東方赤弓兵   作:ライダ

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妖精と少女

「むう、行けども行けども森ばかり。いったいどこなんだここは」

 

あれから化け物とは出会わなかったが森の中から一向に出られない。いったいどんな世界に送られたんだおれは?まさか猿っぽい何かが石槍もってる時代じゃないだろうな。

 

「それにだ、さっきから同じ所をぐるぐる回ってる」

 

おかしいと思ったのは十分ほど前だ。一本の木に傷をつけて先に進んでいたらまた傷のある木があった。

 

「何かの魔術か?いや気配は感じなかったし」

 

かりに魔術だったとしたら不味いな。ただでさえ魔術抵抗が低いのに使ってきた相手が認識できないのは非常に不味い。

 

落ち着け、まずはこのループを抜け出すんだ。幸い空間把握なら解析を応用すればできる。

 

「――――同調・開始(トレース・オン)

 

もともと解析は魔術師にとって初歩の初歩。難なくここら一体の土地の構造を把握できた。

 

「……よし、行くか」

 

暫く歩いていると不自然な空間があった。解析したときなかったはずの場所に木が立っている。

 

こちらの場所がわかっていないとこういったこういった不可思議の現象は起こせない。ということは相手は今俺を視認してるってことか。

 

「なら、――――投影・開始(トレース・オン)

 

投影するものは雷神ウッコのもつ電光の鏃の矢。役目は閃光で俺の捕捉者の目暗まし、ゆえに完璧な投影は必要ない。ただ爆発させたときの閃光に特化を。

 

「――――構成材質、補強」

 

「――――投影・完了(トレース・オフ)

 

できた、さすがに剣以外の投影は体に来る。けど活動に支障はない、これでやることは一つだ。

 

「フッ!」

 

俺は矢を上空に投げ、そして…

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

矢が爆ぜ辺りに閃光があふれる。よし、今のうちに身を隠して…

 

「「「わああぁぁーー!!」」」

 

「……はい?」

 

後方から悲鳴?

 

振り返ると子供のような容姿で背中に羽をはやした生き物が上空に逃げて行っていた。何なんだいったいこの世界は、化け物はいるわ変な羽つき子供はいるは。

 

「…先、進むか」

 

ここでこうしていても仕方ない。たぶん俺を迷わせていたのもあいつらだろう。それにさっきの解析で開けた空間も見つけた。おそらく村か何かがあるだろう。

 

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「……ふう、危なかったわね」

 

先ほど閃光が起きた場所から数キロ、三匹の妖精が息を切らしながらへたり込んでいた。

 

「危なかったじゃないわよ!だから止めようって言ったのに」

 

「何よ!助かったんだからいいじゃない。それに助かったのは誰のおかげだと思ってるの。私があの変な光を反射したからよ」

 

「確かにさっきの機転はサニーにしてはよかったわね」

 

「でしょでしょ…って私バカにされてない?」

 

「どうでもいいわよそんなこと。それよりスター、さっきのはほんとに来てない?」

 

「大丈夫よ。ここらには生き物の反応はないわ。ルナは心配性ね」

 

「ねえ、私バカにされてない?ねえ、ねえったら」

 

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三妖精がショートコントをやっている間に、弓兵は解析によって見つけた空間に到着していた。

 

「予想道理か。しかしこれはまた……」

 

確かに村だとは思ったがこれは…明治ごろの村、いや町か。町並から見るに場所は日本だとは思うけど、やけに変な生き物が…具体的に言うならさっきみた羽つき生き物がちらほらと。

 

「なあ、あんたそんなところで何してんだ」

 

「ん?」

 

気付くと足元に子供が寄ってきていた。ここに入ってから何やら避けられてた感があったため気付くのにおくれてしまった。

 

「なあぁってば」

 

「ああごめんな。俺はよそ者でな、少しこの村のことを見て回ってるんだ」

 

「よそ者?ああ!あんたもしかして慧音先生が言ってた外来人て奴だろ。変な服着てるし間違いない!」

 

変な服って……まあそれは置いといて、この少女が興味深い言葉を言っていた。外来人、たしか彼女がそう言っていたはずだ。

 

「なあそうだろ。あんた外来人なんだろ!」

 

「ん、たぶんあってるよ。俺はその外来人ってやつだと思う」

 

「よっしゃ正解!私はやっぱり天才だな!」

 

「じゃあその天才の君に聞いていいかい。外来人とはどういう意味なんだ」

 

「おう!外来人はな…ええと、あれだ、そう外から来た人だ!」

 

「よし、できたら君のいうその慧音って人のところに連れて行ってくれないかな」

 

子供に頼るのも忍びないがこの子は俺に唯一話しかけてくれた人間だ。頼りはこの子だけだ。

 

「いいぞ、私についてこい変な兄ちゃん!」

 

「変な兄ちゃんは勘弁してくれ」

 

「だって私兄ちゃんの名前知らねえもん。名前教えてくれよ、ちなみに私は霧雨魔理沙、普通の天才美少女だぜ。兄ちゃんは?」

 

「俺か……」

 

まいったな、元の名前なんてとっくに無くしているし…やっぱあれしかないかないか。

 

「なあ兄ちゃんの名前は?」

 

「そうだな、アーチャーとでも呼んでくれ」

 

「あちゃー?なんか失敗しそうな名前だな」

 

「アーチャーな」

 

「あっちゃー?」

 

「アーチャーだ、わざと間違えるな」

 

「にひひ、わるいわるい。それじゃあ私についてこいアーチャー!」

 

「了解したマスター」

 

「ほへ?なんかいった?」

 

「いやなんでもない」

 

将来が末恐ろしいなこの子は。いったいどんな人間になるのやら。できるなら俺みたいに曲がらずまっすぐ育ってほしいものだ。

 

無邪気に走る魔理沙を見ながら俺はそう思った。

 

「……あ!」

 

「あ」

 

「うう…い、痛くないもん」

 

「そうかい(大丈夫だろうか?)」

 

目の前で転んで涙目になっている魔理沙はさっそく前言を撤回させたくなる雰囲気をか持ち出していた。




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