ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第43話:ベルのパーティプレイは間違っているだろうか

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「ロキ・ファミリアに行ってみるか」

 

 ユートは【黄昏の館】と呼ばれる彼らの本拠地へ。

 

「ロキに取り次いでくれ」

 

「はぁ? 誰だよお前」

 

「僕はアテナ・ファミリアのマサキ・優斗」

 

「知らねーよ、アテナ・ファミリアなんざ。ほら……とっとと立ち去れ!」

 

「……」

 

 流石に此処でぶっ飛ばしたら面倒になる。

 

 前にも似た事はあったのだが、その時は門番よりも遥かに……それこそトップの一人が一緒だったし何より招かれていた。

 

 あの時はぶっ飛ばしたからこそ、門番は彼女からの罰を受けずに済んだ。

 

 今回は一応、繋いでおこうという程度の事だから、これでこの名も知らぬ門番が後で罰を受けても知った事じゃない。

 

 ユートが立ち去ると門番はドヤ顔だったと云う。

 

 仕方ないからバベルへ、白亜の巨塔へと向かった。

 

 それにユートがわざわざ罰する必要などない。

 

 何故ならロキ・ファミリアの幹部や準幹部、候補生の殆んど全てが知り合いなユートを門前払いしたと、フィンやリヴェリアや……更にはロキが知ったら?

 

 まあ、ある程度の懲罰は喰らうであろう。

 

 況してやユートが訪れた目的は、アイズやベートやレフィーヤの援護だ。

 

 フェルズから冒険者依頼を受けたからといっても、元々が危険な任務となるであろうクエスト、その追加戦力を自分の判断で門前払いなど、会社なら間違いなくクビである。

 

 相手が相手なら懲戒免職すら有り得る程に。

 

 まあ、名前も知らない様な相手の進退なぞ、正しく全く興味が無い。

 

 

 ベート・ローガとレフィーヤ・ウィリディス。

 

 そしてフィルヴィス・シャリアが先に行っている。

 

 出来たらリヴィラの街に着く前に追い付きたい。

 

 故に急いで駆けていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 一方その頃……

 

 アイズ・ヴァレンシュタインは第一八階層に存在するリヴィラの街に訪れて、黒衣に言われた場所を目指して歩いていた。

 

 そもそもにしてアイズはウダイオスを単身で討ち、限界にまで至ったLV.5のアビリティ上昇の経験値に加え、より上位の経験値を獲得して偉業を達したと【神の恩恵】認めその器が昇華された為、LV.6にランクアップを果たした事で能力が激変している。

 

 それによる今とこれまでの肉体的な齟齬を解消するべく、ちょっと下層にまで行ってモンスターを斃す事で調整しようと、第一〇層まで降りてオークの群れと戦った後、あの黒衣が現れて冒険者依頼を託された。

 

 乗り気ではなかったが、自分自身も下層まで行こうと考えていたし、黒衣からあの時の宝玉や赤毛が決して無関係ではないと聞かされてしまい、クエストを受ける事を了承する。

 

 あの話が自分を釣る餌と知りつつ、だけど無視を決め込める程にアイズ・ヴァレンシュタインは達観の域には無い。

 

 あの赤毛の大女が言っていた【アリア】なる名前、それはアイズの母親であり本来は有り得ないのだが、神の遣わせた精霊の一人。

 

 アイズの風は母親であるアリアから受け継いだ。

 

 父と共に消えた母親……

 

 必ず見付け出すから!

 

 追い付くから!

 

 待ってて!

 

 まだ幼かったアイズの、謂わばビギンズナイトというやつであり、彼女の中に今も燻る黒い炎の原典。

 

 だから動いたのだ。

 

『先ずはリヴィラの街へと寄ってくれ。【黄金の穴蔵亭】という店に協力者が待っている』

 

 フェルズはそう言った。

 

 教えられた場所は穴蔵と確かに呼べる洞穴が在り、入口の穴のすぐ上に店名が【黄金の穴蔵亭】と派手に書かれている。

 

 こんな所に酒場があったのかと、そう思いながらもアイズは店に入った。

 

 階段を降りた店内には、十数名もの客がカードをしたり唄ったり、或いは楽器を弾いていたりと各々が特に纏まる事無く居た。

 

(この中に協力者が……)

 

 種族も様々。

 

