バトルスピリッツ アナザースターター   作:謙虚なハペロット

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すっげー短いのですがこの部分を次回に加えるとなんかもにょるので中途半端ですが投稿します。


Step.19.5『私と一緒に』

「随分と弱くなったわね」

「っ!」

「あなたとカード達が不協和音しか起こしてないデッキでよく私に挑むなんて、私も舐められたものね」

「……」

「あなたにその気が残っているなら何度でも受けて立つ。それまでは待ってあげる」

 

 何も、何も出来なかった…。

太刀打ち出来ないどころじゃなく、こっちのやり方を歯牙にもかけてない。

 

「凛々……」

「……」

「もう一度、もう一度練り直しましょう! まだ詰められるはずだから、諦めず一緒に――」

 

「――うるさいっっ!!!」

 

「っ!」

「……」

 

 肩に置かれた早苗の手を思い切り振り払ってしまった。その勢いで、テーブルのデッキやらコアやらも弾き飛ばしてしまい、ゆっくりと舞ったカードがそこらに散らばった。

 

「……詰める? 諦めず? 一緒に? もういい加減にしてよ!!」

「っ、凛々…!」

「やったんだよ! 諦めなかったんだよ!! 考えたんだよ!! 必死に!! その結果がこれなんだろ!!」

「凛々、私は――」

「これ以上、一体何をどうしろっていうんだよ!!!」

 

 もう、いっぱいいっぱいだった。

早苗に当たり散らしても何にもならない。騒いでも感情を爆発させても意味は無い。

 ただ……限界を超えたんだ。

 

「早苗も理絵も羽月も深緒も!

 カードを信じるとか声を聞くとか、何馬鹿みたいな事言ってんの?!

 頭おかしいの!?

 言ってる意味が!これっぽっちも理解出来ないんだよ!!」

「そんな……」

「呼ぶとか対話とかそんなオカルトあってたまるか!

 “たかがカード”でしょ!?」

「っ! その物言い、取り消しなさい!!」

 

 瞬間、早苗の何かに触れたのか怒り出した。

もうどうだっていい。どうせ言ったところで返ってくるのは与太話も良いところの事ばかり。さすがに聞いてられない。

 

「凛々は何も解ってない!このカード達は……」

「解るもクソもあるかっ!! もう…、付き合ってらんない!!」

「凛々!? 待ちなさい! 凛々っ!!」

 

 このままだと何も分からず泣き出してしまいそうになる。早苗が呼ぶ声がしたが脇目も振らず全速力で部屋から飛び出した。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

 

 

 

「もう、付き合ってらんない!!」

「凛々っ!?」

 

凛々が飛び出していく瞬間、目尻の涙が見えた。

茫然として立ち尽くすしかたなかった。追おとして、早苗がどんな言葉を掛けたとして聞き入れてくれるとは思えない。凛々をあそこまで追い詰めてしまったのは早苗だ。

 

「――待ちなさいっ!!」

「…はぁ。凛々君は私“達”が追うから、二人はカードの回収と片付けよろしく」

「…かしこま」

「麗ちゃん……」

 

追う為の一歩を躊躇ったのを見兼ねた麗奈が先に凛々の後を追う。私が、と言いたかった。前みたく。

 

「っと、もう一つ。戻ってくるまでに早苗も何が悪かったか考えておくように。―――ああ、“真桜”君。今飛び出していった娘を……。了解、すぐ行くよ」

 

懐の携帯を取り出しすぐさま誰か……あの忍者みたいな人と連絡を取り、店を出ていく麗奈。

残されたのは早苗と琉伽のみ。

今の早苗に何もできる事は無い。どうしようも無く、ただへたりこむしかない。

 

「……凛々」

「へたる暇があるなら拾いなさい。カード達が可哀相よ」

「っ……」

「ふん、XレアやらMレアを山積みしたのね。宝の持ち腐れ……いや、猫に小判と言うやつかしら」

 

力無く近くに落ちていたカードを拾う。それは、早苗が譲渡した水星神剣。先程のバトルでは、あのドロー量で引けずとは……。

他のも拾い上げると、今まで凛々が使っていたカードがほぼ無く、ここに到るまで何があったのか気になる程別のものに入れ代わっていた。名残があるのは、ブレイヴとマジックくらいか。

