ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

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第53話:白兎の死闘を観察するのは間違っているだろうか

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 あっさりとオッタルの剣は斬り落とされた。

 

「……大した剣ではなかったが、こうも簡単に斬られてしまうとはな」

 

「【王者の剣】は神の金属――【神鍛鋼(オリハルコン)】製だからね」

 

「オリハルコンが神の金属……だと?」

 

「ダンジョンで排出される程度、オリハルコンなんて呼べないよ。大方、普通より硬くて見た事が無かったからオリハルコンだアダマンタイトだと名付けたって感じゃないかな?」

 

「それにしても【王者の剣】とは大それた銘だ」

 

「【猛者(おうじゃ)】に言われても……ねっ!」

 

「違いないっ!」

 

 ユートは剣を佩いた鞘に納め、オッタルとは同時に前へと駆け出した。

 

 ステゴロに切り換える、ユートは別にオッタルを殺したい訳ではなく、単純に今まで唯一だったLV.7の実力を視たいだけ。

 

 フィン達も確かに今ならLV.7だが、成り立てで数値も低いから余り勉強にはならない。

 

 何よりユートがLV.7に昇格後、相手をしたのも肉体との擦り合わせの為。

 

 LV.が上がると数値はI0に戻るけど、今までの数値もちゃんと残る。

 

 それは新たな皮を張り合わせた感じで、つまり例えば力:S999だった場合ならば、昇格後も999の数値は0の下に在る。

 

 しかも肉体的な擦り合わせが必要なくらい、昇格をした後は数値に出ていない能力値が上がってしまう。

 

 ランクアップしただけで能力は飛躍的に上がる為、今までと同じ動きでは遅れが出てしまうのだ。

 

 フィン達も擦り合わせをしており、序でに幾らかの経験値も獲得していた。

 

 オッタルは今まで何年間をLV.7で過ごしたのか判らないが、もうそこら辺の深層域では碌に数値が上がらないくらい高い筈。

 

 ガレス・ランドロックは巨大船を担ぎ上げた逸話を持つが、オッタルだったら同じ事が出来るのではないかと思えるパワフルだし、かと云えばスピードも相当なものだ。

 

「貴様、モンスターよりも寧ろ対人戦に慣れてるな」

 

「【神の恩恵】を受けた者を【神の闘士】としたら、僕は異世界でそんな闘士を散々っぱら殺したからな」

 

 海闘士も冥闘士も天闘士も剣闘士も、況んや聖闘士でさえ必要ならば殺した。

 

 暗黒聖闘士も青銅聖闘士も白銀聖闘士も黄金聖闘士も殺したし、鋼鉄聖闘士と聖闘少女(セインティア)くらいではなかろうか? 聖闘士で殺した事が無いのは。

 

 鋼鉄聖闘士はそもそもがユートの創った組織だし、聖闘少女は斃すより抱きたいといえる美少女ばかり。

 

 まあ、聖闘少女は純潔も求められるからヤっちゃうとアウトだけど。

 

 だけど何人かヤっちゃったから補充がががが!

 

 ちゃんと補充はしたよ?

 

 何故かユーキの【世界扉】でロアと呼ばれる異世界に落とされ、その世界にて最初に出逢ったアップルナイツのココノとか、お姫様のティアナとかをスカウトしたし、地上に戻った後も私立国際教導学院の女生徒などをスカウトした。

 

 まあ、数年後に出逢った少女達は鋼鉄聖闘士に成って貰ったが……

 

 尚、女王様は娘が覗き見している中で美味しく戴きました。

 

 ユートの聖闘士としての来歴も長く、一九九〇年のアスガルド戦から正式参戦をして、海皇戦や冥王戦も普通に参加をしているし、黄金聖闘士がティターンと闘った時期にも参戦する。

 また、過去へとアテナが干渉する際にも付いていっており、時の神のクロノスによる干渉によりLC世界とND世界、両方の闘いに臨む事となってしまった。

 

 因みに、LC世界に於いてユートはアルバフィカと接触しており、聖戦の間は彼に代わり魚座(ピスケス)の黄金聖闘士として参戦、聖戦後は暫く双子座として聖域へと残留している。

 

 また、過去の闘いも終わったら次の聖戦が地上暦の一九九九年に勃発。

 

 火星の戦神マルスと彼が擁する火星士と闘う。

 

 この聖戦にはまだ幼かったユートも麒麟星座として参戦し、最終的に裏切りの魔女メディアと上級火星士(ハイマーシアン)・コーカサスのアムールを仕留め、原典での彼是は無くなる。

