東方赤弓兵   作:ライダ

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悪魔と妹

博麗神社の出来事から約一年、俺は無事就職をはたし冬を越すことができた。

 

「アーチャー!アーチャーはどこよ!!」

 

「どうかいたしましたかお嬢様」

 

俺はある館に勤めていた。成り行きは複雑だったが割のいい仕事だったのでそこは良しとしよう。

 

「どうしたじゃないわよ。これは何かしら?」

 

「どうしたもこうしたも今日の昼食ですが」

 

今日はメイド長が買い物のため人里に出ているため俺が昼食を作ることは知っているはずだが。

 

「そんなの見ればわかるわ。私が聞きたいのは、このご飯のてっぺんに立っている人をおちょくっているような旗は何かと聞いているのよ」

 

「見たらわかるでしょう。お子様ランチには旗がないと」

 

「やっぱりか!やっぱり人をおちょくってたか!!」

 

「お嬢様、お嬢様は人間ではなく妖怪ですよ」

 

そんなタコみたいに顔を真っ赤にすることなかろうに。

 

「そんな事はどうでもいいわ!毎度毎度私をおちょくってそれでも紅魔館の唯一の執事なの!」

 

「そうですが?」

 

ムキー!!とさらに腹を立てたレミリアお嬢様はテーブルをひっくり返し昼食を投げつけてきた。もちろん昼食はこぼれないようキャッチしたぞ。

 

「食べ物を無駄にするのは感心しないぞ。せっかく人里の皆が精魂込めて作ってくれた食材だ」

 

「五月蠅いわ!あんたが私をおちょくらなきゃ食材だって無駄にならないわよ!!」

 

「フランは喜んで食べてくれたのだが」

 

まったくフランは文句もなく食べてくれたというのに姉は文句を垂れるばかり。少しは妹を見習ってほしいものだ。

 

「お嬢様をつけなさいお嬢様を!」

 

「仕方ないだろう、フランの指示なのだから。機嫌を損ねてまた館を半壊されてもかなわないだろう」

 

「そ、それはそうだけど…せめて私の前ではちゃんとお嬢様をつけなさい。他の者に示しがつかないでしょ」

 

「それはそうだな。失礼した、これからはそのようにするとしよう」

 

「分かればいいのよ分かれば」

 

俺を言い負かせたのが嬉しかったのかない胸を張り椅子にどっかり座った。

 

「それでは改めて昼食を」

 

「ええ、早く用意して頂戴。叫びすぎてもうお腹ペコペコよ」

 

「それは大変だ。早く用意しなければ」

 

「あんたのせいだけどね」

 

さて、まずは倒れたテーブルを起こしてもう一度料理を温めなおさなくては。

 

「ご用意できましたお嬢様」

 

「だから旗を抜け!!」

 

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「まったくアーチャーは!ちっとも館の主を敬うって心を知らないんだから。腹ただしいったらないわよ」

 

「レミィ愚痴なら聞いてあげるからもう少し静かにして」

 

「あ、ごめんパチェ」

 

結局お昼はあの思い出すだけで怒りがよみがえって来る昼食を食べるはめになった。これで美味しいんだからたちが悪い。

 

「別に美味しいならいいじゃない」

 

「よくないの!なんかあいつが来てからこう、私の威厳がどんどん抜かれていってる気がするし」

 

この間館のメイドが私のことをれみりゃなどと呼んでいた。もちろんその妖精には一回休みなってもらった。

 

「ところでアーチャーは?確かこの時間は図書館の整理のはずだったけど」

 

「フランがごねてたから貸したわ。外に出て行ったみたいだけど」

 

「そんな勝手に」

 

せめて私に一言いうべきでしょアーチャーの奴!

 

「ところでパチェさっきから何食べてるの」

 

「昼食のサンドウィッチよ、見たらわかるでしょ」

 

私がお子様ランチでパチェがサンドウィッチ。このやりようのない怒りはどこに向ければいいのかしら。

 

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「ハックション!!」

 

「アーチャー風邪?」

 

「いや、誰かが噂でもしてるんだろ」

 

おそらく最近カリスマ欠乏症に陥っている人だろうけど。外に出ることメイド妖精に伝えるよう頼んだけど無理だったか。

 

「それよりフラン、今日はどこに行きたい?」

 

フランは数か月前まで幽閉されてきた、その反動かやたら外に行きたがる。まあ外に出したんだから面倒は最後まで見るけどな。

 

「ん~と霊夢のとこ行きたい」

 

「わかった。博麗神社だな」

 

俺とフランは博麗神社に歩みを変えた。

 

「やっほ~霊夢~」

 

「フラン走るな。日に当たるぞ」

 

フラン、本名フランドール・スカーレットは吸血鬼だ。そのため弱点も多い、流れ水は渡れないし太陽の光に当たれば皮膚が焼け最終的には霧になって霧散してしまうだろう。

 

