恋姫鎮守府~北郷一刀が提督に着任しました~ 作:龍砕院不便斎
果たして、彼女らの待ち受ける運命とは
伊藤整示は彼女らに接近していくと確信したのだ
「あれは、間違いなく最高クラスの艦娘になれるぞ!」
協力してくれるか、くれないかは彼の話術による所が大きい。
聞いた話ではあるが、交渉が上手くいかず優秀そうな艦娘候補を逃した……
という実例があるのも事実である。
「あれ?お兄ちゃん!だれか来るのだ!」
言い争いに飽きたのか、周囲を気にしだした鈴々がその男の接近に気が付く
「いよいよか……ここが何処か判るといいけど、それと皆は極力話をしないでね?
喋ってる言葉だけで敵とか味方、とか思われたくないから」
もっともな意見である、喋っている言葉が外国語で意味不明ならまだしも。
仮に今いる場所が平時とは限らない。先程見えたのは農薬散布用の飛行機ではないからだ。
「ん?こっちに気が付いたか!都合がいいな…おーーい!!そこの人達!!」
声を出して自分の存在を知らせる、相手も此方を認識しているようだから不要かもしれないが。
その瞬間、北郷は当に有頂天であった。
なにせよ、意味不明な現象の後に、意味不明な場所に飛ばされる
そこで、懐かしい母国語である「日本語」を聞いたのだ、嬉しくない訳がない
いてもたってもいられず、全力疾走で駆け出している自分がいた。
総勢40名を越える女性陣は顔を見合わせ「やれやれ」といった感じでついていく
「ふぅ、初めまして私は、日本国海軍 伊藤整示特務大尉です」
「お!俺!北郷一刀って言います!あ~日本語だ!日本人だ!ここ日本なんですよね!」
相手が感極まって、いろいろ容赦ないなので一旦宥めることにする。
「ひとまず、落ち着いて下さい。貴方の仰る通りココは日本です、落ち着きました?」
「えっと、えっと…聞きたい事があり過ぎて…」
「なるほど、所で……あの女性陣は?お知り合いに見えますが?」
目線を送りあの集団は知り合いかと尋ねてくる
「え?えぇ、知り合いというより、仲・・・家族ですかね」
仲間と言おうとしたが、その程度の繋がりではない、家族といいなおした
「家族ですか!それほどに深い関係をお持ちで?」
一応、驚いた表情を取ってみせる、自分の知る所では多くの艦娘と家族関係
ケッコンカッコカリをする提督は実に多い。
「あははは…海よりも深くて、山より高い事情がありまして」
「なるほど、では一つ提案を、見たところ宿もなく途方に暮れている様子、
よろしければ、話ついでに我々の基地に寄っては如何か」
かなり魅力的な提案である。そう美味しい話すぎるのだ
「え!?あーでもこれだけの大人数ですよ?それに……」
それに、その一宿一飯の恩義に報いることが難しいと言葉を濁したのだが
「人数は問題ではありません、それにきっとこの一宿一飯の恩義を…
とか考えていたのでしょう?問題ありません、その理由もお話します」
筒抜けであった、相手はどうも慧眼の持ち主であったようだ。
「じゃ…じゃぁ俺皆に話してきます」
第一段階は上手くいった、あの優秀そうな艦娘候補群を失うのは相当な痛手だ
是非とも、全員に精密な適性検査のうえ、艦娘になって頂きたい
いや、させるべきだ。自分の目が正しいならばあの集団は戦慣れした
歴戦の戦乙女である、間違いない、今までにないほどの有効戦力だ
国家引いては、人類の存亡に関わる問題だ、それにあの北郷という男の考えが良い
仲間ではなく、家族といった。絆を大切にする人間なのだろう
だから国家、人類を差し置いて「家族を危険な目にあわせたくない」という考えがあるだろう
それこそ、弱点なのだ今日のために明日のために、そして我子のために
伊藤整示は40名を越える集団を見回し、そう思った
「っていうことなんだ…みんないいかな?」
「腑に落ちないわね、彼にしてみれば軍属らしいけど、私達を引き入れる利がないように
みえるのだけれども?」
「そうね…だけど、このままじゃ私達飢えて野垂れ死になのも確かね」
的確な意見を華琳と蓮華が述べる…とりあえずのとりあえず話だけでも聞く意味はあろう
「じゃぁそういうことでいいね?」
話がまとまったので、伊藤なる人物にその旨を伝える
「そうですか、それはありがたい。基地から車を走らせますので10分少々お待ち下さい」
車と聞いて、一瞬一刀は馬が引く馬車を思い浮かべてしまったが改めて
(あっそうか、飛行機があるから、エンジンのついた「車」なんだ)と思いなおす
「それで?一刀?宛てはあるんでしょ?」
「えっ?」
「何が「えっ?」よ!もしも意にそぐわない話だった、時の話よ!」
「まさかと思うけど、一刀考えてなかったの?」
蓮華にすらちょっと白い目で見られてしまう
「えっと・・・何だか凄くモヤモヤしてるんだけど、この話は受けるべきだと思うんだ
