ハイスクール&パンツァー   作:鈴木大佐

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この話は、壱章「捜索と戦車の洗車」の戦車捜索と戦車洗車の間のお話です。


壱点五
俺と中村と○○○


 俺とみほは見つけた自動車部の戦車回収作業を手伝った。自動車部の手際はかなり良くて、あっという間に見つけた7輌の戦車は倉庫内に整列した。

「明日までに完全に直すのは無理そうだから、明日は洗車をやることになりそう」

 中村が《Ⅳ号戦車》のエンジンルームを覗きながら言った。

「パーツもいくらか残ってるみたいだし、明後日には走らされると思うよ」

「すまん、ありがとう中村」

「いやいや、こっちもやってて楽しいし」

 自動車部に知り合いがいて良かった。おかげで色々と話しやすい。全員知らないやつだったら多分今日も上手く作業できなかったも知れない。整備するときも相談しやすいし。

「俺達はもうちょっと作業していくから、先帰っても良いよ」

 もう自動車部の他の人たちが《Ⅳ号戦車》の周りに集まり作業を始めていた。どうやら履帯を直そうとしているようだ。

「じゃあ、俺達は明日頑張るよ。また明日」

「おう、じゃあな」

 俺とみほは倉庫を出て、隣の自動車部部室となっている小さなプレハブ小屋に行く。そこに鞄を置いているからだ。

「悪いなみほ、手伝わしちゃって。俺一人でも良かったのに」

 するとみほは「ううん」と言って首を横に振った。

「正弘くんばっかりにやってもらうのは悪いから。それに戦車を見るとなんだか嬉しくなっちゃって」

 ・・・・・・

 やっぱりみほも戦車道が好きなんだな。

 今までは『西住流』の元で戦車道をやっていたから苦しんでたんだ。今はもうそれから解放されて戦車道を楽しんでいる。武部とか仲の良い友達も出来たしな。今のみほを見てるとほっとする。

 お前は保護者か! と言われそうな事を考えながら、俺達は部室に入る。

 自動車部の部室は正直言って綺麗とは言い難い。上には物干し用の紐がぶら下がってるし、机の上も色々資料や部品が置かれてぐちゃぐちゃだ。入り口傍の机に俺達のを含め、みんなの鞄が並べて置いてある。各部員のロッカーにはもういろんなものが入りすぎていてスペースがないんだとか。一体何が入っているのやら、気になる所ではある。

「えっと、俺の鞄はこれかな」

 大洗では、鞄は基本学校指定のスクールバッグだからちゃんと見ないと間違えてしまうんだよな。みんながみんなキーホルダーとか付けてるわけじゃないし。

 俺は自分の鞄を持ち上げる。すると隣の鞄にぽんと当たり、ぱたんと倒してしまう。その鞄はチャックが閉まっていなかったらしく、中から雑誌のようなものがバサっと机の下に落ちる。

「おっといけね」

 これって自動車部の人のだよな。ささっと片付けて元通りにしておかないと。

 俺は落ちた雑誌を拾い上げる。クルマの雑誌だろうか。裏表紙には化粧品みたいな広告が載ってるけど。

「なっ・・・・・・!」

 雑誌を裏返した瞬間。俺は視界に入ってきたものの衝撃に一時固まってしまう。そして慌てて元の鞄の中に雑誌を押し込んだ。

「な、なんで・・・・」

 なんで高校生の鞄に『エロ本』が入ってんですか!?

 え、これ誰の鞄? 女子のじゃないよな。それじゃあ中村か吉井の? 裏表紙も化粧品の広告じゃなくて『アレ』の広告じゃないですか!? 

 そ、それよりっ。みほは見てないよな?

 俺はみほの方へ視線を向ける。みほは足下を見ながらフリーズしていた。

「みほ・・・・・・?」

 俺もみほが見ている方を見る。

「・・・・・・!?」

 な、なんじゃこりゃあ!

 目の前にあったのは、男女が夜の営みの際に子供が出来ないようにする某ゴム製品。う、嘘だろ。エロ本といい、何でこんなものが・・・・

「おいみほ! しっかりしろ!」

 みほは顔を真っ赤にして完全にフリーズ中。体を揺さぶっても反応しない。まずい、何とかしないと。まずはこのブツをどっかにやらなければ。

 

 がらっ

 

 俺が足下のそれに手を伸ばしたとき、ドアが開いた。・・・・最悪だ。

「お、まだいたのか・・・・・・!!?」

 畜生! しかもよりによって中村かよ!

