Fate/EXTRA 太陽狐と月兎   作:淡雪エリヤ

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ついに亀更新開始しました。
1月に1話投稿出来ればいい方ですかね……。

そしてfate/goもサービス開始しましたね。
自分は林檎勢なので、まだ出来ませんがリセマラするならタマモキャットで始めたいと思います。
まさかキャス狐本人より先にタマモナインが実装されるとは思いませんでしたね(笑

まぁどうでも良い話は置いといて、ついに本編でオリキャラとオリ鯖が出ます!
オリ鯖出したけど、今後fate/goでちゃんとしたの出てきそうで怖いです。
出てきた場合はextraと外典のヴラド三世みたいな感じで別物だと考えて下さると助かります。

では本編をどうぞ



1-3

眩しい夢を見た。

 

幸せそうな顔をした少女の夢だ。

 

夢の中で少女は、一人の男へと献身的に尽くしていた。

 

羨ましい。

 

男がではなく、少女に対してそう思った。

 

 

///////////////

 

 

朝になりライルが目を覚まして、だらしなく欠伸をしていると横から声をかけられた。

 

「申し訳ございません。起こしてしまいましたか?」

 

声の聞こえた方を見るとキャスターが布団をたたんでいた。

 

「あぁ……いや、そんな事ない」

 

目を擦りながらライルは答えた。

事実、キャスターが布団をたたんでいる音で目が覚めた訳ではなく、いつも通りの起床時間になったから起きただけであった。

 

「………」

 

部屋が無音になり気まずくなったライルは、キャスターがしていたように自分の寝ていた布団をたたみ始めた。

起きてみて、よくよく今の状況を省みたら緊張してきたのだ。

昨日初めて出会ったばかりの異性と同じ部屋で寝たのだ。

やましいことは何もなかったが、今になって気になり始めた。

 

「どうかなされましたか?」

 

「……ちょっと朝は弱くて」

 

ライルは朝に弱い訳ではなかった。

キャスターは昨日と変わらない様子なのに、自分だけ気にしていると言うのが恥ずかしかったから嘘で誤魔化したのだ。

だけど、気まずいという事実は変わらない。

 

「そうだ。朝食を食べに行きましょう」

 

「はい、御主人様」

 

なんとか二人きりの気まずい状況を抜け出すためにライルはマイルームから出ることにした。

 

 

///////////////

 

 

食堂では大した出来事は特に起こる事もなく、ライルはカレーで、キャスターはいなり寿司で腹を満たした。

今のところ参加マスターは128人いるが、食堂はあまり混雑していなかった。

このムーンセルの中ではサーヴァントだけでなくマスターも電子体である為に食事を必要としないからであろう。

ライルが食事を摂るのは地上では食べる事が出来なかった前世の料理を楽しむ為である。

 

ライルは食堂から出てアリーナに向かう途中、掲示板の前に岸波白野が立っているのを見かけた。

 

「今頃になって対戦相手の確認か?」

 

呆れ混じりに尋ねる。

しかし岸波が言うには、運営側の不手際で対戦相手の発表が一日遅れたらしい。

 

「そんな事もあるのか……それは、災な」

 

「はっ! まさか、この僕の一回戦目の対戦相手が岸波、お前だったとはね」

 

ライルと岸波の会話を不躾に邪魔してきたのはワカメのような髪をした少年だった。

 

「セラフも粋なことをしてくれるじゃないか、仮初めの友人とはいえ、予選で仲良くしていたお前と戦うことになるなんてな!」

 

緊張感が欠片も感じられないその発言にライルは呆れた。

 

「岸波さん……友達はある程度選んだ方がいいよ」

 

ライルの発言に何か言いたそうな顔をする岸波だったが発言をする前に、ワカメ頭の少年がそれを遮る。

 

「お前さぁ、今は僕がコイツと喋ってるんだけど余計な茶々を入れないでくれない?」

 

「先に話していたのは俺なんだが……まぁ今は好きにすると良いよ。どうせその横暴も一回戦までだ」

 

「なっ! おいお前それは一体どういう意味だよ」

 

最後の方は小声で言ったライルだったが、聞こえてしまっていたらしい。

 

「どういう意味も何も遊び感覚の君が、どんなサーヴァントを召喚したか知らないが、岸波さんには勝てないって事だよ」

 

「お前……何処の誰だか知らないけど、この僕を馬鹿にしてるのかい」

 

「何処の誰だか知らないが、君がそう感じるならそうなんだろ」

 

ライルとしては警告のつもりで言ったのだが、どうやら馬鹿にされていると受け取られたようだ。訂正してまで警告する義理もないので、それを伝える事はしない。

 

「アジア圏ゲームチャンピオンの僕を知らないだって……馬鹿にしやがって!

