ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜

57 / 74
 ダンまち本編の16巻も出た事だし更新をしてみました……





第56話:リリルカ・アーデのランクアップは間違ってるだろうか

 

.

 リリの昇格が決まった。

 

 どうやら今までもそれなりにチマチマと経験値が蓄積されていたらしく、最近はLV.に合わない階層での奮闘もありガララワニとの戦闘に勝利したのが決定打となったらしく、サーシャもリリの昇格を喜んでいる。

 

「良かったですね、リリルカ。貴女の今までの頑張りを【神の恩恵】が認めたのです」

 

「あ、有り難う御座いますアテナ様!」

 

 尚、リリはユートに裸を見せるのは今更だからユートが同席していたりする。

 

「サーシャがアテナっぽい……」

 

「っぽいって、正真正銘のアテナなんだけど」

 

 普段のユートとの会話は普通に振る舞うのに、それ以外では昔みたいな喋り方だった。

 

 

 

名前:リリルカ・アーデ

所属:アテナ・ファミリア

種族:パルゥム

職業:サポーター

LV.2

力:I0

耐久:I0

器用:I0

俊敏:I0

魔力:I0

 

《発展アビリティ》

【冒険者I】

 

《魔法》

【シンダー・エラ】

・変身魔法。

・変身像は詠唱時のイメージ依存。具体性欠如の際は失敗(ファンブル)

模倣推奨。

・詠唱式【貴方の刻印は私のもの。私の刻印は私のもの】

・解呪式【響く十二時のお告げ】

 

【シュネーウィットヘン】

・支援魔法。

・七つの小人が様々な効果を齎らす。

・詠唱式【私は小雪、真白の小雪。小さな小さな貴方達、私を悪意(はは)から護って欲しい】

 

《スキル》

縁下力持(アーテル・アシスト)

・一定以上の装備過重時に於ける補正。

・能力補正は重量に比例。

 

練氣発詔(オーラ・パワー)

・身体に纏う事で器用と魔力以外の基本アビリティに上昇補正。

・纏わせ方を変えると補正値に変動。

・特殊なオーラを展開可。

 

 

 

「さぁ、これがリリルカの新しいステイタスとなります」

 

「は、はい!」

 

 羊皮紙を受け取ったリリが内容を見て驚く。

 

「魔法が増えてますね」

 

 発展アビリティに関しては出ているのは聞かされたが、そもそも名前では内容を推測も出来なかったから取り敢えず置いておく。

 

「魔法名、シュネーウィットヘンっていうのは何なんでしょうか?」

 

「白雪姫の事だよ」

 

「白雪姫?」

 

 どうやら英雄譚でもない童話は伝わっていないのか、単純に存在していないだけなのか? リリは首を傾げている。

 

「そもそも、リリの『シンダー・エラ』にしても灰被りのエラって童話から付いている」

 

「灰被り……ですか……」

 

「義姉の二人と継母に虐められていたエラという少女、最後には王子様に見初められて結婚にまで成ったサクセス・ストーリーだ」

 

 所謂、【シンデレラ】である。

 

 白雪姫も継母の魔女に命を狙われた噺であり、シュネーウィットヘンは本来の名前だ。

 

「けど、リリって魔法のスロットは一つだけだった筈なんですが……どうして二つ目が発現しているんでしょうか?」

 

「それは多分、ユートとその……チョメチョメをしちゃったから……じゃないかな?」

 

 恥ずかしそうに言うサーシャは言葉遣いが少しユートとの会話寄りに。

 

「つまり、ユートさんに抱かれたから?」

 

「そう」

 

「誰でもそうなるのですか?」

 

「其処までは知らない。だけどユートに抱かれて某か強くなるのは確認された事実なのよね」

 

 本格的な【閃姫】契約をしなくても前段階にて抱かれただけで強くなり、何らかの能力が発現をする事もあるのは実際によくある事だった。

 

 リリの魔法スロットは三つに拡大されており、切っ掛けさえあればもう一つ発現をするだろう。

 

 