 中村も俺達の状況を見て固まってる。

「わ、悪い・・・・・・邪魔したな」

「おい、待て中村!」

 慌てて中村を呼び止める。あいつ絶対誤解してやがる。このまま逃がすわけにはいかない。

「悪いみほ、ちょっと外で待っててくれ」

 おれはオーバーヒート状態のみほを外へ連れ出し部室へ戻る。

「お、おいどうしたんだよ鈴木」

 俺は困惑する中村と対峙する。

「これ、お前んだろ?」

 足下のアレを拾い上げ、中村に突き出す。

「お・・・・お前まさか・・・・・・!」

 その慌てよう、やっぱりお前のか。

「てっめー! 何人のカバン勝手に見てんだぁ!」

「知るか! こんなもんカバンに入れてるてめえが悪いんだろうが!」

「カバンの中身見られるなんて思ってもねえし!」

「ファスナー開いてたんだよ! こんなもん入れてんやったらちゃんと管理しとけよ!」

「ぐ・・・・!」

 さすがにこの言い争いでは俺の方に分がある。早速中村は言い返す言葉がなくなってしまったようだ。

「す、すまん。ちょっと熱くなりすぎた」

「いや、俺も何かすまんな」

「しかし、西住さんに見られたのはまずったなぁ」

 中村が頭を抱え傍にあった椅子に座り込む。

「大丈夫だよ。みほは人のこと悪く言うことないから・・・・・・多分」

「今、多分って言わなかったか?」

 気のせいだろう。多分。

「俺も誰にも言わねえからさ。安心しろ」

「本当だよな?」

「ああ、こんな事、恥ずかしくてよう言えんわ」

 それに、今更言いふらしたところで、みんな中村が変態って事知っているからなあ。

「悪い、恩に着る。これ以上俺の悪い噂が広がるのは嫌だからな」

 本人も自分の悪評にうんざりしいてるようだ。まあ、自業自得なんだがな。

「で、それなんだが。お前にやるよ」

 中村が俺の手元にあるアレを指しながら言う。

「彼女いねえのにこんなのいらねえよ」

「いつか必要になるかもしれんぞ」

「お前は使ったことは?」

「・・・・ないよ」

 中村は悲しそうに溜息をつきながら言った。そうだったよな。こいつは自身の変態さのせいですぐに彼女と別れてしまったんだったよな。

「わかったよ。貰っといてやるよ」

「・・・・助かる」

 これって、中村の弱みを握ったことになるのかな。何かちょっと優越感が芽生えたのだが。でも言わないって約束したからなぁ。それに人の弱みを握って脅したりするのは、俺の性に合わない。今日のことは無かったことにしよう。

「じゃあ、また明日」

「おう、じゃあな」

 部室を出ると、扉の傍で突っ立ていた。

「ごめんみほ。待たせた」

「う、うん。大丈夫」

 まだみほはちょっと顔を赤くしている。

「なあ、今日のことは見なかったことにしてくれるか?」

 多分誰も言わないとは思うけど。

「え、うん・・・・・あのね、授業では聞いたことあったんだけど・・・・・・本物見るの初めてだったからっ」

 みほはまだ混乱しているようだ。

「俺も見るの初めてだったから」

「そ、そうなんだ・・・・」

 とりあえず俺は自分の清純なイメージを与えといてから、

「でも中村もあんなの持ってるけど、良いやつだからさ」

中村のフォローを入れる。我ながらやなやつだよほんとに。

「うん、今日のことは忘れるね」

「ありがとな」

 みほは気遣い屋だから多分この事は3人だけの秘密に出来るだろう。ただ・・・・

 俺はブレザーの内ポケットをまさぐる。

『コレ』、どこに隠そうかなー。

 

 

 




読んでいただき有り難うございます。本話はこれまでのお話の中で投稿後に思いついた短いストーリーです。これから各章の最後に、「俺と~と○○○」シリーズとして、数話ほど投稿しようと思います。まあ、ライトのベルで言う「○.5巻」的な感じで読んでいただければと思います。

これからも「ハイスクール&パンツァー」をよろしくお願いします。
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