お前退くまで私消えるまで、共に忘れ得る日まで。   作:赤茄子

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 初めまして、赤茄子と申します。当人はトマト嫌いです。

 この物語は原作は小説、後に漫画化アニメ化した伝説の恋愛ホラー作品、悪霊シリーズのリライト版と漫画版(漫画アニメのみの話は番外編)を参考に書く二次創作物になります。ゴーストハント続編、悪夢の〜は考慮に入れておりませんので、悪しからず。
 他、某週刊少年漫画雑誌に連載、打ち切りを経て奇跡の復活完全版にて完結を果たした某シャーマンの物語との混合になります。実際は私の書きました二次創作の続編と言う、原作を変えた形で、某シャーマンの二次創作終了後のオリ主の冒険(?)を書いて行きたいと思います。

 物語は「生者必滅、会者定離」後のオリ主が高校一年生になった所から始まります。ゴーストハント主人公の谷山麻衣とは、同じ中学、同じクラス、似通った境遇もあって仲良くなり、原作開始時点で親友と言う設定です。勿論、麻衣はオリ主の本当の事情は知りません。
 旧校舎編を経て、SPRでアルバイトをする事に。基本雑用係。特殊能力に目覚める事はありませんが、生活支援者兼保護者とその所属が可笑しいので、特に無能と突っ込まれる事無く、通常通りご都合主義で参ります。因みに、麻衣もオリ主の生活支援者兼保護者と面識を得ております。絡みはあると思います。
 ゴーストハント編は忘れられた子供達まで行くつもりです。
 その間に前作の原作登場人物と再会したり、しなかったり。物語の主眼はゴーストハントの物語をなぞる事であり、前作原作登場人物との再会は二の次です。ゴーストハント忘れられた子供達終了後に少し続き、とある人物達とオリ主の一寸先までを書いて終了予定です。
 ぶっちゃけ、本当にゴーストハントの物語をなぞるだけ。其処に無能なオリ主が加わっても、何の進展もしないし、誰かの精神発達、性格に影響を与える事もありません。居ても居なくても、物語に悪影響も良い影響も無い、空気、麻衣視点から変わってオリ主視点で物語が進行するだけ。精々、前作原作登場人物の性格改悪、行動の馬鹿馬鹿しさが際立つ位です。
 そして、重要な事。この二次創作物「お前退くまで私消えるまで、共に忘れ得る日まで」は、リライト版漫画版片手に書いて行きますので、原作登場人物の貴重な会話風景は、ごりごり削り、詳細を記憶している方でなければ、物語が何処ら辺りかも理解出来ず、置いてけぼりになる可能性があります。だから、ぐだぐだ。改悪。読者の方々が原作を網羅し、細かい内容も熟知されている事を前提に書いていきます。

 尚、このこの物語はフィクションです。実在する国、土地、人物、団体、事件とは一切関係ありません。
 作中、暴力、流血、差別的表現が多用されていますが、原作者様、サービス提供者様、書く側にこれらを助長する意図は全くありません。

 以上をご了承の上、本編へお進み下さい。
 七面倒臭い方は、ブラウザバックかウィンドウを閉じる事で、この下らん馬鹿話から退避願います。

 以下一応の主人公設定
大海原(わたのはら)歩(あゆむ)
性別:女
年齢:麻衣と同い年
性格:基本ネガティブ。根暗。無口。自己中。
出身:日本/関東地方(雪の滅多に降らない所)
備考:可愛い末っ子と糞爺事ハオに手紙を残し、行方を晦ました後、XーLAWSの援助で日本は東京内に部屋を借りて、元の世界に帰れる日を待つ。実はアパートの住人の大半は某慈善団体の人、歩は知らない。某公立中学で隣席の谷山麻衣と意気投合、身の上話にまで発展し、似通った境遇に仲良くなる。只、末っ子と別れた悲しみから立ち直り切れず、性格はネガティブに拍車がかかり、根暗が加速、より閉鎖的、悲観的になって鬱陶しい。生活支援者兼保護者から定期連絡用の携帯電話を渡される。因みに、アルバイトは禁止、理由は危ないから。その禁を破り、麻衣の誘いを受けてSPRでバイトをする。

小説題名は「お前百までわしゃ九十九まで、共に白髪が生えるまで」から取りました。

 最初は書き方がよく解らんので、物凄く理解不能な書き方していますが、力尽きました。


開始
第一話:平和な時間がやって来た…


 築数十年のアパート前の辛夷並樹を右手に曲がり、枝葉の参差と繁る下陰を混凝土塀沿いに歩いて太い道路へ出て、反対車線の歩道へ、自動車の往来を確認し乍ら横断して学童の通学路を一緒に通って別の陸橋の見える頃、学童達の校舎が奥に建つ、学校の前庭が見え出して、私は一人通学路を行く。暫く直線道路を迷い無く行き、入学式以降に満開を迎えた染井吉野の並樹坂道を登り、直に平坦になり、同校に在籍する学生達の制服を着込んだ背中を見掛けて、私も歩調を早めて正門を潜った。無愛想で特徴の無い、否、無愛想で特徴の無い事が特徴の混凝土校舎と、隣接された体育館と、その更に奥に、足を運びつくづく見上げる機会に恵まれぬ木造建築物があるが、別段私の学校生活に必要性を感じぬ建物の為、突き詰めて内部進学者の同級生に尋ねる事はない。

