さて、準備は万端!
……なんて言える状態にはならなかった。
大体、サマーキャンプに行かない筈だったのに、太一に強引に誘われたから用意したのだ。
全く、準備が捗らない。
あれ? そういえばサバイバル道具の準備っていらなかったよな?
どうしてか忘れたけど。いらなかった気がする。
だったら他の事をすべきか……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
サマーキャンプ当日。
特に問題なんてないと思っていた俺がバカでした。
吹雪が来るの忘れてた……。
太一の誘いに乗るんじゃなかった。
俺は太一達七人と一緒に蔵の中に入っていた。
アニメは普通に見ていたんだが、結構覚えてないもんだ。
だが、ここから先は大体覚えているから大丈夫。
先程の吹雪に驚いていた皆だったが、それが止むとすぐ外に出ていった。
「やっと止んだみたいだな」
太一が嬉しそうに外へ駆け出す。元気っていいね。
「わ~! 雪だ! すご~い!」
「おいタケル、気をつけろ」
タケルとヤマトも外に行ってしまった。
ヤバイぞ……。どんどん物語が進んでしまう……。
「寒いわね……。夏とは思えない……」
当然だよ。異常気象だし。
空は身震いしながら外に出て行った。にしても寒いな。ホント。
「早く大人たちの居るキャンプ場に戻ろう!」
丈さんが帰還を提案している。
ここはそれに賛同し、自分はさっさと帰ればいいのでは?
「そうですね。帰りま――」
「なにあれ? きれーい!」
後ろからの声に遮られてしまった。それは可愛らしい声だった。
その声は丈さんの提案は無かったことにし、俺の帰りたいアピールも一緒にかき消されてしまった。
ミミちゃんがここで出てくんの忘れてた……。
まだ光子郎がパソコンを起動させているが、ここにいてもあまり意味はないな。
仕方ない。外に出てみようかな。
とりあえず俺は蔵から出た。
そして、そのすぐあとに俺はオーロラを見た。
うん。オーロラだよ。オーロラ。
日本じゃ見ることなんてできないあのオーロラだよ。
ミミちゃんがロマンチックだとか言ってるが、ロマンどころではない。
日本では見れない自然現象の出現。
異常気象怖い、……くらいは考えていただきたい。
「おい! あれなんだ?」
太一の声で皆が注目する。
彼の指した先、そこには黄緑色をした渦巻が現れていた。それはオーロラの奥にあり、反時計回りの渦に見える。
渦の中心には光を覗かせており、奥は映らない。これはもしかして……。
「やばい!」
間違いない。ここはデジヴァイスが落ちてくるシーンだ!
まだ間に合うかもしれない。
巻き込まれる前に早く逃げないと!
そう考えるには少し遅かったみたいだ。
渦の中にあった光は分裂し、こちらに側に飛来する。
その光の数は八。それはここにいる全員の人数と一致している。
「うわ!!」
皆の前にデジヴァイスが出現する。やはり間に合わなかったか……。
事態はこれだけには留まらない。。
俺に飛んできた光もまた、デジヴァイスの光だった。
何故だかは知らない……。
俺以外の七人しか選ばれてない筈だろ?
八人目はまだ居ない。これで合っているはずだ……。
その筈なんだ……。
これは、俺のデジヴァイス……?
喜んでいいものだろうか……?
いや、良くない!
次の瞬間、また物語は進みだす。
巨大な波がやって来たと思ったら、波は割れた。
割れ目からはとてつもない力で引き寄せられる。
「マジかよ!!」
恥ずかしながらくるくる回って波にのまれました。
まさか、自分もあんな感じでくるくるする羽目になるとは……。
ここで俺の意識が途切れる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひどい目に合った……。
来て早々、木に引っかかっているとは思わなかった。
なんとか生きているみたいだ……。
二度目の転生はないかもしれないからな。慎重に生きていかねば。
それにしても頭が痛い。
起きてからは胸やけみたいな感じがする。まるで二日酔いみたいだ。
だが、体調は悪いが動けない訳じゃない。
パッと辺りを見渡してみる。
俺の目前にはジャングルの木が、耳には何かの鳴き声が聞こえてくる。
クワガーモンじゃなかろうな?
うろうろしてたら俺のパートナーが出てくるかと思ったが、一向に現れる気配がない。
当然だよね。俺、選ばれて無いんだもんね!
……泣いてないし。
不貞腐れながら歩いていたら、ヤマト達と合流した。
ヤマト達は状況の整理をしており、早くもこの環境に順応し始めていた。
小学生のはずなのに、なんかすごく頼もしいく感じてしまう。
俺の方が年上なのにね。
俺は知っているのだが、ツノモン達の事を聞いておいた。
特に変わった点もなく、ここはやはり、デジタルワールドのファイル島であることが分かった。
その確認のすぐ後に、太一達があわててこっちに走ってきた。
まさか、クワガーモンが来たのか?
少し早い気もするが……。
急いで皆と逃げないと……。
「みなさん! 無事ですか!?」
「ああ、そっちも無事みたいだな」
太一達は怪我なんかもしていないようだし、一安心だ。
そんなことを考えていると、男の悲鳴が聞こえてきた。
声の正体は丈さんで、こっちに向かって走ってる。これも原作通りだ。
彼はかなり取り乱してるみたいで、自分のパートナーを変な奴呼ばわりしている。
いや待てよ?
元から知ってる俺はともかく、他の皆は初めてのことだらけなのに、意外と冷静だ。
もしかして、おかしいのは俺達の方かもしれないな……。
「なんだコイツら!? 一体!?」
丈さんは悲鳴に近い声でそう叫んだ。
その問いに彼らはこう答える。
「ぼくたちデジタルモンスター!!」