いや、どっちかって言うと受けなきゃダメだ」
「貴方の天啓がコレほどまで厄介だと思うのは、私だけかしら?蓮華?」
「今回ばかりは、貴方を援護できそうにないわ一刀」
三国同盟の盟主たる北郷一刀には、強大な発言力があるのは言うまでもない。
それが三国統一の政策方針といえばなお更である。
更に、この状況40人41脚と言えば判りやすい、その舵取りは彼なのだ
そうこうするうちに、懐かしい車の音が聞こえ、外見観光バスが到着する
無論、馬も無しに走る車をみて動揺もするが、飛行機のあとなので衝撃は少なく済んだ
乗車を嬉々として行う者もいれば、不安に駆られるも、先行した人が大丈夫なのだから
自分も大丈夫なのだろうと、意を決し搭乗するのも見れる。
絶対に嫌だと断るのも居るには居るが、半ば強制連行の形で全員で基地に向かうのである
そうして、バスに乗るという初体験を考慮し超鈍行で基地に向かい揺られること20分
「日本国海軍 佐世保基地」と看板の掲げられた門を通過する。
(主は最古参横須賀提督ですが、後々に優秀な艦娘となった恋姫艦を引き入れたい
横須賀の元帥(海軍トップ)…略してゲスに、海軍省赤レンガでの謁見にて
傾奇通し、「大儀であった!」と恋姫艦引渡し(私的押収とも言う)
を見事に脱する場面を是非ともやりたいので……呉は外洋に接して無いですし)
移動型のカーテンのようなものでバスから下ろされ、講堂に通される
味方かどうか判らない連中を入れるならば、当然の措置と言えた
「さて、皆さんに到っては、未だに状況が理解できていないかもしれませんが…
何故皆様ががこの基地に招待されたのか…今よりご説明させていただきます。」
窓に黒のカーテンが引かれ、広い講堂は薄闇になると、大きなスクリーンが下りてくる
現代に慣れた一刀にとっては「ああ、映画か」と歓楽的であるが…
他は様々な反応をしている。
「それでは、皆さん、今我々日本国……いえ我々人類が直面している問題をご覧下さい
尚、多少の誇張、プロパカンダはご容赦下さい」
3・2・1…1999年恐怖の大王が……日本語の字幕音声ではじまった製作映画
そこに描写されたのは、当に真偽を疑うような話であった
1999年に突如出現した、深海棲艦と名付けられた、海の魍魎……
音も無く始まった海洋交通の遮断……海洋制空権の喪失……人類のギガデス(10億単位)
人類の抵抗虚しく、このまま絶滅を待つのみと思われていた矢先に表れた、たった一つの光
「艦娘」と名付けられた、武器を纏った少女達……唯一深海棲艦を撃退しうる力
その人類を、仲間を、家族を、大切な人を護る力が貴女にある!!!と語っていた
動く絵に向けられた興味よりも、重要なことが聞こえた。大切な人を護るためである
次に始まったのは、動画の艦種紹介である
駆逐艦 敵軍勢に勇猛果敢挑み、一気呵成に水雷による致命弾を与える
反面、脆弱な装甲から消耗も激しいが、その機動性を活かし
数多の激戦を戦い抜いた武勲艦も多い。
巡洋艦 駆逐隊を束ね、水雷戦を指揮する。哨戒・護衛と様々な任務に対応する万能艦
空母 航空機を放ち、敵航空機を落とし、敵艦隊に脅威を与える
但し、厚い装甲を持たないことが多く、狙われたら脆いところはある
潜水艦 海に潜み、敵をその海底に誘う魚雷を御見舞いする、海の狩人
その他 表舞台に出ることは少ないが縁の下の力持ち!
そして、一瞬の静寂と更に闇が深まった講堂に映し出された次の特大二文字
戦 艦
「戦艦」 戦艦!それは海に浮かべる最大最強の移動要塞!
戦艦!それは如何なる防御も貫く大口径主砲!!
戦艦!それは相手の猛攻にも怯まぬ鉄壁の防御!!!
戦艦!それは味方に勇気と希望を与え、敵に恐怖を与える光!!!!
戦艦!それは数限られた選ばれた艦娘であり、人類の希望!!!!!
戦艦!それはあの日!我ら人類を嘲笑うが如く蹂躙した「ル級」!
あの悪鬼羅刹と恐れられたル級を葬った一撃!!
思い出せ!あの轟音を!あの咆哮を!人類の反撃の狼煙の合図を!!
戦艦!戦艦!!戦艦!!!戦艦!!!!戦艦こそ艦娘の極地であり栄誉である!!!
乙女たちよ!奮い立て!今こそ地球人類ここにありと宇宙に示すのだ!!
暁の水平線に勝利を刻め!!万歳!万歳!!万々歳!!!
様々な表情で画面を食い入るように見つめていた乙女たちが戦士の面構えになっている
前も、自分や家族、大切な人々を護る戦いをしていた、今は皆が一緒なのだ。
なにを恐れよう?その人を失う事だ、ならば答えは一つだ「戦」
一刀は思った…心の中で思った…決して口にしてはいけない言葉を
(ダメだこの国…もう手遅れだ、パワー厨的意味で)
戦艦は正義だステータスだ
主砲と砲門数は大きいければ大きいほど良い
パワー厨万歳!!!
POWWWWWWWWEEEEEEEEEEERRRRRRRRR!!!!!