あーだこーだと悩んでるうちに俺は死んでしまった。
炎の対策はしていたのだが、煙までは頭が回っていなかった。
窓を開けていたらよかっただろうな。
迂闊だったと思うよ。それよりはまぬけという方が適切かもしれない。
るなは無事なんだろうか?
いや、本当は分かっている。
無事ではないだろう。
炎ではなく煙で死んだんだ。生存は絶望的だろう。
もっと俺がしっかりしていたら……。
もっとちゃんとした知識があったら……。
もっと冷静だったら……。
後悔しても遅い。
分かってはいるさ。どうしても……やはり考えてしまう。
こんなことを考えている小学生は、傍から見てどう見えるんだろうか。
少し気になる所だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
確かに俺は死んだ。
だが、ただ死んだわけではない。
転生……。
確かそんなだったはず……。
物語でよくあるあれだ。
自分で経験するまでは、こんなこと有り得ないと思っていた。
だが、俺は確かに生まれた。生まれ変わった。
それだけならまだしも……。
それからしばらくして、俺はある事件を目撃した。
『光が丘爆弾テロ事件』というものだ。
これだけでピンと来る人もいるだろう。
そう、ここはデジモンアドベンチャーの世界だ。
生まれたのが一九八八年なのでもしかしてなんて思っていた。
それにしても、あれはすごかった。
七歳になり、家族旅行的な感じで光が丘に来た。
なんで光が丘なのかは分からなかったが、行かないとは言えなかった。
そして、グレイモンとパロットモンだったか、それを見た。
めちゃくちゃかっこよかった。
本当にかっこよかった。
生でデジモンを見ることができたのはとてもよかった。
しかし、ここで気になることができた。
俺は御台場小学校の一年生だ。
恐らく、選ばれし子供達はお台場に来るだろう。
原作に関われるのはとてもうれしい。
だが、接触のし過ぎは良くないのではないだろうか?
ストーリーの流れを大きく変えてしまわないだろうか?
このままではまずい……。
何としても原作に忠実にしなければ!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~
そういうふうに俺は考えていた。
俺はクラスでも地味であろうと頑張った。
今は一九九九年だ。
俺も小学五年生になった。
正直舐めていた。
太一は持ち前のリーダーシップというか、カリスマというべきか。
隅っこにいた俺にいろいろよくしてくれた。
恐らく本人は自覚がない。
そこに空まで加わったのでもう逃げきれない。
原作と少し変わってしまった……。
だがまだ俺に勝機はあるぞ!
デジモンアドベンチャーは、サマーキャンプから始まる。
つまり、俺がサマーキャンプに行かなければいい。
そうすれば、気づけば物語は終了だ。
デジモンを見たいとは思うが、あと三十年ほどの辛抱だ。
そうすれば、世の中にデジモンが溢れるほど来るだろう。
そう思っていたさ……。うん。
「拓斗! 帰ろうぜ!」
元気な声が俺の耳を刺す様にやってきた。
声の主は太一だったようだ。
ちなみに、今世での俺の名前は
「ああ、そうだな」
鞄を背負い、太一に付いていく。
俺と太一はマンションが一緒だったのもかなり驚いた。
なんで今まで気づかなかったんだろう。
「サマーキャンプ楽しみだな~」
太一はサマーキャンプが楽しみでしょうがないらしい。
それはなにより。というかそうじゃないと困る。
「拓斗もそうだろ?」
「いや、俺は行かないから」
「なんでだよ!? 行こうぜ!」
俺が行ったら色々まずいんだよ!
なんて言えない。言えるはずがない。
「で……でもなー」
「絶対おもしろいから!」
これは行かないといかんかも……。
「分かった、行くよ」
「そうこないとな!」
人の気も知らないで……。
どうやら俺はもう少し忙しくなるらしい。
だったら相当の準備が必要かな?
なんだかんだで楽しみなのは否定しない。