 

 更に一三年後に邪神大戦が勃発し、その一年後にはパラスやサターンが現れたのを相手取った。

 

 また、パラレルワールド的な闘いにも身を投じて、剣闘士や遺失聖域とも闘っている。

 

 希望の勇者を喪失してしまった世界と、未だ喪われていない世界の闘い。

 

 それから二百数十年間、教皇を途中で紫龍と交代をしたユートは、次代聖闘士の育成と次代アテナの生誕に関わって後、新世代たる双子座に教皇の地位を譲って再誕世界を出た。

 

 この際、アテナの許可で自分の造った双子座の聖衣と元の双子座の聖衣を交換しており、他の世界で使っていたりする。

 

 それだけの功績を残していたからだ。

 

 教皇として二百数十年間も地上を守護し、聖衣に関しても青銅も白銀も幾つか予備を造ってある。

 

 雑兵制の見直しと伴い、鋼鉄聖闘士を制式化。

 

 鋼鉄聖衣の量産体制も、グラード財団で確保した。

 

 何より次代のアテナは、ユートを父と慕っていたから問題も無い。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「はぁぁっ!」

 

「ぬぅぅ!」

 

 ユートはオッタルを昇格させる心算も無いからか、フィン達を相手にしたみたいな圧倒的な闘い方はしておらず、飽く迄もオッタルに合わせて闘っていた。

 

「ペガサス流星拳!」

 

「ぐううっ!?」

 

 マッハ1程度の拳なぞ、オッタルは普通に見切る。

 

 とはいえアトランダムな拳は見切るに難く、何発かの拳はオッタルの身体へとヒットしている。

 

 因みに云うと小宇宙など使用はしていない。

 

 マッハ1なんて今更ながら簡単に出せる速度。

 

 小宇宙が在れば普通にも出せるか、ユートなら既に白銀聖闘士処か雷速くらいなら魔法で平然と出せた。

 

 ネギみたいな無茶な変身も要らない。

 

 【雷神之槌(ミョルニル)】という特殊魔法であり、効果は攻撃力増強と雷速化というもの。

 

 それにスレイヤーズ魔法みたく、詠唱中の魔力余波がバリア代わりになる様な感じで、身体中をバリバリと覆う雷が鎧代わりになって防御力も上がる。

 

 物理的にも魔法的にも。

 

 元々は【闇の魔法(マギア・エレベア)】の代わりにと、ネギに提案した魔法ではあったのだが……

 

 つまり開発して千年越えの古い魔法だ。

 

 そして、音速や超音速や極超音速くらいは魔法無しでもやれた。

 

 それは【神の恩恵】を持つ第一級冒険者でも可能。

 

 とはいえ……

 

「オッタル、名残惜しいがベルが気になるから仕舞いにさせて貰う」

 

「逃がしはせん! アレンをやった貴様の実力を見せて貰わねばな!」

 

 アレンはLV.6。

 

 しかも小人族の四つ子、彼らはLV.5だが四人が揃えばLV.6級。

 

 それを倒せたLV.2、ユートの実力を計りたくなったのだろう。

 

「いいや、仕舞いだよ……【刻の支配者(ハイパークロックアップ)】!」

 

 ポンと何も無い右側の腰を叩いた瞬間……

 

《HYPER CLOCK UP》

 

 少女の聲が響いた。

 

「なにぃ!?」

 

 その刹那、ユートの姿が掻き消えたかと思ったら、オッタルは空高く跳ね飛ばされてしまう。

 

「ぐうっ!?」

 

 見えないが明らかに攻撃の意志を持っての行為で、ユートの仕業なのは丸判りなものだ。

 

 当人はブリッジをしながらオッタルを徐々に上へ、押し上げる様に高い天井の近くまで上げる。

 

《HYPER CLOCK OVER》

 

 再び少女の聲。

 

 阿澄佳奈に似ています、そう云えば解るだろうか?

