ダンジョンで狩人に出会うのは間違ってるだろうか   作:夜明けの戦

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夜が明ける
そして新たな一日が


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ふっと意識が覚醒する、何度となく繰り返したこの感覚、最初の頃は啓蒙が足りなかったのかそれとも途中で発狂でもしたのか記憶の一部が消失していたのを思い出す、自身の筆跡なのに書いた記憶のないメモを何通か発見した時、何とも言い難い不安感に襲われたものだ、だがもう慣れた。

 

狩人は上半身をお越し見慣れた診療所の寝台から降りようとして・・・・・・出来なかった。

 

「・・・・はぁ?」

彼があげたことのないような声、マスクの下が見えたなら間違いなくポカーンとしたアホ面を晒していたであろう。寝台もなにも彼が寝ていたのは床それも薄暗い建造物のだ、凡そ超常な事柄には事欠かない体験をしてきた彼だが、それらには嫌悪や恐怖といったものが多く含まれていただけにこのような緩い状況、しかも何百、何千と繰り返した慣れと違うこともあいまって彼は不覚ながら隙を晒してしまった。

 

「ゲギャギャ!!」

声に気付き後ろを向けば其処には・・・・緑の小男が立っていた、それも3人?も

 

(なんだ、コイツらは?)

見たこともないタイプの獣かと最初に思ったが頭の中を「あれは違う」と妙に確信めいた考えが支配していた、それにあれらは別の何かと似た感覚があるような気がした、と言うよりコイツらの見た目に心当たりがあった、まだマトモな世界観の中で過ごしていたころ親より寝物語などに聞かされた存在『ゴブリン』種族は妖精、小鬼など諸説あるが総じてずる賢い小悪党、そんな彼等が此方を見てニヤニヤわらっている、どうやら数で勝っていることを良いことに襲い掛かろうと言うらしい、それに対して狩人は・・・・特に何もしなかった。

何故ならば、彼等から全くと言って良いほど威圧感や危機感を感じ無かったし、既に彼の間合いに入っているのに奴らは一切警戒してないからだ、まあ、経験上一応は武器は出しといたが。

 

行き成り狩人の手に物が現れたのを見て若干警戒を強めたのか、狩人を取り囲むように三匹がジリジリと動いている、一匹が狩人の背後に回ったとき彼等は飛びかかってきて・・・仲間にぶつかった、何て事もない狩人が軽く横にステップして避けたら正面に居た仲間にお見合いしただけの話なんだが、その速度が問題だった、一瞬姿が消失した様に見えるほどの速さ、狩人自身も驚いていた、やろうと思えば出来ない事も無いがそれにはある道具が必要なはずであるが、今自分はそれを装備してない、何故失われた筈の最初期の狩人の技が自分に再現できてるのか不可解な事が立て続けに起き、軽く頭痛さえ感じてきた気がした。

 

(はぁ、考えなくてはならないことがまた増えてしまったな)

内心溜め息を吐いているとゴブリン共が態勢を立て直し一斉に襲いかかってきた、ふっと彼はある考えを試してみることにした。まずは、避けて、避けて、避け続ける、そして焦れたゴブリンの一匹が隙だらけの攻撃をしてきた時・・・それを態と受けた、結果は絶望的だった・・・ゴブリン共にとって。

大振りの隙だらけながら体重の乗った全力の拳を受けた感想は精々女子供に軽く押された程度だった、彼にとっては、だがそれを行ったゴブリンにとってはただ事では無かった、殴った自身の拳は砕け、腕にもダメージがいっていたのだ、今もギャーギャー喧しく耳障りな泣き声をあげている

 

(喧しいな、もう用も無い、潰すか)

そう考えた彼は武器を仕舞い、拳で殴りかかった、結果は先程のゴブリンの真逆となった、哀れ狩人の鉄拳を受けた個体は血の花を咲かせることになった。

その後は残りの者も処理し彼は身体の調子を確かめる為に少し武器を振る、やはり以前より体が軽い気がする、此処を出る前に少し調整が必要かもしれないと彼が考えていると、壁の方から何やら音がし出した、そちらに目を向けるととんでもない光景が待っていた、壁から獣が今まさに生まれようとしている、壁に亀裂の様なものが現れたと思ったらその中心から狼・・・いや、これは犬の獣?だろうかが這い出てきている。

 

(成る程、先程から感じていた大きな気配はこの迷宮(ダンジョン)そのものか、またとんでもない上位者(バケモノ

)も居るでわないか、クックク、まあ良い何時もと同じだ狩ってしまえば良い!!)

そう断じると狩人は獣?に飛びかかった。

 

そこからはまさに虐殺と呼んでも過言ではない光景が繰り広げられた彼が獣のような者と思ったモンスター、コボルトが彼方此方に斬られ、潰され、穿たれ、燃やされ、溶かされ、様々な方法で殺されていた。

 

ある程度身体の慣らしを終えた頃、通路の奥から何やら此方に向かってくる者がいる、まあ何が来ようとこの階層の連中ならば問題無いだろうと構えていると姿が見えてきた。

それは白い髪、血のような赤の瞳の少年だった、彼は後ろに二匹のコボルトを引き連れて走って来ていた、後ろに気を取られているのか彼はまだ此方に気がついていないようで足下に在るそれに気付かず盛大にスッ転んだ。

少年の足下には先程から狩人が狩りまくったコボルトの死体が散乱しており彼はそれに蹴躓き狩人の目の前に倒れ込んだ。

 

「す、すいません、人が居ると思わな・・く・・て・・・」

彼は謝罪しながら起き上がり此方を見て

 

「うっ」

 

(うっ?)

 

「うっわあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

悲鳴を上げた。

これが後に『世界最速兎(レコードホルダー)』と呼ばれるベル・クラネルと『血の超越者(ブラッドローラー)』と呼ばれる狩人の出会いであった。




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