Fate/EXTRA 太陽狐と月兎   作:淡雪エリヤ

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エクステラ発売記念、二夜連続投稿!!
一年以上経ってますけどストックは、もうありません。
そしてエクステラ発売……聡い方ならこの意味が……
いやぁ、エクステラ楽しみです。早くタマモが見たい。
因みに私はfgoで夏の星5確定の時には課金せず、水着鯖で課金しました。5千円だけでタマモ引けたのは運命力ありすぎた。
沖田さんやジャックと並べてキラキラしてます


1-6

「驚かされましたわ……魔術もコードキャストも禁じられていたのに、あれはどういうトリックを使いましたの?」

 

「簡単な話しだよ、彼女が使うのは魔術ともコードキャストとも、そもそもの根本が違う呪術という別の神秘だった、それだけだ」

 

「フハハハハ! 呪術とな! 道理で、使えるわけよ。成る程、自動人形を吹き飛ばしていたのも朕に気付かれずに呪術を使っていたという事か!」

 

地に背を付けながらライダーは笑う。

 

「そうして大した攻撃が出来ないと此方に思わせておいて、必殺の一撃の機を待っていたという訳か……大した役者であるな。だが、朕の光を遮ったアレは何だ、コードキャストは禁じた筈だが……いや、コードキャストでアレを防げる筈もないが」

 

「あれは……あれは、コードキャストじゃなくて、礼装の力だ。この身に……いや、魂に縫い付けられた概念礼装とでも言うのかな。俺に対する一定までのダメージを遮断する」

 

「一定までですって? ライダーの本気を防ぐなんてほぼ全ダメージ無効じゃありませんの! それなんて重課金チートスキルですの! 一回戦目の初見でラスボスレベルとか無理ゲーですわ!」

 

「ラスボスって……」

 

「ぐぬぬ……次は負けませんわよ!」

 

マリーのその言葉にライダーが静かに言う。

 

「マリーよ……次などないぞ」

 

「ん? そうですわね一回戦目で負けですもの、敗者復活戦でもない限り戦えませんわね。でしたら、いつか地上で何かのゲームで戦う事が会ったら今度こそ負けませんわよ!」

 

ライダーはまた静かに言葉を紡ぐ

 

「だから、マリーよ。次はない」

 

「ライダー何を言っていますの……な……なんですのコレは……」

 

ライダーそしてマリーの体の細部が粒子になって消え始めた。

これが聖杯戦争での敗者の最後。

月に送られた精神体の消滅、それはすなわち死を意味する。

 

「マリーお前も知っているであろう。敗者に待つのは死である」

 

「そんなのありえませんわ! 嘘ですわよね……ゲームでは、よくある謳い文句じゃありませんの!」

 

そう言っている最中もマリーとライダーの体は徐々に消えていく。

 

「なんで! こんなのって……」

 

「どうしたマリーよ。コレは、お前の望んだ悲劇ではないか」

 

「……っ!? 違う、違いますわ! ワタクシはこんなの……」

 

「………」

 

そこでマリーと無言で見ていたライルの目と目が合う。

 

「た、助けて! 助けてライルさん!」

 

ライルは、こうなる事を知っていた。

聖杯戦争の敗者の末路を正しく認識していたのだ。

それ故に何も言えないのだ。

自分が勝利したから目の前の少女が死ぬ。

それは自分が少女を殺したのと同意である。

 

「っ……」

 

ついに立っていられなくなったマリーは膝をついてしまう。

 

「助けて……」

 

マリーの伸ばした手を、何が出来る訳でもないのにライルは掴んでしまう。

 

その瞬間、ライルの意識は暗転する。

 

 

◇

 

 

「なぁ君、生徒会に入らないか?」

 

それが白い少年と私の出会いだった。

 

「生徒会? なんでワタクシが」

 

いきなり、声を掛けられて流石の私も困惑したものだ。

 