 校舎前の校庭を縦断し、と言えど実際校庭の何処が縦横なのか、克明な描写を読者が求める場合、横断歩道は額面通り横断で、日本列島を南北に渡る場合は縦断で構わないだろうが、校庭を校舎に向かって真ん中を闊歩する際の、その断割の表現の言葉の選択をどうするか、闡明する必要があると私は考えた。しかし物語の進行に差し支える為、議論は又別の機会に委ね、今は正面玄関、学生達の下駄箱の設置される昇降口で上履きと外履を履き替えた後、新一年生の教室の後部ドアの、耳障りな引戸を開けて親友の後頭部に朝の挨拶をした所から始めよう。鮮美な芳草の葉擦れが校舎を囲繞する花壇近辺を賑わし、正門前の並樹道は落花繽紛として新一年生の新生活に対する期待と不安を募らせ心身の不調を齎す。頑健な親友、谷山麻衣に朝の挨拶をすると、入学式当日から人間関係の構築を始め、瞬く間に見知らぬ学校内に友人を作った麻衣は、高校からの友人達との会話を中座して、同じ中学校出身の私に挨拶した。

「放課後、恵子達と怪談をやるの」と何の脈絡も無く麻衣は言い出した。

「何処で」と参加の意志は皆無だが、お愛想と開催場所に興味を持って私は尋ねた。

「視聴覚室」

「ねえ」と離れた席で私の様子を窺っていた麻衣の友人、確か恵子と言う名前の女生徒が近寄って、隣席の椅子に跨る不行儀を働き乍ら、まだ色々不慣れな私に言葉を掛けた。一見行儀の悪い子でも、素直な麻衣の友達らしく、矢張り根が素直なのか、屈託無く話し掛けて来るので、人間関係の構築が不得手な私は警戒した。

「放課後、視聴覚室でね、怪談をやるの。部屋を暗くして、皆で一本ずつライトを持って、怪談して、終わったら一人一人点呼を取り乍らライトを消すと、最後に一人増えているって言うの」

「それを試すんですか」

「うん。一緒にやらない?」

「済みません、私は怪談の類が苦手なんです」

「そっかあ、まあ、駄目な子は駄目だよねえ」

 麻衣の友人は謝罪の言葉を言い置いて隣席を離れ、荷物を机の脇に垂らす私を見詰める麻衣は、天気予報の話をし出した。

 私も麻衣も、家に情報源と成り得る物は無く、新聞も取る事無く、街頭の電気屋の売り物の情報源を眺める事で情報を得ているが、最近の私は生活支援者兼保護者たるお人の善意で携帯電話を入手し、その機能等を駆使して一日の天気を確かめる。今日の昼間の降水確率百パーセント、鞄の蓋を開けて折り畳み傘を見せ、机上に突っ伏した麻衣は常備傘、携帯傘の無い事実を嘆嗟した。水勢の強弱は天気予報で確認出来るものでなく、雨量が少なかろうが雨露に曝される心身の健康を案じた私は、下校時、自宅アパート迄送る事を申し出た。怪談に関心は無いし、参加の意志も無いが、怪談の終わる時間まで教室か昇降口で待つ位、数年前の異境の灼熱地獄や真冬の杉林の下陰に寝た頃を思えば、苦でも何でもない。両手を擦り合わせ、麻衣は何度も謝辞を述べると予鈴が鳴り、間も無く本鈴が鳴り響いた。

 銘々自分の席に着座して、同列の最後尾に座す麻衣が、一時間目の教科書を忘れたと悲鳴を上げた。一時間目は英語だった。

 授業も授業後の小憩、昼休憩も省略して放課後、視聴覚室で怪談に興じる麻衣達の帰還を、昇降口前の掲示板の掛かる壁に凭れ、時折行儀悪く座り、スカートの襞や裾の皺を綺麗に伸ばして折り畳み式携帯電話の画面で時刻を確認して、硝子戸越しに校庭の水の吸収乾燥の速い土を濡らす雨の筋を眺めて待ち続けた。沛然と降る雨は、頭上を覆う雨雲の色が暮色に負け、鉛色の薄まるに連れ、水勢は衰え紗の様な薄膜越しに校庭の春模様を眺め、桜吹雪を脅かす雷の胴間声を聞き、欠伸を連発して顎が疲れる頃、視聴覚室の怪談を堪能した麻衣が一人で帰って来た。折り畳み傘を開き二人揃って一方の肩を濡らし、風邪に気を付けて、と互いを気遣い乍ら麻衣の部屋の前で別れた。私もアパートに帰って晩御飯の支度に追われ、すっかり数学の宿題を忘れて、翌日早朝に朝御飯と昼御飯の支度を返上して取り掛かった。

