東方赤弓兵   作:ライダ

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藍と紫

山奥に廃屋があり、旅人が迷い込んで日用品を持って帰ると幸運が訪れるという場所がある。そこの名はマヨヒガ、そこで二人の人物が会合していた。

 

「……紫様、守護者との会合はどうでしたか」

 

「会合自体は問題なかったわ。けど式になるのは断られてしまったけど」

 

「はあ、紫さまは彼を本気で式にするつもりだったんですね」

 

私の式の藍はなにやら不満そうに言ってくる。

 

「あら、藍は不満だったの?彼が式になればあなたも少しは楽ができたのに」

 

「不満というわけではないですが。私はどうにもあの男が好きになれません」

 

「それは私も同意見だわ」

 

「はい?」

 

藍が意外そうな顔をしてくる。いやねえ、橙が見たら惹くわよその表情。

 

「いや紫様、それならなぜ彼を式などにしようなどと」

 

「藍、何か誤解してるよだから言っておくけど私が嫌いなのはアーチャーであって彼ではないわ」

 

「??」

 

やれやれ、何もわかってなさそうな表情ね。やっぱりいくらスパコン並みの知能があっても自分で考えられなきゃだめね。

 

「藍、もっと頭を働かせなさい。あなただって彼の違和感は気付いてるでしょ」

 

「それはそうですが。それが何の関係が?」

 

「はあ、じゃあ聞くけどそもそも何で私たちがアーチャーを好きになれないと思う?」

 

「それは……」

 

「いい、私とあなたとの共通点を考えてみなさい」

 

「私と紫様の共通点…若いは違うし……」

 

あらこの子はいつから自殺志願者になったのかしら。

 

「ひい!嘘です嘘です紫様はお若いです」

 

まったくどいつもこいつも人を見れば年寄りと。この麗しの美女を捕まえてどこが老けているように見えるのかしら。もしかしてどこかの馬鹿がユカリン♪ババア説をニコニコしながら布教してるんじゃないでしょうね。

 

「えーと後同じ所と言ったら…種族ですか?ってどうしました紫様」

 

「あ、いえ何でもないわ。正解よ藍、私たちがアーチャーを嫌う理由は私たちが妖怪で彼が英霊だから」

 

英霊とは死者、特に戦死者の霊を敬っていう語。英華秀霊の気の集まっている人の意で才能のある人。

 

「これが私たちが知る一般的な英霊よ」

 

「それは私も知っていますが」

 

「もしその定義が違っているとしたら?」

 

「!?」

 

あらあら鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔して。

 

「彼の話を(盗み)聞きして仮説を立てたわ」

 

そもそも英霊は人間だけがなれるわけではない。妖怪だってなれたって不思議じゃないわ。もしかしたら実在しない人物だって英霊になれるかもしれないわ。

 

「まあ妖怪が英霊になっても弱いでしょうけどね。なるなら悪霊の方がよさそうだわ」

 

「そのことといったい何の関係が?」

 

「いい、私の仮説を例に英霊を挙げるとしたらそうね、アーサー王伝説なんてどうかしら。アーサー王だけじゃなく円卓の騎士全員が英霊になったとするわ。彼らは英霊になるまでに多くの化け物、いや妖怪を殺して人間たちから称賛をえたわ。それによって彼らは概念的に妖怪の天敵になったわ」

 

「その過程が本当なら私たちが彼を敵視するのはわかりますが。それなら私たちが今までそのことを誤解していたのに納得が」

 

「それはそうよ。私たちが存在してる世界には私の仮説が当てはまらないもの」

 

「いったいどういうことですか?」

 

もうわけがわからないというふうに藍が聞いてくる。そろそろ理解してほしかったけど仕方がないか。

 

「並行世界って言葉は知ってるわよね」

 

「知っていますが。まさか紫様アーチャーが並行世界から来たと」

 

「推測だけどね。もし私の仮説が事実となる世界があったとしたら藍も納得いくでしょ」

 

「それはそうですが」

 

「まあ今は推測なのは仕方ないわよ。証明しようにも、さすがに私も並行世界にはいけないから証明のしようがないわ」

 

もしかしたら数百年力を温存して膨大な計算をこなす時間があれば並行世界に行けるかもしれないけど。

 

「いつか彼の口から本当のことが語られるのを待ちましょう。そっちの方が確実に私が並行世界に行くより手っ取り早いわ」

 

「紫様がいいならいいですが、結局何で紫様彼を信用するんですか?」

 

そういえばそんな話から始まったわね。

 

「そうね、しいて言うなら女の勘かしら」

 

「………………」

 

何かしら今日は、本当にストレスを感じさせる一日ね。

 

「ゆ、紫様苦しいです」

 

「ごめんなさいね、今日相当ストレスを感じてるみたいなの。だからこれ以上私をイラつかせない方がいいわよ」

 

「わ、わかりました」

 

あらあら、そんなに怖がらなくてもいいのよ。何もしなければ私も何もしないのだから。

 

「そうそう、もしどうしてもアーチャーが気に食わないならアーチャーじゃなくて違和感をとらえてみなさい。そうすれば藍も彼を好きになれると思うわよ」

 

「違和感ですか?」

 

「ええ、むしろ彼の残りかすの方が私たちには心地いいでしょうし。きっと幽々子も気に入るわ」

 

「まあ分かりました、それではそのように考えてみることにします。それでは彼の監視はもうしなくてもいいですよね」

 

「ええ、面白そうだから私が引き継ぐわ」

 

「紫様……」

 

「尻尾を半分に減らされたいようね」

 

「仕事に戻ります!!」




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