ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】 作:月乃杜
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ユートの二つ名を決めるのに何故か神を殺せる神殺剣を抜き放つサーシャ、その刃から立ち上る威容と『神様を絶対殺すマン』みたいな寒気を感じる白亜の刃の美しさ。
日本刀は現代日本でも武器としてのみならず、美術品としての側面も持っていると云う。
武威と美観を併せ持つ武器たる刀、とある世界の国の名前からユートは蓬莱刀とも呼ぶそれは、特にロキに対して凄まじい殺意を漲らせていた。
「若しこの刃に晒された場合は仮に送還をされてもダメージが残るでしょうね、そして数万年くらいは癒えない傷と収まらない痛みに苛まれます。邪神として斬られてみる勇気はありますか?」
ブンブンブン! ロキを含めた神の全員が首を横に振っていたという。
「んで、サーシャ」
「何ですか、ロキ?」
「其処までするからにゃ、ユートには二つ名に関して要望が有るんか?」
「ええ、貴方が【勇者】に対してした様にね」
その時は可成りのお金が動いたのだが……
「ハァ、一応は言うてみ? 叶えられるかどうかは知らんけど」
流石に神殺剣を前に意地は張れない。
「私の聖闘士として
ユートは双子座と白龍皇の二つ名を名乗る事もそれなりにあるし、どうせ痛々しい中二病みたいな二つ名を戴くならどちらかを……と考え候補として挙げていた。
どうせユート自身もまるで中二病を拗らせた様な二つ名――真皇や双子座や白龍皇を名乗っていたのだし、今更だから痛い二つ名を名乗るくらいは屁でも無いと言い切れるのだが、意味不明なのを他人から名付けられるのだけは御免蒙る。
だからこそサーシャに神殺剣を見せびらかしながら、予めに此方の要望を伝える様に……と頼んでおいたのだ。
サーシャとしても真皇とか白龍皇は兎も角としても、黄金聖闘士としての双子座であるのならば名乗って貰うのは吝かではない。
それにユートの部屋には前世の再誕世界から、城戸沙織の許可の許に本物の双子座の黄金聖衣を持ち出しており、それをまるで武将の鎧兜の如く飾っているからちょっと嬉しかった。
まぁ、オラリオでは
真皇は前世の刻に【魔法少女リリカルなのは】主体世界の過去で、ベルカ戦争時代の最後期にてユートが諸王との闘いで名乗った真王から。
戦争をバックレて各無人世界を開拓していき、領国として成立をさせてしまってからアシュリアーナ真皇国として纏め、自らを真王から真皇へと改めてから数百年を暮らした事による。
小さかったアシュリアーナ公国はアシュリアーナ真王国に成り、そして幾つもの領国を持っているアシュリアーナ真皇国に。
真王妃にはアシュリアーナ公女のリルベルト・ル・ビジューを筆頭に、【黄昏の魔女】と呼ばれた暁美ほむらと【暁の魔王】とされたシュテル・スタークス。
リルベルト・ル・ビジューの姉たるラルジェント・ルビジューは数百年間を沈黙していたけど、ありふれた世界に向かった時に自らを第四真皇妃と名乗っている。
また、ヴィルフリッド・エレミアが愛人の如く侍ていた事実は余り知られていない。
そしてこの事実から判る事、前世のあの世界に於けるジークリンデ・エレミアとはユートの子孫であると云う。
「それで? ロキは邪神として始末されますか? それともユートの提案を受けますか?」
「うぬ!」
「それはロキだけではありません。貴方達にも言える事ですよ?」
周囲を見回せば目を逸らす神々。
「せ、せやけどこの神降臨の時代に神を殺すんはどう言い訳しても重罪やぞ?」
「それこそ闇派閥が悪しき前例を幾らでも残しているでしょう?」
「あ、暗殺……か……」
「何もユートがそれをする必要も無い。いつの間にか邪神の一柱が消え逝く……それだけの事」
