生きるヒトに再び目を向けた瞬間でもある。

 

 異種族だけど。

 

「死なないとは言うけど、貴方のLV.は?」

 

「LV.なら2だよ」

 

「私より低いが……?」

 

 思わずジト目になる。

 

 大言壮語してLV.的には自分より下では、余りにも格好が付かないのではなかろうかと思ったのだ。

 

「言っておくけど確かに、背中の恩恵はLV.2だ。しかも成り立てだから全てがI評価の数値は0だよ。だけど、僕は元々の実力が〝素〟でLV.5相当……恩恵を受けた時点で6相当だったし、今や7相当だ」

 

「なっ!? 莫迦な!」

 

 明らかにユートの見た目はヒューマン、この世界の全ての種族の中でも能力が極めて低く平均的なモノ。

 

 ドワーフみたいな腕力、狼人みたいな速度、エルフみたいな魔力といった特化された強味が無く、しかも極めて低いからドワーフであれば恩恵無しでも小鬼は斃せるが、ヒューマンではそれこそ逃げ回る事くらいしか出来ない程だ。

 

 それが恩恵無しな状態でLV.5相当であるとか、余りにも有り得ない事であると言わざるを得ない。

 

「信じてないね?」

 

「それはそうだろう」

 

「まあ、仕方がないかな。だったら証明して見せれば良い訳だよ」

 

「な、何を!?」

 

 ユートはフィルヴィスを引っ張り、人気の無い場所にまで移動をした。

 

 路地裏の全くヒトが出入りしない場所。

 

「ナニをする気だ?」

 

 流石に少し声が固い。

 

「ダンジョンに行く」

 

「……ダンジョン?」

 

 ユートは赤い結晶体を取り出して、それに指先へと力を籠めてやる。

 

 パキン! 結晶体は脆くも壊れてしまう。

 

 キン! 耳鳴りがしたかと思えば目の前が真っ暗になり、再び視界が開けたのを見て驚愕した。

 

「こ、これは!?」

 

「ダンジョンの深層域……第五〇層に当たる」

 

「何だと!?」

 

 パーティを組んでも彼女でさえ到達し得ない深層、第五〇層なんて今時分ではロキ・ファミリアの遠征が良い処だろう。

 

「さっきのは転移結晶劣化版って処でね。二つ一組になった赤い結晶体で片方をセーブのポイントにして、もう一つを壊すと魔法陣内のモノをローディング……セーブポイントに転移させてくれる魔導具の一種だ。僕が前回此処に来た際に、労せず来れる様にセーブポイントを作っておいたって訳だよ。使い捨てだから、一回でも使うとまたセーブポイントを作らないといけなくなるけどね」

 

「……前回此処に来た?」

 

「そ、フィリア祭の前に。強竜(カドモス)の皮膜って可成り高値で売れたよ」

 

「カ、カドモス……」

 

 自分では戦った事すらもないが、噂だけは聞き知っている強力なモンスター。

 

 階層主を除けば最強だと云われていた筈。

 

「パーティで?」

 

「いや、あの時はまだソロだったから」

 

「ソロ!?」

 

 そもそも、ベルさえ入団していなかった頃の事だ。

 

「じゃ、行こうか」

 

「何処へ?」

 

「この五〇層にモンスターは産まれない。だから下に降りないといけないよ」

 

 更に降りるとか、LV.がまだ3のフィルヴィスには余りに遠い場所。

 

 第一八層の街などから判る通り、ダンジョンには偶にモンスターが産まれない階層が存在している。

 

 ユートが第五〇層に転移結晶を使ったのも、此処がモンスターの産まれてこない空白地だったからだ。

 

 まあ、リヴィラの街の在る第一八層もそうだけど、上や下からモンスターが現れるから、決して存在しない訳でもなかった。

 

「あ、あの黒いのは?」

 

「ブラックライノスだね。この階層じゃあ蜘蛛型と同じく主流のモンスターだ」

 

 黒い肌の犀型モンスターであり、突進力には目を見張るものがある。

 

 赤と紫の混ざり合ってるデフォルミス・スパイダーという蜘蛛型、他にも蠍型や蛇型なども散見された。

 

 そのどれもがLV.3のフィルヴィスには脅威で、結果としてユートのすぐ後ろに付くより他にない。

 

 そのユートはと云えば、ブラックライノスやデフォルミス・スパイダーやサンダー・スネークやヴェノム・スコーピオンやシルバー・ワームを、煌めく刃を持つダークリパルサーで斬り捨てて往く。

 

 前回程にも感じない。

 

 器の昇華と【反英雄】の発展アビリティによって、ユートが着実に強くなっている証明だろう。

 

 何しろ、【反英雄】には【狩人】の効果も含まれているのだから。

 

