東方赤弓兵   作:ライダ

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捕縛と居眠り

「帰っていい?」

 

「駄目に決まってるでしょう。なに寝ぼけてるんですか、まだ半分くらいしか視察できてないです」

 

え~もう三十部隊くらいみたよ。どれだけ部隊作ったの、こんなにいるの?いらないっしょ。

 

「作ったのはあなたです。しかも多い方が仕事が私の仕事が減るでしょ、と嬉々とした表情で言ったのを私は覚えています」

 

私過去は引きずらない女なんだ。

 

「……!?」

 

いいもの発見。

 

「なあシルク、もし侵入者がいたとしたら視察は中止になる?」

 

「は?いきなりなんですか」

 

聞いといてなんだけど絶対中止になる。だって侵入者がいるのにボスを表にだすアホなんてこの私が管理する天狗達の中にいるはずない。

 

「いいから答えなさい」

 

「いいですけど。侵入者がいるんですよね」

 

「ええ」

 

「もちろん視察は…続けますよ」

 

うんそうよね…ってええ!?なんで、侵入者がいるんですよ。ボスがやられちゃってもいいの?

 

「いいも何も、あなたが殺される相手に我々がかなうわけないでしょう」

 

自分の強さが憎い。

 

「で、なんでいきなりそんな話をしたんですか?」

 

どうしよう。本当のことを言うべきか、でも言ったら……

 

(侵入者を見つけたんですかさすがです天魔様。それでは視察のついでに侵入者の捕獲の手際も視察してもらいましょう)

 

駄目だ仕事が増える。いや待てよ…そうだこの手があった!

 

「実は侵入者を見つけました」

 

「ああそうで…ってええ!?本当ですかそれ。どこにいるんです」

 

「ほらあそこ、茂みに隠れながらこそこそしてるでしょ」

 

「……どれだけ離れてるんですか。私からはまったく見えません」

 

まったくこの程度も見えないのか。たかが数キロ離れてるだけじゃないか。

 

「ほんと、たまにあなたが凄い人物と痛感させられます」

 

これでもあなたたちのボスですよ私?首領ですよ、覚えてますか?

 

「それでは、あのあたりにいた部隊に連絡を取りましょう」

 

「そうしなさい、必ず捉えるのよ」

 

「はっ」

 

そういうとシルクは天狗の部隊に伝令を出した。

 

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「ちぃ!――――投影・開始(トレース・オン)!」

 

干将莫邪を投影し敵めがけて投擲する。くそ、どうしてこんなことに。辺りがざわついてきたと思ったらいきなり天狗の群れに襲われた。ばれるようなへまはしてないはずだが。

 

「「「かかえぇぇ!!」」」

 

「くっ!!」

 

再び数体の哨戒天狗が襲いかかってくる。この距離では弓は使えない、ならば剣で迎撃するまで。再び干将莫耶を投影、左右のからの攻撃いなし迎撃、成功。これで残る脅威は前のみ。剣を相手に投げ捨てる。

 

壊れた幻想!(ブロークン・ファンタズム)

 

目の前で爆破、土煙を発生させ目暗ましがわりにしその隙に再び逃走。ただし身を隠しながら気配を殺し。

 

今の所相手を殺傷しないで済んでいるがさすがにそろそろ危ない。一人か二人殺しかねない。今回はこちらが一方的に悪い。何せ進入禁止の所に堂々と山菜採りに来ていたんだから。だからできるだけ殺さないつもりだったんだけど限界が近い。

 

「しかし何かがおかしい」

 

いくら侵入者といえど天狗達はいきなり襲ったりはしない。まずは警告するはずだ。それなのに今回はいきなり襲われた。この間の鈴仙といい不意打ちされることが多い気がする。

 

「いたぞここだ!」

 

「みつかった!」

 

くそ!だがもう少しで麓だ、山を出ることさえできれば天狗も追ってこないはず!?

 

「ぐ…が…」

 

な、なんだ急に息が出来なく。敵の攻撃?いや相手も息が出来ていない?じゃあいったいだれの…やばい意識が…

 

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「ふう危ない危ない逃げられるところだった」

 

とっさのことだったから哨戒天狗たちまで巻き込んでしまったけど結果オーライ。侵入者は気絶、無事捕獲成功だ。

 

「天魔様、侵入者を捕獲しました」

 

暫くするとシルクが侵入者の男を担ぎ私の元まで戻ってきた。

 

「よくやった。そのものは私が預かる」

 

私はシルクから侵入者を受けと…

 

スカ

 

れなかった。

 

「どうした、早く渡せ」

 

「天魔様、もしかして視察をしたくないからこの男を捕えさせたんじゃないでしょうね」

 

「ま、まさかそんなことあるはずないです」

 

「なぜ敬語なんです」

 

馬鹿な、なぜわかった。いやまだ大丈夫だ私の作戦はまだばれてはいない。落ち着け私、幸せはもうすぐだ。

 

「だいたい能力まで使ってなんですか!部下が三十人も酸欠で倒れたんですよ」

 

「仕方ないだろう、このままでは逃げられていた。そうなれば天狗のメンツは丸つぶれだ」

 

「そ、それはそうですが」

 

よし!このまま押せば大丈夫だ。

 

「第一私の手を煩わせていたことの方が問題だ。たかが人間に何を後れをとっている」

 

「も、申し訳ありません。そのことに関しては私から訓練を強化しておきます」

 

「そうしておけ、それではその男は私に渡せ。いろいろと聞くことがある」

 

