ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】 作:月乃杜
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再びダンジョンに入ったロキ・ファミリアの面々、アイズ、フィン、ティオネ&ティオナ、レフィーヤ、リヴェリアという面子には変わりが無い。
ユートも同じくだ。
元々がユートは優雅を代わりに向かわせ、自分自身は別な用事を済ませてから向かっただけではあるが、アイズのたっての願いというのもあり、一緒に向かう事となったのである。
「そういえばフィン」
「何だい?」
「フィンは野望を持って、ファミリアを結成したとか聞いたけどさ、その野望は達成出来たのか?」
「残念ながら」
フィンは苦笑いをしながら答えてくる。
「そもそも、フィンの野望ってどんなんだ?」
「ああ、その辺は聞いていなかったんだね」
「流石にプライベートが過ぎるからね」
「そうだね。取り敢えず、野望その一は一族の復興ってやつかな」
「一族? フィンの家族的なやつ? それとも
「後者さ」
フィン・ディムナ。
一族の衰退振りに辟易をした一〇歳児、両親は他の種族にペコペコしながらも愛想笑いを振り撒く。
それが苛々する原因でもあり、〝ディムナ〟という少年の始まりだった。
決して負けないなんて、ディムナは鼻持ちならない餓鬼にしか見えず、生傷の絶えない生活を繰り返す。
そんなある日の出来事、それはきっと一つの転機。
モンスターの襲来。
ディムナ少年は蛮勇とすらも呼べない精神を以て、モンスターへと突っ掛かり当たり前の様に死に掛けてしまった。
そんなディムナ少年を救ったのは、他ならない少年を苛立たせていた両親であったと云う。
ディムナ少年はその後、四年間を自ら鍛えるのに使って、一四歳になってから一柱の神と出逢った。
初恋は夢破れたものの、新たな出逢いはディムナにとって、そして神にとって大いなりし福音となる。
ロキ・ファミリア発足の第一歩だった。
「初恋?」
「初恋ぃぃっ!?」
ユートと同時に反応したのは、フィン・ディムナに絶賛片思い中なティオネ・ヒリュテである。
「何処のどいつよ! 私の団長に色目を使って誑かそうとした雌は!?」
全員が苦笑いだ。
尚、ティオナは暴走する姉を羽交い締めにした。
「ま、初恋は実らないって云うだろ? 僕もご多分に漏れなかった訳さ」
此処で――『え? 僕は実ったけど』とかKY発言はしないユート。
ユートの初恋。
無自覚だっただけで確り最初の人生で致しており、その初恋の相手は次の――ハルケギニア時代で上手く事が運び、余り長く居られないという理由もあって、〝他の娘達〟共々ではあれセ○クスにまで至った。
とはいえ、その娘は僅か数年後に兄の暴走によって死亡、ハルケギニア時代を過ぎたスプリングフィールド時代に再誕世界を出て、幾つかの平行世界を巡った際にとある世界で転生した彼女と再会をしている。
本当の意味で閃姫契約をしたのはこの時だ。
彼女の名は狼摩白夜。
緒方の分家筋の狼摩家に生まれた長女であった。
「然し、フィン自身は初恋というだけあって気にしていたんだろう? という事はフィンがフラれたのか」
「違うけど……ある意味でそうなるのかな?」
「……というと?」
「僕は伴侶には〝資格〟を求めるのさ」
「また、それは重苦しい。その資格とは?」
「僕の事を慕ってくれているティオネには悪いけど、僕が求める伴侶には同族を――小人族を考えている」
「……ああ! 後継者か」
「御明察さ」
フィン・ディムナによる後継者問題であるという。
今やオラリオ内外にて、フィン・ディムナを知らないヒトは少ない。
少なくとも、オラリオに在住でロキ・ファミリアの首魁たるフィンの名前を識らないならモグリも良い処くらい、彼の名前は轟いていると云っても過言ではないであろう。
LV.5〜LV.7……第一級冒険者の名前とは、それだけ重く受け止められているのだから。