 

(悪くはない。典型的なものだけど、それでもあの不安定さは……)

 

琉伽はテーブルで散らばるカードを集める。レア度が高く、色を問わず投入できるカードが多い。凛々のデッキは、俗に言うグッドスタッフじみた状態になっていたはず。

プレイマットのカードを取り、残ったデッキは――

 

(……ボトムにUアークとはね)

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 一体何処を走り抜けたのか。いつまで走ったのか分からない。こんなときに体力の多さが反映されても嬉しくない。

 

何の気無しに見渡せばそこは何処かの土手。河川敷か。

既に日が傾いて夕方。太陽が沈み掛けて景色が赤く染まっている。

 

「……何やってんだろ、私」

 

 軽く上がった息、ぐちゃぐちゃになってる頭の中わ心を落ち着けるため坂に腰を下ろす。……スカートが汚れるけど、今はどうでもいい。

 

 ……正直、落ち着けようにも何にも考えられない。私自身、このままふさぎ込むとモノに当たってしまう質だ。だけど何をどうすればいいかなんてこんな状態で思考できない。

 あのデッキで何が悪かったとかよりも、早苗達の―――

 

「っ……、駄目だ。それは考えちゃ駄目だ」

 

 口にしなければ早苗達を、姉さんや深緒、羽月を拒絶する事になる。

オカルトみたいな発言は流せばいい。けど今浮かびそうに、怨嗟に近い酷い言葉は口から絶対に出さない。

そこに、高ぶった感情が落ち着きを取り戻すと同時に“自己嫌悪”が重くのしかかってくる。嫌な考えばかりがぐるぐるとループし始めた

 

 解ってる。早苗達が理解できないというよりは理解しようとしない私に衝突の原因がある。

昔からこうなのも解ってる。引っ込みが着かなくなるのも、この間早苗とぶつかった原因だ。……考えれば考える程頭がぐちゃぐちゃになり、視界が滲んでくる。

 

「謝る…? 何をどう謝ればいいんだよ……」

 

 

「―――どうしたの?」

 

 

「っ!?」

 

 突然、背後から声を掛けられた。

驚いて顔を上げて振り向くと、そこには心配そうな表情をしてこちらを覗き込んでいる女性が立っていた。

ヤバい。不審がられたか。慌てて目元を拭う。

 

「……い、いや、何でも」

「…そうか。隣、いいかな?」

「えっ? あ、どうぞ…?」

「じゃあ失礼して」

 

 私の隣に腰を下ろした女の人。

顔を見れば、肩口ぐらいの黒髪に、似合わない大きい黒縁眼鏡て輪郭をぼやかしている。それと“赤と白の綺麗な装飾がなされたヘアピン”を×の字に交差させてこめかみ辺りを留めていた。

私みたく体操座りせず、少し楽な体勢をとっているから見えたが、服の胸元にもヘアピンを挿していた。それぞれ黄色、紫、緑、青。どれもヘアピンにしておくには惜しい装飾が施してあった。

 

「余計なお節介かも知れないけど、何があったか聞いてもいいかな?」

「………」

「…見ず知らずの人間が急にこんなこと言うのもなんだけどさ。ほっとけなくて」

「………」

「詳しく話さなくてもいい。……話したくないなら、それでもいいさ」

 

 困ったような笑顔を向ける名も知らぬ人。どうして私何かにこんな優しくするんだろうか。……明言は避けて、ぼかしながら顛末を話した。

 

「そっか。何と言うか、災難と言えばいいのか」

「災難…。そうですね」

「あー、言い方が悪かったかな。……うん。出会い方が悪かった、かな」

 

 なし崩し的にバトスピを始めて、よく分からないうちに荒波に揉まれて、気がつけばこれだ。

この人の言う通り、災難が降り懸かったのかも知れない。

貰ったカードも何もかも投げ捨ててきちゃったし、もうどうでもいいけど。

 

「……良ければさ」

「…はい?」

「良ければなんだけど、私と一緒にまた始めてみない?」

「……は?」

 