我知らず固唾を呑む誰か。
「まぁ、余り脅かしてばかりも良くありません。実のある話をしましょうか」
「実のある話?」
「ロキとヘファならもう知っています。ユートが鍛冶を出来る事とLV.6に教導が可能な事」
「そうね。彼のインゴットは見事な品だったのは鍛冶神ヘファイストスの名に懸けても言い放てる程だったもの」
ヘファイストスも受け取っているが良い出来なのは間違いないと判断をしていたし、魔法金属としても青鍛鋼や流白銀に並ぶだけの硬度や効果を持っていた。
勿論、この世界の名前が同じなだけでしかない
ユートの見立てではこの世界の超硬金属や最硬金属とは、【ありふれた職業で世界最強】の世界で最も硬いとされるアザンチウムに近い。
神金剛や神剛鋼はユートの再誕世界に於いて、
冥衣は素材からして違っていたけど。
「何や、それを提供する言うんか?」
「まさか。鍛冶系のファミリアに売りはしても、無償での提供はユートの性格からして有り得ませんね。それは雷神の剣を買ったロキ・ファミリアなら判る筈でしょう」
「……せやな」
魔剣でありながら剣としても超特級品と云える雷神の剣、この世界の武器は第一級武装とされる椿・コルブランドの鍛った武器ですら、ドラクエで云えば九〇か其処らの攻撃力でしかない。
アイズのデスペレートは不壊属性であるが故に攻撃力は七〇前後と低いし、椿の『ローラン』も一番破壊力の高い斧でさえ八〇もあれば御の字。
比べて雷神の剣は攻撃力が九五、椿が全力にて最硬金属で第一級武装として鍛てば届く……かも知れないレベルだ。
しかも壊れぬ魔剣としてベギラゴン級の熱量を放つ事が可能。
DQに於ける呪文の効果を放つ魔法の武器というのは、それと判る相応の力を放っているのであって呪文その物を放つ訳では無い。
例えば【破邪の剣】――その効果とはギラ相当の熱量をモンスターの一グループに放つ……だ。
魔法力が使われているからギラ相当のというかその物でも間違いではないが、それでも実際に放つ呪文とは分けて考えるべきであろう。
この世界の魔剣は触媒として剣の形状こそしてはいるが、武器としては碌な攻撃力も持たない上に下手な攻撃に使えばすぐ刃毀れをしてしまい、最悪では刃が折れてしまう羽目になる。
また、魔法を放てばいつかは刃が消失して使えなくなるのに威力はオリジナルに及ばない。
唯一、オリジナルすら越える威力を放てるのがクロッゾの一族が鍛った【クロッゾの魔剣】。
精霊を救い、精霊の血で命を救われたのだという初代クロッゾは精霊の力を内包する事になり、魔剣鍛冶師の力を欲しい侭にした。
後に喪われるまでラキア王国に言われるが侭、『鍛冶貴族』などと呼ばれて鍛ち続ける。
「ユートが黒鍛鋼を放出する相手なのは飽く迄もヘファやゴブニュ。当然ながら素材も鍛冶も鍛冶師が持つなら高くなります。ですが素材を別に獲られるならある程度は安くなるでしょう」
実際にユートから買う方が安く付く。
「それと女性の冒険者で初めての交わりすら持たない者が、その初めてを捨てる覚悟さえあるならユートと交わると良いでしょう」
サーシャが凄まじい事を言う。
「但し、自称『私は美しい』じゃなく正真正銘で美女か美少女に限りますが』
「へぇ、交わるとどうなるんだい?」
褐色肌の美女神イシュタルが訊ねる。
「強くなりますね」
ピクリとイシュタルの目元が蠢いた。
「へ、へぇ? それはどれくらい?」
「回数次第で限り無く。スキルの恩寵であると思って下さい」
「限り無く?」
「一度の情交で約10程度ですが、つまり一〇回も情を交わせば100となりますね」
「男なんて数度も出せば涸れ果てるじゃないか、そんな事ではいつになるやら」
「ユートは際限無く出せますよ」
「ハァ?」
「現にウチの眷属の娘も一晩に二〇回もされて、気を幾度と無く遣っていたからかされる度に気絶をしています」
