果たして内戦は起きるのか?
ピクシスとマイクはジャックによってウォール・シーナ収容所に移送された。
シーナ収容所は憲兵中央会議所の隣で監視されるように置かれていた。
二人を一週間拷問したがスコットについては何も結果を得られなかった。
拷問中ピクシスは無言で耐えていたが、マイクは毎日阿鼻叫喚していた。
「俺はスコットの居場所を知らない!!」
「本当なんだ、部下に聞いてくれ!!!」
「友達だろジャック!1ジャッッック!!!」
「一緒に畑仕事したよな!!!」
「釣りもしたよな!!!」
「これがお前が金持ちになるための仕事なのか!!!」
ジャックは度重なる王政の圧力のストレスからおかしくなり、聞こえてくる嘆きが心地よくなっていた。
部下たちに拷問をやめさせた。
「解放してくれるのか・・・」
「いや違う死ぬと困るからだ。」
ジャックは完全に憲兵に染まっていた。
ジャックは一日ピクシスとマイクを休ませ、また明日拷問を再開しろと部下に伝えた。
その後以前いた憲兵の兵舎に忘れ物を取りに来た。
そこでたまたま通りかかったニーナが声をかけてきた。
ジャックとニーナは久々にラウンジで話した。
「もう二週間あんたと仕事してないね。」
ジャックはから返事で答えた。
「そうだな。」
「人は二週間で変わらないと思ったけど変わるんだね。憲兵の間で一人も殺してないあんたが突然駐屯兵や権力者の拷問をやってるって噂が広まって今の私の組んでる同性が冷たいんだよね。私あんたと組んでたからだれもくみたがらないよ。」
「ニーナは結婚するんだろ。」
ジャックは冷たく言った。
「断ったよ。ハゲててデブの貴族で二回り年上だったから。」
ジャックはなにげないそのセリフに思わず笑ってしまった。
「金持ちになれるのにもったいねーな。俺なら結婚してたね。」
ジャックはニーナをからかった。
「他人事だからそう言ってるんでしょ。」
ニーナと話しているうちに新米憲兵時代の下積みを思い出し、ジャックは初心に帰りつつあった。
「だからあんたもあんたらしくやればいいじゃん。拷問なんてあんたに合わないよ。私ならたとえ死んでも自分を貫き通すけどね。」
「他人事だからそう言ってんだろ。」
そして二人して笑いあった。
※ちなみにニーナはゆるゆりのマリーを大人な感じで身長168cmくらいのイメージです。
次の日ジャックは部下に拷問しないように言った。
「ピクシス、マイク何も知らないんだな?」
「ああ、そうだ。まさか助けけてくれるのか!!!」
「そうだ隠密に解放する。二人ともしばらく身を隠せ。」
「正気に戻ったんだなジャック!よかったよ。」
「なぜ殺さないんだ?」
ピクシスは解放されてもなお冷静に質問してきた。
「お前こそなんでスコットをかばうんだよ。あれだけ仲悪かったじゃないか。」
ジャックは言いながら少し笑った。
「笑い事じゃない。裁判起こしてやるからな。」
ピクシスも冗談交じりに笑いながら言った。
「ジャック、君を信じてよかったよ。俺は一週間君を信じた。奇跡かもしれない。」
「奇跡じゃない、俺は忘れてた大事なことに気づかされたんだ。俺は自分を貫くよ。」
「しかし、君が拘束あるいは最悪・・・・」
「心配するな、自分たちだけのことを考えろ。」
ジャックは憲兵だけが所持している自分の拳銃を左肩に当て自分で引き金を引いた。
「何してるんだ!」
マイクがジャックの左肩を抑える。
「これで俺も言い訳が出来る。」
「・・・ありがとう。ジャック。」
「感謝するな、ピクシス。俺はお前らを一週間拷問したんだからな。」
その日ユトピア区の処刑所へ運ぶ途中二人を脱走させた。
ジャックは次の日憲兵中央会議所に召集された。
「ジャック、なぜ一週間だけ二人を拷問して逃がした。二人とも外地の権力者じゃないか。」
本部長はすべてを知ったかのような口ぶりであった。
「逃がしたのではありません。最後に三人で話した時にピクシスに拳銃をうばわれ左肩を撃たれました。」
本部長はため息をついてから言った。