 昨晩の豪雨後濛雨は晩御飯の支度の中途に止み、翌日晴曇の判然しない東雲の薄明かりに目覚め、宿題を片付け、朝御飯と昼御飯を省略して部屋を出て登校した。雨意の欠片も無い春爛漫、躑躅の垣根の越えて繚乱と咲き乱れる桜並樹の下を快晴の空を仰ぎ乍ら、坂道を登り正門を潜り、教室の席に着座した直後、予鈴が鳴り響いた。本日の五時間目の数学の時間、宿題の回収に向けて睡魔を辞せず、空腹を厭わず、授業内で羞恥に顔を顰める事を防ぐ為、私は北山時雨の腹を押さえて一時間目の準備に、腕を動かす度に赤面する。隣席の生徒隣人の腹の虫の悲鳴を不憫がり、本鈴が鳴って担当教師の入室を見届け、日直の号令通りの行動を取り乍ら、着席時に机の下陰で某有名栄養食品を譲ってくれた。味はチョコレート。担当教師の出欠確認、出席簿の頁を捲る音が大袈裟に聞こえる中、私の腹の虫の悲鳴は盛大で、閑静な教室内の天井裏まで反響する様な気がして、後頭部の辺りが妙に熱くなった。

 出欠確認の声が腹の悲鳴に重なる。胃袋と肝臓を覆う様に腕を回し、顔を伏せて背中を震わせ、羞恥に耐えるが、隣席の生徒が空腹でなく腹の不調を懸念して手洗いに行く事を提案し、急遽脳内で、其処で某有名栄養食品を齧って教室に戻る算段をした私は、恐る恐る挙手して退出を願い出た。両腕で反対の脇腹を掴む様に腹を抱いていたので、片腕を挙げる動作一つで腹部の音響を遮る防音材が無くなり、その結果、聞くに堪えぬ悲鳴が室内に轟いた。私は死にたくなった。星の王様の隕石や校舎の横腹で太陽面爆発が起こる事を願い、又実際に起こっては困るが、心情的には地球滅亡も万歳三唱、諸手を挙げて賛同する。担当教師腹の絶不調な生徒を気の毒がって、直ぐ様手洗い行きの要請を受諾し、満を持して席を離れ教室を出た私は足早に手洗いへ駆け込み、貰った栄養食品を齧った。一人暮らしに早寝早起きは鉄則だが、学校の課題の確認をする事の重要性を再認識すると共に、交友関係の拡大、慈悲深き同級生に感謝の意を示し、末長いお付き合いの申請の手続きを始めようと決心させた。

 喉の渇く栄養食品を齧り、一個目を咀嚼して、唾液の量を増やす為に執拗に顎を動かすが、顎の疲労は全身の疲労に匹敵して授業中に眠気を催すので、嚥下の際の食道の下り難さは、宿題を忘れた昨晩の自身を恨む事で諦める。二個目を取り出し齧る。口中の乾燥し切った不快感より教室の様子に意識が行く。担当教師は用事の長い事を訝るだろう。隣席の生徒及び近場の生徒達は根暗な私の腹事情を笑うだろう。嘲笑も失笑も、下手な慰撫より余程良いが、当分顔の熱が冷める事はない。異境の灼熱地獄で育児に勤しむ頃、空腹を感じる事はあっても腹が悲鳴を上げる瞬間は滅多とない。記憶通りなら、糞爺事ハオも幼少時に飢餓に苦しんだ経験が心の傷となり、仲間達の腹事情に一応配慮したと、今の私は思う。私の周囲は餓死の恐怖の経験者が多いと感心した。二個目の栄養食品も齧って、蛇口を捻り、流水で指先を洗い、栄養食品を包んでいた小袋の処理に難渋して、上着の懐に仕舞った。

 同階の教室への帰路に就き、笑う膝を宥め賺し後部ドアを開け、一斉に目線の向く恐怖と羞恥を無視して着席した。隣席の生徒の厚意に感謝の言葉を、紙の余白に書き込み、机の端から感謝の言葉を見せて隣席の生徒の笑顔を頂戴し、他者の機微に疎い自覚はあるが、この笑顔を疑う真似は出来ない。神経衰弱に依る疑心暗鬼なぞ、病院に通う金銭の勿体無い事を知る私は、この可能性を打ち消した。授業は進み小憩時間が来る。私は教科書等を仕舞い乍ら、隣席の生徒に再度謝辞を述べ、隣席の生徒事稲葉寿子さんは今朝の腹事情を尋ねて来られ、朝御飯への感謝の気持の新しい私は恥を忍んで今朝の宿題忘れを告白した。宿題忘れと今朝の奮闘を白状する私に、稲葉寿子さんは当校生徒の数学の宿題の健忘頻度を語り、その難題振りから態と忘れる者の多さを笑う。正直良い話ではないが、もう少し生徒の頭に合わして欲しい、と言う彼女の発言には大きく頷いた。