サーシャがコロコロと笑う。
「お陰で今や5000以上稼いでランクアップまでしましたから」
「っ!?」
単純計算で一ヶ月程度をヤりまくった事になるのだが、実はまだ二〇日もヤれていないというのはベルがランクアップに要した期間が約一ヶ月半と考えれば判るであろう。
イシュタルは考える。
ユートというのは、サンジョウノ・春姫という自分が眷属にした狐人の少女と専属契約で寝ている男だった筈だが、春姫のステイタスを更新なんて基本的にはしないから気付かなかっただけで、若しかしたら彼女も基本アビリティの数値が上がっている可能性があった。
春姫にとっては正真正銘で初めての男であり、現在での唯一の相手でもある。
彼女は娼婦として遊郭で美少女の狐人であるが故に男に指名こそされたが、元がサンジョウノ家というそれなりの良家で暮らしていた事もあって極度の恥ずかしがり、ちょっと男の肌を見ただけで簡単に気絶をしてしまうのだ。
幾ら美少女とはいえ気絶した女ではヤる意味が半減、それならオナホールやダッチワイフで自慰をするのと同じでしかないのだから。
まぁ、この世界にそんな性具が在る訳もないにしても自慰と変わらないのなら、代わりの娼婦を派遣して貰った方がまだマシだと放置されていたから実はずっと処女の侭だった。
そんな中でユートだけは根気よく待ってやり、うまうまと春姫の処女を散らしたのだ。
狐耳に尻尾持ちは他にも抱いているのだけど、総じて美しくその胎内は気持ちが良い。
【ハイスクールD×D】世界の八坂という母親と九重という娘、当たり前だが八坂は処女ではなかったけど幼い頃に出逢った九重は普通に処女で、九重の初めては親子丼で八坂が快感に導きながらというものだった。
処女の九重と非処女の八坂という両方を味わった訳で、ユートはどちらも多少の違いこそ有れど最高のモノだったと判断している。
春姫とて容姿も然る事ながら矢張りその胎内は最高に良く、彼女の真の意味での処女喪失を自分がヤれた事が嬉しくて他に遣りたくないと思ったから専属の契約をしたのだ。
春姫の処女の味を知るのはユートだけであり、春姫の肌の柔らかさや温もりを知るのもユートだけでしかなく、春姫の胎内の素晴らしさを知るのもユートのみである。
(もう少し取り込みたいねぇ)
イシュタルにとって同じ美の女神フレイヤという目の上のたん瘤が目障りで、春姫は切札と呼べる存在だからまさかくれてやる訳にもいかない、一応は身請けしたいと話はされているが春姫とは抑々が必要不可欠なだけに断っていた。
(誰かしら……ウチの子を奴にくれてやるかね? 代わりに優先して強くして貰うとか……ねぇ)
勿論、団長の
イシュタル・ファミリアはフレイヤ・ファミリアとは異なり、大半が女性の団員で構成をされている上に春姫みたいなタイプを覗けば戦闘娼婦はその殆んどがアマゾネスという種族。
アマゾネスとは種族の特性上から女性しか産まれない為に本国となれば男は種馬の如く扱いで、こうして迷宮都市オラリオに来たアマゾネス達の大半が美味しい雄を求めていた。
(春姫に傾倒しちゃいるが、アイシャ達を邪険にしている訳でもない。何より普通に歓楽街の娼館に来れる辺りからして貞潔って訳でもあるまい。素人が好みか? ならまだ未熟なレナ辺りをくれてやるのも良さそうだね)
未熟だとはいってもイシュタル・ファミリアの
データ上は【
戦闘種族のアマゾネスだから幼い頃から戦闘の経験は有るだろうが、流石に初めてを散らしたのは一二歳を越えてからであろうし。
只、娼婦という仕事は好きでヤっているという事は間違いがなく、レナ・タリーは運命を感じられる雄を捜して今日も元気に娼婦をしている。
そんな彼女をユートが受け容れるか?
少なくともレナ・タリーはイシュタルの眷属、故にその神意に逆らう事は無い……筈?