「ユートさん、アテナ様の御言葉は本当の事なのでしょうか? 勿論、アテナ様を疑う訳ではありませんが……」

 

「それに関してはちょっと違う」

 

「違う?」

 

「サーシャの言っていた事は事実なんだけどな、対象となるのは生娘……男との性行為という経験をしていない者だ。リリは処女だったからそういった能力拡大が成されたんだよ」

 

「は、はぁ……」

 

 ユート自身は処女かどうかはそれ程に拘らない方なのだが、持っている能力の方はそのシステムの関係上から単なる襞の集まりに過ぎないにせよ大いに不可欠となる。

 

 実際に天神かんなという少女は妖怪に犯された後でユートに治療として抱かれたが、特に能力を拡大されたりする事も身体能力が上がる事なども無かった。

 

 これは複数の箇所の治療が必要な事からその日の内に治療をしておきたい天神うづきも、木島 卓からの治療の後でまた治療をされたけどやっぱり上がる事が無かった事から、処女である必要性に関しては間違いないと考えている。

 

「上手くすれば【輝威(トゥインクル)】を発現する場合もあるね」

 

「トゥインクル?」

 

「ちょっとした特殊能力だよ」

 

 尤も、あれは発現自体が稀有だけど。

 

「まぁ、魔法が増えたのは良かった事だと思うとして……発展アビリティの【冒険者】って何なんでしょうか?」

 

「ボーケンジャー?」

 

「は?」

 

「ああ、いや。五色の戦士の集まりの中に在った【轟轟戦隊ボーケンジャー】ってのが居てね」

 

「ボーケンジャーですか」

 

「リーダーは冒険者として様々な冒険を愉しめる人間だったな……とね」

 

「それが発展アビリティと何の関係が?」

 

「その発展アビリティも僕との“関係”で顕れたんなら、ひょっとしたらそういった意味合いが有るのかも知れないと思ってさ」

 

「そうですか……って、あの? 流石に恥ずかしいですから見つめないで下さい。そういうのは夜のベッドの中で……」

 

「違う違う。【鑑定】を使ったんだ」

 

「鑑定?」

 

「そ、鑑定というスキルだ」

 

 【神の恩恵】由来では無いから背中にそんなのは存在しないが、ユートの能力の一つに滅多矢鱈とは使わないスキルの中には存在している。

 

「発展アビリティ【冒険者】、『冒険』をしている認識を持つ事で経験値に強補正。基本アビリティに微補正が付く」

 

「冒険をしている認識?」

 

「これは『冒険』だと強く認識したら経験値が貯まり易くなるのと、一割か二割程度に能力値が一時的に上昇するんだろうね」

 

「それは便利そうです」

 

 正しく【轟轟戦隊ボーケンジャー】みたいな、そんな能力ではなかろうか?

 

(僕の知識をリリに伝えた訳じゃないんだがな、相変わらず訳の判らないモンだよ。流石は神の血なんてのを触媒にしてるだけはある)

 

 【神の血(イコル)】を触媒にしてよく解らない力を持つのは、聖衣が神の【超空間】に耐えたり神聖衣に変化したりで経験済み。

 

 少し不可思議ではあるが仮にも神の血であれば想定の範囲内でもある。

 

「どちらにせよ努力が実を結んだ。産まれてからソーマ・ファミリアでの涙と悪行、アテナ・ファミリアに移ってからの全てがリリの糧となり今に繋がったんだ。だから敢えて『おめでとう』……って言わせて貰うよ」

 

「っ! あ、有り難う御座います!」

 

 生きる為に必死で、神酒(ソーマ)を飲んでからは呑まれて再び飲む為に必死で、酔いから醒めてからはファミリアを抜ける為に必死になって駆け抜けて来たリリルカ・アーデ。

 

 ユートに悪行をあっさり気取られてしまって、女の子としての初めてを逆に奪われてから暫くしたら何もかもが変わり、あれだけ頭を悩ませていた改宗すらあっさりと叶ってしまった。

 

