夢幾夜   作:時雨オオカミ

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※注意※
明るいゆめにっき。
『怪物』の傷をクトゥルフTRPG風にしてみた。ルルブもない、初心者故にダイスの振り方とかは本編に合うように調整しただけで適当。雰囲気を楽しむだけの小説。

さらさらとクトゥルフのノリで本編も書いたのでそれが本当にセッション内の出来事だったらというIFストーリー。

『』はキャラクター。
「」はプレイヤー。
地の文はゲームキーパー。



No.??『番外IF』ー傷ー「錆理論」

 

 男女が向かいの廊下から歩いてくる。

 コツコツと乾いた音を立てて進む男女は擦れ違うとき、漸く視線が交わされた。

 

『あれ、Kクンだ。どうしたのこんなところで。キミも入院?』

「黙って俯く。キーパー。俺のシークレットは覚えているよな?」

 

 男はあなたが朗らかに挨拶をしたのにもかかわらず俯いてしまいます。

 

 ええ、本人とキーパーにしか分からないように振ったお兄さんの出生の項目ですよね。

 

「そうだ。と、いうわけで硫酸をぶっかける。《投てき》だ!」

 

 戦闘開始ですね。不意打ちなので成功率+30パーセントで。初期値でもこれなら大丈夫でしょう。

 

 はい、では振ってくださいね。ころころ。

 

…… 100ファンブル(決定的失敗)ですわね。

 

「え」

「え」

 

 彼女に劇薬を浴びせようとしていたあなたは不運にも手を滑らし、自らに降り注ぐそれを視認しました。ゆっくりと流れる景色。驚愕する彼女の姿。透明な液体が宙を舞う姿。

そして次の瞬間にあなたは肉の焼ける音を間近で聴きながら視界を焼き尽くされ、潰されてしまいました。

 

 1D10+3のダメージと3/3D4のSANチェックですわ!

 

「でけぇ!?」

「新しいキャラシどぞー」

「凪てめぇ!」

「あら、合流前にPvP始めるのがいけないのよ」

「そ、りん子姉さんの言う通りよね。はい、キャラシー」

「あ、ありがとヒイラギ姉さん」

「ぜってぇ生き残ってやる!」

「はいはいフラグフラグ」

 

 話すのもいいですが、早くダイス振ってください。

 

「メイドお前凪にだけ優しい気がするんだが」

 

 は、なんとおっしゃいましたか?

 

「いや、なんでもない」

 

 ダメージダイス 8+3 11

 

「って死んだー!?」

「フラグ回収お疲れさま。安らかに眠りなさい」

「りん子姉さんもっと言ってやれー」

「凪てめぇは後で〆る。まあ、とりあえず叫んどくわ」

 

 はい、ロストにしても演出がありますからSANチェックもしておいてくださいませ。

 あと凪お嬢様。ご自分にSANチェックが入らないとでも?

 

「あ、そうだった」

 

 不幸にもあなたは目撃してしまいます。劇薬が宙を舞い、旧友に降り注ぐその光景を。

 驚愕の表情、ジュワリと不快な音をあげながら焼かれる肌。肉の焼ける臭い。崩れる顔。

 そして次の瞬間には病院内へ響き渡るほどの断末魔がこだました。

 

 旧友の変わり果てた姿を目撃したあなたは1/1D6のSANチェックです。

 

怪物 3/3D4

SANチェック 失敗。アイディア 成功。

結果 1・4・1=7 一時的狂気

 

凪  1/1D6

SANチェック 失敗。アイディア 成功。

 

結果 6 一時的狂気

 

「はぁー!?」

「最大値ぃぃぃぃ!」

 

はい、短期一時的狂気ですね。1D10振ってください。

 

怪物 6 殺人癖または自殺癖

凪  3 感情の噴出(大笑いや大泣きなど)

 

「うっし、殺人癖で」

「よし、泣こう」

 

承知いたしました。まずは凪様から。

 

『いっ、やっ……ぅあ゛ああああああああ!?』

 

あなたはすぐには事態についていけず、遅れて声を上げた。

口から大音量の悲鳴が漏れ出るが逃げ出そうとする体は一向に動かず、なりふり構わずただ泣き叫ぶことでしょう。

 

『メイ゛! メイはどこぉ!? いやぁっ、いやぁ゛!』

 

 目の前には狂ったように暴れまわり、顔を押さえる怪物がいるのみ。

 顔は血だらけで原型がない。だというのに、そこから悲鳴をあげて真っ白な廊下を彩っていくのです。

 そしてその状態で何分、何十分。はたまた何時間経ったろうか。あなたには分かりません。短い時間だったのかもしれないし、長かったのかもしれない。

 

 突然怪物は動きをピタリと止めた。

 

『ぅ…… あ…… 』

 

 

 ヒタリ、ヒタリと足音がする。あなたは目を閉じ、泣き叫んでいる状態でそれに気が付いた。

 あなたは強い力で肩を掴まれ、悲鳴を上げました。

 

『ひっ!』

 

 冒涜的な顔。斑に赤く染まった髪。ぐるぐると爛れて混ざった血肉。

 あなたがゆっくり目を開くと悲鳴すらあげない男だったものがすぐそこにいる。

 すぐそこに、それこそ、キスをするように近く。呪いをかけるように近く。

 酷い臭いが鼻につき、ダバダバと血を垂らしている。まるでその姿はかの食屍鬼(グール)のよう。

 

「肩を揺らして首を絞める」

 

 男は肩が外れてしまうのではないかと言うほどにあなたを揺すり、その手を首に掛けます。

 

「バランス崩して倒れるよ」

「力入ってないし一緒に倒れる」

「え、ちょ」

 

 あなたがバランスを崩して倒れると男も同様に倒れ、すぐ傍にあったその顔がより近くに迫り、崩れ落ちてきました。

 

「んーここまで来たらもう気絶しかないかなぁ」

 

 べったりと服についた赤。

 頬に跳ねた血飛沫。

 血で固まった髪先。

 肩についた赤い手形。

 倒れた怪物。

 

 それはあなたの理性を奪うには十分すぎるほどの衝撃があったでしょう。

 静かに霞む視界。あなたが全てを拒絶して散り散りになった思考が深い海の底に沈んでいく感覚を覚えるのにそう時間はかかりませんでした。

 

 

 はい、凪お嬢様は一回休みです。

 お兄さんはキャラロストをしたので新しいキャラクターを作ってくださいませ。

 

 では、次の導入はお姉さん方ですね。

 

「知ってるか、これ、導入なんだぜ」

「元はと言えばキミがPvPし始めたんじゃないか!」

「そのほうがおもしろいだろ。さっきはびっくりしたが、SAN値は投げ捨てるものだからな」

「このルーニーめ」

「今回はダイスの女神が暴れてたな、本当。出目悪すぎ」

「こっちを見て言うな!」

 

 はいはい、喧嘩は別室でやってくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 




・○D○
 例えば1D6なら六面ダイスを一個振るといった感じです。

・PvP
 プレイヤーVsプレイヤーのこと。つまりは仲間割れ。

・ルーニー
 なによりも面白さを優先するプレイヤーのこと。死ぬリスクがあろうと笑い(一部無茶な行動)をとりに行く。

・お兄さん
 怪物兄が次男ロールプレイした結果。

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