 この人は何を聞いていたんだ。あの災難をまた1からやり直せっていうんだろうか。それは御免被りたい。……あんなイヤな思いはしたくないし、感じたくもない。

 

「………」

「出会い方が悪かったなら、最初から出会い直さない?」

「出会い、直す?」

「うん。キミさえ良ければなんだけど」

 

 出会い直す。

イマイチ、意味が理解出来ない。

けど、何処か暖かいものを感じた。

 

「どうかな」

 

 ―――弱ってるところに、そんな優しくされてしまうと揺れてしまう。……手を取ってもいい、なんて思う。

見ず知らずの、今さっき声を掛けられただけの、名前も知らない相手なのに。

 

「……名前」

「ん?」

「知らない人にはついて行くなって、教わりませんでした?」

 

 今できる皮肉を精一杯返す。声が震えてたかも知れないが、顔を見ずに言ったから気付かれては無いはず。

 

「あぁ、そういや名乗ってなかったっけ。ごめんね」

 

 本当に忘れてたような素振りをする……お姉さん? 年上なんだろうけど、何処か抜けてるのか。

すると、改めて私に向き直り、真っ直ぐにこちらを見つめてきた。

 

 

「私は“悠姫”。

 緋立(ひだち) 悠姫(ゆき)

 キミの名前を聞いても?」

 

 

 ヒダチ、ユキ……。

何か、何か引っ掛かった。何処かで聞いたような……。

 

「あ、えと、凛々です。

 鴇峯 凛々」

「リリ、か。改めてよろしくね」

 

 差し出された手を怖ず怖ずと握り返し握手を交わす。

屈託の無さそうな笑顔を向けられて、ちょっと気恥ずかしかった。

 

「気を悪くしたら申し訳無いんだけどリンリンって言われたりしない?」

「よくからかわれます。…えっと」

「名前で構わないよ」

「じゃあ…、ユキさんは名前でからかわれたりしないんですか?」

「最近は結構増えたね。名前が悠久の悠にお姫様の姫って書くから、大学の友人に姫〜なんて呼ばれて困ってるさ」

「へぇ…。……オタサーの?」

「違う。絶対違うから」

 

 

―――――

―――

 

 

「あ……、もうこんな時間か」

 

 ふと辺りを見れば、夕日が沈みかけて周囲が暗くなり始めていた。

気が付かなかった…。話に夢中になるなんていつぶりだろう。

……どうしよう。戻ろうにも麗奈さんならまだしも、早苗やアイツに顔を合わせるのはばつが悪い。家にそのまま帰ろうにも荷物類をあっちに残してきてしまってる以上電車もバスも使えない。今更ながら馬鹿やらかした自分が情けない。

 

「聞く限り戻りづらそうだね」

「はい…」

「ん〜……」

 

 お互い困った。

悠姫さんはどうするか迷った……ところに懐から携帯を取り出し、どこかに連絡を取りはじめた。

 

「……あ、母さん? 連絡遅れてごめん。さっき帰ってきたんだ」

 

 どうやら家に電話を掛けているよう。

 さっき帰ってって事は、何処か旅行か何かに行ってたのかな。でも旅行なら鞄とか一切持ってないみたいだけど……先に送っていたのか?

 

「その、ちょっと相談なんだけどさ。――えっと、“友人”を一人、泊めてあげたいんだけど……」

「!?」

「いい? ありがとう。もう少ししたら戻るよ。それじゃあ」

 

 と、泊まる?泊めていただける、のか? 有り難いけど良いのだろうか。名前も知ったけどさっきの今で宿泊は、人を信用し過ぎなのでは?

……あ、それに連絡も…。

 

「勝手に決めちゃったけど、いいかな?」

「は、はい。すみません…」

「いやこっちこそ。それと、親御さんについては心配しなくても大丈夫だよ」

「…え?」

「麗奈さんが連絡入れてくれてると思うからね」

 

 それは助かる…、けど、麗奈さんと知り合いなのか? 何だか信頼してる口ぶりだけど。

 

「じゃあ行こうか」

「お、お邪魔させていただきます…」




こんな短いの投稿するの初めて!でも長いとくどいしだれるだけなのん…。
主人公をナンパ…じゃなくて保護したのはいったいなにものなんだー
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