「アテナ、一つ訊きたい」
「何ですか、イシュタル?」
「貴女の眷属、そのスキルで力を与えるというのは聴いたけれど……それは何かしらの制限などは有るのかい?」
「女性である事が大前提、そして先にも言った通りで自称美女では流石に無理でしょうね」
つまり団長のフリュネは矢張り駄目、能力云々以前に美的感覚から不可能――というのもユートは下半身のJr.の滾りを自分でコントロールが出来るが故に、気に入らない相手に対して勃たせる事は決して無いから。
有り得ないが仮にフリュネが無理矢理に襲って刺激を与えたとしても、薬を使ってもユートのJr.は反応すらしないであろう。
「ウチには戦闘娼婦が殊の外居るんだけどさぁ、LV.の最高が団長のフリュネの5でね?」
「ええ、確かに」
「もう少し力を付けて欲しいけど私達の恩恵ってのは簡単にはいかないもの。其処へ抱いて力を与える存在だ。私の眷属を脱退状態で一人をそちらに寄越す代わりに何人かを、LV.3~4の戦闘娼婦をユートが抱いて能力を上げてやってはくれないかい? 勿論、寄越す女も戦闘娼婦だからには処女とはいかないが美少女なのは保証するし、力を与えて貰う女も娼館で人気の高い美女美少女で固めるさね」
イシュタルは理解していなかった。
数人は疎かユートはイシュタル・ファミリアの全員――但し団長は除く――を、気絶してしまうまで何日間でも抱き潰す勢いでヤれる事を。
そして、その意味を……
「今はまだユートはロキ・ファミリアの遠征に付いて行って居ません、帰ってきたら連絡をしますからその時にでも人員を送り込んで貰えますか。そうなると暫く帰れませんから一ヶ月間くらいの交代人員を用意しておくと良いでしょう」
「そうだねぇ、そうさせて貰うさ」
煙管を燻らせながら立ち上がると会議場を出て行くイシュタルは……
「取り敢えずは
そう言いながら去った。
「イシュタルがこの侭、ユートとの握手を望んでくれれば良いですが……無理でしょうね」
【美の女神】の一柱が言った言葉は絶大な為、矢張りというか多くの男神が支持をしてしまう。
こうなると流石に女神達も仕方がないと考えるしかないし、何柱かの女神はユートと知り合いだったからその望みを叶えたいと思っていた。
デメテル・ファミリアの主神デメテルもそんな一柱で、大きな胸をたゆんたゆんと弾ませながらユートの二つ名を双子座に推す。
「デメテルはユートと知り合い?」
「ええ、ちょっとした……ね」
友神ではないデメテルを愛称では呼ばないが、ヘスティアとロキみたいな関係ではないから普通に話すサーシャ。
ユートがこの二ヶ月も掛からない時間でした事は多くないが、女神ヘファイストスに素材を卸したり女神デメテルの所へ堆肥を卸したりと女神と関わりを持つのは普通にやっていた。
男神? 知らんがな……ではないが女神が優先をされたのがユートクオリティー。
但し、美少女が居るファミリアは別というのも正しくユートクオリティーかも知れない。
例えば【ディアンケヒト・ファミリア】であるならば、彼の【
「フフフ、イシュタルと同意見なのはちょとどうかと思うけれど、折角だから私もアテナの眷属の二つ名に双子座を推すわ」
二人の【美の女神】の推しとなれば男神に否やは無く、ヘルメスなんかは『フレイヤ様が推すのなら僕も推すよ!』とか騒いでいた。
そのお陰で賛成が多数としてユートの二つ名は【
半ば神殺しの大罪をちらつかせた脅迫となりはしたが、殆んどの神はそれを『面白い』と冗談の類いでないと知りつつ絶賛したのだと云う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ダンジョンの深奥。
オラリオに於いてダンジョンは何が起きるか判らないとされ、どれだけ浅い階層でも油断だけは決してしてはならないとされる。
例えばロキ・ファミリアの殺意にミノタウロスの群が逃走、挙げ句にどんどんと階段を駆け抜けて最終的に五階層まで逃げられた。
例えばその逃げたミノタウロスが冒険者に成って半月足らずな新人を襲ったとか。
魔石を喰らったモンスターが強化をされたりだとか、或いはダンジョンを破壊し過ぎた結果として強力無比で凶悪なモンスターが顕れたり……だ。