「いやぁ、人手不足なんだ。ほら、なんか凄い計算の羅列が書いてあるから、計算とか得意なのかなって。会計とかどう?」

 

「いえ、どうと言われましても。ワタクシはゲームのダメージ計算をしていただけで、別に計算が得意って訳ではありませんわよ」

 

思えば、何故こうも正直に答えてしまったのだろう。

ゲームのダメージ計算をしているだなんて言ったら普通はひかれるものだと思う。

少なくても私が彼の立場だったら確実にひいていた。

 

「ゲームか……」

 

意味ありげに呟く少年。

やはり、ひいて当然だろう。

自分でも同じ反応をするだろうけど、しかしその反応は相手にされると頭にくる。

 

「何か問題でも?」

 

私はぶっきらぼうに答えた。

 

「いや、何か久しぶりにやりたくなって」

 

私が不機嫌な反応をしたからか、少年からの返答は、取り繕ったような台詞にも聞こえる。

 

「は? だから何ですの。ワタクシには関係ありませんわよね?」

 

だから私は、またぶっきらぼうに答える。

こんな反応をされたら、会話はそこで終わるだろう。

しかし

 

「そう言うなって、何かオススメのゲームない?」

 

本当にゲームをやりたいのだろうか、少年は私に問いかけてきた。

 

「いえ、ですから。何故ワタクシが貴方にそんな事を教えなくてはいけませんの」

 

流石に私も困惑気味に返事をした。

 

「あ……確かにそうだな。ごめん、懐かしかったから、ついね」

 

少年は落ち込んだ様に答える。

その反応も私には予想外のモノだった。

 

「……貴方はどんなゲームをした事がありますの?」

 

「え?」

 

「好みも分からないのに何を勧めれば良いのかなんて答えられるとお思いですの?」

 

少年は驚いた表情をすると、それを隠すよう直ぐに最初に声を掛けてきた時と同じ澄まし顔になる。

 

「まさか、教えてくれるのか?」

 

「確かに、教える義理は感じられませんけど。問われた事に答えない程ワタクシは狭量ではありませんわ」

 

最初は、胡散臭いという印象だったが、どうやら猫を被りきれぬ素直な性格なようだ。

下心がある訳ではないのは分かった。

それならば、ちょうど良い。

 

「おお、マジか! 主にやってたのはRPGとか、アクションとかかな。その他にもアドベンチャーとか色々やってた。ゲーム性も大切だけど、どストーリーが良いのがあれば、やりたいかな」

 

私にはゲームの話が出来るような友人はいない。

ましてや、一緒にゲームをやってくれるような友人もいる筈もなく。

いつも一人でやるゲームか、顔の見えない相手と戦うオンラインゲームくらいしか出来なかった。

これを期にマルチプレイの出来るゲームをプレイしてみるのも悪くないと思ったのだ。

少年の意向に合うかは、分からないけど、そういったゲームを勧めてみよう。

 

「って、そろそろ授業が始まりそうだな。じゃ、また後で」

 

「後でって、どうすれば良いんですの?」

 

「悪いけど放課後に生徒会があるから、生徒会室に来てくれれば助かる」

 

そう言って少年は教室から出て行った。

さて、どんなゲームを勧めるか放課後までに考えておこう。

 

 

◇

 

 

「む。ライルスフィール、彼女は?」

 

「あぁ、さっき話した会計をしてくれる事になったマリーさんだ」

 

「はい? え、別にワタクシは……」

 

「って事で、よろしく」

 

意気揚々と生徒会室に入った私は、あれよあれよと流されていつのまにか生徒会の会計になってしまった。

 

 

◇

 

 

「オーホッホッホ! ライルさん、中々やりますわね! ですが、ワタクシの編み出した必殺コンボ、ローリングサンダーライジングでおしまいですわ!」

 

「それはどうかな!」

 