ライダー! アイツを潰せ!」

 

少年の怒号を受けて現れたのは古風な銃を携えた赤い女だった。

 

「気に入らない相手は潰す。良い悪党っぷりだよシンジ!

本来なら、予定外の仕事は特別報酬を払って貰う所だが、アタシもコケにされちゃあ名が廃る。今回の報酬はまけといてやるよ」

 

銃を構えたライダーに警戒してキャスターが実体化しかけたがライルはそれを手で制する。

 

「これ以上構うのは時間の無駄ですから、アリーナに向かいましょう」

 

「行かせると思ってんのかい?」

 

そう言う、ライダーを尻目にライルはその場を立ち去る。

銃声が背後から聞こえたが、ライルは気にもしなかった。

 

「おい、ライダー! 僕は潰せって言ったんだぞ威嚇射撃をしろなんて言ってない!」

 

「いいや、シンジ。アタシは空砲なんか撃っちゃいないよ。中々に手強い相手みたいだねぇ」

 

「ちっ……まぁいいや、あんな腰抜け僕が潰すまでもない。

おい岸波、アイツは僕がお前に勝てないとか言ってたけど。調子に乗るなよ、この僕がお前なんかに負ける訳がないんだからな!」

 

 

///////////////

 

 

アリーナに踏み入れると昨日と雰囲気が違う事に違和感を感じた。

アリーナの中が昨日と比べると明るくなっていたのだ。

 

「いや、明るいと言うより、眩しいと言う方が正しいか」

 

ライルが呟くと、何処からともなく笑い声が聞こえ始める。

 

その笑い声……高笑いは一つではなく二重で聞こえてくる。

 

「フハハハハハッ!」

 

「オーホッホッホ!」

 

片方の高笑いは以前に何度も聞いた事のある声であった為にライルはその声の主の正体が分かった。

 

「あらあら、ライルさんではありませんの。

ごきげんよう、ライルさん」

 

「こんにちわ、マリーさん」

 

マリー・マクシミリアン、予選ではライルと同じ生徒会に所属し役職は会計だった少女、そして本戦一回戦目の対戦相手だ。

予選で一緒に生徒会の仕事をしていた時は真面目に制服を着ていたが、今は髪を巻いてゴスロリのようなドレスを着ていた。

そして、そんなマリーの後ろには太陽のような光りを体から放つサーヴァントらしき男が立っていた。

 

「あぁ……ついに出会ってしまいましたわ。

愛し合う二人が殺し合わなければいけないなんて残酷な運命。

ならば、最後まで顔を合わせまいとしていましたのに……」

 

まるで劇で役を演じるかのように言うマリーを胡散臭そうに見るライル。

 

「何が顔を合わせまいとだよ。思いっきり待ち伏せてただろ」

 

「そ、そんな事はありませんわ!」

 

上擦った声で答えるマリーに彼女の後ろに立つサーヴァントらしき男が口を出す。

 

「マリーよ。野次程度で取り乱していたら、劇にはならんぞ」

 

「その通りですわね。んん……」

 

男に諭されてマリーは声の調子を整えて、再び口を開く。

 

「あぁ、出会ってしまったのなら、いかに二人が深い愛で繋がっていようと殺し合わなければいけないなんて……これが聖杯戦争なんですのね」

 

「そもそも愛ってなんだよ……」

 

「愛……それは即ち人を愛することですわ!」

 

「愛の意味が分からないんじゃないんだが……ってか、そうだったとしても答えになってねえし」

 

