ラブライブ! School idol project Unlimited   作:Rapter

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プロローグ

西暦2013年

10月21日

1730時

 

 17分前に日の入りを迎えた空はまだ西が少し夕焼け色だった。そんな空の下、東名高速道路上り線をひた走るバスが2台あった。

 乗客は国立音ノ木坂学院の2年生生徒及び教職員一同である。沖縄へ修学旅行に行っていた彼女達は運悪く帰りの日になってその旅行中2つ目の台風が沖縄を直撃し、帰りの便の飛行機が欠航となり帰ることができなくなってしまったのだ。

 結局、台風は沖縄あたりまでは速度があったのだが、そこから速度が遅くなり、彼女達は2日間、沖縄で足止めをくらってしまったわけである。

 そして、休日も開けてしまい至急、生徒達を帰さなければならなかった学校側は丁度、人数分のチケットが取れた那覇空港発中部国際空港行の便で名古屋まで行き、そこから夜行バスで東京まで帰るという計画を実行したのである。

「あ~あ、もう修学旅行も終わっちゃうね」

高坂穂乃果はとなりに座っている人物にはなしかけた。

「そうですか。私はやっとという感じですが」

 園田海未は高坂にそう答えた。沖縄で2日も足止めをくらってしまっている。修学旅行は2日増えているのだから園田がそう考えることもうなずける。

「そうかもしれないけど、終わっちゃうとなるとなんだかね」

 高坂は名残惜しいという感じである。

「でも、修学旅行楽しかったよね」

 バスの通路を挟んで向こう側の席に座っている南小鳥が高坂と園田に話しかけた。

「うん」

「ええ」

 二人はそれに即答した。二人ともそれには同意のようだ。

「でも、みんなには悪い事しちゃったね。土壇場であんなことになって、ファッションショー」

「そうですね。でも、凛からあのメールなら大丈夫でしょう」

「ふふ、凛ちゃん、可愛かったねー」

 南はスマートフォンを取り出してそのメールを見た。そこには、大成功にゃ、(≡>ω<≡)という文面とファッションショーのモデル達と一緒に取った写真が添付されていた。その話題でしばらく3人は持ちきりだった。

 

 夜行バスは名古屋を離れ、豊川IC(インターチェンジ)にさしかかろうとしていた。

 園田は隣の高坂にかねてより気になっていたことを聞いた。

「穂乃果、そのリュックの中身、何が入っているんですか」

 高坂は自分の膝の上にリュックを置いていた。何の変哲もない普通のリュックサックである。しかし、高坂はこの修学旅行中にいつもリュックを持っていた。カメラなどの貴重品が入っているのかと園田は思っていたが、この修学旅行中そのリュック一度も開いていない。

「ああ、これ」

 高坂は抵抗せずにリュックを開けて中身を園田に見せた。それはとてもごつい本だった。

「な、なんですか。この本は」

 園田はその本のタイトルを見た。

『因果律量子論に基づく新概念並列処理演算方式』

「これは学術論文ですね……あなたが読むのですか」

 園田は目をみはった。高坂は基本的に頭が悪い。高坂が本を読むことは稀、というよりない。その高坂が持っていた本が学術論文である。園田が驚くのも無理はない。

「ぶー、海未ちゃんひどいー。私だって本くらい読むよー」

 高坂は頬を膨らませて園田に抗議する。

「では、どんな本を読むのですか」

 園田の質問に高坂は沈黙する。

「……ドラえもん」

「それは漫画です」

 園田は高坂のボケにすばやく突っ込んだ。まさに阿吽の呼吸である。

「あははは……」

 南はその二人の夫婦漫才?を苦笑いで見ていた。

「それで穂乃果はこの本を読んでいるのですか」

「……読んでません」

 高坂はそう白状した。

「では、なぜこんな重いもの持っているのです」

 その学術論文は優に数キロはあるかというほど厚く重いものだった。

「えっとね……」

 高坂はその学術論文を持ってくる経緯を話始めた。とは言ってもそんなに深いわけがあるわけではないらしい。高坂が園田に行った説明を要約すれば『父親に持っていけと言われたから』である。

「なんで穂乃果のお父様はこんなに重い本をもって行けといったんでしょうか」

 園田はごく当たり前の疑問を口にした。沖縄のガイドブックならまだしも、分厚い学術論文は意味が分からない。

「う~ん。お父さんが言うにはね、『お前は修学旅行中に大きな困難に直面するだろう。その時の備えだと思って持っていけ』って言ってた」

 園田はさらに高坂の父親の考えが分からなくなっていた。

「大きな困難ですか……」

 修学旅行で想定される困難といえば何らかの事故巻き込まれることであるが、それを想定するならば持参するべきはサバイバルの情報が書かれている本であるべきだ。学術論文を持参する意味はやはり園田には分からなかった。

「まあ、お父さんの言うことだから何か理由はあると思うよ」

 高坂はそう言った。高坂のその言葉に少し腑に落ちない園田ではあったが学術論文のことは意識の隅に追いやった。

 その時、ひときは大きな音が聞こえた。園田と南は音の発生源に視線を向ける。

「えへへへ~」

 高坂は照れたような顔をしている。今の音は高坂のお腹のおとだったようだ。変則的なスケジュールだったため高坂達は今まで食事にありつけていなかった。食事をするならばトイレ休憩などで夜行バスがSA(サービスエリア)に入った時にコンビニエンスストアでパンかおにぎりなどを買うしかない。幸運にも夜行バスはすぐにトイレ休憩でSA(サービスエリア)に入った。高坂達は食事を購入するとバスの中で食事を済ませた。

 

 夜行バスが東京に到着するのは明日の早朝になる。高坂達は当然のことながらバスの中で寝ることになる。

「海未ちゃん、ことりちゃん。おやすみ」

 高坂は二人にそう言った。

「おやすみなさい」

「おやすみ」

 二人もその言葉に返した。高坂は眠りについた。明日からも続くであろうμ’sでの活動の日々に思いをはせながら。

 

 

 

 

 

かくして高坂穂乃果は運命の西暦2013年10月22日を迎えるのである。

 




日付などはかなり適当です。
プロローグだけでは何が始まるのかよく分からないと思いますが、勘のいい人ならば分かるかもしれません。次の話で、今後どのような展開になるのかは分かります。
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