ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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 やっと書けました……





第37話:【二天龍】のツープラトンは間違っているだろうか

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 砕け散る岩山に縦横無尽に動き回っている人影に、その〝戦闘模様〟にLV.が6であるフィンでも瞠目せざるを得ない。

 

 超高速で動き回る人影の内で、一つは赤毛に長身な女であると理解したけど、今一つは真っ赤なフルプレートアーマーで、しかも兜にフルフェイスときては、正体すら判らなかった。

 

「あれは!」

 

「何か知っているのかい、アイズ?」

 

「ユートが着けていた白い鎧に似ている」

 

「そうなのかな?」

 

 アイズの言葉にフィンが振り返る。

 

「そりゃ、鎧の形は似ているだろうね。同じドラゴンを封印した神器(セイクリッド・ギア)だから」

 

「せいくりど・ぎあ?」

 

「一種のマジックアイテムだと思えば正解だよ」

 

「へぇ?」

 

 異世界に於ける聖書の神が創り、バラ撒いた魔導具が神器と呼ばれるモノで、中でも一三種の神すら滅する神滅具が存在しており、ユートが使う【白龍皇の光翼】もその一つ。

 

「あれは【赤龍帝の籠手】の禁手、【赤龍帝の鎧】と呼ばれている。僕が使っている【白龍皇の光翼】とは対極に位置して、二天龍と呼ばしめた存在を封じられた特殊な代物だよ」

 

「龍……か」

 

 想像もつかない。

 

 フィンにとってのリュウとは、即ち竜というモンスターでしかないのだから。

 

 龍という場合によっては神に等しい存在は、フィンの常識の範囲外のもの。

 

 一二階層のインファント・ドラゴン、宝石樹を守る木竜、第五一階層の強竜、更に下の翼竜や砲竜(ヴァルガング・ドラゴン)等。

 

 龍というより竜であり、人語を解さないモンスターでしかなく、だから力は知りつつも人の身に宿るなど想像の埒外。

 

「何処かで売っていたりするのかな?」

 

「流石に神器は無いかな。まあ、アイズ達に見せたみたいな魔導具は在るけど」

 

 シュロウガだけでなく、様々な鎧の魔導具が在る。

 

「へぇ、後で見たいね」

 

「これが終わればな」

 

「御尤も」

 

 片目を瞑り頷いた。

 

「相手は女……か。赤毛でたっぱもあるな。スタイルだけならモデルみたいなんだが、厳つい美女だと少し微妙かもね」

 

「どうしてあんな戦闘になったんだろうか?」

 

「そこら辺はリヴィラで訊くしかないだろ」

 

 フィンの疑問にユートは至極尤もな方法を言う。

 

 赤龍帝が戦っている相手は美女は美女だが、どうにも厳つい雰囲気が漂っていたからか、ユート的に食指が動いていなかった。

 

 存外、優雅の趣味なのかも知れないと思いつつ……

 

 リヴィラの街は壊滅こそしていないが、優雅が暴れ回った影響がそこかしこに見て取れた。

 

「や、ボールス」

 

「フィン? ロキ・ファミリア……遠征か何かか?」

 

 話し掛けられて驚くのは眼帯を着けた筋肉達磨で、道々に話された処どうやら彼はLV.3の冒険者という立場から、リヴィラでの顔役をしているのだとか。

 

 リヴィラの冒険者は最高でボールスのLV.3。

 

 後は基本的にLV.2の集まりらしい。

 

 LV.1は連れてくるのも危なっかしいし。

 

「何があったんだい?」

 

「よく判らねーんだがよ、行き成りあの赤い鎧と赤毛の女が戦い始めてんだ」

 

 しかも埒外な戦いから、明らかにボールスより高いLV.なので、止めたくても止められない状況。

 

 赤い鎧も赤毛も明らかに第一級冒険者クラスだし、しかもLV.5すら超越していそうな勢いだ。

 

 あちこちを破壊しながら戦っており、店の商品すら破壊されて泣き叫びたいのは店の主達。

 

 ユートは『後で修復しないと拙いな』と考えた。

 

「ボールスだったっけ?」

 

「あん? 誰だ小僧」

 

 行き成りガンくれる。

 

 ズガン!