まあ、とはいえ今時ならLV.5はそれなりに居るからか、余程の活躍をしているか有名ファミリアでもない限りそうでもない。
やっぱり壁を一段破ったLV.6からが本番だ。
その一人がフィン。
ロキ・ファミリアに於ける初めての団員。
フィンは名声もそうだが小人族として、ヒトとして美男に当たるからか非常にモテるらしい。
だけど何故か小人族から彼女が出来ない。
「正直、小人族の女の子を嫁に迎えたいのだけどね。どうにも出会いに恵まれないんだよ」
正にフィン・ディムナ、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』的な動きだった。
「ユートのファミリアとか知り合いに居ないかい?」
「小人族のというのなら、居ない訳じゃないけど……紹介する気は無いよ」
「どうして?」
「もうヤっちゃったし」
「構わないと言ったら?」
「だとしても、あの子を他の男に渡す心算は無いな」
リリルカ・アーデは苦労したからか、そのスキル――恩恵ではない――が非常に高いのだ。
しかも、美少女で小人族という括りから鑑みて巨乳な部類だと思われる。
何しろ全体的に小さく、フィンはユートの半分すら身長がないくらい。
故にか小人族はそんなに胸がある方ではないのに、リリの場合ははっきり判る程度には出ている。
実際、ナニをとは云わないが挟めるのだから。
能力も肢体も魅力的で、誰かに渡すなどとんでもない暴挙であろう。
戦闘力はユートとヤって上がっていても、そこそこのレベルでしかないが……
「それは残念だ」
肩を竦めるフィン。
とはいっても、LV.が上がり、器が昇華されればされる程に不変たる神々に肉体は近付くが故、歳も取り難くなり寿命も延びるのだからまだ時間はある。
だからフィンもそれ程に焦りは感じていない。
「そうだ、君が纏っていた鎧だけど……」
「白龍皇の鎧?」
「そうだね」
「それが?」
「買えないかい?」
「ロキ・ファミリアの総意として? それともフィン個人としてかな?」
「取り敢えず、僕個人としてだね」
「あれは言った通り神器という特殊なモノ。売るのは不可能だ」
神器は一度宿せば魂へと定着化する為、抜き出せばそれは即ち魂を削る行為。
つまり死ぬ。
「ああ、あれじゃなくてね……アイズ達に見せたという鎧でも構わない」
「あれはあれで特殊だよ、何しろ殆んどワンオフだ。漆黒のシュロウガは本来のシュロウガを鎧に見立てた代物だ」
「本来のシュロウガ?」
「階層主ゴライアスよりも巨大な兵器」
「――それは何とも、想像すら出来ないね」
ゴライアスも相当巨大なモンスターだというのに、それよりも巨大となってはフィンにも想像の埒外。
「FG式回天特機装束なんてのも不可能じゃないが、面倒だからなアレは」
何より必要不可欠となるパーツ、聖遺物の欠片という物が存在しない。
ちょっと調べた限りで、英雄が実在したのが千年前という短いスパン。
何千年と掛けて聖遺物が遺されていたなら兎も角、千年ではどうにも足りない感があったし、何よりそれらしい伝説や伝承は英雄譚に在るけど、実在が疑わしいモノばかりなのだ。
実在しなけりゃ意味など無いのだから。
かといってユートが保有する聖遺物やその欠片を、彼らロキ・ファミリアへと提供する気も特に無い。
まあ、個人に対して提供するのはアリだろうが……
ユートは飽く迄もアテナ・ファミリア、完全な同盟関係となったヘスティア・ファミリアとミアハ・ファミリアならいざ知らずだ。
実際、ユートはベルに対して【パプニカのナイフ・レプリカ】を与えている。
あれは支給品というか、初心者に借金的な形で貸し出されていたナイフより、遥かに攻撃力が高い。
あのナイフ、下手をしたら棍棒よりずっと攻撃力が低そうだったし。
【パプニカのナイフ・レプリカ】の攻撃力は24、【鋼鉄の剣】に比べると些か低いにしても、それにしたって大した切れ味だ。
ドラクエⅢに於ける棍棒の攻撃力は8、檜の棒だと攻撃力は2、支給品ナイフは恐らく6かそこらか?
