ハイスクール&パンツァー   作:鈴木大佐

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戦車道公式ルール
○使用砲弾
 戦車道で使用可能な砲弾は、以下の通常弾、特弾(特Ⅰ種弾、特Ⅱ種弾)に分けられ、史実に関係なく全ての車輌が全弾種を搭載可能である(例外あり)。以下に使用可能な砲弾を示す。

通常弾:徹甲弾(AP弾)
    榴弾(HE弾)
    徹甲榴弾(APHE弾)
    発煙弾
    照明弾
特Ⅰ種弾:被帽付徹甲弾(APC弾)
     仮帽付徹甲弾(APBC弾)
     低抵抗被帽付徹甲弾(APCBC弾)
特Ⅱ種弾:高速徹甲弾(HVAP弾)
     装弾筒付徹甲弾(APDS弾)
     対戦車榴弾(HEAT弾)
     粘着榴弾(HESH弾)
 また、すべての弾種で曳光弾仕様がある。

 ただし、特Ⅰ種弾、特Ⅱ種弾については搭載数に上限があり、それぞれ
特Ⅰ種弾:車両の砲弾搭載定数の25パーセント
特Ⅱ種弾:車両の砲弾搭載定数の15パーセント
(いずれも少数以下切り捨て)
となっている。例えば搭載砲弾数が79発の《Ⅴ号戦車パンター》であれば。特Ⅰ種砲弾は19発、特Ⅱ種砲弾は11発。そしてのこりの49発が通常弾となる。ただし、練習試合などにおいては、審判団の審査と承認によって上限の変更が可能である。たとえば八九式の砲弾(100発)を全て特Ⅱ種弾の対戦車榴弾にすることも、練習試合では可能である。





聖グロリアーナ戦

大洗学園 対 聖グロリアーナ学院

試合形式:殲滅戦

両校編成:大洗学園

 隊長車:Ⅳ号戦車D型(Aチーム)

     M10パンター(Bチーム)

     38(t)軽戦車B/C型(Cチーム)

     40Mトゥラン(Dチーム)

     八九式中戦車甲型(Eチーム)

     M3リー中戦車(Fチーム)

     Ⅲ号突撃砲F型(Gチーム)

 

聖グロリアーナ学院

 隊長車:歩兵戦車Mk.ⅣチャーチルMk.Ⅶ

     歩兵戦車Mk.ⅢバレンタインⅧ 2輌

     歩兵戦車Mk.ⅡマチルダⅡ 4輌

 

 

 聖グロリアーナ学院の戦車隊は挨拶が済むと反転してスタート地点に行ってしまった。俺達も戦車を反転させて、200メートル先のスタート地点に向かう。

「鈴木君、あくびなんかしないでよ。気が抜けちゃうじゃない」

 隣に座る綾子から注意された。

「悪い、昨日あんま寝れなくて」

「ふーん、何してたの?」

「いや、ちょっと今日の試合のシミュレーションをさ」

 有理沙から付けられたキスマークはまだ消えていない。綾子の様子から考えるに、彼女は俺と有理沙が何かいかがわしい事でもしていたのではないかと疑っているようだ。それは間違ってはいない。だが『昨日有理沙が寝かしてくれなくってさ~』なんて口が裂けても言えない。言おうものなら「この変態シスコン!」とか言って、砲弾ラックから高速徹甲(HVAP)弾を取り出して、俺の股間に向けて放り投げてくるかもしれない。

 昨晩も有理沙は俺に襲いかかってきた。一昨日の夜は熟睡していて全く気付かなかったが、昨日は有理沙が仕掛けてくるまで起きていたのだ。

 俺は仕方なく有理沙の相手をしてやった。一応『兄妹間のスキンシップ』の範疇に収まっているとは思う。ただ、俺が彼女の「抱き枕」になってやったまでのことだ。しかし、思い出すと心臓や下半身が黙っていないので、今は忘れることにする。