 そして遂にソーマ・ファミリアに在っては叶わなかったランクアップまで。

 

 嬉しい反面で躊躇いもある。

 

『本当に自分なんかが良いのだろうか?』

 

 ユートには沢山の娘が周りに居るから……なればこそ()()()自分みたいな娘を摘まみ食いするくらいはあるかも知れない……と、最初はそう思いながら身を委ねていた部分もあった。

 

 ベッドで肌を晒して重ね合わせ熱に浮かされ、ユートのモノを自らの内に納めながら突き動かされて浅ましい吐息を吐き出し、そしてユートからは熱い欲望の塊を吐き出されてお腹を焼かれる。

 

 薄汚い婢に過ぎなかった筈の自分が悦びに身を浸している瞬間だった。

 

 今もこうして喜んで貰えて嬉しい。

 

 思わず子を成し育てる子宮がユートの胤を欲してキュンキュンしてしまい、身体が勝手にトロリと受け容れの為の潤滑剤を溢れさせる程に。

 

 リリは紅くなりながら内股となってスリスリと

擦り合わせていた。

 

「そ、そういえば! リリもですが、ユート様やベル様もランクアップしましたよね。そうなると次回の神会で二つ名が戴けますね」

 

「ああ……」

 

「二つ名……ね」

 

 照れ隠しからリリが振った話題は非常に残念な事ながら、ユートとサーシャには余り受ける内容とはいかなかったらしい。

 

「どうかしましたか?」

 

「ベルは楽しみにしているんだけど僕はなぁ」

 

「ユートもやっぱり判っちゃうか~」

 

「???」

 

 何故か遠い目をする僚友と主神にリリは意味が解らず小首を傾げた。

 

「あの……?」

 

「リリにはってか、この世界の人間にはというべきかな? まだ早いって事だろうね」

 

「そうね……」

 

 リリは益々以て解らない。

 

 二つ名――それはLV.2に成った上級冒険者が神々から与えられる名前の事だが、千年を経ても地上のヒト達は神々の名付けに関して嬉々と受け容れていた。

 

 彼らはまだ知らない。

 

 この二つ名は神々の悪戯心が満載で、悪意こそ無いが其処に羅列されるのは謂わば『痛々しくも名乗るのは恥ずかしい中二病真っ盛り』な名前であり、ユートはそういうのを名乗ったりもしない訳ではなかったにせよ神々に任せたらどんなアホな名前を与えられるか。

 

「サーシャ、君が頼りだ」

 

「うん、任せておいて」

 

 サーシャは腰に佩いた刀を恐る恐る触りつつ、ユートの言葉に確りと頷いた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 今宵はリリのランクアップの御祝いも込めて、同盟ファミリアが総出で夕食を摂る事に。

 

 メインディッシュを飾るのは勿論の事ながら、リリが仕留めたガララワニのステーキ。

 

 その味わいには祝われているリリとベルは舌鼓を打ち、ユートもすっかり萌衣奴が板に付いているミッテルトの腕に満足していたと云う。

 

 そして序でにとデザートには虹の実のゼリーを出させて更に皆を驚かせた。

 

 神々――サーシャとヘスティアとミアハも満足する料理だったのは間違いない。

 

 ユート的にはリリこそがデザートで、その夜はベッド上でたっぷりとリリを愛したのだった。

 

 尚、アイズも夕飯に関しては御相伴に与っていて驚愕をしていたのは新鮮かも知れない。

 

「明日から再びダンジョンに潜る訳だが」

 

「……うん」

 

「僕はちょっとした武器製作に入るから相手が出来ない。今日はベルのステイタスの向上の為にも

アイズが模擬戦をしてやってくれ」

 

「……判った」

 

 二つ返事なアイズ。

 

 この世界に於けるアイズ・ヴァレンシュタインは超有名人であり、超絶美少女で剣の腕も立つと云う事から神々が与えた二つ名は【剣姫】。

 

 まぁ、フレイヤ・ファミリアからは嫌われているらしいが概ね良好らしい。

 