それに比べれば今現在の【パプニカのナイフ・レプリカ】は、ベル・クラネルにとって伝説の剣を幻視したくなる威力であろう。
鋼鉄の剣にも劣るけど、攻撃力18の差はやっぱりそれなりにデカイ。
「それに余り装備品に頼った戦いは感心しない」
「ふむ?」
「下手に武装に頼ったら、アビリティの上がりに影響を及ぼすだろうからね」
「……有り得るか」
【神の恩恵】のアビリティ値の上がりは、どれだけの伸び代があるかどれだけ必死だったかなどが影響される為、強力な武具におんぶに抱っこではパラメーターも上がらない。
そもそも、ユートがベルに課したステイタス更新をせず戦うというのだって、ステイタスの伸びを良くする為の修業法だ。
ユート自身は修業法なぞ心得たもので、鎧を纏っても戦力が増すだけ。
「だからアイズにも渡せないんだよね」
唯でさえ伸び悩むアイズに渡しても、単純に鎧の分は戦力が増しても残念ながらステイタスは更に伸びなくなってしまう。
「単純にアビリティ値を伸ばすだけなら簡単だけど、流石にロキが許さないだろうしね」
「ハハハ、確かに」
ロキは家族として自らのファミリアを愛しており、中でもアイズ・ヴァレンシュタインは目の中に入れても痛くないくらい可愛がっていたし、何よりロキ曰く『アイズたんに手ぇ出すやつぁ、八つ裂きにしたる』とか公言している。
ティオナは手を出されている訳だが、彼女なら良いのか? となるけど種族がアマゾネスなだけに今まで処女だったのが珍しいくらいだと考えていそうだ。
いや、別にアマゾネスだからといって早々に処女を捨ててるばかりではなく、普通にティオナくらいでも処女なアマゾネスも居る。
だが然し、アマゾネスは基本的に女だけの種族で、生まれるのもどの種族との間に孕もうがアマゾネスという種族特性がある為に、自然と雄を求める本能が強くなっていた。
特に自分を打ち倒せる雄は大好きで、強さが可成りの基準を占めている。
ロキもアマゾネスに本能を捨てろとは言えない。
ユートがアイズに手出ししない理由、それはロキの事だけではなかった。
そもそもアイズにそっち方面の知識が余り無い。
まあ、素肌を異性に視られれば赤面する恥じらいはあるのだが、恐らく子供の作り方は識らないというかロキが教えない方向性……
教育係だったリヴェリアもどれだけ教えたか?
そんな何も識らない相手に騙し討ちに等しい行為は流石に出来ず、だからこそユートはスキルでアビリティ値を伸ばせる事を言わないのに頷いたのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「大分、稼げたかな?」
ロキ・ファミリア勢が手に入れた魔石やドロップアイテム、それだけでも大量な物となった頃にフィンが訊ねてきた。
「そうだね、概算ではあるけど……地上で売却すれば一億や二億は確実な程度には稼げてる。流石は深層」
何故かユートが答えたのだが、実は彼らの稼ぎは全てユートがアイテムストレージに預かっている。
別枠を作ってそちらへと格納している訳だ。
別枠にズラリと並んでいる文字は、魔石やドロップアイテムの名前。
一八階層のリヴィラの街で売った場合、半分にも満たない端金で引き取られるのを嫌い、稼ぎの一割譲渡を条件にユートに預かって貰う事にしたのである。
勿論、ユートが斃しているモンスターの魔石など、普通にユート側のストレージに格納されていた。
また、本来なら下層での稼ぎ回りをしていた処を、ユートが居たから深層にまで足を運んだ。
「上手く売却で二億ヴァリスって事かい?」
「概算だからね。どれだけの交渉力かで上下するからには、ハッキリ幾らと言える訳も無いから」
「それはそうだ」
二億も有ればアイズが壊した細剣の代金は支払えるだろうし、ティオネが消耗したナイフ類の買い足しも出来るだろう。
