東方赤弓兵   作:ライダ

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竹林と妹紅

「みんなどこに行ったのかしら?」

 

何だか静かに過ごせていて気にならなかったけど館が静かすぎる。いつもこの時間だったらフランが騒いでるはずなのに。

 

「厨房にもいない」

 

アーチャーはともかく咲夜もいない。みんなでどこかに集まってる?私だけはぶかれてる。そ、そんなわけないわよね。私は紅魔館の主だもの一人のけものなはずがないわ。

 

「ちょっとそこのメイド」

 

「え?れ、レミリアお嬢様!?」

 

なんでそこまでおびえるのよ。あ、でも脅えられてる方が威厳があるかも。

 

「な、何かご用でしょうか」

 

「そんなに脅えなくていいわ。咲夜がどこに行ったかわかるかしら」

 

「め、メイド長でしたらアーチャー様と一緒に図書館の方へ向かってました」

 

「図書館ね。ありがとう、仕事を続けて構わないわ」

 

咲夜だけじゃなくてアーチャーも一緒?また何か企んでるんじゃないでしょうね。近頃アーチャーの影響か咲夜が紅茶に妙なものを混ぜるし。うう、思い出したら気持ち悪く…何で紅茶があんなに苦いのよ。

 

ん?図書館の中から声が、皆ここにいるみたいね。

 

「ちょっと騒がしいわよ!いったい何をしてるの」

 

「「お嬢様?」」 「レミィ?」 「お姉さま?」

 

やっぱりいた。フランにパチェに咲夜に小悪魔、おまけにアーチャーまで全員そろってるじゃない……だれか忘れてる気がするけど誰だったかしら。

 

 

 

「うう…何だか嫌な悪寒が。まだ春なのに」

 

 

 

「見てわかるだろう、新作料理の試食をしてもらっているんだ。咲夜の新作だぞ」

 

「何よ、それなら私も呼びなさいよ。まったく主をのけ者に(モグモグ)……」

 

「あ!お嬢様それは」

 

うんうん、普通のサンドウィッチみたいだったけど舌の上で弾けるような衝撃が全身を通り抜け……

 

「ッツ~~!!ッツ~~!!」

 

辛い!辛いわよ何これサンドウィッチなのにすっごい辛い!

 

「お嬢様お水です!」

 

「フ~~!フ~~!(ゴクゴク)プハ~~……アーチャーあなたの仕業ね!私にこんな嫌がらせをするなんてあなたしかいないわ!」

 

「勝手に食べて勝手にキレてその罪を俺に押し付けるな」

 

「レミィ今回はあなたが悪いわ」

 

う…そんな、いつも味方のパチェまでもがアーチャーを擁護するなんて。

 

「お嬢様すみません、私が止めるのを遅れたばかりに」

 

咲夜が悪いんじゃないわ。悪いのはこの色黒の男なんだから。

 

「ところで何でこれこんなに辛いの?一体何いれたのよ」

 

「中身は特に変わってない。ただマスタードを薄く塗っただけだ」

 

「何でそんなことするのよ。ただ辛くなるだけじゃないの」

 

「それはお前の舌が子供舌なだけだろ」

 

「なんですって!!」

 

言うに事欠いて子供舌ですって!主をお前扱いもさることながら私を子供舌扱いとはいい度胸だわ。

 

「生憎今日俺は休日ただのお客様だ。レミリアをお嬢様と呼ぶのはおかしいだろう」

 

「そんなことどうでもいいわ!それより今ここで引導を渡してやるわ!」

 

「はぁ…レミィ」

 

「何よぱムグゥ!?」

 

ッツ~~!!ッツ~~!!か、辛いよう……

 

「少し落ち着きなさいレミィ。ここで暴れられたら本が傷つくわ」

 

それなら口だけで言って。こんな辛子を口に突っ込まないで!

