ルイズがチ◯コを召喚しました   作:ななななな

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第十一話

 

 

 

 時の流れとは不思議なもので、場における状況や中心にいる人物の心象次第で、それはたちまち平等なものではなくなる。

 

 だからこの場で過ぎ去った時は、彼女たちにとっては刹那だったのかも知れないし、もしくは那由他だったのかも知れない。

 一瞬とも無限とも言える硬直の後。

 先に動いたのは、すっぽんぽんの天使だった。

 

「離して」

「はい」

 

 一小節の短い命令は、有無を言わさぬ強さと闇が籠っていた。キュルケはそれに逆らえないし、そもそも全部全部自分が悪いと分かっていた。

 「長さ」はそれほどでもないが、キュルケが『通り過ぎていった』男たちのものより硬度があるように感じる「それ」から、ゆっくりと手を離す。

 キュルケがルイズを見れば、彼女は上半身だけ浮き上がらせ、空虚の瞳を輝かせていた。ちなみに下半身の半身も未だ浮き上がっている。

 

 

「……サイレント」

「え?」

「サイレント、かけて」

「え、あ、はい」

 

 ルイズの凍える呟きに、キュルケはやっぱり逆らえない。

 己の胸元を探り杖を取り出そうとしたが、そこにはたわわな果実しかなかった。

 はっとして部屋の扉を見ると、そこには先ほど落してほったらかしにしていた己の杖が転がっている。

 ちょっと待ってて。キュルケは震える声で告げる。ルイズも落ちている杖に気付いたのか、何も言わずこくりと頷いた。キュルケはそれが普通に怖かった。

 

 行きのときと同じく、震える足取りで扉まで赴く。その僅かな間で、キュルケは万に等しい後悔をしていた。少なくとも彼女は英雄ではなかったということだ。つまり馬鹿だった。

 扉に到着。正直、逃げ出したい。何もかもなかったことにして、自分の部屋のベッドにもぐり、総じて夢だったことにしたい。

 ――それが出来たら自分はどうなるのだろうか。考えたくも無かった。後ろから突き刺さるルイズの視線は、あらゆる生物を貫かんほどに鋭く、暗い。

 

 部屋全体に、遮音の魔法を掛ける。キュルケがルイズを覗う。ルイズはまた頷き、何も言わず、いそいそと着替えだした。

 腹部についた白く青臭いルイズのルイズによるフランソワーズから繰り出されたヴァリエールの苗木は、とうに拭い取られていた。

 キュルケは石像のように立ったままだ。その様子をちらりとも見ず、やがてルイズの着替えが終わる。いつものスカート、いつもの制服。きっちりマントもつけた。杖を手に取る。

 

 ぎゅいん、とルイズの左手のルーンが超極光を放っていることにキュルケが気付いたとき、可憐な少女の小さい口が、がばっと開いた。

 

 

「ばか! あほ! まぬけ! いんらん! いんらん牛女! ああああ、あんた、なになになナニを、なにを――ー!」

 

 ああ、この子、興奮すると呂律が回らなくなるんだっけ。可愛いじゃない。

 頬を熟れた林檎よりも赤く染めてひたすらに捲くし立てるルイズを尻目に、キュルケは現実逃避気味にそう思った。

 罵倒の言葉は甘んじて受け入れた。はい、私は馬鹿です。唐突に脈絡なく理由もなしにヒトのナニを握っちゃう頭がアレな女です。

 

「ばか! すけべ! ばか! いんらん! おっぱい! ばか! この、えろおっぱい! あんた、あああんた、一体、ナニを考えて――ー」

 

 内包する語彙力が限界を迎えたのか、罵倒の種類が少なくなったところで、キュルケはふと、あることに思い至った。

 そもそもの問題として、なんでルイズにナニがついているというのだ。ではなんでお前はソレを躊躇いなくアレしたんだという思考は、放棄した。人間は都合のよい生き物なのだ。

 自身のアレっぷりを棚上げして、キュルケは考える。と言うか、もしかして、もしかして、この子は。

 衝動のまま、キュルケは口を開いた。開いてしまった。つまりは馬鹿だったのだ。

 

「ねぇ、ルイズ、あなた……男の子……だったの?」

「――――!? ――――! ――――!」

 

 それが所謂『火に油を注ぐ行為』であると、優秀な火のメイジたるキュルケは気付くことが出来なかった。

 言った後の、声無き高周波式怒り絶叫で、ようやっと獣の尾を踏んだことに至った。今日の彼女は、少しうっかりさんだった。

 屈辱のヴァリエール長男疑惑を掛けられたルイズは、だんだんと床を激しく踏んで、全力で怒髪天を衝いている。

 