 ヒューマンも居れば犬人やエルフ、他にもドワーフや小人族まで居る。

 

 勿論ながらその協力者とコンタクトを取る手段は、フェルズからもきっちりと聞いていた。

 

「おおい、【剣姫】じゃないか! こんな所で会うなんて奇遇だな」

 

「え、ルルネさん?」

 

 褐色肌に臍出しホットパンツな少女、それは赤毛や宝玉絡みでこのリヴィラにて出会ったルルネ・ルーイという犬人(シアンスロープ)であったと云う。

 

「こないだの一件では世話んなったな。お陰で死なずに済んだよ。御礼に一杯、奢らせてくれ」

 

 笑顔で言ってくる。

 

 フェルズが説明するにはカウンターの端から二番目に座り……

 

「あ、其処の席は!」

 

「御注文は?」

 

「じゃが丸くん抹茶クリーム味」

 

 と注文をしろと。

 

 アイズが注文をした瞬間にルルネがコケる。

 

「あ、ああ……アンタが、援軍なのか!?」

 

「……え?」

 

 指差しながら言ってきたルルネを見遣るアイズ。

 

 そして立ち上がる全ての客達の姿。

 

(まさか、協力者ってここの客……全員?)

 

 そう、全員一斉にアイズの方を見つめているのだ。

 

「彼女が協力者で間違いありませんか? ルルネ」

 

「ア、アスフィ……」

 

(この人は!)

 

 ルルネに話し掛ける女性――碧い髪の毛に眼鏡を掛けた、ポーチが幾つも付いているベルトに白いマントの戦闘衣、アイズでさえもよく知る人物だ。

 

 【ヘルメス・ファミリア】団長――アスフィ・アル・アンドロメダ。

 

 オラリオでも五人と居ない【神秘】の保有者。

 

 その稀代とも云える魔道具製作者の彼女に、神々が与えた二つ名は【万能者(ペルセウス)】である。

 

 アイズも彼女が発明した僅かな血をインクに出来る羽ペンを所有しているが、他にも彼女しか持ち得ない様々なアイテムが在るとかロキから聞いていた。

 

 ルルネもヘルメス・ファミリアな筈だし、アスフィが居てもおかしくはない。

 

 ならばこの協力者達とは全てが、ヘルメス・ファミリアの眷属という事か?

 

 何しろ団長が直々に此処へ来ているくらいだ。

 

「ルルネ達も依頼を受けたんですか?」

 

 コケていたルルネに手を貸しながら訊く。

 

「ああ、ほんの数日前だ。黒衣の奴が現れてさ。私は最初『もうゴメンだ』って突っぱねたんだけどね」

 

「LV.を偽っている事をバラす……と脅されたのだそうです」

 

「うぐっ!」

 

「その挙げ句、私達に皺寄せまできて……」

 

 このオラリオを運営しているギルドは、都市内に在る全てのファミリアから、ファミリアのランクに応じた税金を徴収している。

 

 例えばまだ結成をして間もないアテナ・ファミリアやヘスティア・ファミリアなんかは、団長のユートがLV.2でしかなかったしベルもLV.1、ランクは最低ランクと低いから支払う税金も安い。

 

 だが、多数の第一級冒険者を抱えるロキ・ファミリアは最高ランク、支払うべき税金もトップクラスだ。

 

 ヘルメスは中立気取りで団員のLV.を低く申請をしており、結果として多額の脱税をしているらしい。

 

 それはルルネがアイズにLV.3を2と偽っていた事から明らかで、ヘルメス・ファミリアではそれこそが主神の神意という事か。

 

 グチグチとアスフィが、ルルネを叱り飛ばす。

 

 脱税がバレたらどれだけのペナルティを負うのか、アスフィは想像もしたくないのであろう。

 

「兎に角、依頼内容を確認します。我々は二四階層の食料庫を目指し、モンスターの大量発生の原因を突き止め、場合によっては排除をする……それに間違いはありませんか?」

 

「はい」

 

 頷くアイズ。

 

 あの黒衣から引き受けた依頼内容の侭だ。

 

 食料庫(パントリー)とはダンジョン内、一〜二階層を除く全ての階層に二〜三ヶ所存在する巨体な石英が聳える大空洞で、石英から染み出している透明な液体がモンスターの栄養源。

 