「いえ、天魔様を煩わせるわけには。尋問くらい私がおこないます」

 

「だめ!駄目に決まってるでしょ!何のために私がここまで」

 

「は?」

 

「いや何でもない、とにかく私が行う。これは首領命令だ」

 

「……わかりました」

 

よっしゃあ!!勝った、これでこの男を縛り付けてでもおいて部屋から脱出。仕事とはおさらばおさらば♪

 

「わかりましたが、尋問した内容はちゃんと記しておいてくださいね」

 

「…………はい」

 

くそ最後の最後でおきみあげを置いていきやがって。ま、いいや、不思議な力を持ってるとはいえ所詮男、私の魅力にかかればいうことをきかせるなんてたやすい。上目づかいでお願いすれイチコロだろう。

 

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さて困った。気絶しているうちに捉えられてしまったようだ。

 

俺は今女に運ばれている、しかもかなり強い。クラスなら大妖怪クラスだな。今できることは…これだけか。

俺は聞こえないよう呪文を唱えた。

 

しかしどこに連れて行く気だ?まあいい、今のうちにさっきの出来事を考察しておこう。あの時急に息が出来なくなった。息が出来ていなかったのは俺だけじゃなく哨戒天狗達も同じだったことから個人を狙えるちからじゃない。

 

予想としてはあのあたり一帯から空気を奪った。能力としては空気を操る程度の能力か?いやこれは楽観だな。物事は全て最悪を考えなければ。操れるのは空気だけじゃなく宙にあるもの全てと考えた方がいいな。

 

次に犯人だ。犯人はおそらくだがこの女だろう。この肌から感じられる実力ならば予想した能力を使えても不思議じゃないし、先ほどからすれ違った天狗達しかも相当の実力者達が敬っている。こいつまさか天魔か?だとしたら最悪だ、よりにもよって天狗の首領が俺を見張ることになっている。

 

しかし何故天魔なんだ?これだけ実力がある天狗がいるのならそいつらに見晴らせればいいものを。

 

そうこう思考しているうちにどうやら監禁室についたらしい。扉の閉まる音と鍵を閉める音が聞こえた。

 

ドン!

 

いきなり投げ捨てられた、その割にはなんか地面がふかふかしてる気がする。

 

ドス!

 

ぐえ!?いきなり全身に重圧が。起きているのに気付かれたか?いやそれにしてはその後の行動がない。それになんか頭に柔らかい感触が。

 

「…………!?」

 

落ち着け俺、俺は今捕まえられているそうこれは拘束なんだ。これは罠だ、絶対罠だ天魔(おそらく)が捕縛した対象を抱き枕にして寝ているはずがない。

 

「――――ZZZZ」

 

こいつ寝てる!馬鹿だ、絶対こいつ馬鹿だ。人を捕まえておいてきっちり束縛しないで抱き枕にする神経が理解できない。だがこれは俺にとって幸いだ、抱きつかれてることを除けば腕を縛られてるだけだ。これくらいだったら手の関節を外せば抜けれる。

 

「………………」

 

くそ、地味にこの抱きつかれてる状態が鬱陶しい。でかい胸が邪魔で腕が上がらん、しょうがない少し痛いが……

 

ガッ!!

 

ッッ!よし上手くいったこれで……よし抜けた。あとは起こさないように抜け出して。ええいうざい、無駄に高度な抱きつき方してやがる足まで絡めることないだろう。だが抜けれた、後は脱出だけだが。

 

「――――同調・開始(トレース・オン)

 

まずはここら一帯をを解析。くそだいぶ山の頂上に近い、しかもこれは集落か。抜け出すのは至難だぞ、よりにもよって最深部だし。やっぱりこいつ天魔か?

 

「――――ZZZZ」

 

こんな侵入者をほっぽって寝ている奴が天魔とも思いたくないが、しかもこの部屋書類で埋め尽くされてる。どれだけ仕事してないんだ?部下の苦労がうかがえるな。

 

「しかたない、この手でいくか」

 

(咲夜、咲夜聞こえるか?)

 

(アーチャー?何かあったのですか)

 

(ああ、ちょっとドジを踏んだ実はな……)

 

弓兵説明中

 

(相当不味いですね、それで私に何ができるんですか。さすがに山の山頂まで時を止めながら移動はできませんよ)

 

(いやそれはいい、それよりパチュリーにこのパスを引き渡してくれ)

 

(分かりました、少々お待ちください)

 

(咲夜から事情は聞いたわ。それで私に何の用?)

 

(頼みがある。図書館から俺を空間転移してくれないか)

 

(あなた正気?確かにこのパスを辿ってあなたの位置を知ることができれば転移は可能だけど、まだこの魔法は完全じゃないわ、それ相応の代償が体に帰ってくるわよ)

 

(けどこれしか手がない。俺もできるだけ山を下ってみるから頼む)

 

こうなったのは俺の不始末だ。それ相応の代償は必要だろう。

 

(……分かったわ。暫く時間がかかるから準備が出来たらこちらから知らせるわ)

 

(すまない。この礼は必ずする)

 

(はいはい、戻ってこれたらきっちり対価を払ってもらうわよ)

 

その言葉を最後に念話は途切れた。さて俺もここから抜け出すとしよう。幸いなことだがいいところに隠し通路があった。中心集落からだいぶ外れたとこに出れるみたいだし少しは麓に近寄れるだろう。

 

それでもまだまだ天狗達のテリトリーだ。一瞬でも気を抜くことはできない。

 

そう、言うならこれは、ミッションインポッシブル!!




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