東方赤弓兵   作:ライダ

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最初に言っておく、蛍のことはすまんかった。


天魔と一日

さてと…お茶請けも買ったことだしさっさと仕事に向かうとしよう。今日は寺子屋の屋根の修理と神社の修復、あとついでで天魔の探索か。……なんかこの頃こんな仕事ばっか…俺は大工か?

 

「じゃまするぞ」

 

「おおきたか、わざわざすまないな」

 

寺子屋に着くと中から慧音が出迎えてくれた。靴がいくつかあるのを見ると客が来てるのか?

 

「…なんだ、妹紅に阿求か」

 

「なんだとはなんだ」

 

「失礼ですよ」

 

ああわるかった、だからそんな睨むな。土産も用意してきたから。

 

「お、気が利くな」

 

「そういうことでしたら」

 

現金な奴らだ。

 

「さっそくで悪いが屋根の修理を頼む、教室の雨漏りが酷くてな」

 

「わかった」

 

霊夢の神社の修復もあることだしさっさとやろう。

 

 

 

「それにしてもさ…アーチャーって便利だよな」

 

なにさ突然、つか修理中に屋根に上って来るな。

 

「確かに便利ですね…家に仕えてもらいたいくらいです」

 

下からは阿求か、また勝手なことを言ってるし。

 

「かってに人を便利屋扱いするな」

 

「何をいうか、お前のしてる仕事は便利屋以外の何物でもないだろうが」

 

それを言われると痛いんだが、仕事頼むんだからもっとましな呼び名を考えてもらいたいものだ。

 

「そうだな…なら万屋(よろずや)なんてどうだ?」

 

万事をこなすね…しかし家は屋敷みたいなもんだから的を全然得てないぞ。確か万屋ってもっと規模が小さいものだぞ。

 

「別に問題ないだろ。やってることは小間使いみたいなもんなんだから」

 

そりゃないだろ妹紅……

 

「そうですね…家名があれば~家とかでもいいんですけど…」

 

そういわれてもな、衛宮を名乗るわけにもいかないし自分の名前はないしな。

 

「アーチャーなんだから弓家でいいんじゃないか?」

 

「それだと弓売ってる店みたいだな」

 

「げんそうやしきなんてどうかしら?」

 

「うわ!?どこからわいて出た紫」

 

いきなり目の前に出てくるなんて危ない奴だ。ああそこはまだ修理中だぞ!

 

「これは八雲さま、いったいどのような御用で」

 

「面白そうな話をしていたみたいだから。ちなみに書き方は贋想屋敷(こう)よ」

 

「いろいろ言いたいことはあるが贋でげんの読みは無茶があるぞ」

 

「あら、あなたのトレードマークみたいなものじゃない」

 

そういいながらさらに淡々と説明を続けていく。まあ確かにそうなんだが紫にそのことはなしたっけ?

 

「なるほど…確かに何でもこなすのは何でも受け入れる幻想郷と似ていますね。でも屋敷より贋想亭のほうが語呂がよくありませんか?」

 

「亭はもうあるのよ」

 

「?それはどういう…」

 

「まあいいじゃない細かいことは」

 

何か誤魔化してるくさいな。久しぶりに見たが胡散臭さは健在だな。

 

「なにやら隠されてる気がしますがいいでしょう。それじゃあ幻想郷縁起には贋想屋敷にして載せますね」

 

ってちょい待て、なんで俺の家が幻想郷縁起に乗せられなくちゃならないんだ。

 

「またまたご謙遜を、あなたは十分幻想郷の一角に相応しい力を持ってるでしょうに。あとはあなたのことを教えてもらえれば幻想郷縁起を書き進められるんですが」

 

勘弁してくれ、俺の力は相手に知られてないほど力を増すんだ。幻想郷縁起なんかに乗せられたら戦力半減もいいところだ。

 

「おいおい、おしゃべりも結構だが修理もしっかりやってくれよ」

 

「問題ない修理ならもう終わったよ。ところどころ強化もしておいたから野分がきても大丈夫なはずだ」

 

「そうかありがとな。もうすぐ昼だし一緒に食べてくか」

 

「遠慮しとくよ、これから神社の修復もあるしな」

 