 そんな今やLV.6のアイズから稽古を付けて貰えるなんて公にでもなれば、ベルはきっと闇討ちの対象にすらなるであろう。

 

「……何を造るの?」

 

「銘は決まってないけど……マヒャデドスを放てる魔力剣、君ら風に言うなら魔剣の類いになる」

 

「……魔剣?」

 

 アイズが識るのはこの世界の常識的な……使えば使い手を残して砕ける普通の魔剣と、ユートが齎らした【雷神の剣】というちゃんと武器として、しかもそこら辺の武器を遥かに凌駕しながら魔道士の魔法を越えた高熱を放てる魔力剣。

 

 ユート的には【吹雪の剣】や【氷の刃】などを越える武器に仕上げたい。

 

 ヒャダルコ相当の吹雪を放つ剣ではなく氷結系最大のマヒャデドス、言うなればそれを思わせるレベルの吹雪を放つ武器である。

 

 他にもギガデイン辺りを放つ剣なり槍なりを、鉄槌的な意味で槌も良いかも知れない。

 

 魔法の力を持たせた魔力武器はドラクエⅡからは普通に登場するが、出てくる時期と与えられている魔法的に余り役に立たないものだ。

 

 ドラクエⅣの序盤も序盤、王宮戦士ライアンが【破邪の剣】を手に入れた時期ならばまだギラの効果も役に立つし、武器屋トルネコも一人旅であるからには一グループを攻撃可能なギラは大いに役立つ。

 

 だけどドラクエⅡの後半に雷の杖を手に入れて、今更ながらバギをどうしろと? みたいな入手のタイミングが微妙な物も多かった。

 

 【雷神の剣】は地上のボストロールから入手が出来たら最高のタイミング、武器としても籠められたベギラゴン的な熱量としても……だ。

 

 勿論、手に入ればだけど。

 

 何しろドロップ率が極めて低いから二百回を闘っても落とさないのはザラ。

 

「……ベルはランクアップしたばかりだから身体と心がちぐはぐ、だから私がベルの身体の調整をすれば良いんだね?」

 

「ああ、頼めるか?」

 

「……うん、任せて」

 

 違うファミリア所属ながらアイズはレフィーヤやティオナと同じく、ユートに対しての思慕の念を懐いていたのも確かにあるのだろうが、ベルの事も切っ掛けはあれだったけど気にしていたから否など無く頷いた。

 

 ユートはいつか来るであろう刻に仲間の強化は必須と考えており、必要とあらばそれこそユートは自らが持つ全ての力を解放する事すらも視野に入れている。

 

 流石に異世界で封印される小宇宙という縛りに関してはどうにもならないけど、ユートが本当にその気になれば使える力がまだ存在していた。

 

 これはまだ弱いながら前世でも扱えていたし、今ならば前世より遥かに強く扱える。

 

(僕はいつか()()と敵対する)

 

 それは直に彼女を視たユートの確信であったのだと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「どうだった?」

 

「ランクアップを果たしたよ」

 

「それは何より。僕も見ていて奮えたよ。ベル・クラネル……勇者と呼ばれる僕が他者の勇気に感服させられたんだ。彼、良いね。実に良い」

 

 遣るべき事の全てを終えるとアイズを連れて、ユートはロキ・ファミリアが居る第五〇層に戻ってきていた。

 

 報告を受けたフィンは親指を口元に添えながら笑いを抑え切れない。

 

 それは高がLV.1の上位者がLV.2相当のミノタウロスという、彼らからすれば狩り慣れたモンスターと死闘を繰り広げただけの闘い。

 

 今やLV.7のオラリオ最大級の一人に数えられるフィン・ディムナ、まだ成り立てであるからには流石にフレイヤ・ファミリアのLV.7たる【猛者】オッタルには敵わないにせよ、迷宮都市最強の一角なのは間違い様が無い事実。

 

 そんなフィンをして、ベルのミノタウロスとの

闘いは心が奮える出来事だったのだ。

 