 

「オボッ!?」

 

 取り敢えず頭を押さえ、地面にキスさせた。

 

「余り舐めた口聞いてると殺すぞ?」

 

「ず、びばぜん……」

 

 本当に殺されかねない程の殺気に、ビビったらしいボールスは素直に謝る。

 

 上下関係は確りと構築をするべきなのだ。

 

「取り敢えず後でこの辺りは修復してやるし、商品も元に戻してやるから今は……破壊されても容認しろ」

 

「〜〜っ、判った」

 

 ボールスとしては容認をし難いが、ここまで破壊をされていてはもう仕方がないと頷く。

 

 というか、容認しないと言って保障されなかったら大損害である。

 

「さて、あの女をしばく」

 

 ユートは腰にブレイバックル……と云いたいけど、仮面ライダーブレイブという名前が公式に出てしまったと某・白い魔王様から聞いたので、まんまアルビオンの名前を採用した。

 

 紛らわしいから。

 

 なので、ブレイバックル改めアルビオンバックル。

 

 紋様もドラゴンの顔で、竜の紋章や龍騎のデッキっぽい感じに。

 

 まあ、ドライグバックルも似たものだけど。

 

 【チェンジ・アルビオン】のカードを、ラウズリーダーに挿入。

 

 赤いシャッフルラップが伸長して腰に巻き付くと、ユートはターンアップハンドルを引いて叫んだ。

 

「変身っ!」

 

 ガチャリと一八〇度回転するラウズリーダー。

 

《TURN UP!》

 

 電子音声が鳴り響くと、同時にバックルから蒼白いオリハルコンエレメントが前方に顕れ、ユートに向かって徐々に進んでくる。

 

 それを潜るユート。

 

《Vanishing Dragon Balance Breaker!!》

 

 ベルトとは違う声の電子音声が鳴り響き、其処には蒼い光の翼を背負う尻尾の生えた白亜の全身鎧姿をした騎士、身体のあちこちに蒼い宝玉を持った龍人であったと云う。

 

「仮面ライダーアルビオン……推参!」

 

 何だかこの名前も何処かで使われていそうだけど、公式でなければ問題もあるまいと名乗っている。

 

 尚、当然ながら優雅の方は仮面ライダードライグと名乗っていた。

 

「って、アイツと色違いっぽい鎧だと!?」

 

 ボールスが叫んだ。

 

 まあ、多少は似ている。

 

 元々が同じ伝承から成る龍なのだから。

 

「当然だろ? あの鎧も、此方の鎧も……起源は同じ伝説のドラゴン。あっちは赤龍帝ドライグ。こっちは白龍皇アルビオン」

 

 本来は二天龍と呼ばれ、互いに相反する属性を持つ不倶戴天の敵同士だけど、どちらもユートが手にした事により事態は変革されたとも云える。

 

 正確にはユートが白龍皇の力を、優雅が赤龍帝の力を内包する運びになった。

 

「今や、赤龍真帝となったドライグと白龍神皇となったアルビオンの能力」

 

 翼を羽ばたかせ……

 

「魅せよう!」

 

 ユートは翔び出した。

 

「うっわぁ! 怪物祭の時にも見たけど、あんな風に翔べちゃうんだね……」

 

 右手を額に当てながら、遠くを見るポーズを取ったティオナが感心していた。

 

「変身……あの黒い魔神になったみたいな」

 

 アイズからすればやはり風の魔神――シュロウガをイメージしてしまう。

 

 怪物祭での一件が終わった後の打ち上げ、その時に見せられた漆黒の魔神こそシュロウガだ。

 

「うん?」

 

 アイズは見た。

 

 誰かがこの場から逃げようとしているのを。

 

 勿論、顔も名前も知らない相手ではあるのだけど、少し気になってしまう。

 

「レフィーヤ」

 

「はい?」

 

「あそこ、見て」

 

「え?」

 

 アイズに言われたレフィーヤが見れば、確かに人影がリヴィラから離れようとしているのが見えた。

 

「あれは……」

 

「何か、知ってるかも」

 

「アイズさん! なら捕まえましょう!」

 

「うん……」

 

 二人は人影を追う。

 

 一方の人影――ルルネは余りの恐怖にリヴィラを逃げ出したものの、どうするべきかを全く考えてない。

 