「…また来たのあんたたち。妖怪と幽霊が神聖な神社に来るんじゃないわよ」

 

霊夢はあれからも相変わらず修行はサボっている。けど今までに比べたらやっているみたいだが。

 

「霊夢は今日何しにしてるの?」

 

「見たらわかるでしょ、お茶飲んでるのよ」

 

「楽しいの?」

 

「あんたたちが来るまでは楽しかったわよ」

 

「そうか、せっかくお茶請けを作ってきたんだがいらないか。フラン全部食べていいぞ」

 

「わーい♪」

 

「私も食べるわよ。よこしなさいよ」

 

相変わらず現金な巫女だ。まあ美味しそうに食べてくれているようだしいいか。

 

「おや、神社が賑やかだと思ったらアーチャーたちが来ていたのか」

 

「その声は霖之助か。君が神社までくるのは珍しいな」

 

彼の名は森近霖之助。香霖堂の店主でとある理由で知り合うことになったんだが、語ると長くなるので今は語らないでおこう。彼は手にとった物の名前と使用用途を知る程度の能力を持っている。

 

「私もいるぞ!魔理沙様の登場だ、皆の者頭が高い!控えおろう!」

 

「何言ってんのよ馬鹿」

 

「あ、魔理沙だ。やっほ~」

 

「おおフランもいたのか、何だその美味そうなの私にもくれ!」

 

今度は何に影響されたんだか。しかしただの一般人が妖怪のいる中に突っ込んでいく光景はすごいな。

 

「ところで霖之助はどうしてここに」

 

「紫さんに霊夢の新しい巫女服を頼まれてね。出来上がったのでじきじきに持ってきたというわけだ」

 

そういうことか、また紫のつかいっぱしりか。

 

「店は相変わらずのようだな」

 

「まあね。お願いだからこれ以上僕から仕事を取らないでくれよ」

 

「はは、保障はしきれんな。まあ暫くは執事が忙しいから仕事を取る余裕はないと思うけどな」

 

「できればそのまま永久就職してほしいよ」

 

それはご勘弁願いたいな。執事にはどうも嫌な予感が付きまとい続けてるし。

 

「アーチャー!今日こそあんたを地べたへ這いつくばらせてやるわ」

 

「なんでさ」

 

どうしていきなりそういう結果に至ったのかその仮定を教えてほしいものだ。

 

「面白そう!私もやるやる」

 

「待て待てさすがにフランが加わるのはって話を聞けぇぇ!!」

 

あぶな!?レーヴァテインが頭上を掠めていきやがった。

 

「いいぞやれやれ~~!!」

 

魔理沙てめえ勢いを増長するな。いかんマジで死にかねん。

 

「夢想封印!!」

 

「こら!こんなことに博麗の秘奥なんて使うな!!」

 

幸いなのはまだ威力が完全でないことだが。

 

「スターボウブレ~イク!!」

 

こんなふざけた合わせ技が飛んできている状況かでは気休めににもならん!気を抜いたら一瞬で持って逝かれる。

 

「ええい仕方ない、I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)――――!」

 

まさかこんなくだらないことでロー・アイアスを展開するはめになるとは。魔力消費にも納得いかないよ。

 

「いいだろう、本気で相手をしてやる。ただしどうなっても恨むなよ」

 

子供相手に大人げないと思う輩もいると思うが考えてみろ、子供の内に怒らせてはいけない相手を教え込んでおくことも重要なんだ。

 

投影・開始(トレース・オン)!!」

 

だから俺は子供二人に剣の連続投影を持って答えてやることにした。

 

 

 

「ぐ、ぐぐぐ…………」

 

「あー楽しかった」

 

「それはよかったな。それじゃあそろそろ帰るとしよう」

 

よかったよかった。しっかり怒らせてはいけない相手を教え込ますことができたようだ。

 

「ギャハハハ!!霊夢仰向けにぶっ倒れてやんの。どんな気分ですか今?」

 

「ま、魔理沙…あんた今度会ったら覚えときなさい!」

 

「それじゃあ霖之助あとは頼んだ」

 

「え!?僕がこの惨状の後始末をするのかい」

 

知ってるぞ俺は。お前が二人にじゃれられてる俺を見て笑っていたのを。

 

「いいだろ、あとで修繕費を紫にでも請求すれば」

 

「それはそうだが……はぁわかったよ」

 

「分かってくれてなによりだ」

 

「じゃあね~霊夢に魔理沙~」

 

「またな~フラン」

 

「もうくんな!!」

 

このやり取りもいったい何度目か。しかし霊夢は日に日に力が強くなっていくな、あと数年もしたらオレでは手が付けられなくなっているかもな。

 

 




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