インターバルが終わり男バスボールで第3Qがスタートする
「(何をしかけてくるかな?)」
隆志が冷静に様子を窺う
「(何だ?男バスの余裕そうな顔は?そんなに1ー3ー1を崩す自信があるのか?1ー3ー1何か使ってくるチームなんてめったにないはずだが、みんな油断するなよ)」
昴も冷静に窺う
Cの和久井がエンドラインからPGの戸嶋へ。
ここまではいつもと何も変わらない
「竹、頼んだぞ」
「任せとけ」
戸嶋から竹中へパス
「さぁ一本いくぞ」
「竹中がPG?」
「(どういうことだ?竹中はエースだろ)」
竹中はゆっくりとドリブルをつき前へ進む。
智花が竹中と対面する
「いくぜ湊」
シュ
何と竹中のスリーポイント
そして、シュートを打ったと同時にダッシュ
「そうか、やつらの狙いはオフェンスリバウンドか」
昴が焦る
しかし、
真帆が田嶌を、紗季が深田をフロントボックス(前を見ながらスクリーンアウト)する
スクリーンアウト(体を使って相手を跳ばさないようにすること)
オレがCの和久井にふだんの後ろ向きでボックスする
「任せろ。オレがいく」
「ぶーいかさない」
竹中が突っ込んでいくが竹中には、ひなたがフロントボックスする
「(愛莉が抜けて、平均身長では男バスに分がある。だからまともにボックスしたって勝てない。だから、リバウンドをとりそうな田嶌、深田を真帆、紗季にフロントボックスさせる。竹中には好意を寄せているひなたにフロントボックスをさせる。ひなたに惚れてるうえに、こんな、かわいいこが自分をずっとみてるんだ、いくら竹中でも気が散るだろ。それに男なら女との接触は避けるだろう。だから、どうしてもタイミングが遅れるんだ。みんなにはボールはみなくていいから、自分のマークする相手だけを見るようにしているんだ。後は、オレが和久井との一対一のリバウンド争いに勝つだけだ」
オレと和久井の身長差は10cm以上あるまともにやったんじゃ勝てない
オレは腰を落として、下半身の力で和久井を押しさる。
「(なんてパワーだ)」
「(身長が低い。だからなんだ、オレは、そんな理由だけでCを諦めるのは馬鹿げてると思う。確かに身長差はきつい。オレの適性はCじゃないかもしれない。でも、高校からバスケ始めて、パスもシュートもドリブルも下手くそなおれが死に物狂いで練習して、やっととれたポジションなんだ。他のチームから見ればただの下手くそで穴かも知れねぇけど、それでも、何と言われようとも、オレはセンターだ!!ここであきらめたら、オレには何も残らないんだぁ〜ーーー)」
バスケにおいてPGに必要なのはドリブル力とキープ力にパスセンス等々
SGにはPGの代わりのゲームメイクとシュート力。繊細なシュートタッチなどが求められる
高校からバスケを始めた隆志にとってそれらは厳しかったのだ
しかし、背は低いとはいえ、隆志はガタイがよかった。当たり負けしない体なのだ
だからこそ、隆志はセンターになったのだ
オレは和久井にベストジャンプをさせずにボールをとり、一人敵陣へと走り込んでる智花にパスを送った。
「湊さん。(オレがとると信じて、走ってたのか。オレの仕事はここまでだ。たのんだぜ、エース)」
男バスはPGの戸嶋を残したまま、リバウンド争いに参加したので、男バスゴール前には、戸嶋しか残ってない。
戸嶋もそこそこのディフェンスをするのだが、相手が悪い。
智花はチェンジオブペース(ドリブルに緩急をつける)で戸嶋を抜き去り、誰もいないゴールへレイアップを確実に決めた。
26ー40
少しずつだが点差を縮めてきている。
「(隆志やつ。リバウンド狙いを読んで、フロントボックスの指示まで出していたのか。本当に小学生なのか?高校生が考えそうな作戦だぜ)」
智花達四人が盛り上がってる。
「(向こうの作戦は分かる。リバウンド争いなら向こうに分があるからな。だから、スリーポイント狙いも頷ける。でも、どうして、竹中なんだ?確かに竹中はエースでシュート率も一番高いだろう。でも、スリーポイントシュートの決定率ならSGの深田の方が高いはずだ。もともとスリーはSGの十八番だろ。だからSGはシューター、狙撃手って呼ばれるんだ。男バスの連中はカウンターをくらったのに誰もどうようしていない。まだ、何かあるのか?」
一人だけ、不安感を抱く隆志だった