 そんなこんな、朝の不祥事以外は何事も無く、平穏無事に一日を過ごし、その日は馴染みのスーパーの感謝祭の為に食料品全般が安いので、放課後、学校に居残る事無く麻衣への挨拶を済まして帰った。翌日の鬱陶しい晴天の下、曇天の有難みを追究しつつ、教室の後部ドアを潜ると、泣き顔の麻衣が挨拶も等閑に抱き着いて来た。

 私は親友の奇行に驚き、明るい頭を鷲掴みにして引き剥がし、目をぱちくりさせて尋ねた。

「実は、昨日の朝、旧校舎を覗いたら担ぐ様な大きなカメラが置いてあってさ、不思議に思ってカメラの傍で見ていたら、急に怒鳴られて、吃驚したら靴箱が倒れて、……カメラ壊れるし、怒鳴って来た人は私を助けてくれたんだけれど、怪我しちゃうし、……治療費諸々の賠償額を聞けば迚も払える金額じゃなくて……労働力を提供する事になりました。歩、どうしよう。私、どうなっちゃうの?」

「怪我した人が請求して来たの」

「違う。その人の上司。旧校舎の調査に来たって」

「調査?」

「旧校舎には噂があって、幽霊騒ぎがね」

 予鈴の時間に登校する事は稀な私は本鈴の響き渡る校舎を見回す様に、校庭側の窓を見遣って言った。「麻衣、チャイム。先生が来る」

「昨日の放課後から手伝っているの。今日の放課後も行くの」

「解った。一緒に行くよ、心配だもの」

 小憩終了、授業開始の鈴が鳴り、軈て昼休憩となって、昼御飯は購買部の菓子麺麭等でお腹を繋ぎ、隣席の稲葉寿子さんが気の毒がってお結びを御恵み下さった。その昼休憩、即ち昼食も闌、新たな人間関係の構築を目指し、別行動を取る私と麻衣は食事も別の場所、別の人と摂る。昨日迄、私は一人飯だったが、上記の通り稲葉寿子さんの慈善活動の御蔭で会話の接ぎ穂に困る事は無い、感謝と不慣れな学校の宿題事情を問い質し、真面目に取り組む可き英語の宿題と古文の宿題の注意点を諒解した。弁当箱の隅を突く稲葉寿子さんの英語教諭の厳格なるを憎む眼差しを眺め、三つ編みに黒縁眼鏡、規定の裾丈の制服姿の、一見生真面目な女生徒が麻衣に霊能者の紹介を求める後ろ姿を視界の端に捉えた。稲葉寿子さんと彼女の友達二人に囲まれ、購入した菓子麺麭を頬張る私は振り返り、隣席の同級生曰く、内部進学組の一人らしく、所謂霊感少女と言う奴で、矢張り真面目だと何処か螺子の吹っ飛ぶ所があると見え、霊感少女の要請を峻拒する麻衣との口論を聞き流し思案投げ首、星の王様事件を見て来た私は霊能関連の話題を快く思わない。糞爺の心境を理解するに至らぬ私は、余り余所の人が霊能力を語る事を、霊能力を持たぬ人間達に虐げられ、憎悪の念を膨らませる霊能者達を間近に見た者として、思い込みだろうと、兎に角語る人様が不愉快で堪らない。

 ふと、記憶の奥底に蟠る原作の白黒の線を思い出す。記念す可き第一話、弟さんの初登校の風景だが、彼も、同級生の幽霊の目撃証言をすげなく否定し、同齢の最初の友人との最悪の接触を終えて、紆余曲折を経て同級生の目撃証言を肯定するが、肯定迄の過程は曖昧だが何かあって行動を同じくする機会が増えた。極東の島国屈指の霊能者の家系の者も最初は慎重に否定し、周囲の反応を窺い、世間に馴染む、或いは擬態する努力を重ねて、大多数を占める否定派に溶け込む。所詮娯楽の漫画と言う勿れ、皮膚の温度の生々しい人間達の愛憎劇を目の当たりにした私の意見は、本物の霊能者は発言を慎み、否定の言葉で能力を隠蔽し、周囲の非力乃至無力、無能に等しい人間達に擬態して安穏な生活を営む、無能な連中には理解不能な霊能者と言う人達は人前で無闇に霊能力を肯定しない。

