E組の教室はシーンとしていた。最悪の雰囲気だ
女子達も男子の雰囲気のわるさを悟ってか誰も話さない
隆志も黙って黙々と着替えている
沈黙を破ったのは川原の一言だ
「あーあ、負けた、負けた誰かさんが一人で暴走して勝手に負けた~つまらないな」
嫌みったらしく言い放つ
「(何を言われたってしょうがない)」
バッチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誰かが川原にビンタした
教室中に音が振動する
川原を叩いたのはマリカだった
「何すんだよ」
普段女子には優しい川原だがあまりの痛みからか乱暴な言葉遣いだ
「本当に隆志一人のせいで負けたと思うとんのか?アンタは一点も決めてへんやないか。ボールを受けたらパスは出さへんで勝負に行って苦し紛れのパスで流れを崩す。アンタ経験者やろ。せやったら何で隆志が一人でボール運びに苦戦しとるのにフォローに行ってやらないんや。あんなパスコースもない状態やったら一人で行くのは当たり前やん。隆志は一人で行きながらも最後までアンタ達にパスをだそうと必死だったんやで」
「そんなのガードなんだから当たり前だろ。オレの仕事はシュートを決めることだ。ボール運びはにがてだし、そっちの方が得意なんだ」
「どアホ!!そういうことはたくさん点をとってからいえやボケェ。ボールを運ぶのが苦手?そんなん隆志だって一緒や。隆志の本職はセンターなんや。それもテクもなんもないゴツゴツのパワー型や。せやけど、このクラスを勝たせたいために朝早くから夜までずっとドリブルの練習してきたんや。最初はドリブルもまともにつけないレベルだったんや」
「本当か隆志?ほんとにセンターだったのか?」
「ああ」
「なぁ、さっきからガードとかセンターとか何のこと言ってるんだ?おれたちにも教えてくれよ」
力也が入って来る
「バスケのポジションのことや。簡単にいうとセンターは最前列でガードは最後列ってとこや。役割が全く違うポジションなんや。ガードはとっても難しいポジションなんや」
「じゃあ隆志はオイラたちのためにそのポジションをやってくれてたんだべか」
「なぁ隆志。一人で練習するなんてそんなにオレたちが信用できないのか?」
「そんなことないよ力也。みんなは確実に上手くなってる。後はオレが」
「そんなに一人で抱え込むなよ。隆志はオレたちが見えてないものが見えてるのかもしれないけどオレたちにも話してくれよ。オレたち今まで以上に頑張るからみんなで強くなろう」
「そうだべ」
「隆志」
「隆志」
「隆志」
みんなが隆志の名前を呼ぶ
「みんな、オレが間違ってたみんなで強くなろう(仲間っていいもんだな)」