「君の友人を自ら処刑するのはつらかったのだろ。だから逃がした。私は試したのだ君を、真の中央憲兵団団長なら親ですら殺すということをな。私の期待に応えれず残念だ。スコット団長、彼をシーナ収容所地下深くに投獄しろ。」
スコットが会議所に入って来た。
ジャックは目を疑った。
「スコット!なぜなんだ、なぜ騙したんだ?」
「すべてはスコット団長の対人戦術に踊らされたな。」
「マイクに流した情報は偽物だ。手配はされていたがな。」
その日、スコットは手配解除されジャックは地下深くに投獄された。
ジャックはシーナ収容所の地下深くに投獄された。
階段を一段ずつ降りるたびに後悔した。
ジャックはピクシスとマイクの新たな指名手配に、拷問、スコットの裏切り、両親には二度と会えない、ここで死んでいくこと、色々考えていた。
そして地下7,8階あたりで牢獄が二つずつ通路を挟んで四つあり俺は東の一番奥に入れられた。
すると向かいの牢獄からジャックと名前を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえた。
ジャックは自分が疲れていると思ったら、向かいを見たらノーランドが投獄されていた。
「思ったより遅かったな。」
ノーランドは向かいの牢屋から少し笑みを浮かべ言った。
「それはどういう意味だ?」
「スコットにやられたんだろ。」
「あの時なにがあったんだ?」
ジャックは冷静に質問した。
ジャックのあの時とは訓練兵時代に憲兵に連れて行かれた時のことであった。
「俺は本物の裏切り者だが聞きたいか?」
「どっちでもいいさ、一生牢獄生活の俺には関係ない!」
ジャックは追い求めていた真実を知りたかった。
ノーランドが語り始めた。
「俺の本当の名前はタケル・アオイだ。この大陸から南の島国から船でやってきた。目的はこの国の王の暗殺だった。最初は四人で上陸した。だが三人が巨人に食われた。そして俺はちょうど運よく通りかかった壁外調査中の調査兵団の馬車に潜り込み俺一人だけが壁の中に入れた。俺はこのマリアの壁の外でスコール・ノイルに出会いかくまってもらった。そして彼には俺と同い年の息子がいた、それがスコットだ。スコットと遊んでいるうちに俺は戦士であることを忘れた。だがスコットは訓練兵になると言った、そして俺も再び戦士として自覚をした。」
「じゃあ、あの時立体起動の事故で無傷だったのはなぜだ?」
「俺は巨人兵になる実験体だった。祖国で注射を打たれたが四人で俺だけが巨人になれなかった。そしてこの大陸に上陸したあと交代で巨人になって北に移動していたんだ。だが俺以外全員死んだよ。俺はついでみたいなもんさ。巨人ってうなじ以外弱点ないだろ。それの能力さ。」
「じゃあ手がはえてくるのか?」
ジャックはこの時ノーランドの言っている意味が解らなかったからバカな質問になった。
「そうだ、自分では死ねないんだよ。」
「話を信じたとして王を暗殺して君の国に何の利益がある?」
「巨人が言うことをきいてくれるらしい。俺はこれ以上壁の外の事も中の事も知らない。だが純巨人を見たのはこの大陸で初めてだ。俺の故郷の島では見なかったがな。」
「じゃあ安全なのか?君の故郷。」
「ああ、安全で海がきれいだよ。故郷に帰りたいな。」
「海ってきれいなのか。行ってみたいな・・・」
「今一番この人類で遠いけどな。それよりピクシス元気?」
「・・・俺のせいで指名手配さ。」
「スコットがらみか?スコットは訓練兵になる前から憲兵の手先だったんだ。」
「だからスコットは調査兵になったのか。」
「かもな・・・その頃にはもうここにいたから・・・」
一か月後マリア・シガンシナ区・駐屯兵団兵舎・・・
ピクシスとマイクはファーム農業財団にかくまわれていた。
「やはりシガンシナ区なら安全だな。」
「だが政治不信でローゼ・シーナとマリアが戦争になってもおかしくない。」
内地と外地の戦争はどちらにとっても一つもいいことはないとピクシスは分かっている。
「そうだな。投降するか?」
「何言ってんだよ。俺たちのほうが有利さ。食糧自給率は向こうが50%でこっちは200%だ。こっちが輸出ストップすればむこうは内戦だ。だから俺は船を造ってこの人類からおさらばするよ。」
