譲られる本丸の主人   作:oceano

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どうしたらいいか、わからない
戸惑う、審神者


ある本丸の主の独白。

政府の命でブラック本丸でもないのに本丸を譲らねばならぬことになった。

取り敢えず見習いとしてこの本丸にやってきた彼女は、私から見ても美しい容姿と魂で、皆を変えていった。

申し訳なさそうにこちらを見ながらも、なんだかんだと彼女の方に向かっていく刀剣たち。あぁ、私たちの絆はその程度だったのかと自分だか彼らだかに失望した。

繋がりが薄くなり、私からの一方的な独り善がりなモノしかなくなった。

それなりに、上手くやってきたつもりであった。不平不満など言わずに、彼らの希望を叶えてきた。平等に彼らを見、彼らを知っているつもりであった。結局は、私の気のせいだったようだが。

付喪神なのだ、人を見る目があると思っていたが…違ったようだな。斯様な、あのような人間がいいのか。醜い自分を隠し、私を必死に追い出そうと躍起になるような女が。あの女はバレていないと思っているようだが、長年の勘は外れてはいないと確信している。なんとも滑稽であった。

私の本丸はわりかし練度が高く、レア度の高い者もそれなりに揃っている。あの私に当たりの強い担当者曰く、女は政府の重鎮の孫だそうだ。それはこちらのことなど構い無しに奪おうとしてくるであろう。

神なのだ、敬ってきた。私たちがいくら主とはいえど、相手は力を持つ、神である。尊い、貴い存在。共に生活を送っていると、いささか神なのか疑い深い時もあったとはいえ…何度も言う、神だったから敬ったのだ。醜い女の本性に気付けずとも。共に戦う仲間であり、主と呼ばれたから、私はこの本丸の主人だったのだ。

あぁ、煩わしい。彼らは神だ、気まぐれなのだ。違う違う違う。ここで逆上してはあの女の思う壺。決して、違う。私が、あの者たちを、仲間だからと気を遣った訳ではない。哀しいなどと、人らしく思ってなどいない。第一、私は神主。神に仕えるべき人間ではないか。そう、主と呼ばれただけだ。形が違かっただけで、私は現世の時と同じ様に…………………。

やりきれない。そう思った。素直に言うのなら。裏切られたと思った。悲劇の人を、道化を演じるつもりなど、ほどほどないというに。

空っぽの部屋を眺めた。少し前までは、私以外の誰かが必ず居たはずのこの部屋。ただそれだけであるのに、酷く冷たく思えた。明日の朝にはここを出て行かねばならない。また審神者として私は使われるそうである。どうせなら、現世に戻りたい。手許にある短刀…守刀だと渡されたものを眺めながら、そう思った。決して現世で良い扱いを受けていたわけではないが。気まぐれなあの人が、戻ってきているかもしれない。もぬけの殻になった社を見て、あの人が何を思うか。想像するだけでも不愉快で、私が帰る理由になった。矮小な私の力では政府に逆らえまい。あの人は人に見えぬ故、政府がどうこうは出来ないが、私の気持ちがそれでは納得しなかった。あぁ、あの社は今頃どのような様子であろうか。私が居た証拠はまだ残っているだろうか?自らの本丸のことなどとうに忘れ、あの社へと想いを馳せる。思うだけならタダである。

いつかの再会の約束、果たせぬ事をお許しくださいませ________。

そう心の中で呟いてから、身辺の整理を始める。とはいえ然程片つけるものなどないのだが、立つ鳥跡を濁さずと言う。私は部屋の掃除をすることにした。本殿の方より聞こえてくる騒がしい声に、苛立ちと他の何かを浮かべながら、私は手を動かしていく。空に昇った下弦の月が、やけに光って見えた。

 




後付けのような設定
性別不明審神者
目に見えぬモノが見える
常日頃から食えぬ態度に丁寧な口調。面を付けた顔は隠されており、黒い長髪が流れるように垂れ、根元で纏められている。飾りのない狩衣姿。審神者となる前は神社の神主をしていたらしい。どこか人間離れした言動が目立つ。運は強いらしく、レア度が高いとされる刀剣は三日月宗近以外を所持している。実はもう一度鍛刀すればかの天下五剣すらも現れたようだ。
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