剣崎が去った後の765プロ。
次の現場に向かうため、愛原は準備をしていた。
「よかったのかね?」
ふと社長が愛原に問いかける。
「えっ、何のことですか?」
「彼の事を、剣崎君に話しても。」
愛原もいささか不用意だったと感じている、何せ内部情報をもらしてしまったのだから。
だが、愛原は剣崎と榊が古い友人で、再び会う事できるかもしれないことを純粋に喜んでいた。
「あはは・・・。すみません。でも、良かったんじゃないかって思うんです。友人同士ですしね。それで彼らが再開してまた仲良くやってもらえたらそれはそれでいいんじゃないかって。確かに彼をスカウトしたいって思うのは変わっていませんよ?でも、それとは別に・・・ただうれしいんですよ。・・・やっぱりまずかったですかね?」
「キミと言う男は・・・。いや、キミが良いならば私がいうことは何もないよ。すまないね、時間をとらせてしまって。」
「いえいえ、そんな。」
愛原一心とはこういう人間なのだ、どこまでも誠実でまっすぐだ。
「では、そろそろいってきますね!」
「ああ、いってらっしゃい。」
次の現場に向かう途中、愛原はふと思う。
できるなら榊とともに働くことが自分にとってベストだと。
だが榊がキュートプロやクールプロやほかのプロダクションに入ったとしてもいいんじゃないかと。
なぜならライバルとして、競い合っていけるのだから。
愛原は静かに闘志が燃え上がっているのを感じた。
「やばい・・・。」
榊は自宅のテレビを見ながらつぶやいていた。
自分を巡って軽く騒動が繰り広げられているとは夢にも思わず。
なにをやっていたかというと…。
「以上、アイドル特番でした!来週も見てくださいね!」
「かわええーーーー!!!」
アイドルにはまっていた・・・。
「ふっ・・・。仕事休んでまで見て正解だったぜ・・・。」
なんと仕事を休んで、アイドルの特番を見ていたのだ。
・・・何をやっているのだろうか。
まぁ仕事といっても決まってるわけでもないのだが。
昨日の萩原雪歩との一件以来、アイドルの動画を貪るように見ていたのだ。
「いやいや、眼福眼福♪さて、もうこんな時間か。昨日借りたDVD返さないとな、さすがに15本は借りすぎたかな?・・・ま、いっか!飯食ったら行きますかねぇ。」
彼はそそくさと夕飯を済ませ、出かける準備をする。
そうこうしているうちに夜は深くなっていた。
「ごっちそうさん!」
「おお、もうこんな時間か。確かあそこの店は11時までやったな。さて、行きますかねぇ。」
こうして榊は自宅を出る。
これから起こる事を知らず。