 故にヒトは其処をモンスターの為の食料庫と呼ぶ。

 その後、アイズはヘルメス・ファミリアのメンバーと共に下へ降りた。

 

 彼らにとってもLV.6となったアイズにとっても、正に地獄の淵となるであろう二四階層へと。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 同じ頃、特に困る事もないダンジョン探索をしているベルの一行。

 

 今回のパーティメンバーはナァーザが、犬人であるミアハ・ファミリアの団長――一人だけしかいない――のナァーザ・エリスィスが外れていた。

 

 ダンジョン探索の心理的外傷はユートに封じられているのに来なかった理由は簡単、今現在のナァーザはミアハ・ファミリアの新商品を造るべくあくせく働いていたからだ。

 

 二属性回復薬(デュアルポーション)、傷や疲れと共に精神力も回復する薬。

 

 見事に完成したら確かにバカ売れするだろう。

 

 本来なら両方の回復には回復薬と精神回復薬の両方を飲まねばならないけど、これなら一度の服薬でどちらも回復が叶うのだから。

 

 僅かな隙が命取りとなるダンジョンで、この差は大きなモノとなる筈。

 

 彼女がユートに身を任せる代償として与えられている武器、これは可成り強力な飛び道具だから居ないのは辛いが、二重回復薬さえ完成をしたらダンジョン内での探索が楽になる。

 

 稀少種ブルー・パピリオは第七層に現れるモンスターであり、二属性回復薬の素材となるのがその翅だ。

 

 ユートはその入手を快く応じた。

 

 只でさえブルー・パピリオは【稀少種】だから遭遇し難いが、ドロップアイテムともなれば更に稀少。

 

 だけどユートには切札(ジョーカー)が在った。

 

 神々から簒奪した権能。

 

 その中でも“幸運”を司どる【女神エリス】から、柾木に転生をする前に得た権能が殊の外に使えた。

 

 【この素晴らしい世界に祝福を!(ブレッシング・オブ・ジ・ゴッデス)】。

 

 勿論、エリスを殺めたという訳ではない。

 

 そもそも、あの世界へと敷かれていたエピメテウス施術し、パンドラが管理と運営していた神殺し誕生の【簒奪の円環】は別世界にも働くものか?

 

 ユートの場合は魂の特性――大陰が在り、自ら相手の神氣を取り込む事により権能を増やせた。

 

 その手法というのは自分が男で、相手が“女神”だから使えるモノ。

 

 兎も角、ユートはエリスとの約定を守って魔王との戦いに終止符を打った後、ちゃんとした転生をする前に彼女をあの世界の【死せる者の番人】という役目から解放をして、その証を刻んだ際に彼女の神氣を吸収して権能としたのだ。

 

 結果として得たこれは、常時発動型の権能となって機能しており、運気が働く場面でそれとなく補正をしてくれている。

 

 例えばこの世界に来た時にもそれは働いた。

 

 何故かこの世界に跳ばされたのは兎も角、何処に跳ばされるかは運次第であったろうけど、“幸運”にもヘスティアの住まう教会に跳んでいたのである。

 

 尚、その気になって聖句を唱えた場合は因果率すら操作が可能とか。

 

 お陰で接敵は運次第というブルー・パピリオだが、文字通りの“幸運”な事に数十もの群れに出会して、斃したら斃したでユートのアイテムストレージ内に、群れを斃した数だけの翅が格納されていた。

 

 接敵が運次第であるならドロップも運次第。

 

 その結果がこれ。

 

 薬を調合する素材に困る事は当分無いだろう。

 

 寝不足は困るけど。

 

 リリが左腕に装着をする武器を発射。

 

「喰らえ!」

 

 リリが使うのは魔力を矢に変換する【リリルカ・ボーガン】、リトル・バリスタもサブウェポンとして持ち歩いているが、やっぱりメインは此方となる。

 

 精神力さえ切れなければ矢継ぎ早に装填が可能で、威力もそんじょそこら辺の武器など及びも付かない。

 

 当然ながら小人族として精神力は多くないからか、精神回復薬(マジック・ポーション)は大量に所持をしていた。

 

 場合によっては精神力を消耗しないリトル・バリスタに換えて、自然回復を待ってからというのも可能。

 