 霊感少女の機嫌が斜めって、昼休憩の終了間際、麻衣達の内緒話を叱責する怒号に、最後の菓子麺麭を詰め込む私は、大きな欠片を丸飲みしてしまい、腹に溜まり難い麺麭を満喫出来ずに嚥下した自身を恨めしく思った。稲葉寿子さんの友達、齋藤倭文代さんと牧尾愛美さんが、持参した菓子類を御恵み下さった。喉飴、某有名栄養食品のメープル味、駄菓子等、貧弱な朝御飯と今朝の腹の虫の理由を告白した私を慰め、昼御飯も海老フライや玉子焼き等を下さった人達は、菩薩の如き慰め顔で食事の献立の貧苦に喘ぐ同級生に救いの手を差し延べられた。藁にも縋る思いで縋り付き、御飯を頂戴した私は、世間様は自身が思うより優しいと実感した。昼食の後始末を済まし、五時間目の授業で使う教科書を引っ張り出し、蒼惶として数学教諭の到着する寸前に万事整え、数学の宿題を提出して、忘れた生徒の人数に驚嘆した。数学教諭の鬼の形相は黒板の白線を見詰める事に集中すれば、特段恐ろしくはなかった。

 放課後の鈴の鳴り渡る防音壁の教室の天井を見回し、荷物を背負って労働力の提供に向かう麻衣を追い掛け、下駄箱で逢着するが、麻衣が外靴に履き替え荷物を携えて、重労働の待つ校舎裏、旧校舎の見当へ蹌踉と歩いて行った。事前に労働力提供の協力を申し出、旧校舎前での合流を約束し、下駄箱の簀子を降りた私は昇降口の硝子戸の向うへ消える華奢な背中を追い掛けて、自動車全般に不案内の私は長方形の薄汚れた印象の自動車が木造建築物の前に停車しているとしか解らない。生活支援者兼保護者なら車種を言い当てる事も容易だろうが、生憎前世の記憶の色濃い私は自動車全般を嫌い、運転免許の取得は小学生時代に諦めた。高速道路を走行する自動車の窓越しに、矢の様に横薙ぎに過ぎ行く線状の景色に眩暈を覚え、胸の奥底に燻る記憶を刺激され、結句前世の記憶の人物達、一生を考え詰め、煩悶を繰り返す羽目に遭った。二度と御免蒙る。

 自動車の見える距離で麻衣と合流し、自動車の後部座席の扉を開け放して作業に没頭する上司に言葉を掛け、機械を弄る事に夢中の上司も見慣れぬ小娘─無論上司の年齢で一概に私を小娘と侮蔑する事は出来ないが、車内の薄闇に陰影を濃くする横顔は私を侮蔑していた─を睥睨し、不遜に誰何する。糞爺の態度で不遜も尊大も唯我独尊も何のその、糞爺の行動を思い出すに、案外野郎は他者の意見を尊重して、自己責任だろうが、意外な程自由行動を許容していた様に思われる。千年間の人生経験─同人格の儘地獄を彷徨った期間を含める─故に、他者の尊重を知ると、糞爺の立場を良く考えたが大会開催期間中の行動を鑑みると糞爺の心中はよく解らない。心中の解らぬ上司、外見年齢は私達と同齢、黒髪黒目の、異国の血が混じった日本人の様な顔立ちの青少年は生面の小娘から、昨日労働力の提供を始めた麻衣へ向き、部外者を連れて来るな、云々。

「麻衣の中学時代からの友人です。カメラと助手の方の治療費のお話を伺いましたが、大事な友人の事です、私もお手伝いします」

「結構です」

「麻衣の運ぶ物を、後から奪って運びます。失礼を承知で、貴方が結構でも、私は結構でない、助手の方の災難はお気の毒ですが、友人の災難も又、私は気の毒に思います。彼女は賠償額を全額支払う能力を持ちません。此方で労働力を提供する事で御許し下さると伺いましたが、正直申し上げて、幽霊騒動の調査に来られたお人を信じて、経済的に苦労を強いられ、尚勉学に励む姿勢を崩す事無く奮闘する友人を前に、労うだけで放置は出来ません。私の労働力を御提供致します。それで、どうか、今度の調査分だけで、彼女を許してやって頂き戴のです。其方に不利益な申し出は重々承知ですが、何卒、そう言う事で了解頂けないでしょうか」

 自動車の薄闇から出て来た青少年の背丈は、私達の頭一つ分高い位で、威圧感は勿論糞爺の方が格上なので気後れの必要も無い。胸を張って対峙する。

「人遣いが荒いですが、構いませんか」

「構いません」

 短い遣り取りで私の重労働契約も成され、安堵の溜息を吐く麻衣の肩を撫ぜ、私は先輩労働者に指導を頼んだが、昨日一日、機材等を屋内へ運搬して設置した程度の仕事内容を聞き、気難しい上司の指示を仰ぐ他無い事に気付いた。揃って体の前面を車体の横腹に凭せる上司を見遣り、指示を待つ態勢で、相手の手元の機械を凝視した。