 優雅と酒を飲んだ後で、すぐにリヴィラを出る様に言われていたが、優雅とのキスが矢鱈と印象深かったから宿屋に宿泊、自分の唇に左手で触れながら空きの右手を股間へ持って行き、たっぷりと二時間その感覚を愉しんだのである。

 

 虚脱感や倦怠感やら自己嫌悪と共に眠りに身を任せてしまったルルネだけど、翌朝になってリヴィラの街が大騒ぎになっているのに気付き、宿屋を慌てて出てみれば赤毛の女が赤い龍を思わせる意匠の鎧兜を纏う人物――優雅と気付いてはいない――の戦闘を目の当たりにしたのだ。

 

 街を破壊し尽くす勢いで戦う両者、しかも赤毛の女は『宝玉を出せ』がどうのと叫んでおり、まさかと思ったルルネがバッグをソッと見てみれば、優雅から渡された荷物こそが宝玉だと理解が出来た。

 

 つまり、下手をしたならあの怪力が自分に向かってくる恐れがあり、ルルネに死の恐怖を植え付けるには充分過ぎるファクター。

 

 リヴィラの街を逃げ出すべく動いたのである。

 

 よもや、ロキ・ファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインやレフィーヤ・ウィリディスに見付かったなど思いもよらずに。

 

 だからアッサリと挟み撃ちにされ、ルルネはアイズとレフィーヤに捕まる。

 

「貴女……は、どうして逃げようとしていたの?」

 

 アイズからの質問に怯えるルルネ。

 

「こ、恐かったから」

 

「恐い? 取り敢えず……フィン達に合流を」

 

「や、やめて! お願いだからやめて。彼処に戻ったら私、殺されてしまう!」

 

「どういう事ですか?」

 

 縋り付かれたレフィーヤが困りながら訊ねた。

 

「彼処は嫌だ、お願い! お願いだから!」

 

 涙目な彼女に仕方がないとアイズ達は、バトルが行われていない荷物置き場に身を隠して、彼女から事情を聴く事にする。

 

 下では今でも赤い鎧が、赤毛の女と戦っていた上に更に白い鎧が増えた。

 

 アイズは見ていたから知っているが、白い鎧の方は一応は仲間となるユート。

 

 派閥が違うし、主神であるロキが前のユートの主神のヘスティアと仲が悪いのがアレだが、現主神アテナはロキと仲が良いらしい。

 

「此処なら他に誰も居ないから、安心して話を聞かせて貰えるかな?」

 

「う、うん……」

 

「貴女の名前は?」

 

「ルルネ・ルーイ」

 

 アイズからの質問に素直に答える。

 

「所属とLV.は?」

 

「第三級のLV.2。所属はヘルメス・ファミリア」

 

「どうして逃げていたんですか?」

 

 レフィーヤも質問する。

 

「殺されると思ったから」

 

「それは、何でそんな風に思ったんですか?」

 

「っ!」

 

 ルルネが目を逸らすのを見たアイズは……

 

「若しかして、貴女が彼処で戦っている誰かが欲する物を持っている?」

 

「うっ!」

 

 核心を突いて訊ねた。

 

「多分だけど、私が受けた冒険者依頼(クエスト)で受け取った物だと思う」

 

「見せて貰えるかな?」

 

「絶対に他人には見せるなって言われたけど……」

 

 事ここに到っては已むを得ないと、鞄から取り出したのは中に小さな胎児みたいな怪物が入った宝玉。

 

「な、何ですかこれ?」

 

 その悍ましさに恐れ戦くレフィーヤ。

 

 宝玉を受け取ったアイズだが、その中身に睨まれた感覚を覚えた瞬間……

 

「うっ!?」

 

 立ち眩みしてしまった。

 

「え? アイズさん?」

 

 種族的な何かか知らないけど、行き成りフラついたアイズをレフィーヤは心配するしかない。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ん、大……丈夫……」

 

(いったい、アイズさんに何が起きたのでしょう? やっぱりこの宝玉の所為って事なのかな?)