 

 行き成り出現したユートがオッタルを極めに往く。

 

 右脚を膝の裏側から首に引っ掛け、左腕はオッタルの左手首を握り、左肩へと股間を乗せて左脚は左の膝の裏から極めて、右手首を右手で握った形に。

 

「グハッ!?」

 

 更にブリッジ状態から、相手の両足首を膝裏の間接で挟み込み、両腕は両手で握り締めて背中合わせに。

 

「マッスルスパーク!」

 

 マッスルスパーク天と、マッスルスパーク地。

 

 どちらかだけでも充分な必殺技を合わせ技にして、オッタルを首から頭を叩き付ける形で地面に落とす。

 

 キン肉王族三大ホールドとされる必殺技の一つで、嘗ては完璧超人弐式であるシルバーマンの【アロガント・スパーク】をマイルドにしたもの。

 

 キン肉マンが完成させた『究極の峰打ち技』だ。

 

「ぐ……」

 

 赤毛の女に使った方が、【アロガント・スパーク】であり、殺意を振り撒いて行使をしている。

 

『聖闘士に一度視た技は、二度と通用しない』

 

 ユートの場合少し違う。

 

『ユートは一度視た技なら模倣が可能』

 

 勿論、模倣は模倣。

 

 然しながら練習を重ねればオリジナルにも届く。

 

 ユートはこの三大奥義を視た限りで修得していた。

 

「行こうか、フィン」

 

「気付いてたのかい?」

 

「まぁね」

 

「人が悪いな」

 

 ユートはフィン達も引き連れて走る。

 

「処で、あの消えたのは何だったのかな?」

 

「僕の能力。恩恵云々とは無関係に修得って言うか、簒奪したもんだよ」

 

「簒奪?」

 

「カンピオーネ。僕の本来の住む地の一部国家で使われる言葉で『王者』と意味で使われている」

 

「【猛者】?」

 

「今、オッタルの二つ名を考えたろ? 違うからな。神を弑逆し神の権能を簒奪する存在だよ」

 

「神……を?」

 

「オラリオじゃあ、罪深い行為に思うだろうけどね。その世界では謂わば自然災害が人型を取ったみたいな存在でさ、殺しでもしない限りはガタガタと震えているしか無い。実際に行える人間は少なくて、豊作世代でも八人程度だったよ」

 

 豊作世代。

 

 【剣の王】サルバトーレ・ドニ。

 

 【狼王】サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン。

 

 【夫人】アイーシャ。

 

 【武王】羅濠翠蓮

 

 【冥王】ジョン・プルートー・スミス。

 

 【黒王子】アレクサンド・ガスコイン。

 

 【女殺し】草薙護堂。

 

 【双子座】緒方優斗。

 

 護堂の二つ名は味方から付けられたモノで、ユートのそれは自らを『双子座の黄金聖闘士』と名乗った事によるモノ。

 

 【夫人】とされているがアイーシャは独身だけど、ユートと出逢っている……後は解るな(非処女)

 

 【冥王】はユートも名乗りたい処だった。

 

 【武王】は【武林の至尊】が長いからと、ユートが付けたら殊の外喜ばれた。

 

 【狼王】はユートが殺害しており、彼が持てるその権能は念能力――【模倣の極致(コピー&スティール)】によってユートが簒奪をしている。

 

 【剣の王】は面倒臭かったから仮死状態になったのを良い事に、【模倣の極致(コピー&スティール)】で【斬り裂く銀の腕】を簒奪してやり、氷結凍櫃に封じ込めてからマリアナ海溝へとダイブさせてやった。

 

 【黒王子】とは存外仲良くやれている。

 

「……」

 

 フィン達は考え込む。

 

 ユートが異邦人であり、異世界から来たのは聞いていた事だし、世界が違えば理も変わると言われた。

 

「あの能力【刻の支配者】ってのは、【這い寄る混沌】の神氣を喰らって得た。尤も、神氣が駄々漏れなのはダメらしくて今は魔力で扱える様になってるよ」

 

 【神の恩恵】によって、神氣ではなく魔力で扱える謂わば魔法の一種な訳だ。

 

「成程……」

 

「というか、ベートがベルを謗った日にも使っているんだけど……ね」

 

「ああ、そういえば!」

 

 【刻の支配者】は原典に【仮面ライダーカブト】を持つが、簒奪した相手神は這い寄る混沌ナイアルラトホテップというハワード・フィリップス・ラヴクラフト系の邪神である。

 

 元々は無名な作家に過ぎなかったけど、彼の死後に友人達が作品を出版をして名前が挙がる様になった。

 

 怪奇幻想小説の先駆者(パイオニア)の一人。

 

 ナイアルラトホテップはそんな小説に登場している邪神で、炎神クトゥグアとは非常に仲が悪い。

 

 その所為か? ユートが会ったクトゥグアの力は、やはりユートが出会っていたナイアルラトホテップの力を減衰、無力化まで出来なかったがユートを侵した【邪神の種】を抑えた。

