東方赤弓兵   作:ライダ

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新築と笑顔

「今日という日を祝して、カンパーイ!」

 

嬉しそうにワインを掲げるレミリア。そうか、そんなに今日という日を楽しみにしていてくれたのか。

 

「嬉しそうねレミィ」

 

「そりゃそうよ、なんたって今日は待ちに待ったアーチャーの退職日。今日を祝わないでどうするっていうの」

 

何を隠そう今日は俺が紅魔館での執事最後の日。レミリアはその日を記念してパーティーを開いた。

 

「本人を前にして豪いいいようだな君は」

 

さっきから俺を目の前にしてこの堂々さ、カリスマも少しは戻ってきたのか?

 

「ひっく…アーチャー行っちゃうの?」

 

対照的に妹のフランは泣いてくれている。

 

「ああ、もともとその予定だったんだ。心配するな、たまには遊びに来るから」

 

「ほんと!?」

 

「ああほんとだ」

 

ぱぁと笑顔に戻ってくれたフラン。よかったよかった、フランに泣き顔は似合わない。

 

「はぁ?だれがあなたの侵入なんて許すもんですか。もし来たって門前払いよ」

 

せっかくフランが笑顔になってたのに空気の読めない姉だ。

 

「お姉さま…アーチャー入れてくれないの?」

 

「う、いや、その、たまにだったらいいわよ」

 

今のはフランの泣きそうな顔に押されたのか、手に持ったレーヴァテインの迫力に押されたのかどっちなんだろう。

 

「やった~♪」

 

「妹様、お食事中に剣を出してはいけません」

 

「は~い」

 

その後もレミリアが愚痴を垂らして来たりフランが酔って暴れたりといろいろありパーティーは終わりを迎えた。

 

 

 

「さて、今日からここが俺の居住区か」

 

目の前には俺が作り上げた大きな武家屋敷があった。この屋敷は俺が一年弱の期間をかけ作り上げたものだ。イメージはアーチャーの生前の屋敷があったため楽だった。材料も依頼をこなして手に入れることができた。さすがに一人で作ったため時間がかかったが。

 

しかし土蔵まで作ることはなかったかな?楽しくてつい夢中になってしまったが、ガラクタ弄りの域も超えてるる気がするし。

 

まあ素人が作ったといっても魔術を併用して作ってあるから台風が来ても壊れはしないだろう。土蔵も食料の貯蔵庫にすればいいか。

 

「ただいま」

 

といっても誰もいないんだが。

 

「おかえりなさい」

 

「……なぜここにいる紫」

 

新築した我が家は初日から泥棒の侵入を許していた。

 

「あら、新築のお祝いに来てあげたのにつれないわね」

 

そう言い紫はスキマから酒瓶を取り出す。祝い酒のつもりか?

 

「俺はついさっきまでパーティーに参加していたんだが」

 

「あら、せっかくの皆が待ってるのに無下にする気?」

 

「みんなだと?」

 

「アーチャー遅いぞ!」

 

後ろから背中に衝撃。

 

「魔理沙、こんな時間になんでいる」

 

なんて聞くまでもなかったか。

 

「僕が連れてきたんだよ」

 

「霖之助、君まで紫の悪ふざけに付き合うことはないだろう」

 

「泣く子には勝てないよ」

 

なるほど、霖之助も苦労しているようだ。

 

「…紫」

 

「あら、私は今日あなたの家が出来たって教えただけよ」

 

「早くやろうぜ新築祝い、霊夢や慧音も待ってるぜ」

 

霊夢たちまでいるのか。まったく誰もかれも好き勝手に。

 

「ほら早くこいよ」

 

「わかったわかった」

 

居間では霊夢や慧音に加え妹紅までいる。つうか既に酒盛りしてるし、霊夢はこの歳から酒を飲んでいいのか?

 

「おやようやく主賓がきたな」

 

「藍、君まで」

 

調理場から音がすると思ったら藍っだたのか。

 

「さあ主賓も来たことだしパーッと始めるわよ!!」

 

「「「おおぉ~!!」」」

 

せめて主賓の意見を聞いてからにしてくれ。こら魔理沙!障子に穴を空けるな。

 

 

「一発芸やりまーす!」

 

「いいぞやれやれぇぇ!!」

 

酔いどれたちが。

 

「おいアーチャー追加のつまみまだか~」

 

「今持っていくよ」

 

何で俺は酔いどれ娘達に料理を振る舞ってるんだ?こいつらただ単に宴会がしたかっただけじゃないのか。

 

「何だこの扉?プスプス破けるぞ~」

 

「そーなのか~」

 

「なんか面白いね」

 

妖怪や妖精たちまで紛れ込んでるし。橙、君がつれてきたのか?ああ、柱で爪を研ぐな。

 

「止めんかこの馬鹿ども!」

 

「わぁぁー!!」

 

「怒ったのかー」

 

「逃げろー」

 

はぁ、せっかくの新築記念日だっていうのに。

 

「ため息なんてついてると幸せが逃げるわよ」

 

「ああ、現在進行形で消えていってる気がするよ」

 

「まったく、せっかく幸せを呼んであげたのに」

 

どういうことだ?

 

「笑う門には福来たるっていうでしょ。新築の家に笑顔が満ちてるわよ、家主だけがそんな難しい顔じゃいけないでしょ」

 

「……それもそうだな。いやはや妖怪に生き方を教わることになるとわ」

 

「あら失礼な言い方。もっと素直に感謝できないのかしら」

 

「感謝してますよ八雲どの。たくさんの笑顔をありがとう」

 

「どういたしまして、お礼は式になってくれれば結構よ」

 

「それはご免こうむる」

 

「あら残念降られちゃった。じゃあせめてお酌してくださる」

 

「よろこんで」

 

まあこんな一日もたまには悪くない。

 

夜の幻想郷にたくさんの笑い声が響き渡った。




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