 チラチラと俺の方を見てくる綾子を横目に見ながら、俺は毎回試合前にしている『ルーティン』の為、制服カッターシャツの胸ポケットから1葉の写真を取り出した。

 汚れないようラミネート加工されたこの写真は、俺が中1の時、初めての戦車道の試合の前に優子と有理沙から貰ったものだ。表は家の前で撮った2人が映っていて、裏に2人からの応援メッセージが書かれている。内容は恥ずかしくてとても他人には見せられない。だが、この写真はいつも試合前の俺のモチベーションをアップさせてくれた。

最後の大会が終わって俺が引退してからは、写真立てに入れて実家の俺の部屋に置いておいたのだが、この度有理沙が持ってきてくれた。

俺はしばし写真を眺めた後それを胸ポケットに戻し、落ちないようゼムクリップで留めた。

 スタート地点に着くと、俺は頭を出して他の車輌がちゃんと並べているか確認した。よし、ちゃんと並べている。 

〈試合、開始!〉

 上空に試合開始の合図となる花火が打ち上げられた。

戦車前進(パンツァー・フォー)!〉

 みほが号令をかけると、7輌の戦車は一斉に動き出した。横隊でしばらく前進した後、《M10パンター》を先頭にして楔形陣形をとる。少しばかりいびつな楔だが、初めてやったときよりかははるかに良い。

〈えっと~、どうするんでしたっけ?〉

《M3リー》の無線手が、のんびりした口調で言った。おいおいさっきみんなでミーティングしただろ。

〈えっと、今回は殲滅戦ルール。相手の車輌を全て動けなくした方が勝ちです〉

 どうやらみほは一から丁寧に説明してくれるらしい。

〈我々Ⅳ号は、単独で偵察に向かいます。 みなさんは南の丘陵地の待ち伏せ地点で待機していて下さい〉

 みほからの指示にみんなが「了解!」「りょーかいでーす」と返事をする。

〈なんか作戦名ないの~〉

 そういえば、作戦名を考えてなかった。会長もちゃんと話聞いてたんだな。

〈えーと、作戦名は・・・・、こそこそ作戦で行きます〉

〈こそこそ動いて相手の動きを見て、こそこそ攻撃を仕掛けたいと思います。

 河嶋先輩が〈姑息な作戦だな〉というのが聞こえた。けど作戦立てたの先輩ですからね?

 俺はハッチから上半身を出し、同じく体を出しているみほと手に合図した後、咽頭(いんとう)マイクに手を当てた。

「これより待ち伏せ地点に向かいます! 各車Bチームについてきて下さい!」

《M10パンター》が左に進路を変える。他のカラフル戦車もそれに続いた。Aチームの《Ⅳ号戦車》はすぐに岩陰に隠れて見えなくなってしまった。

 Ⅳ号と聖グロ戦車隊が接触するのに10分もかからないだろう。俺達はそれまでに、待ち伏せ場所で準備をしておかないといけない。だが、射撃地点はスタート地点から300メートルほど距離なのですぐに到着することができた。

 待ち伏せ地点は周りが岩ばかりなので、偽装することはできなかった。なので射撃地点より20メートルほど後ろの地点に横一列で停車した。

《Ⅳ号戦車》から連絡はまだない。事前にみほと地図で確認したが、俺達と聖グロが接触する前に、先にⅣ号が接触できるよう偵察ルートを組んだ。ものすごい不整地走破能力を持っている《チャーチル》が道なき道を突破して奇襲してこない限り、みほからの連絡が来るまで暇ということになる。

 俺はヘッドホンとマイクをしたまま車外に出て砲塔前に腰掛けた。ワイヤレスというのは便利だ。中学の時は有線の、路線バスについているようなやつだった。他のメンバーもハッチを開けて、外の空気を吸うべく顔を出した。

 他の戦車のメンバー達は既に車外へ出ていた。が、その様子に俺はしばし絶句した。

 隣に位置する《八九式中戦車》のバレー部4人組はバレーボールのパス回しをしていた。それは休憩時間にやってくれ。その隣の《M3リー》の一年生達は、戦車の上でなにやら円をつくって座っていた。各の手に何か持っている。双眼鏡で確認してみると。それはトランプであった。ババ抜きか? ポーカーか? いや、あれは大富豪だ!