さっさと神社直して悪霊を押し付けんといかんしな。

 

「ああそうだ、そういえば人を探してるんだ。もし見かけたら教えてくれないか?」

 

「人?一体どんな人物なんだ」

 

ええっと天魔っていうわけにはいかんから…天魔の特徴っていったら

 

「バカっぽそうな女だ。あ、あとなんか見かけに反して残念な行動をとるな」

 

「そ、そうか。見かけたら伝えるよ」

 

「よろしく頼む」

 

さて神社に向かうとしようか。あと数日もあれば修復は完了するはずだ。

 

「……アーチャー一つ忠告してあげるわ。壁に耳あり障子に目あり」

 

……どういう意味だ?ま、紫の発言にいちいち反応していたら体がもたないか。

 

 

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「……ふぁああ」

 

アーチャーの後を付けてみたはいいものの…なんか飽きてきたな。やってることもなんか家いじってばっかだし、大工だったけ彼って。

 

「もうかえろかな」

 

いや帰るといっても山じゃないけども。人里のどっかの家にでも泊めてもらおかな、きっと私ほどの美女ならば二つ返事で了承してくれるに違いない。身近の馬鹿どもは私の魅力に気づいてないのかちっとも私の命令きかないし。

私が休みたいって言ったら返事は《はい》以外ないでしょうが。それが無言で顔面ビンタってなによ、逆に顔面吹き飛ばしてやりたいくらいだわ!

 

……そういえばさっき何かを探してるっていってたっけ。たしか特徴がバカで残念な女…それにしても哀れな特徴、一度見てみたいわね。

 

「見て見て大ちゃん!バカそうな奴が神社を覗いてるよ」

 

「ち、チルノちゃん聞こえるよ!」

 

…………ふぅ、所詮妖精の戯言…気にする必要なんてないわね。それに私のこととは限らないし!他の誰かかもしれないし!

 

「ねえねえミスチ~残念な鴉みつけた~」

 

「ちょ、止めなってルーミア!明らかに怖そうだよその妖怪」

 

「そ~なのか~」

 

「…………(プルプル)」

 

耐えろ私、今のは空耳そうに決まってる。だからここら一帯を吹き飛ばす必要はない……

 

「や~いば~かば~か!!」

 

「ざんねん~!!」

 

「「ちょっとぉぉ!!」」

 

……もういいよね、私は十分我慢したよね。こいつらを跡形もなく吹き飛ばしても文句言うやつはいないよね。そこから動くなよ雑魚ども、今すぐ大気の塵とかしてやるから。

 

「……死にさらせぇぇえぼぉ!?」

 

ちょっ…なんで!?今私が攻撃したよね、なんで攻撃した私が横転してんの!?ていうか頭痛い!

 

「お前は子供相手に何をしている」

 

「あ…アーチャー」

 

「ほらお前たち、この馬鹿に殺される前にどっか他の場所で遊べ」

 

ああ!こら獲物を逃がすな。私は調子こいた雑魚どもをシバかなければいけないのに。

 

「だまれ馬鹿、少しは天狗の頂点の自覚を持て」

 

何を言うか!私ほど威厳をか持ち出している女は幻想郷広しといえど私しかいないであろうに。

 

「威厳(笑)ね」

 

なんか物凄く腹正しいニュアンスを感じた。

 

 

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「アーチャー酒追加ぁ~」

 

「はいよ」

 

今何をしているかって?簡単だ、風呂に入っている天魔に酒を振る舞っている。

 

余計わからないか?まあ説明すると天魔に博麗神社の修復した箇所のチェックをしてもらってるだけだ…もちろん勝手にだが。

 

「それより湯加減はどうだ?」

 

「丁度いいわよ~アーチャ~もいっしょにはいりゅ?」

 

「遠慮する」

 

「……美人の誘いを断るなんて失礼な奴め~」

 

ふむ…どうやら温度調節は的確に出来ているようだな。ここは紫が直すとか言っていたから心配だったんだが杞憂でよかった。ちなみにどういうわけかこの風呂は自動で湯が沸く。時代錯誤も甚だしいがおそらく河童にでも直させたんだろう。

 