 

 兎も角、これ以上は宝玉をアイズに近付けてはイケない気がした。

 

「見付けた……間違いなく宝玉(タネ)!」

 

 赤と白から苛烈な攻撃を受けながらも、赤毛の女は周りを見て遂に目的の代物を見付け出したらしい。

 

「何処見てやがる!」

 

「お前は殺す!」

 

 赤き鎧の優雅と白き鎧のユートが、赤毛の女の腕を片方ずつ取ると脚も片方ずつ極め、ロメロスペシャルというプロレス技を右と左に別れて仕掛けた。

 

「くっ!? な、何だこの攻撃は?」

 

「昇技!」

 

 ユートが叫び……

 

「トライアングルドリーマァァァァーッッ!」

 

 優雅が叫ぶ。

 

 ミチリッ!

 

 上空へと上昇しながら、二人で左右対称に仕掛ける半分ロメロスペシャル……トライアングルドリーマーが完璧に極っていた。

 

「うがっ!?」

 

 ミチミチと肉が裂ける嫌な音が胸元から響く。

 

 昇技トライアングルドリーマーとは、キン肉マンという作品に登場する超人の中で、キン肉マンスーパーフェニックスのチームに入っていた者の必殺技。

 

 サムソン・ティーチャーと寄生超人サタンクロス、この二人のコンビネーションで放たれる技は、極れば相手の胸元引き裂く程の凄まじい破壊力を発揮した。

 

 実際にアニメでは何故か省略されたが、ザ・ニンジャを相手に使用してその力を如何無く発揮、彼の胸を引き裂いて殺している。

 

「ふん、流石にタフだな。俺との激しいセ○クスにも耐えただけはあるぜ!」

 

「くっ!」

 

 本来なら腰も立たなくなるくらいに抜ける激しさ、それを以てヤり続けたにも拘わらず、全く根を上げなかった辺り相当にタフだ。

 

「アンタ、恐らくは人間じゃないな?」

 

 ユートが問い掛ける。

 

「だからどうした? そもそもこの程度で私を斃せる心算なのか!?」

 

「ま、無理っぽいな……」

 

「だな、まさかのトライアングルドリーマー耐えか。超人すら引き裂く必殺技を耐えるだとか、少なくとも防御は超人すら越える」

 

 ミチミチと音はするが、裂ける様子は無い。

 

 ドンッ!

 

 下降して地面にぶつかる衝撃、然しながら赤毛の女はそれすらも耐えた。

 

(LV.にして5……じゃ足りないよな。6クラスって処か?)

 

 それも上位に入る。

 

 ユラリと立ち上がる赤毛の女だったが、ユート達はこれでもLV.7相当になっているからなのだろう、流石にフラフラと満身創痍の様相だ。

 

「漸く目的の物を見付けたのだ……出てこい食人花(ヴィオラス)!」

 

「む!?」

 

「こいつぁ……」

 

 汚い花花花で咲き乱れ、アンダーリゾートは安全圏である通説をぶち壊しに、食人花が何十……下手すれば百を越えて現れた。

 

「狙いは、やはりアレか」

 

「あれ?」

 

「フェズルからの依頼品」

 

「ああ、成程ね」

 

「取り敢えず、あの女は殺っとこう」

 

「優雅兄、一応は一晩の閨を共にしたクセに……」

 

 呆れるユートだったが、優雅は気にした風でなく。

 

「性欲解消の目的だしな。マスターベーションみたいなもんだぜ? そもそも、俺があの女を気に入っていたらお前だってそれなりに好意を持つ筈だろうが」

 

「そりゃ……ね」

 

 ユートと優雅は同じ人間の謂わば光と影。

 

 然しながら嗜好は変わらないらしく、ユートが好むモノは優雅も好むし優雅が愛するならユートもまた愛するだろうくらい、繋がりが深かったりする。

 

 そして、優雅は性欲処理にあの赤毛の女を使ったに過ぎず、決して気に入った訳では無かった。

 

 優雅にとって赤毛の女はダッチワイフよりマシ程度の相手でしかなく、敵対をしたら殺すのに躊躇いを覚えたりはしない。

 

「じゃあ、殺るけど問題は無いよね?」

 

「ああ、なら俺は花を処理して来るぜ」

 

 赤は花へ、白は女へ。

 

「貴様は何者だ?」

 

「白龍神皇ユート。アンタの相手をしていた優雅兄、彼の双子の弟だよ」

 

 白龍神皇のユート。

 

 赤龍真帝の優雅。

 

 二人にはそれを名乗れるだけの力が有る。

 

 嘗て、【ハイスクールD×D】世界の本来の白龍皇であるヴァーリ・ルシファーが欲した称号でもあり、ユート的にも今や白龍神皇という称号を欲しい侭にしていた。

 

「余り時間を掛ける心算も無い。早々にあの世へ旅立って貰おうか!」

 

「させん!」

 

 二人がぶつかり合う。

 

「む?」

 

 瞬間、ユートが赤毛の女の右腕を取りグルグルと振り回し始めた。

 

「はっ!」

 

 上空へ高く上げたユートは両手両足を地面に付け、ブリッジの状態になる。

 

 ドム! ドム!