「なっ! ただの丸連打の武器をブンブンしただけでワタクシのコンボが崩されるなんて!」

 

「ふむ、何やら楽しそうにしているな」

 

「お、会長殿もやるか?」

 

「いや、俺はゲームとやらをやった事がないのでな。見ているだけで良いさ」

 

「見てるだけだなんて詰まらないですわよ。そうですわね、据え置きのゲームなら皆さんでできますし、明日持って来ますわ」

 

「それ、いいな!」

 

人手不足と言われて誘われた生徒会だったが思ったよりも業務は楽で、時間も余る事が多かった。

そういった時はゲームをして遊んでいた。

と言うよりもゲームをする事が目的で生徒会に通っていたような気がする。

 

 

◇

 

 

「ところでライルさんが今までやってきて面白かったと思うゲームって何ですの?」

 

「どうしたんだ、急に?」

 

「いえ、ワタクシはゲームを勧めてばかりだったので、偶にはライルさんのお勧めするゲームをやってみようかなと思いまして」

 

「あぁ……ごめんタイトルは思い出せないんだ。俺が一番面白いって思ったのは、とあるノベルゲームだよ。元々はRPGとかを多くやってたけど、ストーリーの続きが早く見たくて、敵とか無視して進んでたらレベルが足りなくなったりしてさ。それが面倒臭いって思うようになってからは、もう殆どノベルゲームばかりやってたかな……」

 

「ノベルゲーム……」

 

「あぁ……あんまり好きじゃないジャンルだったか?」

 

「いえ、そう言う訳ではありませんわ。ワタクシも物語を楽しみたいって気持ちは分かりますわ。ワタクシ、ゲーム以外でも映画や演劇も好きですし」

 

「お、映画か。それもいいなぁ。オススメあったら今度一緒に観ないか?」

 

「結局、ワタクシが勧めるんですのね」

 

生徒会の日課に、ゲームだけでなく映画観賞も加わった。

 

 

◇

 

 

「なあ、俺、最近さ。一成のやつがホモなんじゃないかって思い始めたんだが……」

 

「何ですの、いきなり」

 

「いや、だってさ。あいつ、あの遠坂を毛嫌いしてるじゃないか」

 

「好き嫌いなら誰にでもあるでしょうに」

 

「いやいや、あの八方美人の遠坂をだぞ?」

 

「貴方は、ああいうのが好みなんですの?」

 

「え? まさか、俺は見た目とか優しさとかじゃなくてさ、口が悪くても一緒にいて楽しい人がいいかな」

 

「一緒にいて楽しい人……」

 

確かに私も外見とかそういったものよりも恋人にするなら一緒にいて楽しいと思える人がいいと思う。

そう考えると目の前の少年が当てはまってしまうのだから、なんだか気恥ずかしくなってしまう。

 

「じっと見て、どうした?」

 

「な、なんでもありませんわ!」

 

そう言えば、私は前にゲームを自分で作ろうとしていた事があった。

それは偶然にも彼が好んでやっていたというノベルゲームだ。

ゲームを作ると言っても、プレイする事に関しては技術も自信もあったが、作る事に関しては初心者。

なので手軽そうなイメージがあるノベルゲームを作ろうとしていたのだ。

結局、ストーリーを考えるのが行き詰ってしまい諦めたのだけど、それを掘り起こしてゲームを作ってみるのもいいかもしれない。

そして、それを彼にやって貰おう。

 

 

◇

 

 

「一成さん」

 

「む、なんだ、マクシミリアン?」

 

「いえ、ライルさんの姿が見えませんが、何処に行ったかご存知です?」

 

「あぁ、そう言えばマクシミリアンは最近あまり顔を出さなかったから知らないのか。副会長殿なら確か保健室だな」

 

「保健室? 何故そんなところに……ま、いいですわ」

 