 他の学校ではありえない光景だろう。もしテレビ中継でもされていたら炎上していたかもな。幸いなことに、撮影用の固定カメラやはないようだし、観測機も上空にはいない。のんびりしているという点では、俺も変わらないので注意はしないことにした。どうせこの後、トランプをする暇ななんてないだろうし、彼女たちもする気をなくすだろう。

 双眼鏡で砲撃先を覗いていると、砲声が聞こえた。

〈こちらAチーム。敵部隊と接触しました!〉

〈これより敵を引き付けつつ、待ち伏せ地点まで、あと5分で到着します!〉

 みほから報告が来る。Ⅳ号が聖グロと接触したようだ。俺は車長席に飛び込んだ。

「戻って来るぞ! 全員、戦車に乗り込め!」

 同じく河嶋先輩の声が飛び、みんな「もうすぐ上がれたのに~」とか「バレーボールを粗末に扱うなあ!」とか言いながら、わらわらとそれぞれの車輌にもどる。俺は、全員が戦車に戻ったのを確認してから、指示を出した。

「各車エンジン始動! 20メートル前進して射撃地点に就いてください!」

《M10パンター》のエンジンが轟音と立てる。ほかの車輌も次々とエンジンをかけて動き出した。少しだけ前進して、それぞれの射撃地点で停止する。目の前は、500メートルほどの直線があって、その先は曲がりくねった道になっていて見えない。もうすぐ《Ⅳ号戦車》が見えてくるはずだ。

〈あと500メートルで敵戦車、射程内です!〉

 目の前の直線道に《Ⅳ号戦車》が現れた。あとちょっとで聖グロの戦車も見えるはずだ。射撃の合図はみほが出すことになっている。

「見えた! 目標、《チャーチル》!」

優子がハンドルを回しはじめ、綾子が徹甲弾を装填する。Ⅳ号の後ろからやって来る戦車は、間違いなく聖グロの歩兵戦車だ。俺はそのうちの1輌、聖グロの隊長車に照準を合わせるよう指示した。射撃まで、あと少し。

すると。

「撃て、撃てー!」

 突然河嶋先輩の声が聞こえ、《38(t)》が発砲した。砲撃開始の合図を出すのはみほのはずなのに! 気付けば他の車輌も砲撃を開始していた。それらの砲弾は真っ直ぐ《Ⅳ号戦車》の方へ飛んでいき、その傍に着弾した。

「まさ兄、みほちゃんがやばいよ!」

 照準器を覗いていた優子が叫ぶ。彼女は指示をきっちり守って引き金を引いていなかった。

 や、やばい。初っぱなから友軍誤射なんて洒落になんねえぞ。けど敵にはもうこちらの作戦がばれてしまった。攻撃しないと!

「目標《チャーチル》!」

 優子が照準を合わせるためにハンドルを回す。聖グロの戦車隊はもう回避運動を始めていた。

「撃て!」

 優子が、引き金を引いた。砲弾は《チャーチル》の砲塔側面に当たって、弾かれた。《チャーチル》と《バレンタイン》が、Ⅳ号に向けていた砲口をこちらに向け、1発ずつ撃ってきた。当たりっここないと思っていたが、2発が右前の岩を吹き飛ばし、1発が車体正面に命中した。が、彼らの砲では、パンターの正面装甲は撃ち抜けない。・・・が。

「マジかよ。当ててくんのかよ」

 あんなガタガタ道を、しかもジグザグ走行しながら命中させるとは。さすが昨年全国大会ベスト4だけのことはある。

《Ⅳ号戦車》が坂道を上ってこちら側へ合流した。聖グロの戦車隊も二手に分かれて坂道を上り始めた。大洗の戦車隊は砲を旋回させ攻撃する。が、なかなか命中しない。命中弾も重装甲によって弾かれた。