 

「……ふぅってアーチャーの奴どこ行った!」

 

「付き合ってられんと人里の方に」

 

「なんですって!」

 

ぐぬぬ、今度会ったらどうするか覚えてなさい!必ずぶっち殺る。

 

「はぁ本当に子供ね」

 

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「で、俺に用事ってなんだ慧音」

 

俺は紅魔館をでて人里の寺子屋に来ていた。昨日慧音に頼みがあると頼まれたためだ。

 

「実はな、これを竹林に住んでいる藤原妹紅という人物に届けてほしいんだ。ほんとは自分で行くつもりだったんだが今日急に授業することになってしまったんだ」

 

と、慧音から一つのバケットが手渡された。

 

「急に授業って、また生徒と授業のことで揉めて課外授業することになったんだじゃないだろうな」

 

「そ、そんな馬鹿なことあるわけないだろ」

 

図星と、慧音の授業は俺や大人にとってはとてもためになる。ただ子供たちにとっては難しすぎてあまり面白くないらしく人気がない。ゆえに口が達者な子供たち(主に魔理沙)に言いくるめられ課外授業に駆り出されることがある。

 

この間は課外授業とは名だけの遠足に成り下がっていた。前回は俺も付き合ったが今回はいいのだろうか。

 

「今回は問題ない、ちゃんと綿密な計画を立てた。これなら前回みたいになることはない!」

 

胸を張りながら自信ありげに言ってるとこ悪いが、子供たちからは不満がマシンガンのごとく飛び出すことだろう。

 

「まあいいが、報酬はいつも通りでよろしく」

 

「それは構わんが、いったいあんな量の木材一人で何に使うきなんだ?」

 

「それは秘密だ。まだ完成まで暫くかかるだろうから完成したら教えるよ」

 

「そうか?まあいい、それよりよろしく頼んだぞ」

 

「了解した、迅速に届けることにしよう」

 

 

 

 

「さて、竹林の前まで来たわけだが」

 

竹林、通称迷いの竹林。その名にの通りとても迷いやすい竹林。原因は、竹は成長が早く目印をつけようにもつけられない。さらに妖精が悪戯を働くためそれが迷いやすさを倍増している。さらに妖怪も住んでいるのでとても危険な場所だ。

 

藤原妹紅という人物はそんな竹林に住居を構えている。慧音から聞いた特徴は長髪で髪の色は白とだけ聞かされた。竹林に住んでいることからそれなりの実力者ということがわかる。

 

同調・開始(トレース・オン)

 

竹林全体を捉えるように解析していく。全体といっても全ては無理だけどな、その原因は何故か張られている結界。この土地の力なのかそれとも誰かが張っているのかわからないが、そのせいで解析が美味くいかない。

 

同調・完了(トレース・オフ)

 

まあいい、家らしきものは捉えることができた。それにしてもすごい場所だ。以前、筍を取りに来た時に解析したが道の構造までまるで違っていた。藤原妹紅という人物はよく迷わないな。

 

「さて行くか」

 

俺は見つけた家に向けて歩み始めた。

 

「「「わぁぁぁ!!!」」」

 

「ええいうっとおしい!!」

 

竹林に入って時間もさほど立っていないのに妖怪が襲ってくること二回。妖精の進行妨害が三回。何でこんな竹林の入り口に妖怪や妖精が大勢いるんだ?まるで何かから逃げてきたような……

 

ズガァァァン!!

 

「な、何事だ!?」

 

こんな竹林で地響き?しかも煙まで…ってまさか火事じゃないだろうな、こんなところが燃えたら一瞬で火が回るぞ。

 

場所は解析の届かない所だが…行くしかないか。

 

 

 

煙が立ち上っていく場所に近づくにつれて竹林の様子がまるで戦闘した後のように荒れている。

 

「いったい何があったんだ…ッツ!?まさかあれは人か?」

 

震源地であろう中心には大きなクレーターが出来ていた。その中に人が一人倒れていた、しかも傷だらけで体の上半身と下半身が分かれていた。見た感じの容貌から女性のようだが…妖怪にやられたにしてはおかしい。いったい何があったんだ。

 

「けどこれじゃもう……」

 

さすがに助からないどころか既に絶命しているはずの女性に異変が起こった。

 

「なんだと」

 

彼女の全身から火が噴きだし分かれていた上半身と下半身までも火に包まれる。そして火が消えると中からまったく傷がなくなり息も吹き返していた。その様子はまるで不死鳥よように見えた。いやまて、なんで服まで再生してるんだ?