「だだだだ、誰が男か! わ、私は乙女よ! ちゃんとアッチの方もあるわよ! ななナニはああああ後付で、むしろソッチが本体! なななな何よ! 何なのよ! 見る!? 確かめる!?」

 

 強い意思を秘めていた筈の輝石たる鳶色の瞳は、今やぐるんぐるんに混沌が渦巻いている。

 精神が昂奮に巻き取られてしまっているルイズを見たキュルケは、彼女の言っている意味はよく理解できなかったが、頭はなんかもう逆に冷静になってしまった。

 

「……ルイズ。落ち着いて。分かった、分かったから。何もかも全て私が悪かったわ。ごめんなさい」

「ここここ、こここれが、お、おおおおおおちおちおちんち、落ち着いてい、いい、いいいられるかー!」

「ああ、ああ……」

 

 同情の域まで上り詰めたルイズの激しい狼狽具合に、キュルケは閉口することしか出来ない。

 おちついてはいないけど、おちんちんはついているのね、なんて、言えるわけが無いのであった。

 

 

 んで。

 

 一頻りの罵詈雑言と怒りをぶち撒け終えたルイズは、これが生産性のない行為だと思い至ることが出来た。成長である。やったね。切欠はチンコだ。やったね。やってねぇよ殺すぞ。

 落ち着け、落ち着け。魂の熱を取る。精神の均衡を考える。余計な雑音を除いた水平の思考は、やがてルイズに一つの選択を促した。

 

 ――キュルケに、全てを説明する、という選択だ。

 

 究極的な話、知られたくなかったのはチンコが着いているという点である。

 一番の汚点で、一番の恥部で、一番馬鹿馬鹿しいその事象そのものが、何より厄介で何より秘匿にすべきことだった。

 

 だが、ばれた。

 

 ヴェールに包まれた闇の秘密が、白日の下になってしまった。もう死にたい。なによりキュルケに知られてしまったところが特に。

 では、それらが顕になってしまったとしたら、はて、どうしたらいいのだろうか。

 何も語らず、全てを忘れろと言うだけでいいのか。癇癪で無理やりに押し切り、全てをなかったつもりにするのが、果たして正鵠なのだろうか。

 

 違う、とルイズは否定する。

 もうこうなってしまったら、一番にやるべきことを考えるのだ。そうなれば、決まっている。キュルケに黙っているように釘を刺すこと。これだ。

 けれど、ただそれだけを言えば、キュルケはキュルケで不審に思うだろう。いや、既に思っている。なぜチンコついてんの? と。

 今彼女は、校則違反のアンロック使用による部屋への無断進入と、頭沸いているレベルの朝這い、これらの負い目により大人しくしているが、さて、いつまでもそうしおらしい態度でいるだろうか。

 

 何れ確実に産まれ出でるキュルケの好奇心が、ルイズの首を絞める、可能性があった。

 彼女が無責任な風説を流さないという根拠もないし、正直、ここまで来たら探られて痛い腹もない。

 チンコ以上の謎なんて自分にはないのだから。そもそも普通の女の子はチンコなんてないわよ殺すぞ。

 意味も無い恥を捨て、役に立たない意地は捨てるべし。淡いルーンの光が、踏み出した一歩を後押ししていた。

 

 

 

「――そう言うわけよ」

「ええ……」

 

 

 だから、言った。幾分か喚いて、幾分かすっきりとした気分になったあと、ルイズは神妙に切り出した。全てを話すと。

 キュルケはただならぬ事態を読み取って、静かに聴いていた。そして顛末を理解してドン引いた。

 

 使い魔がチンコとは一体どういうことなのか。使い魔がチンコということだ。

 

 哲学の様に深い議題だ。ひょっとしたら、その底なんてもないのかもしれない。冒涜的な深淵を覗き込んだ気分だった。

 朝日齎す爽やかな光が、ルイズの部屋へと淡く降り注いでいる。キュルケは頭痛を覚えた。休日の朝に相応しくない、胃がもたれるにも程がある話だった。

 ただ者ではない、とは思っていた。時代遅れの潔白主義、古き良き貴族でありながら、けれど碌な魔法も使えない。前代未聞の少女だと、そう思っていた。

 

 どうやら、己はまだまだ彼女を見誤っていたらしい。キュルケは一人得心する。ルイズの奥は、闇の様に深い。

 

「ねぇツェルプストー……」

 

 半ばヤケクソ気味に心中でうんうんと頷いていれば、目の前のルイズが粘ついた呟きを出した。瞳の艶は泥沼の様な煌きを放っている。恐怖を煽るような輝きだった。

 

「もし、もしよ? もし、私に着いてるアレを、こう、言いふらしたりなんかしたら……」

「し、したら……?」

「最終的にハルケギニアがどうなるか、私にも分からないわ」

 

 規模がでかい……!