 

 ユートに関わるナイアルラトホテップはニャル子、銀髪アホ気な美少女風という容姿で、這い寄る混沌でさえなければ好みである。

 

 クトゥグアはクー子で、時空放浪期を終えたユートは決戦時の約束通り、彼女との初夜を迎えていたり。

 

 ユートが彼女から権能を簒奪したのは、邪神大戦の後の事だったりする。

 

 二度の邪神大戦。

 

 最初はハルケギニア時代の最終決戦、次は地球での地上暦二〇一二年に勃発をしたものだ。

 

 本来の歴史ではマルスの復活、アテナの誘拐、光牙がペガサスを継いだという【聖闘士星矢Ω】の闘いであったが、マルスが最初の一九九九年で斃されてしまった上、利用していた筈の魔女メディアも弟と死亡。

 

 落とそうとした隕石も、聖闘士により破壊される。

 

 ニャル子はその歴史を埋める為に動いたらしいが、その決戦時にユートは彼女に押し倒され、逆レ○プをされる憂き目に遭った。

 

 とはいえされるが侭とか癪に障り、逆に押し倒して自分のペースでニャル子をイカせてやる。

 

 その際、【模倣の極致】でニャル子の【時間操作】スキルを模写、【時間の支配者(クロノ・クロック)】を手に入れた。

 

 【刻の支配者】は其処から派生した権能である。

 

「見えた!」

 

 それは戦いだった。

 

 黒いナイフを手にして、白い胴鎧を纏っていた筈の白髪で紅瞳(ルベライト)な少年冒険者、ベル・クラネルが初めて行う冒険。

 

「ミノタウロス……こいつはちょっとした冒険だな」

 

「LV.1な彼にとって、ちょっとしたじゃ済まないと思うんだけど……」

 

 フィンは呆れる。

 

「リリ!」

 

「ユ、ユート様……済みません。注意されていたのに結局はこうなりました」

 

「そこは良い。怪我をしているな……ベホマ」

 

 緑色の光がリリの全身を包み、脚に負っていた怪我も完治をした。

 

「傷は治した。とはいえ、失った血やスタミナまでは戻らないけどな」

 

「充分です」

 

「あのミノタウロスは!」

 

「どうされましたか?」

 

「あの時、ベルを襲っていた個体じゃないか!」

 

「は? え、それって確か【剣姫】様に細切れにされたミノタウロスでは?」

 

「ああ。魂の色が同じだ」

 

「魂の色って……」

 

 言っている事がフレイヤと同じだが、ユートのこれは彼の女神とは無関係。

 

 転生前に行った終末世界の大国で、ちょっと大会に出て優勝をした副賞として白い肌と褐色の肌の双子の姉妹を貰い、彼女らと肌を重ねた際に【模倣の極致】で模写した能力だ。

 

 劣化コピーだから二人に比べて視辛いが、それでもあのミノタウロスがベルを前に襲った個体と同じ魂であると解る。

 

(あのミノタウロスは間違いなくアイズが殺ってる。そもそも角を遺して灰化しているし、魔石も回収済みなんだから生きている筈が無い。考えられるのは……ダンジョンがモンスターの魂を回収、再びモンスターとして“転生”させた? まさか【異端者(ゼノス)】っていうのは!」

 

 魂は輪廻する。

 

 ユートみたいなタイプとは違うが、生まれてから死ぬ【死と新生】の繰り返しをして、魂の位階を上げていくのが生けとし生ける者の宿命だ。

 

 それがダンジョン産たるモンスターにも適用されるなら、【異端者】というのは何度も生まれては死ぬのを繰り返し、魂の位階を上げる事でヒトに近い知性を手にしたモンスターかのかも知れない。

 

(考えられそうな理由だ)

 

 神々でさえダンジョンの深奥を識らない訳であり、ダンジョンですら思いもよらないのではないか?