 聖グロの戦車も攻撃を開始した。

〈撃て撃てー。見えるものは全部撃てー!〉

 通信機越しに河嶋先輩の叫びが聞こえてくる。それをみほが〈待って下さい!〉と制しようとする。

〈そんな闇雲に攻撃しても。履帯を狙ってください!〉

 みほがバラバラな攻撃を統制しようとするが。

〈うわぁ、すんごいアタック!〉

〈いやあぁ! もういやあっ!〉

 別車両から悲鳴が聞こえてくる。

〈落ち着いてください! 攻撃をやめないで・・・〉

〈もう無理ですー!〉

〈あっ、逃げちゃだめだってばー!〉

 な、何が起こっているんだ? 俺は潜望鏡を使って《M3リー》の方を見た。

《M3リー》は完全に停止していた。直後、《チャーチル》からの一撃が《M3リー》の側面を撃った。M3は白旗を上げた。

〈大洗学園《M3リー》、走行不能!〉

 審判からの報告が、M3の敗北を知らせる。くそ! せっかくこちらは待ち伏せをしていたのに、こちらが先に撃破されるとは!

〈撃って、撃って、撃ちまくれ!〉

 河嶋先輩はさっきから撃て撃てばっかり言っているが。

〈ん!? なんだ?〉

 こっちに向かってバックしてきた《38(t)》が、ガクガクッと振動して、側にあった穴に落っこちた。

〈あー、外れちゃったね~〉

 会長ののんびりした声が聞こえてきたが、履帯が外れたのか?

〈こちらAチーム。Bチーム、どうですか?〉

 各チームの現状を確認すべく、武部から連絡がきた。

「こちらBチーム、大丈夫だ」

38(t)(Cチーム)~〉

〈だめっぽいね~〉

トゥラン(Dチーム)~〉

〈大丈夫です!〉

八九式(Eチーム)~〉

〈何とか大丈夫です~〉

M3リー(Fチーム)~〉

〈・・・・〉

Ⅲ号突撃砲(Gチーム)~〉

〈言うに及ばず!〉

 えーと。M3(Fチーム)は撃破され、38(t)(Cチーム)は履帯が外れて走行不能っと。こっちの戦果は・・・皆無。

 登り切った《マチルダⅡ》がこちらに向かって進んできた。

「みほ、まずいぞ! このままじゃあ・・・!」

〈隊長、私たちどうしたら!?〉

〈隊長! 指示を!!〉

〈無事な車両は撃ちかえせ!〉

 穴にはまりながらも、《38(t)》は主砲を撃っている。

〈移動します! 生き残った車両はついてきて下さい!〉

「よしきた! 中村、バック!」

〈了解しました!〉

〈何? 逃げる気か!? 許さんぞ!〉

 河嶋先輩には悪いが、《38(t)》は放置だ。

「ウチがしんがりを務めます! 早く行って!」

《M10パンター》はそのままバックをし、敵にその装甲の厚い部分を向けながら下がる。ほかの車両は、転回して《Ⅳ号戦車》の後に続いた。《マチルダⅡ》が撃ってきたが、パンターの装甲は、その40mm弾をはじいた。

 最後に《八九式中戦車》が進路を変えたところで、《M10パンター》も崖に隠れた隙に、方向転換してⅣ号の後を追いかけた。

 

 

 俺たちは何とか紅茶戦車の追撃を振り切った。《八九式中戦車》の足の遅さが心配だったが、何とか逃げ切ることができた。今は、市街地に向かう道に入ったところだ。俺は大洗の街の地図とにらめっこしている。というのも、俺は大洗の街はあまり歩いたことがない上に、市街戦の経験がほぼ皆無だからだ。中学のときは森林や草原での戦いがほとんどだった。

〈これより市街地に入ります。地形を最大限に活かしてください!〉

〈もっとこそこそ作戦を開始します!〉

 みほがアドリブの作戦名をいう。こっちも作戦に関しては事前打ち合わせをしていたが、名前は決めていなかった。

〈了解!〉

〈大洗は庭です!〉

 交差点に入ったところで、5輌の戦車はバラバラに分かれた。

《M10パンター》は《40Mトゥラン》を引き連れて、市街地の中でも比較的入り組んだ場所に入った。パンターは大きい戦車だが、中村の操縦テクによってスムーズに通ることができた。《M10パンター》は市街地フィールドの奥の袋小路にバックで入った。トゥランは近くの公園の公衆トイレの裏に隠れた。