 

 キュルケは戦慄した。

 恐らくルイズの中では彼女なりの理論や工程があるのだろうか、その過程を省いた上での結果が世界の危機だ。一体何が起こるというのだろうか。

 実際問題どうなるかはさておき、ルイズにはそれだけの覚悟があるというは、かろうじて理解できた。

 

 混乱が収まり、畏れ、慄き、戸惑い、後悔。様々な感情が飛来した。次にキュルケに届いたのは、同情と憐憫だった。

 あんまりだ、あんまりすぎる。神様はルイズに何の恨みがあるんだ。初めての魔法成功が、チンコを使い魔にすることなんて。

 正式には部分召喚で、どこかに本体のヒトがいるという説明は、なんの慰めにもならないだろう、キュルケはそう思った。そもそもなんでチンコなんだ。だからチンコってなんなんだ。

 貴族とか家系とか好敵手とか。様々な柵抜きに、人間として女として、キュルケはこの運命の仕打ちを許せなかった。最後に彼女に残った灯火は、怒りだった。

 

 

「ねぇ、ルイズ、それ……取らないの?」震える声で、キュルケはそう言った。怒りで震えているのか、緊張で単に上ずってしまっただけなのか、自分でも分からなかった。

 

 元より積極的に個人が抱えている問題に突っ込むのは、キュルケの趣味ではなかった。しかし、言葉は止まらなかった。

 出来る出来ないはともかくとして、もしなかったことに出来るとしたら、なかったことにした方がいい。

 キュルケにある感情は鏡面性によるものだ。自分がもしこうなら、こういう目にあったとしたら――とても許せるものではない。

 女性に男性器がつくというふざけきった運命は、そういう思いを産む。少なくともキュルケにとっては。

 

 対面にいるルイズは、哀れみと義憤のような光を持つキュルケの視線を敏感に感じ取っていた。 

 それに何を思うことなく、一瞬、器用に片目を瞑った。すぐ開けた。

 暗闇の光景は見なかった、どうせ決まっている。黒犬と幼い自分が寄り添っているに違いない。全てはそこに帰結し、それが全てなのだ。ならば。

 

「……これでも、私の使い魔なのよ」

 

 存在する全ての虚無的情感は、もう制圧していた。決してなくなりはしない。けれど、受け入れている。何もかも。

 口に出したのは、それでも自身の中で燻り得る、外面を守るだけの安い誇りのような何かを、完膚なきまでに打ち消す為だ。しょうもない見栄なんて、何の役にも立たない。

 どうしようもなく厄介で、みっともないほど下らなくても。だけど。けれど。だからこそ。

 

「いつまでも、いつまでもずっと、このままとは言わない。でも、世界の何処かに、コレの本体がいる」

 

 ルイズは、前を向いていた。

 

「方法や可能不可能は後で考えるわ。だけど、私はコレをきっちりと返却しなければならないのよ。それが私の責任だから」

「そう、なの」

 

 キュルケは目を瞬かせて、細い声で呟いた。

 朝焼けの陽光が差し込んで、部屋の主たる少女を堂々と照らしている。

 煌く桃色の髪は艶やかに流れ、腰に手をあてながら真っ直ぐに前だけを見ている様は、小柄な者とは思えぬ存在感を放っていた。

 

 これが、これこそが。キュルケは思う。

 自身が感じた怒りややるせなさが鏡の反射のようなものとするならば、そもそも事態の張本人であるルイズが、そう思わない筈がないのだ。

 怒りがあった筈だ。苦しみがあった筈だ。悲しみや惑いが確かにあって、それは他人では計り知れないものであった筈なのだ。

 

 その筈、なのに。

 

 どうしようもない光を放つ太陽を間近で見しまったかの様に、キュルケは目を細めた。

 今一度確信する。キュルケはルイズを見誤っていたのだ。

 ――杞憂だった。精神の変性、それによる堕落。この少女に、そんなものはない。変域があったとしても、それはただ前進する為の挙動なのだ。

 馬鹿みたいに正直で、馬鹿みたいに真っ直ぐで、だけど素直になれなくて。だから周囲に合わなくて。そして魔法が使えない。

 孤独と無能の少女、ルイズ・フランソワーズ。

 

 けれど、ああ、彼女はこんなにも、誇り高い。

 

 運命を否定せず。運命を恨まず。ただ前を向く少女。

 直感的に、キュルケはこれこそが己の見たかったものだと、見たかったルイズの姿だと、そう判断した。

 眩い輝きを放つ、愚者の少女。それこそ、自分の好敵手に相応しい。

 

 だから、だろうか。

 

 

「……笑いたいなら、笑いなさいよ」

「笑わないわ」

 