ピクシスはマイクの発言に耳を疑った。
「本気か?戻ってこれないぞ。」
「もうシガンシナで建造は始まっているよ。」
ノーランドの回想に入る・・・
ノーランドが壁の中の侵入に成功して三日ほど経ったときの事であった。
「君はなんて名前?」
「僕はノーランドだ。」
「俺はスコット、よろしくノーランド。」
「君は優しいね、僕は殺伐としたとこにいたから・・・」
「そうかい?俺は当たり前の普通のあいさつだと思ってるけど。親父が言ってたよ。身寄りがないらしいね。」
「父は大工で早死にして母は病気で死んだんだ。」
ノーランドは嘘の訓練は生まれた時から祖国でやっていた。
「そうか、でも俺がいるから大丈夫だ!!!もう寂しい思いはしなくていいさ。」
「そうだね!!!」
この時すでにスコットは憲兵の手先だった。
スコットは今思えば人を見極める才能も優れていたかもしれない。
推測だがもうノーランドとスコットはすでに情報戦で戦っていたのだろう。
ある日不審な男2人とスコットが話しているのを見た。
ノーランドはこの人類の者ではないとばれたかもしれないと思った。
ノーランドは茂みに隠れて様子をうかがった。
男たちが立ち去るとスコットが言った。
「ノーランドもういいぞ~~~。あいつらは憲兵団だ。きっと人類最強のスコール・ノイルの息子が一人ふえたことに疑問が生じたんだろう。ちゃんと修道院から親父が連れて来たって言っといたから。」
ノーランドは自分を売らなかったスコットに感動してつい緩んで口が滑ってしまった。
「実は壁の外から来た。」
そしてこの家に来るいきさつを話した。
スコットは驚きながらもノーランドの話を聞いた。
「じゃあ本当に一人になっちまったんだな・・・」
「ああ、あと知ってるのはあんたの父親だけだ。」
「そうか、じゃあもう暗殺じゃないんだな。」
ノーランドは顔を縦に振りうなずいた。
「壁の外のことは全部忘れるよ。」
それ以来不審人物は見なくなった。
スコットとは森の中で鹿を狩ったり、鳥を弓矢で狩ったりした。
完全に戦士であることを忘れていた。
毎日が楽しかっただがある日彼は訓練兵になると言った。
そしてノーランドも戦士であることを思い出した。
そして二年後・・・
スコットの母親も一年後ノーランドの事情を知った。
「2人とも気を付けてね。ウォール・ローゼ南東なら誰も知り合いがいないから邪魔されずに訓練できるわ」
「今までありがとうございました。」
ノーランドは深々とお辞儀をした。
「親父を越えて最強になってくるよ!!」
そうして訓練兵になるためにローゼ南東に向かった。
ノーランドはスコットと道中話し合い、ノーランドはストヘス区出身にした。
理由は簡単だった。
ストヘス区はローゼで一番人口が多いからだ。
それにこの時代はまだ戸籍管理が上手く機能していなかった。
訓練兵団入団式の後、部屋に向かったどうやら俺たちが一番のりで入室だ。
「いいか、お前はノーランド・ポックでストヘス区出身だ。入団式の時教官に話しかけられたらなんて答えようとした?」
スコットは問い詰めたかのように聞いてきた。
「黙秘していたよ。」
そしてピクシスが入ってきた。
「よう!俺はスコット・ノイルでウォールマリア西出身だ。よろしく。あんた地下街からきたんだろ?」
「ああ、そうだがそれがどうした。」
ピクシスはスコットを相手にはしなかった。
そしてジャックが入ってきた。
それから一年後スコットの本当の任務が遂行された。
満タンに入れたはずのガスが三割しか入ってなかった。
そしてノーランドは地面に叩きつけられた。
ノーランドは当然無傷だった。
だがジャックとスコットは心の底から喜んだ。
ノーランドはひさびさの祝杯に喜んだ。
次の日憲兵が来た。
この時ノーランドは初めてスコットの腹の中を見た。
裏切られたと知った時は心が痛かった。
だがノーランドは抵抗することなく憲兵に連行された、それは仕方なかった。
なぜなら元々壁の中に来た理由は暗殺目的だったからだ、しかしノーランドはもうそんな気はなかった。
なぜ今なんだスコット!!!