 

「ぐ、げほ!」

 

「お、おい大丈夫か」

 

「あ、ああ心配ない。ってあんた誰だ?」

 

「いやそれよりもだ。君は大丈夫なのか、その、完全に絶命していたはずだが」

 

「生憎と健康が取柄でね」

 

いや健康ってレベルじゃないから。死者蘇生なんて幻想郷でも不可能に近いだろうに。

 

「それより私の質問に答えてくれ。あんた何者だ?まさか輝夜の部下か」

 

その言葉とともに彼女から凄まじい殺気が浴びせられる。まさかその輝夜という人物が彼女をさっきの姿にしたのか。

 

「その輝夜っていう人物とは俺は関係ない。俺はアーチャーと言うものだ」

 

「アーチャーどこかで聞いたことがあるな…ああ、確か慧音がそんな奴のことを話していたきが」

 

慧音だって、しかもその白髪…まさか

 

「君は藤原妹紅か?」

 

「そうだけど、何で知ってんの?」

 

「慧音から君に届け物を任されたからな。特徴を聞いていた」

 

「慧音が、まったく別にいらないって言ってるのに」

 

そういいつつも藤原は顔をほころばせていた。ああは言っているが根はいい奴みたいだな

 

「ところでいったい何があったんだ?」

 

「ちょっと油断してな、攻撃をもろにくらっちまったんだ。ああ思い出しても腹が立つ!」

 

「それはさっき言っていた輝夜と言う人物が?」

 

「ええそうよ、私はあいつを許さない。次あったら絶対殺す」

 

「殺すって物騒な。それよりなぜ藤原は生きてるんだ?」

 

あの傷は明らかに助からない傷だった。しかし今は普通に立ち上がり俺としゃべっている。

 

「ん、慧音から聞いてないのか?私は蓬莱人なんだ」

 

「蓬莱人?」

 

話によると蓬莱人とは、一種の不老不死の人間のことらしい。何でも昔蓬莱の薬をなめ不老不死になったらしい。その蓬莱の薬を飲むことになった原因となる蓬莱山輝夜という人物を殺そうとして今回は負けたらしい。

 

「何と言ったらいいか、一言だけ言っておくと復讐は何も生まないぞ」

 

「それがどうした。それでも私はあいつを殺す」

 

「まあそれは好きにしろ」

 

「あたりまえ…って止めないのかよ」

 

「止めてほしいのか?」

 

「いやそうじゃないけど」

 

「俺には復讐心に燃える人をたしなめる弁術なんてない。そんな奴が何か言ったって意味がないだろう。第一その手の話は多分慧音が言っているだろう」

 

第一昔最低の異常性を持っていたはずの俺が他人の復讐にとやかく言うなんて、図々しいにもほどがあるだろう。何せ英雄が取り込むのを拒否したくらいだからな。

 

「あんた変わってるな」

 

「よく言われる。ところでその輝夜と言う人物は着物を着ていて長い長髪の人物か?」

 

「そうだけどなんでしってんだ?」

 

「見えてるから」

 

何やら嬉しそうにスッキップしている。あ、裾を踏んづけて転んだ。

 

「見えてるって…言ったどんな目してるんだよ」

 

「鷹の目とだけ言っておこうか。藤原も見たければこれを使え」

 

「どこから双眼鏡を。それと藤原は止めてくれ、なんかこそばゆいし妹紅でいいよ」

 

それだけ言うと妹紅は俺の手から双眼鏡を受け取り俺が見ている方を見た。

 

「……本当にいた、見てるだけでなんか怒りが湧き起こりそうだわ」

 