 【狩人】は一度でも戦ったモンスターの同種相手に対し、ステイタスの数値に補正が掛かる。

 

 それはカドモスや階層主でさえ例外は無い。

 

 ユートがあっさりと彼の強竜を討ち果たしたのを見てしまい、フィルヴィスは珍しく目を丸く白黒させてしまった程。

 

「どうだ? 死神に憑かれているとか『死妖精』とか云われても、僕を殺す事は出来ないだろう?」

 

 だからといって、女の子にベタベタと無遠慮に触るのもどうかとは思うけど、ユートはフィルヴィスに対して解り易い実績を示す。

 

 その時だった。

 

 ビキビキ……

 

 ダンジョンの壁が罅割れて大量のブラックライノスなど、モンスターが誕生して襲い掛かってきた。

 

「【怪物の宴(モンスター・パーティー)】!」

 

 ユートがゲームから解り易く【モンスターハウス】と呼ぶ現象、ダンジョンからの猛烈なる悪意。

 

 だがユートは動じない。

 

 バチバチとスパークする両手を頭上で組み、両腕を拡げて真横に伸ばすと閃熱エネルギーが半円のアーチを描く。

 

 此処までは前と同じ。

 

 エネルギーを片手ずつにチャージ、最終的に見た目かめはめ波かギャリック砲かといった感じに両手を合わせて腕を伸ばした。

 

極限閃熱呪文(ギラグレイド)!」

 

 極大すら越えた極限……ベギラゴン以上の閃熱エネルギーがダンジョンの壁とは言わず床とは言わず天井とは言わず、全体を舐めてモンスターを焼き尽くす。

 

 後にはモンスターは存在すら許されず、ダンジョンが全体的に爛れていた。

 

 勿論、モンスターが絶命した瞬間に魔石もドロップアイテムも、全てがアイテムストレージに格納され、壁や床や天井に存在していた鉱石なども同じくだ。

 

 アダマンタイトやオリハルコンやミスリルなどと、結構な高値で売れる鉱石を大量にゲットである。

 

 フィルヴィスとしては、茫然となるしかない。

 

「こ、これがLV.2? 冗談じゃない!」

 

 これならユートが言う通りで、LV.7相当なのだと納得した方がマシ。

 

 だけどフィルヴィスは、殆んどの者は知らない。

 

 今のユートは前世に比べて相当に弱体化している。

 

 転生して百年すら経たないのだから当然、スプリングフィールド時代には正にゲッターロボの頂点ですら討ち果たし、他の如何なる存在をも斃し虚空の侵食者と闘うにすら至った。

 

 だが勝てなかったのだ。

 

 転生したという事は即ち死んだという事。

 

 ならば死因は何だ?

 

 それが最終決戦に敗れ、侵食されて滅びる前に転生の術で死を受け容れた。

 

 まあ、判っていた事。

 

 既定路線。

 

 柾木優斗が存在するのはハルケギニア時代、漂流期に羽鷲や津名魅と出逢って知れていたのだから。

 

 今は雌伏の時。

 

 いずれまたアレと闘い、今度こそ滅ぼす為に。

 

 そんなユートが、死妖精のジンクス如きに殺されてなるものか!

 

 そういう事だった。

 

「今はまだこの程度だが、君の謂われに押し潰されたりはしないさ」

 

「……はい」

 

 魅せられてしまっていたフィルヴィス、思わず返事をしてしまった訳で……

 

 ディオニュソス・ファミリアの本拠地、其処に帰ってきた際のフィルヴィスを見た主神ディオニュソスは驚愕に目を見開いていた。

 

「フィルヴィス?」

 

「あ、ディオニュソス様。ただいま戻りました」

 

「あ、ああ……」

 

「魔石は譲り受けました」

 

「う、うむ」

 

 渡された極彩色の魔石。

 

「えっと、彼に何かされたりしたのかい?」

 

「いえ、何も。デート……楽しかったです」

 

「そうかい?」

 

 デート? とか思うが、夢見心地な表情をした自身のファミリアの団長、余りにも出掛けと違う表情にはディオニュソスは面食らうしかない。

 

 ダンジョンからリレミトで出た後、ユートとデートをしたフィルヴィス。

 

 色々と常識を壊されてしまったからか、放心していたけどデートはリードされて楽しく過ごせた。

 

「私の『死妖精』なんて、不吉な謂われも彼には無いに等しいと言われました」

 

「っ! そうか」

 

「はい」

 

 嬉しそうに微笑みを浮かべるフィルヴィス、主神としてそれは嬉しいと思う。

 

 主神(おや)としては少し寂しい限りだが……

 

 その日の晩にフィルヴィスのステイタスを更新し、それによりディオニュソスは彼女がLV.4になったのを確認するのであった。

 

 

.




 間違って投稿してしまったのは削除……


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