魔法少女リリカルなのは~星を統べる少女~   作:sT油

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らんにんぐ

迷いはまだ断ち切れていない。

 

こそこそと敵に気付かれないよう潜入するなど不屈のエースが聞いて呆れる。そう思いつつも私にはどうしても人に杖を向けることができなかった。

 

 

数時間前………

「つい先程、ある情報を掴んだ」

ジェイルは全員をブリーフィングルームに集めてから最初にそう切り出した。

「この世界にある管理局黙認の違法研究所に管理局から体裁を保つための査察が入るらしい。そこを抑えれればこの後、我々は非常に動きやすくなる」

「どくた~、抑えるってつまり?」

レヴィの質問はこの場全員の意見を代弁していた。

「ベストなのは会話の盗聴だ。最悪研究所の内部写真だけでも構わない」

そこでリペルが声をあげる。

「つまり潜入任務か。俺一人で充分だろう」

確かに帰りの道中、ラネルから聞いたリペルの能力からして最適の任務だった。しかしそれに対しジェイルは首を振る。

「このタイミングでなのは君に実戦に馴れてもらう。リペル君はあくまでそのサポート。あくまでなのは君一人で行うんだ」

突然だった。確かにリハビリを終えている私は出撃可能だったがいくら何でも急すぎるのではないか。

「不満かも知れないが飲んでくれ。あの研究所は少し気になるのだよ」

それが私の単独潜入にどう繋がるのかさっぱりわからないが、ジェイルには何らかの打算があるようだ。渋々承諾する。

「ありがとう。では研究所の内部について説明する…………」

 

 

やはり難しい。ついさっきまでは認識阻害魔法によってやり過ごして来たが中枢区画に入るとAMF…つまりアンチマギリンクフィールドが展開されており私は今、魔法的な意味で丸腰だった。

敢えて“魔法的”というのには理由がある。

私の腰にはホルスターが吊られているのだ。当然、その中身は銃だ。

ジェイルが言うにはこの銃は第97管理外世界、つまり地球からの流入品らしい。といっても地球に居るときに見る武器など、兄や姉そして父が使っていた刀くらいのものだ。銃を持たされてもさっぱりわからない。

…だが銃を忌む理由はもうひとつある。

私が管理局に疑問を抱くことになったあの時あの場所での事件。

今でも時々近くする、身体を何度も穿たれる感触。

あの時私を襲った十数発の凶弾を同じように撃ち出すこの拳銃は絶対に容認できなかった。

皮肉にも今となっては私に残された、最期の手段はその拳銃なのだが。

<マスター、最期なんて縁起悪いですよ>

[何故地文の字が解るんだ]

<インテリですから>

[…。]

<…。>

「…相変わらずアステルとレイジングハートは仲がいいね」

<断じてそんな関係ではありません>

[上に同じです]

「しっ!来るよ……」

角の向こうからやって来る白衣を纏った研究員を目視する。私は近くのロッカーに身を隠す。そして限りなく自分の物音を消す。身じろぎもせず呼吸も止める。心臓の鼓動も遅くなる。研究員は私にはまるで気づかす通り過ぎ、別の部屋に入っていった。

「…………っ!はあっ」

<完璧です。マスター>

[段ボール無しでも余裕ですね]

「何言ってるのアステル…?…あと一息だよね、目的地点までは」

<あと20メートル先の右手側にある部屋。そこが目的地点です>

また研究員が来る前にそそくさと部屋へと進む。この部屋を写真に撮り、盗聴機を仕掛けることが今回の任務だ。しかしそこは違法と呼ばれる割りにはあまりに普通の研究室だった。

「ここであってるよね?レイジングハート」

<はい。指定された研究室はここで間違いありません>

「アステルはどう?」

[レイジングハートとさして変わりませんね]

「そう……パシャリ。パシャリ。よしこれで写真はよし、と。あとは………盗聴機を仕掛けるだけだね」

何1つ問題の起こらないこの任務。ここの職員に気付かれた様子もない。まぁプレシアから

『物的証拠もないみたいだし、警備もザルでしょう』

と聞いていたからそこまで不安はないが。

[帰るまでが遠足です]

<何幼稚園のセンセみたいなこと言ってんですか>

「にゃはは、でもアステルの言うことも最もだよ」

部屋から出て廊下をクリアリングすると、ひたすらAMFの効能範囲限界地点まで走る。職員は何かミーティングでもあるのかバレずにダッシュできる。

<マスター、AMF影響が無くなりました>

「よし!転移魔法構築、座標は予め記録した通りに」

[構築完了、いつでも飛べます]

「転移!」

そうして私のヘルメスでの初仕事は何も問題無く終了した…………。

 

 

 

同時刻 八神家

ルルルル、ルルルル、ルルルル

割と広い家にコール音が響く。

ルルルル、ルル、ガチャ

そのままなり続けると思ったシャマルはその端末を手に取る。

「もしもし八神家です。はい。あっ、えっ、そ、そうですね……わかりました。では後日お邪魔にさせて戴きます…はい、では……」

そこにこの家の主、八神はやてがやって来る。

「シャマル~ 今の誰?」

「あ、はやてちゃん。…えっと私、海鳴に行ってもいいですか?」

「と、突然やな。なんかあったんか?」

「はい……なのはちゃんのお父さんが私に会いたいそうなんです」

「へっ……!?」

 

新たな展開が始まる………

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