「仕返しするか?」

 

「仕返しって…いったいどうやるきよ」

 

「知り合いを殺されたんだ、なら相手にも同じ目にあってもらうべきだろう」

 

相手も死なないみたいだしちょうどいい。超長距離狙撃の訓練にもなる。

 

「で、どうする。殺るか殺らないかは妹紅にまかせるけど」

 

「やれるもんならやってみてよ。どうやるのか興味あるわ」

 

「了解した。弓兵(アーチャー)の力とくとご覧あれ」

 

「――――I am the bone of my sword(我が骨子は捻じれ狂う)

 

魔力回路に魔力を回し捻じれた剣を手に生み出す。その剣を矢に変換し弓につがえる。

 

「―――偽・螺旋剣(カラドボルグ)!!」

 

真明を開放し対象めがけて射出。矢は竹林を蹂躙しながら進み対象を貫き地面にクレーターを作った。しかし相手もやる、矢の飛来を察知するとは。

 

「あんた…化けもんか?」

 

失礼な、れっきとした人間だったよ。

 

「慧音から強いとは聞いてたけどまさかこれほど強いとは思わなかった」

 

「そうかいそれより早くここを離れよう。君の話なら彼女も蓬莱人なんだろう、もしかしてこちらに戻ってくるかもしれない」

 

「そうだな、輝夜が景気よくぶっ飛ぶ姿も見れたし今日は宴会だな」

 

宴会はいいが理由がしょうもないにもほどがある。

 

「どうした来ないのか?」

 

「行くよ、家に届けるまでが依頼だからな」

 

その後は妹紅の家で宴会を開いた。理由はしょうもないが久しぶりの宴会は楽しく感じたな。

 

「アーチャーって料理も美味いんだな」

 

「気に入ってもらえたようでなによりだ」

 

慧音の渡してきたバケットの中身は食材がわんさか入っていた。なんでも普段は出来上がっている料理が入ってるらしいが。慧音め、最初から俺に作らせるつもりだったな。

 

そう考えていたら慧音がいきなりやってきて愚痴を漏らしにやってきた。やっぱり遠足になったか。

 

「ちくしょう~私はみんなのためを思ってだな~」

 

「分かったから少し落ち着いてくれ慧音」

 

絡み酒が相当うっとうしい。

 

「妹紅助けてくれ」

 

「勘弁こうむる、そんな美女に絡まれてんだ。男なら喜ぶべきだろ」

 

確かにそうなんだが限度はある。

 

「聞いれんのか~アーヂャー~」

 

「聞いてるよ、聞いてるからそんなに叩かないでくれ」

 

骨をへし折らんばかりの勢いで叩いてくるんだ。こんな絡みじゃどんな美女でもお断りだ。ホント笑ってないで助けてくれ妹紅。

 

結局始終妹紅は助けてくれずそれどころか悪乗りをして慧音と一緒に絡んできた。お前らな、俺も男なんだぞそのへんが頭の中から抜けてんじゃないんか?

 

慧音が完全に酔いつぶれたのが引き金で宴会は終わりを告げた。

 

「散々絡んで後は寝やがって、この対価は絶対もらう」

 

「ははそれは好きにしなよ。久しぶりに楽しかったし普段見ない慧音も見れた今日はいいことずくめだったよ」

 

はあ、そんないい笑顔されちゃ何も言えん。

 

「それじゃ俺は慧音を里に送るとするよ」

 

「帰り大丈夫か」

 

「問題ない」

 

それに君も酔っているだろうと言うとははと笑って返してくれた。

 

「慧音に手出すなよ」

 

「俺は自分から竜の逆鱗に触れる趣味はない」

 

最後の妹紅の余計なひと言をしり目に俺は人里の寺子屋へ慧音を送り届け一日を終えた。

 

 

 

後日

 

 

「おいけい……」

 

「………………」

 

暫く慧音が顔を合わせてくれなかった。なんでさ……

 

とういうかせめて報酬はくれよ。




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