夢幾夜   作:時雨オオカミ

13 / 16
九夜目『遊園地』

 こんな夢を見た。

 きっかけはひとつだけです。

 深夜にだけ経営している遊園地があると、誰かが言い出したこと。

 

 私達は友人同士五人で集まって、その深夜の遊園地へ行くことになりました。

 現地で集合し、みんなが仮装した夜の遊園地の中へと繰り出します。

 

 意気揚々と遊園地までやってきて、朝まで遊ぶ気満々だった私は、みんなが屋台でひょいひょいと食べ物を買って食べていく中、一人渋い顔をしました。

 

 充電をしてきたと思っていたスマホの充電が、あと20%しかなかったのです。

 これを見た途端、なぜだか無性に帰ってしまいたくなりました。

 

 充電が保ちそうにないことを他の四人に話して一人だけ帰ろうとしていると、他の四人は口々に「ロッカーで充電できるよ」と教えてくれました。

 

 このとき、アトラクションに並んでいる最中だったため、友人達の一緒に行くよという誘いを断って、一人でロッカーを探し始めました。

 

 ロッカーは果たしてすぐには見つかりませんでした。遊園地の入り口付近にのみあるようで、身軽になって遊園地を楽しみたい人達が大勢いるためか、ロッカーはひとつしか空いていませんでした。

 

 お金を入れて荷物を預ける普通のロッカーです。ひとつだけ空いていることにホッとした私は、すぐにロッカーの扉を開きました。

 

 生首がありました。

 

 それもどこか見覚えのあるような――自分の顔です。すなわち、自分の生首でした。

 

 人は驚くとすぐには反応できない生き物です。

 自分の生首と目と目が合う状態で数秒。やたらと早いまばたきだけが繰り返されます。恐らく、生首も同じタイミングでまばたきをしていました。

 

 しばしお見合いをしたのち、生首は口を開いて「帰れ」と一言。それを聞いて、ああそうだな帰りたいなという考えが脳裏をよぎってから、ようやく大遅刻の末に追いついた恐怖心がむくりと顔を出しました。

 

 それからはもう充電なんてどうでもよくなって、すぐそばの入り口から逃げ出しました。なにか叫んでいたかもしれません。とにかくここから逃げ出して帰りたかったのです。

 

 ですが、途中で「友人達を置いてきてしまったぞ」ということに気がつき、背後を振り返ると。

 

 そこには遊園地の入り口の向こう側で、一列になって無表情のまま私を見つめている友人達の姿がありました。

 

 四対の目玉は怪しく光り、まるで獲物を見据えるような昏いもの。私は振り返ったことを後悔しながら走り、スマホのアラームが手元からピピピと聞こえた途端に――目を覚ましたのです。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。