 

 空高くブリッジで上げ、その度にユートも上空に。

 

「この圧力は何だ? 身体が云う事を聞かんとは!」

 

 最大限の高さまで跳ね、ユートも更にジャンプして追い付き、赤毛の女の右腕と左腕を後ろから絡ませ、脇から右脚を首に掛けると左脚は相手の左脚を極めて荒々しい関節技が完成。

 

「がっ!?」

 

 だがこれで終わらない。

 

《Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid! Divid!》

 

「な!? 力が……どんどん抜けていくだと?」

 

 【白龍皇の光翼】の謂わば真骨頂、十秒毎に触れた相手の力を半減してしまった上で、その力を自分へとプラスしてしまう能力。

 

 しかもヴァーリ・ルシファーですらすぐ上限に至るのに、ユートは無制限で力を溜める事が可能。

 

「トドメだ!」

 

「っ!」

 

「アロガント・スパァァァァァァァァァァクッッ!」

 

 落ちる際にブリッジしながら本人の腕により首を圧迫しつつ、両脚で両脚を極めた状態となってその侭、赤毛の女の脳天を地上の硬い凶器へと叩き付けた。

 

「ゲボッ!」

 

 然しもの赤毛の女とて、完璧超人始祖・完璧弐式のシルバーマンが必殺技たるアロガント・スパークに、クリティカルなダメージを受けてしまう。

 

「模倣技とはいえ痛いだろうな。何て、もう聴こえてはいないだろうね」

 

 白目を剥いた赤毛の女は間違いなく死亡していた。

 

 背中の光翼を広げると、ユートはヴィオラスを斃すべく飛翔する。

 

「あ〜あ、まったくなっちゃいないですね」

 

 ユートが去った後に顕れたのは銀髪アホ毛、顔立ちは正しく美少女然としているものの、翠の瞳は邪悪に満ち充ちている。

 

「仕方がありませんから、貴女に素敵なパワーをプレゼント・フォーユーです」

 

「がっ!?」

 

 それは何かの薬なのか? 小さなカプセルを口へと放り込んだ。

 

「アガガガガッッ!?」

 

 苦しそうに呻き声を上げる赤毛の女、涙をボロボロと溢しながら涎を垂らす。

 

 首をガリガリ引っ掻き、のた打ち回っていた。

 

「本当なら直に介入をする気は無かったんですがね、やはりイレギュラーであるユートさんを相手に貴女では話にもなりませんか……貴女は精々がLV.6程度の能力しか持ち合わせないのに、ユートさんときたら素でLV.5なんですからそりゃ無理ですよねぇ」

 

 つまり、魔力や氣力などを纏えば更に力は上がる。

 

「しかもLV.2にランクアップしましたからねぇ、素で今やLV.7ですよ。この世界で最強の【猛者】オッタルさんもおったまげなんですからね。ですから貴女にはLV.10にまでパワーアップが可能な様、私が介入する事にしましたから……クスクス」

 

 勿論、行き成りそこまでパワーアップさせても使い熟せないでは意味が無い。

 

「先ずは剣姫……彼女の風を見定めると良いですよ」

 

 銀髪少女の名前は【這い寄る混沌】のニャル子。

 

 その名の通りにソッと、傍へと這い寄って破滅させる為に囁くのである。

 

「さあ、ユートさん。私達のゲームを今こそ再開しましょう。ナニモのにも邪魔はさせませんよ。そいつが仮令、我が母君であろうと【ゲッターエンペラー】であろうと……貴方の敵たる侵食者の彼奴だろうとね」

 

 頬を染める這い寄る混沌はユートを見つめ、濡れる股間を自らの手で慰めながら呟くのであった。

 

 

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