 

「なら、リベンジマッチってやつだな……ベル」

 

 ベルの戦いはユートの識らない原典と似ている様で違っており、【神のナイフ】と【パプニカのナイフ・レプリカ】の二刀流により手数を増やし、原典よりも素早く動いてダメージを少しでも入れていた。

 

「力が足りていないな」

 

「迅さはLV.1としちゃ大したもんだし、力もそれなりにたけーみてーだが」

 

 フィンとベートは辛口で評価をしている。

 

「ファイアボルト!」

 

 ベルはパプニカのナイフ・レプリカを後ろ側の腰に佩いた鞘に戻し、魔法であるファイアボルトを放つ。

 

「い、今、詠唱した?」

 

「何ですかあのズルっ子な魔法は!?」

 

 原典との差違の一つに、何故かレフィーヤが居る。

 

「ベルのファイアボルトは速攻魔法。アイズの風……エアリエルの超短文魔法の詠唱すら無い。放ちたいと思えばいつでも放てるよ。とはいえ一長一短ってね、それだけに威力が低い」

 

「確かに。ミノタウロスは只でさえ火に強いからね、外皮に焦げ目を付けるだけで精一杯か」

 

 フィンが見る限り焦げ目が付いてはいるが、ダメージが入ったのかと聞かれると微妙である。

 

 短剣でも魔法でも丸っきり届かない。

 

「魔法の行使速度に目を見張るものはあるが、これではミノタウロスは斃せないだろう」

 

「手詰まりだっての?」

 

 ティオナが叫ぶ。

 

 決め手に欠けるというのは原典と変わらないのか、迅さは兎も角として攻撃力はやはり低いベル。

 

 力の値は高くなったが、俊敏は天性のものだからか一段は劣っていた。

 

「ファイアボルト!」

 

 轟っ!

 

『『『なっ!?』』』

 

 ユートとアイズを除く、その場の全員が驚愕した。

 

 レフィーヤも知らなかったから驚く側だ。

 

「火炎双刀!」

 

 【神のナイフ】と【パプニカのナイフ・レプリカ】の二刀に、ベルは自分の使う【ファイアボルト】を纏わせたのである。

 

「ベルには異なった二つの闘技(アーツ)を教えた……【緒方逸真流双刀術】と、【アバン流殺法】だ」

 

「オガタイッシンリュウとアバン流?」

 

「【緒方逸真流】は僕自身の扱う流派。アバン流とは嘗て知り合った勇者アバンが開発した技だよ」

 

「【勇者(ブレイバー)】なのかい?」

 

「フィンとは違って、目的を果たしてから勇者と呼ばれる様になったけどな」

 

「成程……」

 

「そして魔技(マギア)との組み合わせ、魔闘技(マギアーツ)があれだよ」

 

 【DQダイの大冒険】でダイが使った魔法剣と差違は特に無く、武器に魔法を纏わせる術として全く同じ技術である。

 

 勿論、ベルはユートからの指導の下で修業をしたから修得が出来た。

 

 無意識に発想して即使用したダイが異常なのだ。

 

 とはいえ、あの世界には剣と魔法の同時使用自体、発想すら無かったみたいだから、竜の騎士が長年に亘り使ってきた技術故に使えたのであろう。

 

 実際、バランは息を吸うかの如くギガブレイクとか放ってきたし。

 

「【緒方逸真流八雲派双刀術】と【魔闘技(マギアーツ)】とアバン流殺法……その合わせ技だ」

 

 ユートが【緒方逸真流】の中で、宗家の刀舞術以外で修得をしていた【狼摩派鉄扇術】、そして僅かとはいえ【八雲派双刀術】。

 

 とはいえ、【八雲派双刀術】の方は【宗家刀舞術】と【狼摩派鉄扇術】を同時に使う参考にする為にと、八雲白伽に頭を下げ頼み込んで教わった訳で、全てを修得している訳でも無い。

 

 まあ、何故かこんな失礼極まりない頼みに白伽は頷いてくれた。

 

(それを教えたんだから、ベル……勝てよ)

 

 ベルの猛攻が始まる。

 

 舞いを基本とした闘技、威力はファイアボルトの炎が底上げしてくれており、ミノタウロスもダメージを蓄積している。

 

「よく動くけど、どうやら師匠の動きを受け継いでいるのかな?」

 

「確かに……な」

 

「ま、ベルには合っていた闘技だったって話だよ」

 

 フィンもリヴェリアも、ユートとの模擬戦で動きを見せられている為、ベルの動きがユートによるものとすぐに理解をした。

 

 一同が見守る中でベルは逆手に持ったナイフ二刀、それぞれをミノタウロスへと揮う。

 

「火焔ダブルアバンストラッシュ!」

 

 連続で放たれるはアバンストラッシュBタイプで、威力は単発に比べて些かながら落ちるものの、ベルに足りなかった火力を補って余りある。

 

 其処に更なる火力上げ、ファイアボルトの魔闘技でミノタウロスは葬られた。

 

 代償としてベルは完全に精神力枯渇状態となって、技を放った姿の侭に気絶をしてしまった。

 

 

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