そうノーランドの心が叫んでいた。
ノーランドはシーナの収容所に送られた。
するとスコールが拷問室に来た。
「お前はなぜ王を暗殺しに来た?」
「あなた調査兵じゃないんですか?」
するとスコールが拳銃でノーランドの腹を撃った。
「普通に考えたら、武装していない少年が壁の外にいるわけないだろ?」
スコールはその後部下にノーランドを拷問させた。
だが傷は時間をかけて治っていく。
痛みは感じるだからいっその事殺してほしかったがこれが一年憲兵によって繰り返された。
そしてシーナ収容所地下深くに投獄された。
そしてノーランドの回想が走馬灯のように終わった。
シーナ地下収容所・・・
ノーランドは回想を心あらずに思い出していた。
「おい、聞いてるのか?なんでスコットと同じ出身にしなかった?」
「全部ノイル家の戦術だよ。」
「はあ?、答えになってないぞ。」
一方シガンシナ区では・・・
建築家のウィルの指導の下マイクは巨大戦艦を建築していた。
全長250m幅40m水面からの高さ20m喫水5mの計算で建築をしていた。
※旧日本海軍の戦艦大和くらいの大きい帆船だとイメージしてください。
「戦艦ってなに?」
マイクは船と船が戦う海戦すら知らない。
「古代文書によると人が海で戦う時に使った船ですね。」
ウィルは分厚い本を開き、マイクに説明した。
「意味不明なんだけど、まあ漁が出来ればいいさ。」
「この船は無理ですよ。」
全兵団統括本部長
「君はまさに憲兵の中の憲兵だな。中央憲兵団団長として見事な策略だった。実の親父を壁の外で切り殺したのは葛藤があっただろうが。」
「いえ、本部長あんたは俺が物心つく前から、親父と俺に同じ命令をしていた。俺にはノーランドの監視そして親父には調査兵の監視だ。そしていつか親父を殺す日、いや対決する日が来ると予想した。そしてその日がきて殺すか殺されるかだ。そして俺が親父に不意打ちをして団長になった。それだけだ。今や俺は人類で一番の暗殺者そしてあんたはレイス家の右腕だ。しかもあんたは20年それを上手くこなしてきた。」
「ああ、だから私のこの席は次に君のもになるだろう、肉親ですら殺すほどの国への忠誠は素晴らしい。あとはピクシスとマイクを暗殺すればだが・・・。時間がないぞスコット、今マリアが反旗をひるがえそうとしている。」
「ああ、正直言って戦いになれば憲兵団・ローゼ駐屯兵団とマリア駐屯兵団・元調査兵団の対立になる。駐屯兵団は実質無力であり、憲兵団と元調査兵団のいくさだ。憲兵に勝ち目はない。食料輸入もストップすれば内地で内戦だ、そうなれば外地の思う壺。今のところ王政軍は絶望的だ。」
「だが策略はあるのだろ?」
本部長は少し笑み質問した。
スコットは常に冷静に考えていた。
「私は軍師であり策士だ、勝てないものなどない。」
一方シーナ地下収容所底深くでは・・・
「もう投獄されて一年は経ってるな。お前初日めっちゃ話してたけどあれ以来ぜんぜん質問に答えないな。一緒にここで暮らすのに。」
ノーランドはジャックに呆れた。
「お前が来て、まだ二か月しか経ってないぞ。」
シガンシナ造船所では・・・
ウィルとマイクが巨大戦艦建造にいそしんでいた。
建造には五百人の人員が割かれていたが、一日1%ずつの完成度だった。
あと40日くらいで完成といったところだろう。
「お前なんでそんな巨大な船の設計図(分厚い本)持ってるんだ?」
「じいさんが命を懸けて守った設計図だ。世界地図や巨人出現前の書物はすべて憲兵に持ってかれたけどな。じいさんのじいさんが戦争の時造ってた戦艦の設計図だ。これはシップ家代々の家宝だな。」
マリア全体では戦艦が大きく噂され、その多くは王政討伐への兵器としての活用に期待されていたが、実際は壁の外に行く泥船であった。
しかし、富裕層の多い内地での税金1割の取り立てに対し、貧困層の多いマリアへの税金4割の取り立てが不満だった外地の人々は戦艦建造が内地との戦争への士気向上の活力になった。
シガンシナ区統括支部ではピクシスがジャック救出作戦の会議が行われていた。
憲兵団からはニーナ、元調査兵団からは元兵長のハンク、駐屯兵団からはもちろんピクシスが出席した。
「なんで憲兵がいるんだ。今は敵だろ?」
ハンクはニーナに対し喧嘩腰であった。
「そっちが王政に敵対するからでしょ!」
ニーナもハンクの仕掛けてきた喧嘩に乗った。
「なぁに!、なんならここで決着つけてもいいんだぜ。」