マリーの言う愛し合う二人とはマリーとライルの事を指しているのだが、ライルは別にマリーを愛していると言えるほど好意を持っている訳ではなかった。

しかしそれは、マリーとて同じだろう。

つまりマリーは、そういうシチュエーションを楽しもうとしているのだ。

しかし、ノリの悪いライルの態度が気にくわないのかマリーに青筋が浮かび始める。

 

「五月蠅いですわね。貴方のそういう女々しいところ嫌いですわ」

 

「愛はどこ行ったんだよ……」

 

「ごちゃごちゃと……あぁもう貴方は大人しく私の悲劇の1ページになりなさい、ライル!」

 

「フハハ! 悲劇どころか、まるで喜劇ではないかマリーよ!」

 

自らのサーヴァントに笑われた事にマリーは顔を真っ赤にして怒鳴る。

 

「お、お黙りなさい!」

 

「断る。ここからが戦の幕開けであろう? ならば主役は朕であるぞ!」

 

サーヴァントの言葉でマリーは落ち着きを取り戻す。

 

「……そうですわね。ここからは貴方の舞台ですわ。存分に踊りなさい!」

 

それはつまり戦闘の意思を表す言葉であった。

マリーが従えるサーヴァントは自らの手に弓を出現させそれを構える。

 

「キャスター、相手はやる気みたいです。初のサーヴァント戦、貴女の神秘を見せて下さい」

 

「かしこまりました、御主人様」

 

後ろに控えていたキャスターがライルの前に出て、札を構える。

 

「準備は整ったようであるな。では開演といこうぞ!」

 

そう言うとマリーのサーヴァントは構えていた弓の照準を大きく上にずらして矢を放った。

 

(威嚇射撃? いやそんな事をする理由が見当たらないな……)

 

「朕こそが太陽である(ジュ スィ アポロン)!」

 

上方へと打ち上げられた矢はいきなり砕けて消えてしまった。

なんだったのかと思い、視点を逸らさずに見ていると丁度矢が砕けた場所に太陽の如く輝く光の球体が出現する。

 

「いかなる時も太陽の光は降り注ぐであろう」

 

「っ!? キャスター、防御系の術を上方向に展開して下さい!」

 

「あ、はい。呪層・黒天洞!」

 

鏡を上へと構えたキャスターが呪術を使うのとほぼ同時に宙に浮かんでいた光の球体から、光の矢が雨のように降り注ぎ始めた。

 

「フハハ! 見事な判断であるぞ、少年よ!」

 

ライルを褒めるサーヴァントであったが、構えた弓の矢先はキャスターに向いている。

上から降り注ぐ光の矢は、キャスターの呪術で問題なく防ぎきっているが、見た所どうやら全方向からの攻撃を防げる訳ではなさそうだった。

それに気づいているのはライルだけではない。当然相手も気づいていた。

矢が降り注いでいる間に横から矢を放たれたら今のキャスターには防ぐ手立てはないだろう。

 

「太陽神の(アポロン)ーー」

 

サーヴァントが弦を引くのと同時にライルは走り出す。

 

「ライルさん!? 何をなさっておりますのっ!」

 

マリーが驚きの声を上げる中、ライルはキャスターの前へと出た。

 

「ーー弓(バレエ)!!」

 

弓から放たれた矢は閃光となりライルへと遅いかかる。

マリーはライルがどうなったのか見たくないと思ったのか目を逸らした。

その数秒後、マリーに聞こえてきたのは己のサーヴァントの笑い声だった。

 

(こんなにも呆気なく終わってしまいますのね……)

 

しかし、マリーはすぐにそれが思い違いだと知る。

 

「フハハ! 朕の矢を防ぐか! よいぞよいぞ、そうでなくては、活劇は映えんからな!」

 

「え?」

 

「何を惚けておるマリーよ。礼が返ってくるぞ!」

 

マリーが視線を戻すと、無傷で立つライルと札を構えるキャスターの姿がそこにあった。

 

「氷天よ、砕け!」

 

いきなりの攻撃だったが、マリーは咄嗟の判断でサーヴァントへと命令を下す。

 

「や、矢を放って相殺しなさい!」

 