ちなみに博麗神社や里の有力者の家はこういった時代錯誤が垣間見える。具体的に言うなら水道なんかがあったりする。他に紅魔館も水道等はあるが、これは紅魔館が外から来たため水道等の知識もあったんだろう。それかパチュリーが魔法で何かしてるかかもしれんが。

 

後これは余談だが俺の家も時代錯誤ハウスとかしている。これは俺がやったわけでなく、依頼で一日開けて帰ってきたら紫によって改造されていた。紫曰く《だって私が使うのに不便じゃない》だそうだ。いや確かに便利にはなったが、家を勝手に改造されていい気分はしない。

 

「……はれ…なんか熱くなってきたような…」

 

「気のせいだろ(ふーふー)」

 

ちなみに俺は今釜戸で風呂の温度を上げている。もともとこのつもりで風呂の場所は設計していたから手動で温度を上げることも可能だ。

 

「……温度はだいたい80度くらいか」

 

「なんはいった~?」

 

「なにも」

 

ああいっておくけど俺は天魔を釜茹でにする気はないぞ。

 

「…な、なんか目が回ってきらよ~お酒もなひ~」

 

「それは大変だな。のぼせる前に上がるといい」

 

「そうすりゅ~」

 

さてと、あともう少しだな。

 

 

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「……ととっ」

 

私としたことがふら付いてしまった。おかしいな~これくらいで酔うはずなんてないんだけどな~…そうかこれは酔ってるわけじゃない!ただ気分がいいだけなんだあはははは~~

 

「は~~……」

 

けどアーチャーに見つかったときにはどうなることかと思ったけど心配することなんてなかったね。お風呂使わせてくれてご飯までくれるっていうんだから最高だよね…チョイイネ!サイコォ!!

 

注…この馬鹿(天魔)は酔っています。そのため発言に一貫性がありませんのでご注意ください byアーチャー

 

「おまたへ~」

 

「遅かったな。一体何をし…て……」

 

んふふ、何アーチャーもとうとう私の美貌に目がいっちゃたのかな?まあ仕方ないよね。湯上りの美女がいたら男だったら反応しちゃうわよね。ああなんて罪深い女なんでしょう私は、今日もまた一人男を虜にしてしまった。

 

「天魔…お前……」

 

「なあに?」

 

いいのよアーチャー、あなたの反応は当然…その湧き上がる劣情に任せて私を押し倒しても誰も文句は言わないわ。さあいらっしゃい私はあなたを受け入れてあげるわ! 注…酔っています

 

「お前…浴衣も満足に着れないのか。大和撫子みたいな姿してるくせにだらしないな」

 

「…え…あ…その……すみません」

 

……笑わないで!今の私を見て笑わないで!!

 

「ほらこっち来い。ちゃんと着付けしてやる」

 

「…はい」

 

「まったく…なんだ?結びどころかまともに羽織ることもできてないじゃないか。ほら後ろ向け」

 

「…はい」

 

酷い!何が酷いってこの状況。これじゃここにいるのは男と女じゃなくてお母さんと娘だよ。あ、お父さんか……とすると私も息子?……いやいや何を考えてるんだ私は。私は女でアーチャーはお母さんでそれでお父さんがいて…… 注…しつこいようですが酔ってます

 

「…い……おい天魔!」

 

「ひゃい!?なにお母さん」

 

「だれがお母さんか!それより聞いてたのか?お前は無駄に胸がデカいんだからまずは自分で右側をやれ」

 

「…はい」

 

もう泣きそう…もう完全に母と娘、父と息子だ。この場に色気というものは消え失せてるよ。

 

「よしそのまま抑えてろよ…次は腰紐をだな。いいか絶対その手を離すなよ」

 

そういってアーチャーは私の前に回り込んで腰紐を結ぼうとしている。今ここで手を放したらどうかな…だめだお母さんに怒られちゃう 注…酔って

 

「できた、最後に帯だな。少しキツ目にするからキツすぎたら言ってくれ」

 

そうだ考え方を変えよう。これはちょっとお茶目な夫婦の戯れだ。そう最初からこう考えればよかったんだ!そう考えると今キツ目に縛られてるのも気持ちよくなって…もうキツすぎはだめよあなた 注…よ

