カタカタカタッとリズミカルな音が部屋に響きわたる中、俺は隣にいるクー(クロエの愛称だ)と他愛のない会話を交わしながら、ことの成り行きを見つめていた。
一体何をみつめているのかというと・・・
「うーん、ここをこうしちゃうとこっちがな~。でもやっぱりこれは捨てがたいし~」
...束姉(たばねえ)がISを整備しているのを見ているのである。
この光景は何度か見ていて特段目新しいものはないのだが、今回ばかりは事情が違う。なぜなら、今、束お姉ちゃんが作っているのは、俺とクーの専用機だからである。
「ふぅ、これでクーちゃんの方は大体終わったかな。後はフィッティングとパーソナライズをした後、機体駆動の微調整だけだよ。」
「はい、ありがとうございます、束様」
「もう、固いな~、クーちゃんは~。ママでいいって言ってるのに~」
「いえ、やはりこういうことはきちんとケジメをつけるべきだと思うので」
「難儀だな~、ま、そこが可愛いんだけどね~」
「///」
...相変わらず、束姉はクーを照れさせるのがうまい。
それにしても俺に専用機か...
最初は女性にしか使えないと聞いていたから、一生使うことはないと思ってたんだが、つい最近ふと思いついたように束姉が俺のIS適性値を計ってみたところSランク(・・・・・)だった。クーも同様にSランクだったようだ。
そこで束姉が腕を振るって専用機を用意してくれると張りきって今日は徹夜二日目。
ようやくクーの専用機が完成間近となった。武装を見ると、明らかに遠距離型となっている。
クーは射撃の腕はそんじょそこらのスナイパーと比べると月とスッポンという程のものがあった。(勿論月がクーだ)
だからこそなのだろう、二十程の武器の中の大半が銃となっている。万が一敵に近づかれた場合の為、剣が二本入っている。因みにクーは二刀流の使い手だ。
機体の色は少しくすんだ銀色、クーの銀髪と相まっていい感じに似合うだろう。
と、こんなことを考えていると、どうやら微調整も終わったらしい。
「次はローくんだねー」
「...よろしく。」
「でも実はねえ、ローくんのは殆ど終わってるんだ~」
「......えっ。」
「クーちゃんのと同時進行でやってたからあとは武装の確認と微調整だけだよ~」
「...フッ流石束姉、すごい。」
どうやら俺の姉はいろいろ規格外らしい。
今、束姉は先程と同じ様にデータ入力を行っている。一体作り終えたためか、心なしか作業の手は軽い。
「ねえ、ローくん」
「...何?」
「ローくんは遠近両用だよね」
「...それで?」
「近距離用は剣二本と槍二本でいいとして、遠距離用は何がいいかな?」
「...ビットで」
「ああ~、確かにローくんの性格にぴったりだね。よし、じゃあそれは決定で、後は?」
...心なしか酷いことを言われた気がするが気にしないでおこう。
...ビット以外の遠距離武装か。...よし、あれにしよう。
「...束姉」
「何々?欲しい武装決まった?」
「ワイヤーブレードがほしいかな」
「なるほど、そう来たか~。・・・・ローくん中々意地が悪いね~」
「...じゃあお願い」
「はいは~い、2時間くらい待っててね」
...武装を積むのに2時間だけって流石束姉。
伊達に天才(天災)と呼ばれるだけのことはある。
それにしても2時間か、終わるまで何しよう。...クーと遊ぼう。
私は今、キッチンにて昼ご飯を作っています。
元々料理担当として、束様に拾われた私ですが、当時戦闘技術以外持ち合わせていなかったので、初めて料理なるものを作った時は、何だか得体の知れないものが出来上がりました。
その料理を食べられた束様は「・・・ちーちゃんよりはいける」と小声で呟いていたのを覚えています。
それから一ヶ月程してから、兄様がこのラボに現れました。このラボは宙に浮いていて、しかも超高性能のステルス機能を持ち合わせているので、誰にも見つかるはずはないのですが、何故か兄様は入口で倒れていました。
・・・一体どうやって入ったのでしょう?それはさておき、兄様は自分に関する情報以外は何も覚えていらっしゃらない様でしたが、束様に引けをとらない程の頭脳を持ち合わせておられ、教えられたことは全て覚え、そのどれもを極められました。
勿論料理も例外ではなく、私は兄様に料理を教えていただくよう頼みました。
兄様は嫌がらず、私が一般レベルに上達するまで、ずっと教えて下さいました。
兄様に教えを受けて三ヶ月程経ったころ、私はようやく料理が出来るようになりました。
今はこうしてご飯を作るのを一人で任されるほど、上達しました。これも全て兄様のおかげです。(どうやら束様も教えていただいたらしいのですが上手くならなかったようです。)
その頃からでしょうか、私は兄様を見ると不意に胸が熱くなったり、甘えてみたくなったりしたのは。
このことを束様に聞くと、「遂にクーちゃんも、・・・フフフッ」と質問には答えていただけませんでした。この気持ちは一体何なのでしょう?
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