今、目の前でトラップが生成をされたとしてもユートはきっと驚かない。
第五二層より下は地獄――【
まぁ、ユートはマップも有るし気配を感じれば何処から砲撃が来るか判るけど。
だけどラウルは元より仮にフィンであっても、砲竜の砲撃を躱し続けるのは骨が折れる作業。
ラウルとの違いはそれでも危なげ無く避け続けているという点であり、LV.5以上の幹部達や同じくLV.の椿・コルブランドは流石という他に無いくらい躱していた。
「ラウルさん、危ない!」
「レ、レフィーヤ!?」
ラウルが立っていた位置に蜘蛛の糸が飛んできたのを見たレフィーヤがラウルを庇い、蜘蛛の糸に絡め取られてしまう。
蜘蛛の牙がレフィーヤを待つがそんな場合ではない事態――砲撃により蜘蛛は消滅したのだけど、レフィーヤがその巨大な穴に抵抗のしようも無く落ちてしまったのだ。
五二層からは規模が違う、尺度が違う、脅威が違い過ぎる――正しくダンジョンは地獄である。
「フィン、先に行くぞ!」
「判った、頼む!」
ユートの科白で覚ったフィンはレフィーヤの事をユートに任せる。
「はっ!」
ユートなら舞空術なり
穴に入って先ずは自由落下で落ちるユートだったけど、すぐに姿勢制御して白龍皇の光翼を背中に出すと高速飛翔に切り換える。
単なる自由落下では先に落ちたレフィーヤには絶対に追い付かないからだ。
重くなれば先に落ちる『ゆで理論』? それはキン肉マンの世界でやってくれ。
すぐに追い付いてレフィーヤを拾うユートは、謂わばお姫様抱っこにして抱えてやる。
「御待たせ」
「ユ、ユート……さん?」
「ティオナ、ティオネ、ベートも間も無く来る。踏ん張り所だと心得ろよ?」
気配から三人が穴に飛び込んだのは気付いていたが故の科白。
「は、はい!」
情けなくも涙ぐんでいたレフィーヤだったが、その涙を拭って元気な返事をした。
レフィーヤは顔をユートの胸に埋めた時に幸せな気分を味わっており、自分が如何に好意を懐いていたかを知るには充分過ぎる。
最初の接触からして女の子としてはダメダメなもので、スキルの検証らしいがティオナとの睦み愛をこっそり視てしまった事。
レフィーヤの種族柄でか目が良いから、褐色に出入りする肌色もバッチリと見えていてユートのJr.の長さと太さと逞しさがモロだったのは、乙女のハートに可成りキツかったのは覚えている。
しかも何処か子供っぽい所作なティオナなのが魅力でもあるのに、あの女の貌をして悦んでいる如何にもアマゾネスな彼女は更に魅力的だった。
ドキドキしたのは確かだ。
ウィーシェの森――レフィーヤ・ウィリディスの故郷の森、ユートからはそんな森の薫りが漂っている気がして安堵が出来る。
「レフィーヤ」
「は、はい」
「フィン達はアイズも含めて恐らく正規ルートを使って五八階層を目指す筈だ。ヴィルガ――溶解液を持つ魔蟲を最速で突破するなら彼女が必須となるからね」
「助けは期待出来ないですか?」
「そうだ。だから君が闘え」
「っ!」
「今の僕は両手が塞がっている。理由は言わずもがなだけどね」
レフィーヤを抱えているから両手が塞がるのはどうしようもない。
まぁ、ユートなら発射位置をある程度であれば変えられるから実は大した問題では無いのだが、レフィーヤを鍛えるならそれは秘密にして闘わせた方が良いだろう。
ユートはレフィーヤを気に入っている。
元よりエルフは好きな方だから、『握手』を求めるエルフに限るが仲良くするのを厭わない。
「私を投げて下さい」
「ふむ?」
「既に階層無視で飛べるモンスターが現れ始めていますし、両手が塞がっていては翔べても不利は否めませんよね? 私は私で何とかします!」
「そうか、判った」
「へ? うきゃぁぁぁぁぁっ!?」
ユートはあっさりとレフィーヤを上へ放り投げると、白龍皇の光翼にまるで話し掛けるかの様に口を開いた。
勿論、見えない妖精さんと話す痛々しいまでの趣味はユートには無い。
「アルビオン、禁手化をやるぞ!」
『私は構わんが、変身はしないのか?』
「普段なら様式美的にやるけど、今はやっている場合じゃないだろう」
『そうだな』