 

「おい!もう終わってんだから帯くらい自分で直せ!」

 

「…ごめんなさい」

 

ふっ所詮はこんなもんよね

 

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「ほらぁアーチャーちゃんと飲んでるの~」

 

「ああ飲んでるよ、それより料理はどうだ」

 

「上手いよこんちくしょー!私の側近になりやがれ!!」

 

「御免こうむる」

 

だいぶ酔いが回ってるな。もはや行動がそこらのおっさんのようだ。これで美人だから余計馬鹿に見える。

 

「また振りやがったな~!!もう無理矢理にでも堕としてやる~」

 

そういうと天魔は両手で鷲頭かみにしていきなり唇を押し付けた。

 

「んふっちゅ…どうら~参ったか~もっとしてやる~」

 

「そうか好きなだけしていろ」

 

「言われなくてもやってやる~あんたは私にもうメロメロなんらから~」

 

再び天魔は皿に奇行を始める。もはや馬鹿を通り越して可哀想に見えてくる、よほどストレスでも溜まっていたのか?だったら悪いことしたな。

 

 

 

「ZZZZ」

 

「ようやく潰れたか」

 

さてそれじゃさっさと済ませてしまおう。俺は文にもらった発煙筒らしきものを上空に打ち上げた。すると一分もしないうちに一人の妖怪が博麗神社の境内に降り立った。

 

「あなたは?その発煙筒は私の部下に持たせたもののはずですが」

 

「そう殺気立つな。俺は射命丸に依頼を受けたものだ、探しているんだろう天魔を」

 

やってきた者は一定の距離を空けつつ俺に対応していた。安易に相手の間合いに入らないことからそれなりの使い手ということがわかる。

 

「射命丸ですか、これは失礼しました。私はシルクといいます、以後お見知りおきを。それで天魔様のことを知っているということはもしや捕まえたのですか?」

 

「ああ、まあ捕まえたと言えるかはわからんが。とりあえず来てくれ」

 

シルクは俺の後を黙って着いてくる。礼節も天魔より数段いい、天狗にもこういうやつもいるんだな。今まであった奴は大抵頭のネジが一本ぬけてるようなやつばかりだったんだな。

 

「ここだ」

 

「……まったくこの方は」

 

シルクはこめかみを抑えながらプルプルと震えていた。まあ自分とこの統領が酒瓶を握りしめながら寝ていたらそうなるだろう。

 

「無くなった酒は請求させてもらうぞ」

 

「あ、ええそれは構いませんが…よくこの人が人間用の酒で酔いつぶれましたね。普段だったら山中の酒を飲みほしてもまだ足りないという方なのに」

 

「まあ生き物である限りどうしても酔ってしまう飲み方があるんだよ」

 

俺だってただ酒を与えるだけじゃ天魔をよい潰せるとは思っていない。わざわざ風呂で酒を飲ましたのも酔いを回させるためだしな。

 

「こんどご教授願いたいですよ。本日はうちの馬鹿が迷惑をかけました」

 

「いや馬鹿の相手は慣れているよ。ああ今馬鹿の服を持ってくる」

 

「すみません、お礼は後日いたしますので」

 

服を渡すとシルクという天狗は天魔を抱え山に帰っていった。あのシルクという天狗…おそらく大天狗クラスだろうな。ここから去る最後まで気を抜かなかったな。

 

 

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「ん…ん~ん……ッツ!!」

 

あー頭痛い、昨日は何があったけ。確か神社でアーチャーに見つかってお風呂入ってそれから……何してたっけ?

 

「神社で酔いつぶれてたんですよ」

 

そうそう神社で酒飲んで酔っちゃたんだ。じゃあこの痛みは二日酔いか。いや懐かしい、二日酔いなんていつ振りだろう。

 

「いつまでも現実逃避してもらっては困ります」

 

「……おはようシルク」

 

「おはようございます」

 

その朝、天魔の悲鳴が山に響き渡った。

 

後に天魔は語る。あの笑顔は忘れられない。




ちなみに作者は蛍嫌いじゃないですよ。

次は、次こそは全員そろえて出して見せる。
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