「承知したぞ、マスター。ヴァルス・ド・ソレイユ!」

 

キャスターが投げた札に光の矢が放たれるが、札に当たる前に札から漏れる冷気に当たり矢は凍りつき地面へと落ちた。

しかし、札は勢いを弱めることはなく標的へと飛んでいく。

避けるのが間に合わないと判断し、サーヴァントは自らの持つ弓で叩き落そうとすると札に触れた瞬間弓ごとそれを持つ腕が凍りついた。

 

「くっ……なかなかに厄介ではないか」

 

「一度下がりなさい!」

 

マリーはサーヴァントに指示を出すがキャスターは既に次の攻撃の準備が出来ていた。

 

「気密よ……」

 

「くっ……防ぎなさい!」

 

「つど……」

 

しかし、キャスターが札を投げようとした瞬間、アリーナ中に大きな音が鳴り響き、キャスターは何事かと手を止めた。

 

『セラフより警告≫アリーナ内でのマスター同士の戦いは禁止されています』

 

「ここまでか……キャスター、術を中止してもらえますか?」

 

「かしこまりました。御主人様」

 

『戦闘を強制終了します』

 

アナウンスが鳴り止むと同時にライルとマリーの間に電子の壁が出現した。

 

「ライルさん、貴方も中々やりますわね。

まさにヨーロッパ圏ゲームチャンピオンである、この私の相手に相応しいですわ!」

 

「しかり、見事な魔術であったぞキャスターよ! 朕の舞台へ乗せるに相応しい相手である!

喜ぶがよい、決戦では最高の舞台を用意しようぞ!

主役はもちろん朕であるがな!」

 

捨て台詞のような語りを終えるとマリーとそのサーヴァントは登場してきた時と同じように高笑いをしながらリターンクリスタルを使用し帰っていった。

ギラギラと太陽のように輝いていたサーヴァントがいなくなる事によりアリーナ内は元の明るさに戻っていた。

 

「……僕たちも帰りますか?」

 

「はい。そういたしましょう、御主人様」

 

 

///////////////

 

 

「先ほど戦った相手のマスターは、御主人様のお知り合いなのですか?」

 

マイルームでひと息をついたところでキャスターはライルに問いかけた。

 

「あぁ、はい。予選で僕は生徒会のロールを充てがわれてまして、彼女も同じく生徒会の内の一人でした。

まぁ、予選の彼女はあそこまで酷くはなかったんですけど……」

 

予選でも演劇が好きだったマリーは厨二病的な行動を取る事が時たまあったが、あそこまでは酷くなかった。

 

「極め付けがあのサーヴァントですね。類は友を呼ぶと言うか、なんと言うか……。

あそこまで真名を隠す気がないのは余程強さに自信があるのか、はたまた馬鹿なだけなのか」

 

「真名と言いますと、自らの口にしていた太陽神アポロンでしょうか?」

 

「いえ、それは違うと思います。僕も最初はそうだと思ったんですけど。彼が太陽神の弓を使ったあのとき正直なところ『是、十二の試練』のストックを消費する覚悟でしたが……実際は、ストックが減ることはなかったんです」

 

「つまり、ダメージはBランク以下だったのですか?」

 

「そういうことになりますね。あれが本物の太陽神の弓であればダメージがAランクを超えないのはおかしい。

まぁそれでもあの矢は割と危なかったのでクラスはアーチャーで間違いないと思います」

 

「では、アーチャーの真名は太陽神を自称するような人物なのですね」

 

「それに加えて演劇好き。もはや図書館で資料を漁る必要もないですね」

 

太陽神を自称し、演劇を好む歴史上の人物。

 

「アーチャーの真名はーー」

 

これで真名が間違っていたら、あのサーヴァントは大物の役者に違いない。

 

「ーールイ13世」

 

「……御主人様」

 

「ん?」

 

「おそらく14世かと……」

 

「………」




オリ鯖の真名当てを楽しみにしてた方は、ごめんなさい。
勝手な自分のイメージで、このサーヴァントはイスカンダルよりも自己主張激しそうだなって思った結果がこれです。
まぁイスカンダルと違って名前を自分から名乗らなかっただけ……
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