 幾らベルがLV.1の上位者だったとはいえ、ミノタウロスはLV.2相当の格上の敵。

 

 そんな相手に決して折れる事も無く果敢に立ち向かって、遂には降してしまったベルをフィンは確かに敬意を持つに至った。

 

「君の弟子だったよね」

 

「一応は。アイズの弟子でもある」

 

「確かに」

 

 アイズはコミュ障な処があるから模擬戦による実戦形式で教えていたが、元より勉強より身体で判らせる方がベルには向いているからだろうか、存外と師弟的にベストマッチな二人だったとか。

 

 

「それで、いつ向かう?」

 

「明日には」

 

「了解した」

 

 ロキ・ファミリアの今回のミッションは未知なる階層、嘗てのゼウス・ファミリアが打ち立てた

最高階層の更新にある。

 

「処でそれが新しい魔剣かい?」

 

「まぁね」

 

 ユートが腰に佩くのはいつもの【黒の剣士】張りのエリュシデータやダークリパルサーでなく、地上に戻った際に()った魔法剣――凍魔剣コキュートスだった。

 

 名前は気にするな!

 

 冥界の最奥たる第九獄ジュデッカに存在している神に歯向かう愚者を堕とす地獄の一つの名称、嘗て冥王ハーデスが冥界の統治をしていた頃には

聖闘士が堕とされていた場所だ。

 

 因みにだが、今のコキュートスに堕ちているのは当然ながらユートに歯向かった愚者である。

 

 例えば檜山大介なる見るからに日本の高校生に過ぎない男、こいつもユートに対する敵意を以て歯向かったから地獄逝きとなった。

 

 本来の死者は基本的に思考回路がショートしているから何も考えない、地獄でも地上での罪科に従って苦しむだけである筈。

 

 ドラゴンボールなどのあの世とは異なり自分の意識を殆んど持たない。

 

 星矢達は阿頼耶識により意識を保っていたに過ぎず仮令、嘗ては冥闘士の三巨頭の一角だったとはいえ天雄星ガルーダの水鏡ですらそうなった。

 

 だけどユートの冥界では意識を確りと持つ為、檜山大介はコキュートスの刺す様な地獄の寒さに震えつつ、何も出来ず身動ぎすら許されず狂う事も思考を止める事もさせて貰えず後悔と苦痛に苛まれている。

 

 死という安寧は最早有り得ず、発狂する幸福も許されない檜山大介は転生もされない侭に終わり無き()()を味わっていた。

 

「凍魔剣コキュートス、放つは氷結呪文の中でも最大級のマヒャデドスだ。剣としても当然ながら使えるからね」

 

「素晴らしいけど、余り見ない形状だ」

 

「この世界の極東で使われる刀だよ」

 

 所謂、地球では西洋剣とされる重さで叩き砕くタイプが多いオラリオで、アイズの武器みたいなのも確かに存在しているのだが刀は極東くらいでしか見掛けないらしい。

 

 ヘスティアの神友タケミカヅチのファミリアには使う者も居るそうだが……

 

 氷結の魔剣で刀にした理由は、嘗て【泡の中央界】で神の武器と呼ばれる八体の存在の中には、漆黒の刀サン・ジュオウが居たのだが彼が氷結系の魔法を扱っていたからである。

 

 況してや自分が使うならやはり刀が一番扱い易いというのもあった。

 

 当然だけどサン・ジュオウみたく人型や龍型に成ったりはしない。

 

「本当に素晴らしい、魔剣の極致とでも云うか。壊れない上に武器としても最高級、是非とも僕に槍を造って貰いたいものだよ」

 

「代価は億越えになるぞ?」

 

「雷神の剣もそうだかったからね。僕の専用となる槍を造って貰えるなら僕の貯金を切り崩してでも支払うさ」

 

 それは本気の目だ。

 

「随分と闘争心が刺激されたみたいじゃないか、ロキ・ファミリアの首領らしくしていた小人族の中年とは思えないな」

 

「其処は青年と言って欲しいな」

 