時間はかかったけど、ついにゲームが完成したのだ。

一刻も早くやって貰いたいと言う気持ちもあるが、それ以上に緊張する。

このゲームをやってもらって、彼の感想を……返事を聞きたい。

緊張してるからといって足踏みしていたら始まらない、と自分を鼓舞して歩き始める。

そうして保健室の前まで辿り着く。

しかし、いきなりだと心の準備が出来ていないので戸を少し開けて中の様子を伺う事にした。

そうして保健室の中に少年の姿を見つける。

 

「ライルさ……」

 

しかし、私は見てしまった。

少年が楽しそうに笑っているのを。

いつも自分とゲームをしている時よりも楽しそうに見知らぬ少女と会話をしているのを。

開けた戸をゆっくりと閉める。

そして私はその場から立ち去っていった。

一緒にいて楽しい人、彼にとってのそれが自分じゃない事が分かってしまったのだ。

 

 

◇

 

 

翌日、私は全ての記憶を取り戻した。

今までの日常も自分の感情も含めて、聖杯戦争というこのゲームの予選は、とても……

とても……

 

「……下らない予選だった」

 

 

◇

 

 

暗転したライルの意識が元に戻る。

 

(今のはマリーさんの……)

 

いつの間にか、助けを求める声は止んでいた。

確認するようにライルはマリーの顔を見る。

マリーは、驚いたような顔でこちらを見ていたが、ライルと目が合うと唇を噛み締めながら俯いた。

再びマリーが顔を上げると、涙で赤くなった目のまま口を開く。

 

「しょ……勝者の貴方が何故泣いていますの! 」

 

(……俺が泣いてる?)

 

「誇りなさい! このワタクシに勝利した事を! そして次も……いえ、全てのゲームで勝利しなさい!」

 

とても早口に言われた言葉だったが、一言一句ライルは聞き逃さなかった。

 

「言われずとも……俺は勝つよ。そして願いを叶える」

 

マリーは再び唇を噛み締めながら俯く。

 

「オーホッホッホ! それでこそワタクシに勝利した者ですわ!」

 

今度はいつもの調子で高笑いをすると、握られたライルの手を離し、その手の中に何かを握らせた。

 

「それは餞別ですわ! せっかくカスタムしたのに、一度も役に立たないのはとても腹立たしいですもの。貴方が役立てなさい!」

 

そう言い終わると、ライルとマリーを分断するように壁が出現する。

 

「返事は、いりませんわ。答えは分かっていますもの」

 

マリーはそう言い残すと、その姿を消した。

ライルの手の中にあったのは、マリーが使っていた銃の形をした礼装と、一つのデータフォルダだった。

 

「フハハハハ! マリーの奴め満足そうに逝きおったな。これが悲劇だったとしても、悲痛な最後ではなかった。感謝しようキャスターのマスター……いや、ライルよ。朕のマスターが敗れるのがお前であってよかった……」

 

ライダーもそう言い残して消えていった。

 

(今、ライダーの魂が……気の所為でしょうか? )

 

 

◇

 

 

データフォルダの中身はゲームデータだった。

ノベルゲームだ。

どの選択肢を選んでも結局は一つのルートに収束するという単純な内容だ。

バトルモノなのか日常モノなのかよく分からないストーリーだったが、ライルは徹夜でやり込んだ。

しかし、そのゲームをやり遂げる事は、ライルには出来なかった。

 

「なんで、ここだけボイス付きなんだよ……」

 

画面に表示された選択肢に長い時間迷った挙句、ライルはゲームの画面を閉じた。

 

 

「ワタクシは貴方の事が好きですわ! 答えなさい、貴方はどうなんですの?」

 

 

それが選択肢の前に再生されたボイスだった。




対戦相手を掘り下げる回ですね。
唐突なラブコメとダイジェスト。
書いているうちにお気に入りの自キャラになっていったんですが
死んだのでもう出番はありません。
もしかしたらCCC編で出てくるかも?
まぁいつになるやらですが
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