 不意に薄暮六時を回る放課後の夕風が吹き、背後に複数の足音を聞いて、同時に車内の機械類を称嘆する人声がして、一同が顧みると完璧な化粧を施した妙齢の女と襟足の長い茶髪の長躯の男が現れ、銘々勝手に自己紹介を始める。女は巫女、松崎綾子。男は高野山出身の坊主、滝川法生。業種の似通う人達は業界事情に暗い私達を置いて、同業者達は反目し、互いに罵詈し、薄笑いした上司が松崎綾子さんの年齢を侮蔑した。妙齢の女の容姿や化粧等に言及する無礼千万な上司は、あの糞爺程の理解不能振りである。他、隣で笑う滝川法生さんに高野山の長髪解禁云々を説き、襟足の長い茶髪の滝川法生さんは、修行の現場を下り、既に娑婆へ帰還した事を釈明する。

 坊主の茶髪や長髪解禁の事情を聞き、現代の記憶に残る染髪長髪の坊主二人組の、電気琵琶とマイク片手に絶叫する善さん良さんをの頭部を想起して、大会開催に向けて修行中の身でも染髪長髪を貫く気概を見せた─無論今、往時を回顧した場合だ─歌う僧侶、そうかお二人は破戒僧だったのか。

 私は善さん良さんの破戒僧の事実に、麻衣の笑う理由は定かでないが、揃って爆笑する様を睨む滝川法生さんは言った。「で、大口開けて笑う嬢ちゃん達は?」

「只の荷物運びです」と笑いを噛み殺して麻衣は言った。

「友人の彼女が心配で、彼女のお手伝いに来た、も一人の荷物運びです」と息の続かぬ私は鼻息荒く言った。

 その内、松崎綾子さんと滝川法生さんが又悪口雑言を繰り返し、三流も何も、千年前の陰陽師の糞爺の目線なら、神様の力を揮う霊能者達以外は、誰も彼も三流以下、地獄の業火で焼かれ苦しむに違いない。酸鼻を極めた精霊王の中の玉座を奪い合う死闘に参戦した霊能者達は、多分、眼前に集う霊能者達より余程強く、旧校舎の幽霊騒動の概要は聞き覚えが無いが、除霊は朝飯前、寝惚け頭でも可能だろう。居丈高な態度の霊能者を見て、私は大会参加者達の異常な有能性を再認識し、又生活支援者兼保護者の霊能者が、諍いの絶えぬ目前の霊能者達を見て何を思うか、眉間の皺と実はご高齢の心臓と血管の健康を案じ、常の近況報告の折は一般の霊能者との接触についてを報告するのは止めよう。

 そうして又背後に覚束無い足音を聞いて、肩越しに人影を顧みると、黒髪三つ編み規定の制服姿の凜然たる霊感少女が突っ立ち、同級生の困惑を余所に、霊能者達に詰め寄って旧校舎の幽霊騒動の酷さを訴えた。相手の霊感を贋物と断ずるは早計で、しかし糞爺達の霊能力を披露する場面、控える場面を思い返し、彼女の告白の好機は今でない気がして、案の定霊感少女の嘆願を松崎綾子さんが自己顕示欲と一刀両断、鰾膠も無い口吻に憤慨した様子の霊感少女は踵を返して無愛想な混凝土校舎の方へ帰って行った。綺麗な三つ編みが制服の襟を叩く後ろ姿を凝視し、断言が真面目な霊能者の為と雖も、断定に傷付く心を思うと遣る瀬無い。霊感少女の行為は本物の霊能力の所為で世間様から擯斥され、惨憺たる生涯を閉じた人達の苦痛を思えば、確かに不謹慎だが、抑も彼女は差別迫害を恨む霊能者達とは一面識も無く、今日迄本物故の迫害を受けた経験が無い、この無いと断言して嘆息する私も霊感少女を侮蔑しているのだろう。嫌な奴だ。滝川法生さんの嘲笑混じりの賛嘆を、真似事は嫌いと言う一言で封殺した松崎綾子さんは、夕間暮れの黒い陰を背負う様に遣って来る校長と金髪癖っ毛の好青年を認め、不興顔に一層不機嫌な気持を込めて溜息を吐いた。

 春の植物の爛発する入学式、壇上で私達の意識を奪う演説に唾を飛ばし続け、厭悪の情の芽生える長時間拘束の間に見覚えた校長の顔、薄暮の陰を背負い遣って来る金髪癖っ毛の好青年は、自動車の周囲に立ち尽くす私達の傍で、同様に立ち止まって一揖する。校長の紹介の後、異人の好青年は京言葉と諸々の混淆した、しかし明晰な日本語で自己紹介した。異人の好青年、名をジョン・ブラウン。関西地方の言葉遣いは首都圏出身の者達には不評で、到頭喋る事を嫌がられ、困惑の体で自動車の薄闇に佇む上司を振り返り、日本語修正の助言を頂戴して、標準語修正の努力に前向きな姿勢を見せた。こうして日本語に苦心する異国人を見ると、生活支援者兼保護者や大会参加者達、六歳や八歳の参加者すら明瞭な日本語を話す、その異常な光景を想起して異常な現場に居乍らよく空腹を感じる事が出来たものだと、自身の精神力を自画自賛した。

