アイドルマスター わんふぉーおーる?   作:てんてこまい

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始まりの日①

プロデューサーさん、お元気でしょうか?

 

プロデューサーさんがハリウッドに行かれてから早いもので半年以上

経ちましたね。

 

日本は連日真夏日が続き、暑い日ばかりです。

 

でも、そんな暑さに負けずに私達は以前と変わらず皆で力を合わせて

頑張っています。

 

しかし、一方で変わって来たこともあります。

 

1つは私達に後輩が出来ました。

 

どんな子達かというと…なんと、アリーナライブでバックダンサーを

務めてくれたアイドル候補生の皆がスクール卒業後に765プロに

入ってくれました。

 

少しずつお仕事も増えてきて、昨日は生っすか!?にも出演するなど

彼女達も頑張っています。

 

もう1つの変化は765プロダクション専用の劇場が作る事になりました。

と言っても、売却に掛けられていた劇場を買い取り、改装をすでに始めて

いますから、なりましたっていうのは変かもしれませんね。

 

社長や律子さんの話では劇場が本格的に稼働すれば、新人育成と私達1期生が

定期的にライブを行いやすくなるだろうとの事です。

 

アイドルが増えたことによりマネージャーさんや事務員さんも雇う方針

みたいですし、今後ますます賑やかになっていきそうです。

 

ただ、プロデューサーさんがいないのは私を含め皆寂しいですし、

プロデューサーさんが揃って初めて765プロダクションだと思っています。

 

私達の為の研修とわかっていますが、プロデューサーさんが早く帰ってくること

を皆待っています。

 

でも、身体を壊すような無理だけはしないで下さいね。

 

本当は書きたいことは沢山あるのですが、長くなったので、

今回のお手紙はこの辺にしておきます。

 

では、またお手紙書きます。

 

天海 春香

PS それとお返事下さいね。最近手紙がないって皆怒ってますよ。

 

 

 

 

 

「はるるん。それって兄ちゃんへの手紙?」

 

私が事務所のソファーに座り手紙を書いていると、真美が話かけてきた。

 

「そうだよ。最近、プロデューサーさんからお手紙が全然こないからね。

催促も含めたお手紙かな」

 

「……ねぇ、はるるん。便箋余りあるならもらってもいい?」

 

左のサイドテールを弄くりながら真美が頼んでくる。

 

「もちろん。真美も一緒に書いて、返事を絶対貰おうね!」

 

と言い、私は余った便箋を渡した。

「ありがと、はるるん。何書こうかな……」

真美は便箋を受けとると、今は主が不在になった窓際の席に行ってしまった。

 

最近取り付けられたアウターシェードのおかげで、日の光が直接当たらなくなったが、

それでもこの時期のあの席は非常に暑い。

 

しかし、わざわざあそこで手紙を書くのは真美なりの寂しさのまぎらわせ方なのだろう。

 

まあ、その心情が想像出来るのは、私も同じ様な行動をこっそりしているからという

のは秘密だ。

 

そんなことを考えていると、

 

「春香ちゃんはお手紙書き終わったの?」

 

と小鳥さんが尋ねてきた。

「はい。さっき書き終わりました」

「うーん、手紙じゃ愛を伝えるのに物足りないっていう顔してるわね」

 

「ふえっ!?こ、小鳥さん!!!」

「あれれ、春香ちゃん。どうしたのかな?」

小鳥さんは悪戯を企んだ子供の様な顔で追い討ちをかけてくる。

 

抗議の目を向けるが、事務服の女性は全く気にした様子もなく、舌を出し、

ごめんねと言っているが……絶対反省してないよね、あの顔は。

しかし、反論しようとしてもからかわれるのは目に見えてる。

 

ちょっと悔しいけど、逃げるが勝ちと考えなおし、無言でテレビをつけた。

 

 

『765プロオールスターズの次世代ユニットと期待される…』

 

 

テレビではちょうど芸能ニュースが放送されていた。

 

「可奈ちゃん達も少しずつメディアに取り上げられるようになってきたわね」

「そうですね。でも可奈ちゃん達ならもっともっと有名になれますよ」

 

「あら、トップアイドル天海春香からお墨付きね」

「………ト、トップアイドル?わ、私がですか!?」

「実感ない?」

「……」

 

確かに今はドラマ、舞台、バラエティと色々な仕事に恵まれている。

そういう点ではトップアイドルと言われても不思議ではないのかもしれない。

 

しかし、去年行ったアリーナライブのように、ファンの前で仲間たち皆で一緒に楽しく、

歌い踊るのが私の中のアイドル像だ。

 

現在、765プロはプロデューサーが律子さんの1人という状況。

しかも、可奈ちゃん達を優先に律子さんは動いている。

そのため、グループ全体での定例ミニライブは勿論、私個人のライブ

もしばらく行っていない。

 

だから今の私はトップアイドルと言われても実感が湧かないのだ

 

「……ライブしたいな~」

 

「ふふ、他の皆と一緒の事を言ってるわね」

 

「皆も同じことを?」

 

「ええ。それに高木社長や律子さんも現在のようにライブが自由に行えない状況

は好ましくないと判断したから、 劇場を作る事を決定したのよ」

 

「じゃあ、もしかして……」

 

「劇場のお披露目もあるし、近いうちにライブを行うと思うわよ」

 

「そうだといいんですけど。……ってこの曲は」

話し込んでいるうちにテレビは次の話題になり、最近よく街中など耳にする

歌が流れ出す。

 

『次は来日予定のアメリカの歌姫の話題です』

「噂の歌姫様の曲ね。春香ちゃんはこの子の曲は聴いたことあるの?」

 

「千早ちゃんが教えてくれてから、よく聴いてますよ」

 

「そっかー。どんなカンジ?」

 

「すっごくカッコいい曲が多いですよ。それに何ていうか……」

 

「?」

 

「えへへ、何でもないです」

 

 

『来日後は音楽番組を中心に新曲披露やPV撮影を行うと噂になっており、

今後のスケジュールの発表が待たれます』

 

「ふーん。そういえば春香ちゃんそろそろ出発した方がいいんじゃない?」

 

 

『また、番組に入手した情報によると彼女を……』

 

 

事務所の時計を見ると、いつの間にか急がないとマズイ時間になっていた。

 

「ホントだ!じゃあ、私行ってきますね」

 

リモコンでテレビを消し、近くに置いていた荷物を手に取る。

そして、ソファーに座っているお姉さんと事務席に座っている

妹のような女の子に対して、

 

「小鳥さん、行ってきます!真美もまたね」

と挨拶をすると、慌てて事務所のドアに向かった。

 

「春香ちゃん、行ってらっしゃい」

 

「はるるん、便箋ありがとー。それと気を付けてね~」

 

二人の挨拶を背中で聞いて、私は事務所の階段を駆け下りる。

 

「まだお昼前なのにこんなに暑いなんて……。うう~、でも急がないと」

 

外の予想以上の暑さに思わず独り言を呟いてしまう。

 

タクシーに乗るほどの距離ではないが、歩いていく程時間に余裕はない。

仕方ないので真夏の太陽の下を走って目的地に向うことにした。

 

 

……これが765プロ始まって以来、最大となる事件の幕開けの日だった。

 

 

 




メンタルは弱いので優しくしてくれると嬉しいです。
携帯やタブレットなどどの機種を意識して改行すれば良いのかが
分からないためなど読みにくい可能性もあります。
誤字・脱字を含めご指導頂ければ幸いです。
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