 リリルカ・ボーガンとはデバイスの技術を取り入れているから、収納時は単なる腕輪にしか見えない代物だけど、本人の意志であっという間に展開が出来る。

 

 使わない時にも邪魔にはならないという訳だ。

 

 リリの腕から放たれる矢が正確にモンスターの急所を貫き、魔石を破壊する事無く絶命させている。

 

「どうですか! リリだって成長してるんです!」

 

 思わずガッツポーズ。

 

爆裂弾(ダズ・ライヒ)ッッ!」

 

 ドガン! けたたましい爆発音が響く中で驚くリリが見れば、傍にモンスターが居たらしい。

 

「油断大敵よ?」

 

「すみませんラブレス様」

 

 確かにちょっと浮かれ過ぎていたかもと、自省しながらラブレスに礼を言う。

 

「スピアーズ・トワイライト!」

 

 ヘルハウンドへ投げ付けたスピアは、その脳髄を突き刺し貫通してラブレスの手に還ってくる。

 

「念動力とか云いましたか……魔法とは違う技」

 

 何がどうトワイライトなのかは扨置いて、この技は念動力により槍を操作して相手を貫くモノ。

 

 単純に腕を使って刺すのと違い、リーチは視界一杯に伸ばせるのが良い。

 

「おら、征くぞ!」

 

 ヴェルフが揮うは太刀、単純にデカイ武器だ。

 

 銘は無い。

 

 ヴェルフは他者が使うだろう武器には銘を打つが、自身の使う武器に銘などは付けていなかった。

 

 そんな無銘の太刀にて、ヴェルフは中層のモンスターとやり合う。

 

 発展アビリティ無しでの最大限で造った太刀。

 

 それでも自分の武器には矜持もあった。

 

 今の自分に鍛てる最高の武具を! ヴェルフが想いと技術の全てを籠めて。

 

 鍛冶師とはいえダンジョンに潜るなら、冒険者へと渡す武器並のエモノを持って然るべき……とユートに言われ、今までの太刀を鍛え直して完成させた。

 

 仮に攻撃力+三〇だったとして、恐らく四〇くらいには強化されている筈。

 

 SAO的には……

 

 鋭さ――Sharpness。

 

 速さ――Quickness。

 

 正確さ――Accuracy。

 

 重さ――Heaviness。

 

 丈夫さ――Durability。

 

 この中で主に重さと丈夫さへ振り分けた感じだ。

 

「おらおらおら!」

 

 ヴェルフの太刀が次々とモンスターを屠る。

 

 ヘルハウンドみたいなのが居ない現状、ヴェルフの攻撃を阻む敵は無かった。

 

 とか思えば……

 

「ヘルハウンドか!」

 

 ヘルハウンドが現れて、ヴェルフが呻いた。

 

「離れなさい! ベルだと魔法の効果も薄い!」

 

「ラ、ラブレスさん!?」

 

「私は氷結が使える!」

 

「は、はい!」

 

 全員が下がったのを感じたラブレスは、氷結呪文を放つべく手を翳す。

 

『ガァァッ!』

 

 放たれた炎。

 

 放火魔と呼ばれる存在、ヘルハウンドのこれは幾多のLV.が低い冒険者達を燃やし、その生命の悉くを奪い去ってきたのだ。

 

「チッ、向こうが速い!」

 

 簡単な詠唱も要らない様なタイプだが、僅かな集中をする時間は必要だ。

 

「【燃え尽きろ外法の業】……ウィル・オ・ウィスプ!」

 

『ギャワッ!?』

 

 ヴェルフの声が唱ったかと思えば、ヘルハウンドの炎が口の中で暴発する。

 

「ヒャダルコ!」

 

 今だ! と謂わんばかりにラブレスがヒャダルコを撃ち放ち、ヘルハウンドを凍らせていった。

 

「ふぅ、危なかった」

 

 刹那の隙がダンジョンでは命取り、ラブレスもそれを思い知ったらしい。

 

 尤も、炎なら旗の効果もあって死に至るダメージにはならなかったが……

 

 ヘルハウンドというか、モンスターのこの手の攻撃は基本的に魔力由来だが、ユートの【防御光幕呪文(フバーハ)】は呪文が相手でも効果を持つ。

 

 この辺りは結局破られたものの、フレイザードの使う五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)を僅かなり防いだパプニカ三賢者たるアポロのあれがイメージにあったからだ。