「【神の恩恵】を受けた影響からLV.が上がれば上がる程に老化は緩やか、恐らく最大LV.にまで上がれば神に等しくなるだろうから四十路を越えながら二十代の姿を維持しているからね」

 

「だから焦らなくて済むのさ」

 

 後継者の事を言っているのだとユートは理解をしたけど、だからといって自分のモノたるリリをくれてやる気にはならない。

 

 【勇者】フィン・ディムナの目的は零落してしまった小人族を再び奮い立たせて再興する事で、別に小人族の王に成る気など更々無いが夢を叶える為にオラリオの冒険者となるべく、ロキと契りを交わして最初の団員として名を連ねた。

 

 未だに一族の再興は成らない。

 

 現状では自分自身を除けば名を挙げた小人族はフレイヤ・ファミリアの【炎金の四戦士(ブリンガル)】と呼ばれるガリバー兄弟――アルフリッグとグレールとドヴァリンとベーリングくらいだ。

 

 

 尤も、ユートを襲撃して斃されたけど。

 

「注文されたという事で構わないな?」

 

「勿論だとも。是非に頼みたい」

 

「判った。発注書を作るからサインを」

 

 ユートは諸々の手続きを行う。

 

 物は槍、宿す魔法は雷、それを【勇者】に相応しいであろう武具として造られる為にもフィンの肉体的な情報を網羅する。

 

 腕や脚の長さや身体バランスなどの必須項目となるデータ、持ち手から武器その物の重心なんかも鑑みて逸品物として――フィン・ディムナ専用の槍として造る為に。

 

(雷なら籠める呪文はデイン系。ジゴデインでも籠めておくか?)

 

 デイン、ライデイン、ギガデイン、ミナデインときて更に上がジゴデイン。

 

 威力だけなら最大級の雷撃呪文だった。

 

 夕餉を摂ってからは自由時間となる訳だけど、ユートは取り敢えず竪琴を出して弾く。

 

 ポロンポロンと弦が爪弾かれ音楽を奏でているユート、それは勇壮なる勇者が冒険に出て戸惑いながらも『広野を行く』曲であったと云う。

 

 明日に行く第五三階層より下は地獄だと叫んだ者も居り、緊張感から眠れない者まで出ては敵わないから音楽でリラックスさせるのだ。

 

「助かったよ」

 

 フィンが礼を言いに来た。

 

 【超凡夫】がガタガタ震えていたのが落ち着いたらしいし、明日には降りる地下への階段を睨み付ける【凶狼】とか怯える者や逸る者がリラックスしたのだと伝えてくれる。

 

「役立ったなら良かったよ」

 

「明日の冒険では君にも充分に闘って貰いたい、なるべく早く休んでくれよ」

 

「判っているさ」

 

 此処までは低LV.な団員の経験値の為に闘いは控えたが、これから向かう先でそんな団員など連れては行かないからアタックのメンバーに選ばれた者が闘う手筈。

 

 ユートはLV.2だが三人のLV.6を歯牙にも掛けぬが故に、推定LV.7として扱われているからロキ・ファミリアの面子を差し置いて選ばれているのだ。

 

 ロキ・ファミリアの面子ではレフィーヤ以外は基本的にLV.4以上の者しか降りない。

 

 フィン・ディムナLV.7。

 

 リヴェリア・リヨス・アールヴLV.7。

 

 ガレス・ランドロックLV.7。

 

 アイズ・ヴァレンシュタインLV.6。

 

 ティオネ・ヒリュテLV.5。

 

 ティオナ・ヒリュテLV.5。

 

 ベート・ローガLV.5。

 

 レフィーヤ・ウィリディスLV.3。

 

 ユートと直に交流して久しいメンバーであり、これにLV.4の者らを含めて降りる。

 

 二軍扱いのリーダー格のラウルとアキは兎も角として、他はエルフであるアリシアくらいだろう

か? ユートとの親交が有るのは。

 

 




 この時点で忙しくて半分くらいしか読めてないダンまち16巻、何だかフレイヤがあちこち絶望を与えている印象が……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。