原典とは違いティオナが大双刃を喪っていないのも大きく、余れば次の遠征で使える資金にプールすれば良いのだからウハウハだ。
「何しろ資金は有って困る事はないからね」
次の遠征。
あの芋虫が現れた場合を想定するなら、幹部クラス――フィンやリヴェリアやガレスに加えて、ベートやティオナやティオネに
芋虫に直接攻撃は武器を溶かされる為、遠くからの魔法攻撃をするしかなく、だけど攻撃魔法の使い手がそんなに居る訳でもないからには、回数制限があるとはいえ魔剣で補うしかないのだから。
そしてそれはそんな遠い未来ではない筈である。
「そういえばユート」
「どうした、リヴェリア」
「こないだ借りた魔剣……あれを購入したいと言ったら幾らになる?」
「六億五千万ヴァリス」
「っ!? 法外……とも云えないのか……」
GBC版で雷神の剣とは六万五千Gであり、単純に此方側の貨幣価値や武具の値段などから一万倍の値段にしてみた。
ベートが隠し持ちつつ、前回のリヴィラでの一件の間にロキの護衛をした際、喪った数回ばかりしか使えないメラミにも劣る炎を出す程度の魔剣で百万ヴァリスらしく、ならば威力的に高くて壊れない上に剣としても上級な雷神の剣なら、数億ヴァリスでも安いくらいではなかろうか?
「リヴェリアが借りた魔剣……か。聞いた話だけでは判らないが、そんなに凄い物なのかい?」
「我らエルフには少しばかり逆縁のある【クロッゾの魔剣】にも匹敵する魔法を放ちながら、幾ら使っても壊れないし剣としても上等な切れ味。魔剣にはやはり思う処もあるが、ファミリアの副団長としては欲しい逸品だと思うぞ」
「それ程なのか。それなら数億ヴァリスも当然の値段だろうね」
ヘファイストス・ファミリアの上級鍛冶師が造り出す武具は、七桁八桁が当たり前の値段設定である。
況んや、マスタークラスなら億の値段も普通だ。
実際、アイズがゴブニュから借りた細剣はデスペレートに比べて多少の切れ味は勝る程度で四千万。
デスペレート自体では、殆んど一億に近い。
壊れないだけで威力自体は其処までではないのが、不壊属性を施された武装の特徴となる。
デスペレートは謂わば、ファイアーエムブレムに於ける【キルソード】だ。
無論、あれよりは上級な武器だろうけど。
それにリヴェリアが持つ杖など、填め込まれている魔法石の金額を除いた上、ロキが値切った価格が何と三億以上と云う。
だからこそ高いと思いつつも、リヴェリアが納得してしまう価格設定だった。
魔剣に思う処があれど、そこら辺で数千万のモノを一〇振り買って数億出すのなら、雷神の剣を一振りで六億五千万ヴァリス支払う方が良い気がする。
それにファミリアの安全には代えられない。
「リヴェリア、買いたいと思っているのかい?」
「ああ、あれが有ればあのモンスターに二線級の者も対抗が叶うからな」
LV.4の第二級冒険者でも……だ。
「じゃあ、購入するって事で良いんだな?」
「頼む」
リヴェリアが頭を下げ、フィンは頭を振る。
「ロキに言い訳する身にもなって欲しいね」
言いながらも何処か愉しそうだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……フィン」
「何だい?」
「アリアって何だ?」
「! 何処でそれを?」
「あの赤毛がアイズをそう呼んだらしい」
レフィーヤから軽く聞いただけだが、赤毛は確かにアイズの風を視て『アリア』と呼んだ。
「済まないが、流石にそれは話せないんだ」
「そうか……」
可成り踏み込んだ質問であると判断したユートは、割とあっさり聞くのを断念して頷く。
とはいえ、アイズの状態はどうにも宜しくない。
ロキの方でもどうやら、某かがあったみたいだ。
しかもその事態は繋がりを持つらしいから、どうにも断片的な情報だけで踏み込むには躊躇われる。