 口を尖らせて言ったルイズの言葉を、キュルケは即座に否定した。

 間違いなく本心だった。対面する少女の鳶色の瞳がキョトンと丸くなったのを見て、キュルケは穏やかな顔つきで口を開く。

 

 

「笑えるわけ、ないじゃない」 

 

 ルイズの選択を、キュルケは笑わない。ルイズの責任を、誇りを、キュルケは笑わない。

 二人の貴族の子女が、小さな部屋で向かい合っていた。ただ二人で、見詰め合っていた。 

 

 

 ――あれ? なにこの空気。

 

 ルイズは人知れず混乱していた。

 目の前にはかつてない程優しい顔のキュルケがこちらを見ている。さっきまでナニを握っていた馬鹿とは似つかないぐらいに、聖母のような包容力がある顔つきだった。

 なんだお前その顔は。そしてそのおっぱいは。たまんねぇぜ。

 口を出そうになるその言葉と衝動を、ルイズはぐっと飲み込む。胸焼けしそうなほどにくどい味だった。

 

 そもそもルイズは『チンコくっつくという馬鹿馬鹿しい事象を笑え』という意味合いで言ったのに、何故だかキュルケは妙に真剣だ。

 別に笑い飛ばして欲しかった訳ではなく、先の夢のように、飄々と、いつもの様に、すかした感じの返答をして欲しかったのだ。

 それがルイズから見たキュルケであり、ルイズにとっての日常であるからだ。つまり暗にいつもどおりに接しろ、と言ったのである。

 結果がこのなんとも言えぬ空気感である。部屋全体が桃色のお馬鹿な色から白黒の乾いた色に模様替えしたようだった。

 

 刹那ではなかった。しかし那由多でもなかった。

 微妙な雰囲気から成される絶妙な時間経過は、二人の少女に気恥ずかしさを宿した。

 キュルケはらしくない己の真面目さについ目を逸らし、ルイズは『目を見るのは照れくさいから』と理由付けて視線を褐色の弐双型ファイアー・ボールに寄せている。左手はピッカピカだ。

 そんな中で先に動いたのは、イケナイ果実たゆんたゆん、こと、キュルケだった。

 

「あ、あの、る、イズ?」

「な、なに、よ……おっ、きゅ、キュルケ……」

「あの、その……ね、その」

「なに、なによ……はっきり、い、言いなさいよ」

 

 二人はもじもじと、視線をあちこち飛ばしつつ、頬を指で掻きつつ、とにかく所在無さ気に動きつつ、意味を成さない会話を交わしていく。

 実を言えば、話を振ったキュルケは別に何か言うべきことがあった訳ではなかった。彼女もこの空気に耐えられなかったのだ。

 そしてルイズはキュルケの問いなどは別にどうでもよかった。ただ空気の入れ換えを彼女の台詞に求めただけなのだ。不毛な会話であった。

 

「えと、えと……その、ね、ルイズ……」

「う、うん……」

「な、ないしょに、しておくから……あなたの、それ、それ、を……」

「あ、ありがと……」

「いや、元はと言えば私が悪いんだし、そんな、お礼なんて」

「うん……でも」

 

 部屋の模様替えがまた行われたようだった。ラズベリー色の青春である。つまり甘酸っぱいのだ。

 関係性の構築において一番の難所は、その最初である。そして二人は、互いの家系的な事情やその他の事柄で相容れにくい空気を作り上げてしまっていた。

 だから、これが最初。これが始まり。二人の関係の、正しい開始。

 

「か、帰るわ!」

「あ、う、うん」

 

 そんな初々しい薄紅色の世界に気恥ずかしさを覚えたキュルケは、顔を赤くしながら、さっさと踵を返した。

 ルイズもまた白磁の肌に微熱を乗せて、こくりと幼子のような頷きを送った――ー所で、いち早く、我に返った。左手が光っている。

 

 

「――ちょっと待ちなさい」

 

 扉へと向かうキュルケの腕を、背後からがしりと掴むルイズ。

 その力は見た目以上に強く、きつい。キュルケはぎょっと振り向いた。

 

「な、なによ?」

「……あんた、そもそも何しに来たの?」

「あっ」

「はぁ……」

 

 

 一日は、まだ始まったばかりだった。

 

 





劣等感を描写したい。
そこから産まれるもの全てを、たとえば受け入れたり、時にははね除けたりした後の行先を、きっちりと表現したい。
だけど僕の力量でそれをすれば、物語性がひたすら重く、暗いものになってしまう。
そういった雰囲気そのものを主題にはしたくないし、個人的に、楽しい気持ちで描きたいという思いもある。

女の子にチンコつければ全てが解決すると気づくのに、三年かかった。もっと才能が欲しい。

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