「いがみ合ってる場合ではない。」
ピクシスがけん制した。
「それぞれの兵団ではどうなっている?」
「憲兵団は敗戦ムードであり、勝機は外地側にあります。」
「調査、いや元調査兵の残党は人類最強のスコット団長の裏切りによって動揺が広まっている。」
「マリア駐屯兵団は相変わらず平和ボケして情けない。他人事だと思っている。」
「ジャックって奴を居場所もわからないのにどうやって救出するんだ?元調査兵が内地で立体起動すればそれこそ戦争だぞ。」
「そのためにニーナが来たんだ。ニーナがジャックの居場所を突き止めた。」
「ジャックはシーナ収容所地下深くに監禁されているとおもわれるわ。」
「憲兵はなんでも知ってんな。で、嬢ちゃんあんたんが逃がしてやんのか?」
「それはニーナじゃない。ケニー・アッカ―マンという訓練兵にやらせる。」
救出作戦会議から一週間後のシガンシナ統括支部で・・・
「ケニー、君は王族と遠い親戚らしいね。」
「今はもう違う。アッカ―マン分家はレイス家にたてつきましたから。」
「君は私と同じ地下出身だろ?」
「ああ、地下は問題児のたまり場さ。」
「その地位を取り戻すチャンスがきたとしたら君は乗るかね?」
「そうやって俺は取引をもちこまれてだんだん犯罪に手を染めていった。だがあんたはちがう地下から出てきて外地で地位を勝ち取った勝ち組だ。いつ王政を潰してくれるんだ?」
「王政はつぶさない。」
「じゃあ戦争は起きないのか?」
「今起こしても人間の血がより多く流れるだけだ。」
「そうか・・・じゃあまた汚れ仕事か」
「申し訳ないな・・・だがスコットの首を取れば憲兵にはなれるかもな。情報によれば君は訓練兵の中でも人類でトップクラスの対人戦術がうまいらしいな。だが憲兵にはなれない、それはアッカ―マン家だからだ。」
「その通りだ。」
「もし地位を取り戻したければスコットの首を取りジャックを救出することだな。」
「・・・わかった、どの道俺に選択はない。ただ奪還作戦は俺に任せてくれ。」
「ああ、君が適任だ。」
その頃シガンシナ造船所で夜に・・・
「火が上がってるぞ。」
「水を持ってこい!!」
人々が騒ぎ立てていた。
「なんの騒ぎだ?」
マイクは騒ぎ声で目が覚めた。
造船所付近の宿からの窓に映っていたのは燃える船だった。
「予想はしていたが完成前に火をつけたか。これで20日遅れるな。」
マイクは頭を抱えた。
次の日・・・
「ああ、充分予想していたのに予防できなかったか・・・」
「多分、時期を見計らってつけたんだろう。見張りになりすました憲兵あるいは戦争が待ちきれない市民だな。」
「ああ、だが昨日の騒動で裏切り者が一人減ってもう邪魔されないかもな。」
「がんばろう、あと一か月すれば壁の外に行ける。」
憲兵中央会議所では・・・
「君はすばらしい働きをしている。次期中央憲兵団団長の椅子も近いな。」
「いえ、母が国に保護してもらえれば王に心臓を捧げます!!ただピクシスは私を信用していないようですが。」
「ピクシスは有能だ。あえて私に本当の報告をしたのだろう。君を通してだが。」
「といいますと?」
ニーナは疑問に思った。
「彼は戦争をしたくないらしい。なぜ船を造っておきながら、投降しないかわからんがね。」
シガンシナ造船所での会話・・・
「派手に燃えたな。」
ピクシスはこんな事態に落ちいってもなお冷静でいた。
「そうでもない。鉄の部分を取り換えれば二週間くらいで完成だ。ピクシスも乗るんだろ?」
「わたしは泥船には乗らないよ。」
ピクシスは冷静に答えた。
「え?俺はてっきり・・・」
船の修理部品を持って通りかかったマイクが黙った。
「君たちが乗るんだろ?」
「そうだが、お前も手配されているんだぞ?」
「私はこの人類を駐屯兵団で守ると誓ったんだ。」
ピクシスは断固たる決意を言った。
「そうか、残念だ。」
「ジャックが間に合わなくてもお前たちは完成したら行け。それがお前たちが生き残る唯一のためだ。」
さらに一週間後シーナ収容所の検問で憲兵服を着た男が囚ジャックを連れ出そうとしていた。
「俺はケニー・アッカ―マンで中央憲兵団だ。ユトピア区の処刑所にジャック・ヤマトを連行する許可をいただきたい。」
「ケニー・アッカ―マン・・・ああ、ピクシス支部長の命令ですね。」
収容所の検問の憲兵は事前に外地側から賄賂を受け取っていたために細工してケニーを通した。