《M10パンター》が停止すると、俺と中村は外に出て、砲塔後部に積み上げてまとめておいた土嚢(どのう)を車体の前に積み上げた。

 パンターは重装甲だが、車体前面下部は《チャーチル》の特弾に撃ち抜かれてしまう。だが土嚢でカバーすることができる。袋小路だから後方と側面は問題ない。といっても、これはパンターの使い方としては正しくないのだが。でも、俺は市街戦の経験はないし、相手の方が圧倒的に優位だ。だから、待ち伏せで1輌でも多く撃破しないといけない。

 敵車両は《Ⅳ号戦車》が街中を走り回って敵を誘引してくれるはず。通過する先頭の敵車両を撃破。そして後ろに車両がいれば隠れている《トゥラン》が後ろから狙い撃つ算段だ。 遠くで、ズドン、ズドンと複数回音が聞こえた。

〈こちらGチーム! 敵車両撃破!〉

〈Eチーム! 敵車両撃破!〉

 三突と八九式から撃破報告が来る。正式な撃破判定は審判から来るが。

〈《マチルダⅡ》走行不能!〉

 一つ目の撃破判定が出た。二つ目はまだ出てこない。すると。

〈きゃあああああああっ!〉

 爆発音と共に悲鳴が無線を駆け抜けた。バレー部!?

〈八九式中戦車、走行不能!〉

 審判から報告が来る。バレー部チームは撃破に失敗したのか。とすると、こちらは残り4輌で、相手は6輌。いや、生徒会の《38(t)》はやられたという報告がない。履帯が外れたらしいが、今なにをやっているのか。

〈Aチームより、Bチーム、Dチームへ。《チャーチル》及び《バレンタイン》2輌がもうすぐ攻撃地点に到着します!〉

 みほから連絡が来た。《Ⅳ号戦車》が囮となって、敵の隊長車を含む3輌をこっちへおびき出してくれている。俺は「了解!」と返し、優子と綾子に準備するよう促した。清水の《40Mトゥラン》も準備を始めているはずだ。

〈あと50メートル!〉

《チャーチル》に乗る敵隊長もⅣ号の動きやさっきの三突の攻撃で、こちらの待ち伏せは読んでいるだろうが。目前で一泡吹かせてやる。

 俺は目から上だけをハッチから出した。戦車の走行音が聞こえ、目の前を《Ⅳ号戦車》が通過していった。あとちょっと。

「今!」と、優子が叫ぶと同時に引き金を引く。

目の前に緑色の車体が現れた直後、《M10パンター》の主砲が火を噴いた。確実に当てるために少し俯角をとっていたので、弾は《バレンタイン》の右側面真ん中あたりの転輪を粉砕した。《バレンタイン》は煙に巻かれて停止した。煙がはれると、《バレンタイン》の砲塔上に白旗が立っていた。

〈聖グロリアーナ《バレンタイン》、走行不能!〉

 大洗2輌目の戦果。が、喜ぶのはまだ早い。まだ後方に2輌いる。

 直後、ずどんとすぐ傍で爆発音がした。すぐさま〈聖グロリアーナ《バレンタイン》、走行不能!〉と審判から連絡が来る。清水の《トゥラン》が後方から《バレンタイン》を習い撃ったのだ。

 あとは《チャーチル》。綾子がもう分かったかのように徹甲弾の装填をしていた。目の前の《バレンタイン》がぎりぎりと動き、目の前に小さな転輪が特徴の《チャーチル》の姿が見えた。砲塔がこっちに向いている。《バレンタイン》無理矢理押しのけてまで俺達を撃破したいらしい。

「来た! 目標《チャーチル》車体!」

 砲塔正面は弾かれるかもしれない。車体側面を狙って確実に・・・・!

《チャーチル》の砲が見えた途端、《M10パンター》が激震した。《チャーチル》が撃ったのだ。けど《パンター》の正面装甲であれば大丈夫な・・・・。

〈大洗学園《M10パンター》、走行不能!〉

 

 

 




今回は前書きに本作での戦車道ルールのうち、使用砲弾について紹介しました。本作では砲弾名や略称は以上のものを使用します。
これからもよろしくお願いします。
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