 

 だからこそヘルハウンドの炎も防げる。

 

 まあ、完全防御は無理だから喰らえば熱いけど。

 

「さあ、残敵掃討を!」

 

「「「応!」」」

 

 ラブレスによる叱咤激励を受けて、ベル達は残った敵の殲滅に向かう。

 

「んんっ! くうっ!」

 

「ベル、何してるの?」

 

 何だか戦闘中に踏ん張った顔のベルを、ラブレスが呆れた表情で問い掛ける。

 

「え、いや……ユートさんがやっていたみたいに出来ないかなって」

 

「どんな? 少なくとも、ユートがそんなお通じみたいな踏ん張り方で戦った事は無いけど?」

 

「お、お通じって……」

 

 ガックリ項垂れる。

 

「あの……ラブレスさんはユートさんのあの魔法の使い方って知ってますか?」

 

「……“あの”とか言われてもね。昨日のベルの訓練は見てないもの」

 

「えっと、周りに炎を浮かべて雨霰と降らせるって感じなんですが……」

 

「ああ、つまりこれね」

 

 そう言いながらラブレスは周囲に氷の刃を生む。

 

「往け、氷結豪雨(ヒャドレイン)ッ!」

 

 モンスターに向け一直線に周囲のヒャドが飛んで、アルミラージやら何やらを串刺していく。

 

「ユート程に豪快じゃないけど、私もやろうと思えば出来るからね」

 

「……ユートさんだけしかやれない訳じゃないのか」

 

「結局はこれも技術だし、確りイメージをすれば可能な事よ?」

 

「イメージ?」

 

「何をしたいか明確に想像しなさいな」

 

 昨日の訓練で並行詠唱を見せたユート、その後に見せたのが先程のラブレスがやった呪文行使法。

 

 別に難しい理論なんかは特に無い。

 

 前世での双子の兄であるネギも、原典で高畑を相手にやっていたし。

 

 杖や掌や指先から出すのではなく、周囲へと魔法を展開して放つ技。

 

 ユート的にはちょっとした手妻に過ぎない。

 

 それを必殺技っぽくしたのが小規模呪文の雨霰だ。

 

 先日、ユートがやったの火炎豪雨(メラレイン)

 

 火の玉を放つメラを周囲に浮かべ、それを相手へと雨霰と降り注がせるもの。

 

 転生前にもキャベツ相手にラブレスがやったみたいな【氷結豪雨】を放って、キャベツを軒並みにゲットした事もある。

 

 呪文の規模が少しでも上がると、途端に難易度も上がってしまうから専ら下位呪文で行使していた。

 

 【爆裂豪雨(イオレイン)】や【閃熱豪雨(ギラレイン)】など、絨毯爆撃みたいな感覚でやっている。

 

「魔法はイメージが肝要。集中力(コンセトレーション)想像力(イマジネーション)を確りしないと」

 

 勇者ダイや竜騎将バランがやる魔法剣も、呪文を剣に纏わせる“技術”であるという側面がある。

 

 決して不可能ではない。

 

 想像力不足もあったが、魔法使いが剣を使う事など無く、逆に戦士が呪文を使う事も基本的には無い世界だから、両方を合わせようという発想が無かった。

 

 単にそれだけの事。

 

「ベルに足りないのは経験と想像力、それと集中力も実は足りてない」

 

「無い無い尽くし!?」

 

「後、実戦中にやらない。今は戦闘に集中なさい!」

 

「は、はい……」

 

 再びベルも参戦。

 

 程無くしてモンスターは居なくなってしまう。

 

爆雷弾(メガ・ライヒ)ッッ!」

 

 掃討後、壁を破壊してから四人はピクニックシートを敷いて、取り敢えず昼にしようという話になる。

 

 壁を壊す理由、ダンジョンは破壊されても再生するのだが、壁などを再生中はモンスターを生まない。

 

 冒険者はこの習性を利用してキャンプする。

 

 弁当はリリがバックパックに入れて持ってきていた物で、作ったのはメイドを兼ねているミッテルト。

 

「あれ? ベル様……そのお弁当は何ですか?」

 

「え、と……シルさんから戴いてしまって」

 

「シル……【豊穣の女主人】の店員でしたか」

 

 割と確りベルもダンジョンで出逢いがある様だ。

 

 

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