くつくつと笑うアルビオン。
ユートは前世のスプリングフィールド時代に、闘神都市と呼ばれる場所に行く事があったのだがその際に、【白龍皇の光翼】を転生特典に選んだ転生者と義妹のユーキが闘って勝利を納めた為、問答無用で転生者の某から奪ってきたのだ。
よく出来た義妹にして恋人である。
尚、本来のユーキはハルケギニア時代に初志を貫徹してコルベール先生と結婚をして初めても彼に捧げているが、ユートの相棒的な立場もあるから【Muv-Luv】世界へ再転生を果たして今度こそはユートに処女を捧げた。
「
《Vanishing Dragon Balance Breaker!!!》
ユートはそれを宿した時から白龍皇だ。
元々の白龍皇たるアルビオンとの仲も良好ではあるし、ユートの中にはもう一つ同じ龍の力が宿っているけど元来は仲が悪かったのに今は普通に話せる関係――赤龍帝ドライグとは。
普段はアルビオンバックルやドライグバックルで仮面ライダーブレイドみたいな変身をするが、今回はそんな暇は無かったから普通に禁手化をしてしまった。
様式美は大切なのだが……
ユートが飛翔しながら見上げるとレフィーヤがアルクス・レイというマジックアローを撃って、何だか『まっがーれ!』とか言っていた。
「何で涼宮ハルヒなネタに走った?」
否、ひょっとしたら普通に『曲がれぇっ!』と叫んだのが、ユートにはネタに走った科白に聴こえただけかも知れない。
取り敢えず効果は抜群だったらしく、アルクス・レイが軌道を変えて超高速型のワイバーンらしきモンスターに追い縋り、遂には撃墜をしてしまっていたからネタに走ったとは思えなかった。
レフィーヤの並行詠唱に触発されたティオネがハルバードを回転させながらワイバーンを刻む。
「おい、バカゾネス! 一発で構わねーからあの火の玉を何とかしろ!」
「確かに火耐性が付いたから大ダメージにはなんないけど、それでも私だって喰らえば熱いもんは熱いんだからね?」
「うっせーよ、後輩の後塵に甘んじる気かよ? やれったらやれ!」
「くっそー、後で覚えてろ!」
ティオナはユートとのえちぃ性活を何度か繰り返したが、何度目の夜だったか? 『属性に対する耐性が選べるけどどれが良い?』と訊ねられ、よくダンジョンで使われている火に対する耐性を――と言ったら本当に火耐性が上がっていた。
完全耐性ではないから受けたらダメージ〇とまではいかないが、余程でなければ『熱い』で済む程度に耐性が付いていたのである。
今のティオナであるならば、リヴェリアが全力全開手加減抜きで放つ『レア・ラーヴァテイン』を喰らったとしても、その褐色の肌が無様に焼け爛れたりはしないであろう。
況んや、砲竜が放つブレス如き……
「せぇぇのっ!」
ドグゥゥゥンッッ!
何という事も無かった。
ティオナが盾となって砲竜のブレスを防いでいる隙を突き、ベートが一気呵成に穴を駆け抜けると踵落としの要領で砲竜を攻撃。
「死ねや!」
ド頭を砕いて殺った。
ロキ・ファミリアのダンジョンアタックに於ける最高到達階層は五八階層となってはいるけど、砲竜による階層無視の砲撃に晒された彼らは体力も道具や装備類も喪い、後一階層でゼウス・ファミリアのレコードに並ぶという時に断念する。
「戻って来てやったぜ、チクショー共が!」
「二番乗りっと」
降り立つはベートとティオナ。
「【雨の如く降り注ぎ】【蛮族共を焼き払え】」
「避けなさい、あんた達!」
「ヒュゼレイド・ファラーリカ!」
無数の炎球が文字通り降り注ぐ。
「レフィーヤ、ティオネ!」
三番手と四番手にレフィーヤとティオネが降り立って……
「竜ばかりだな」
『フッ、私の足下にも及ばんがな』
五番手に真なる白き龍の神皇たるユートが降り立つのだった。
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本来なら神殺しは大罪ですがユートは飴を用いる事で和らげ、神々も面白い事が大好きな性分だからかジョークか何かで済ませました。
尚、原作でフレイヤの一言がベルの二つ名の方向性を決めた様に、美の女神の二柱が意見を出した為に二つ名は決まってしまいます。