 何が契機か場所を移動して、上階の実験室の扉を潜り、無数の棚と収まる画面に三嘆する霊能者達は、又何か嫌味を言って部屋を出て、そうして部屋に残った部外者の私と、別の霊能者のブラウンさんを睨む上司は、蟀谷を痙攣させて退出を強く命じた。無論麻衣の補助を申し出た身、幾ら上司の下知でも承服し兼ねる命令で、誰かの協力態勢に便乗して機材の確認の為に、画面の並ぶ棚に歩み寄った。

 無数の画面の内、色彩豊富な画面を見付け、麻衣が上司に用途の説明を請うも、上司之を無視して浩瀚な資料を捲る。彩色の向う側に見落とし兼ねない薄い線があり、私は記憶の遺跡から情報を発掘して機械の通称と用途の説明を、訥々と上司の気色を窺いつつ遣って、私のサーモグラフィーについての曖昧な説明で満足気味の麻衣は、次に別の画面を見渡し、ある一つの画面に人影を認めて悲鳴を上げた。硝子箱に佇立する、真夜中に頭髪が無闇に伸びる日本人形の様な容姿、服装の少女が画質の悪い画面の端に消え、次の瞬間、実験室の扉の横に現れた。瞬間移動でなく、多分、画面に映る場所が実験室に近いのだろう。深窓の令嬢の無垢な声が響いて、麻衣が酷く怖がる様子に肩を叩いて宥めた。

 少女は原真砂子と名乗る。無論聞き覚えは無い。霊能者なぞ数年前の出来事がなければ、丸で風馬牛な世界、記憶の霞の向う側に揺蕩う程度の漫画の芸能界で活躍する、登場回数一回や二回の人物なぞ、逐一憶えては記憶の容量を超過し兼ねない。世情に疎い事を恥じ、一流の霊媒師、原真砂子さんに自己紹介で返事をする。そして、矢張り麻衣が原真砂子さんの得意技、口寄せの意味を尋ねる。なので、私は青森県は下北半島、恐山にて活躍する盲目の女性達、イタコを例に口寄せを説明し、上司の疑惑の眼差しに校長への厭悪の情を込めて睨み返した。一拍置いて、目線を逸らす私は眩暈を覚える程の、大量の画面と格闘し乍ら、資料や機械の操作法を尋ね、麻衣の賠償金全額返済を夢見て、少しでも役立とうと、機械の種類に四苦八苦し乍ら資料等を睨む中、階下に悲鳴を聞いて一同実験室を飛び出した。

 木造建築の旧校舎は築数十年物、板敷の廊下に壁に、金槌で抉った様な土壁、鉄製の梯子段すら年を経れば踏み抜き兼ねぬ恐怖、それを木製の階段の踏面を踏み締め、後三段残す所を一足飛びに飛び降りて一階の廊下に到着した。足首が着地の際に軋み、体重増加の原因に思い当たる節の無い私は、腰を屈めて足首の具合を確かめる余裕も身体能力も無いので、膝小僧を撫ぜて誤魔化す。床板を蹴った瞬間、舞い上がる塵埃に呼吸を邪魔され、嚏と咳が連発して、息苦しくて視界が赤く明滅した。胸の閊える感覚を遣り過ごし、係争する最中の同業者の危機に駆け付けた滝川法生さんと擦れ違って、人様の居る部屋の扉に手を掛ける。雑多な置き物を退かして暗闇の下方、扉の取っ手を探して、探り当て、押して引いて、横に滑らせ、開閉の気配の無い木製の扉に驚愕した。追い縋る滝川法生さんが代わって扉を蹴破る役を買って出て、その間、私は真っ暗闇の廊下の最奥と、後方の廊下沿いの斜陽の作る陰影を見遣った。

 真っ暗闇の見当は、徒人の視力、最近暗闇で教科書を睨む事の増えた為、視力低下の止まらぬ私の目は、奥の部屋の扉や、つい想像し勝ちな人体模型や、他怪談で聞く幽霊の姿を見る様に目を細めて、眉間と蟀谷の疼痛に非霊能者の無駄な足掻きを止めた。斜陽の射し込む廊下は亀裂の走る硝子と腐敗した床板と、その腐臭と塵芥の臭いの満ちる、悪臭の為に薄気味悪く感じるらしい其処に、丁度首の付け根、頭部との接続箇所に違和感を覚えた。再度真っ暗闇の廊下を振り返り、頭部の位置が急変した所為か、吐き気を伴う眩暈を覚えて、背筋が寒くなる。脳裏に閃く違和感の正体は、若しや内耳の平衡感覚の異常ではないか。素早く荷物の中の財布の中身、残金と保険証の有無を思い出して、最寄りの地図を脳内に描き、耳鼻科の場所を現場の映像と共に再生し、血の気の引いた腕の末端を擦り合わす。再度斜陽の射す廊下を向いて、難病等の最悪の診断を想像する私の、違和感と緊張感を奪う様に麻衣が言葉を掛けて来て、吃驚した私は目を瞬かせた。すると、もう違和感も焦燥感も何も無かった。迚もすっきりした気持で松崎綾子さんの救出劇を見守った。