「参ったね、どうも……」
所詮、ユートは別派閥の人間に過ぎないのだ。
仲良くはなったとして、然し踏み込める域は然して深くはなかった。
とはいえ、アイズのアレは想像する事は可能。
(アリア。恐らくアイズの母親か何かの名前だろう)
アイズがアリアとやらに生き写しなのか、若しくはアイズの風魔法がアリアと同じナニかなのか……
(まだアイズとは会ってから間もない。話して貰える程度に仲が深まっている訳でもない……か)
気長に待つしか無い。
それがユートの答え。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんなユートのダンジョン探索が成されている頃、地上でも少しだけ変化が訪れていた。
【豊穣の女主人】という酒場は、嘗てフレイヤ・ファミリアの団長でもあったドワーフ、ミア・グランドが主神の許可を得て半脱退状態で開いた店だ。
LV.6であり半脱退しているとはいえ、背中に与えられたステイタスは活きているから可成り強い。
神々が与えた二つ名とは
そんな彼女が主人を務めるこの酒場、その実は大半がLV.4のステイタスを持っている。
唯一の例外がシル・フローヴァという、鈍色の髪の毛の少女であった。
そんなシル・フローヴァがヘスティア・ファミリア所属のベルに対し、客が忘れたのか店に置きっ放しにされていた一冊の本を貸与したのだが……
「ま、魔法……」
「はい?」
「魔法が発現した!」
「えええっ!?」
本を読んだら眠くなり、そして起きてステイタスの更新をしたら、何と魔法が発現していたのだと云う。
ファイアボルト。
詠唱文を用いない『速攻魔法』であり、名前の通り炎雷の属性を持つ。
威力は然程でもないと思われるが、ベルからしてみれば憧れの魔法。
然しながらその喜びは、すぐ絶望に変わる。
魔法の発現が魔導書を読んだ事に依るものであり、魔導書とは他ならないシル・フローヴァから借りていた本だったから。
しかも、
謂わば使い捨て。
しかも売値ともなれば、安くて数千万ヴァリスであり下手すれば、億にも届いてしまう高値である。
それを猫ババしたともなれば、果たしてベルはどれだけの負債を抱えるか?
ヘスティアは『ベル君は何も読まなかった』などと言い放ち、無かった事にしようとした訳だが生真面目なベルがそれを赦せない。
「放せベル君! 世界は神より気紛れなんだぞ!」
「こんな時に名言を生まないで下さい!」
そんな騒ぎの後に魔導書を持って【豊穣の女主人】に赴き、シル・フローヴァへ魔導書を返す。
謝りながら。
「それは……とても大変な事をしてしまいましたね、ベルさん」
シルはプイッと顔を背けながら言ったものだった。
尚、ミア・グランドからは気にするなと言われる。
魔導書なんてものを無くせば最早、返って来ないのは持ち主も理解しているだろうから……と。
そもそも、どれだけ謝罪しようがどうしようもないのだから諦めるしかない。
ミア・グランドから説得されて、ベルも『良いのかなぁ?』と思いつつ享受する事にした。
実はこれは元々、ベルに読ませるべくとある女神が策を弄したものである為、気にする必要など無かったりするが、ベルにそんな事が判る筈もない。
折角の魔法だしダンジョンで試し撃ちに出掛けて、
そこへ通り掛かったのはユートや仲間達と別れて、LV.6階層主ウダイオスと戦って勝利したアイズ、そして付き添いのリヴェリアだった。
倒れたベルをリヴェリアの提案で膝枕したのだが、何故か目を覚ましたベルに逃げられてしまう。
「……何で、いつも逃げちゃうの?」
心の中の小さなアイズは頭を抱えて、当のアイズも悲し気な表情で寂しそうに呟くのであった。
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