 木製扉を蹴破って、乱暴に松崎綾子さんの救助を行い、何事かと皆が問うと、室内の奥に人声を聞いて踏み入り、ふと後方の扉を顧みたら開けっ放しの筈の扉が隙間無く閉まって、真っ暗闇に監禁状態を怖れた松崎綾子さんは悲鳴を上げ救難を求めた。一流霊媒師事原真砂子さんは部屋の扉の開閉は、不注意乃至無意識だと断じ、之に再び反駁する松崎綾子さんと突慳貪な原真砂子さん、双方の言い分を聞き乍ら、斜陽が射して塵埃の舞う廊下を振り返る。何度も見直し、矢張り違和感も焦燥感も蘇らず、小首を傾げて、極度の緊張の所為か知らと無力な小娘の立場で思った。自称霊能者達と自称調査隊の上司、ほぼ部外者の私と麻衣、各の主義主張が錯綜して収拾がつかない。末っ子や糞爺が居れば、一言で解決する気もするが、それは私が二人の意見に慣れているからで、不慣れな人達が聞いても一笑に付すに違いない。霊能力の差別迫害の問題は、他者に知覚させる事の困難な能力が原因である事は、最早考え詰めて煩う事もない。

 一寸場所を離れて事情聴取を大人に任し、松崎綾子さんの見解を聞いて皆一様に首を傾げ、腰の落ち着かない気持、眩暈を覚える時を思い浮かべ、私は輓近報道番組で聞き覚えたハウスダストの疑惑を口にして、医療関係の言葉に詳しいのか、松崎綾子さんは私の意見に違うと即答され、ハウスダストは喘息と訂正された。落胆気味に肩を落とした途端、肝が潰れる程の大音量の嚏一発、背後で爆発して、慌てて見遣れば鼻の下を擦る麻衣と目が合った。家鳴りの他、人の耳の可聴域外の音響が鳴り響く廃屋の中、腐った板壁の軋む音も掻き消す人間の嚏は、聴覚の鋭敏な動物達なら駭魄して、心臓の弱い動物や高齢者は生命活動を停止するに違いない。野生動物の強靭な心臓すら脅かす、麻衣の嚏は兇器以外の何物でもない、私は感心して鼻の不快感を堪える麻衣の肩を叩いて称賛した。不満げな顔の麻衣は私の額に頭突きを食らわし、激痛に二人で呻いた。

 事情聴取の後、松崎綾子さんは現場の廃屋を寝床とする地霊の仕業、滝川法生さんは現場に繋縛される地縛霊の仕業、一応霊能者の二人の意見が決裂して、全く理解の追い付かぬ私達は理解を放棄してブラウンさんに地霊と地縛霊の違いを尋ねた。彼の講釈を聞く内、異境の灼熱地獄で嬰児の育児に奮闘する頃、漸く匍匐前進の出来る様になった末っ子の遊び相手に、糞爺の地霊召喚術だか何だか知らない術で枯草や小石が動き出し、身動きの億劫な世話係の代わりに手足を振り回す末っ子の遊戯に付き合う地霊達を思い付き、糞爺の何と器用な事と烏の濡れ羽色の頭髪の整髪を行う後ろ姿を懐かしく思った。私が感慨に耽る中話題の地霊地縛霊の相違点の講釈は続き、お侍様が地縛霊とか、糞爺も人類に取り憑く地縛霊だとか、色々の事を考えた。地霊即ち精霊の祟りに話が及び、私は精霊の羊のママや山田さんの連れる甲殻類の精霊の事を侮辱された気になって、非常に腹を立て「ママはそんな事しないよ」と愚痴を零した。当座の霊能者達と親友の耳は、私の愚痴を捉えなかった様だが、後になって、上司事ナルに“ママ”の事情を追及される羽目になるなぞ、誰が予想出来ようか。

 廃屋の玄関前の自動車に集い、機材の設置や何やら、事務所の人事考課を担当するは所長の仕事だが、雇用に相応しい如何を見極める仕事は他者がす可きと、機械を背負い抱え設置して、敷設した電気コードの道を見詰めて調査事務所の所長の性格を把握した気になった。薄雲揺蕩い夕風吹き付ける夕間暮れ、薄汚い黄金の落日は西の─東西南北の感覚は未だ養えず、時間帯で太陽の傾く方角を勝手に東西で判断している─地平線下に沈み、肌寒い風が素肌を引っ掻く砂埃を巻き上げ、制服の襞が乱れる。身辺の暗闇に辟易する私達は、上司の、宿泊準備を整えて、明日登校せよ、と言う下知に顔を見合わせて胸痛を覚える程深く吐息を吐いた。




 平和な時間がやって来たんです。
 霊能者と非霊能者の確執に悩む日々ですが、疲れる程直接衝突する事は無くなりましたから、幾分楽でしょう。
 そん代わり、一生涯終わらない事を考えるんですが。
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