空に瞬くは、全てを飲み込む紫天、貫き穿つ蒼雷。
「わかっておったこととは言え……なかなか堪えるものよ」
「さっすが!へいともあれから強くなったんだね!」
答えるように煌めく白銀の極光と黄金の閃光。
「なんでこんなとこで戦っとんの?王さま!」
「レヴィも…なのはのことも含めて、お話聞かせてもらうから!」
その二者同士のぶつかり合いは、圧倒的に後者が優勢だった。
体格差、経験差、魔力総量差。総じて是、戦力差。
そもレヴィとディアーチェは、まだフェイトとはやてが子供だった頃のコピーだ。大人になった二人と実力が開くのは必然であった。
「ちっ…どうやら我等ではここまでらしい。幸い最低限時間は稼げた」
「ナノハとシュテルんは?」
「離脱を開始したらしい。ーー潮時だな」
「でもさ、王様。逃げれるかな?」
レヴィの言う通り、局員に囲まれオーバーSランク魔導師二人と相対しているこの状況では逃げるのは困難だ。
「仕方あるまい。アレを使う」
「りょ~~かい♪」
「?一体何を………っ!あかん!フェイトちゃん!」
「バルディッシュ!」
『sonic move』
「遅いわっ!」
同時にレヴィとディアーチェの手の中で何かが砕ける。
「宝石……?」
「そうだよ♪りぺるがきんきゅー用にって」
「たわけ。早く転移するぞ」
「うん、王さま」
フェイトとレヴィの間には一枚の障壁ができていた。
物理障壁などではない。攻撃が止まるわけでもない。
消えるのだ。刃が。
黄色の魔力光で編まれた練度の高い魔力刃、だがその刃が障壁に触れた途端かき消える。
「何………これ………」
「教えるものか、阿呆。……ではな、小鴉。次こそは決着をつけてやる」
「へいともさ、しつゅむかん?だっけ?そんなエラーい人ならもっと別の見方をしなきゃ、ね?」
捨て台詞を残し、何処かへと転移するマテリアル達。
それを執務官と部隊長は呆然と見ることしか出来なかった。
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転移先には予め魔法陣をヘルメスの甲板に刻んである。
「しかしあやつのレアスキル、トンでもないものよな」
「うん。1つだけっていっても応用が効くからなー」
「王にレヴィ、お帰りなさい」
帰還した二人を迎えたのは、一足先に戻っていたシュテルだった。
「たっだいまー♪シュテルん怪我ない?」
「私は大丈夫です。あなた方は?」
「問題ないに決まっておろう」
「ウンウン」
「…………ていっ」
「んぎゃっ!?」
「ほらここ、痣になっていますよ。それにここは少し出血も…」
「た、大したことでは…っ!ないっ!?や、やめんかシュテル!」
「やーい、王様の強がりー!ま、ボクは強いからね!『のーぷろぶれむ』ってヤツだ!」
「…………ていっ」
「ひゃうん!?」
「あなたもここに切り傷があります。それにこの傷は……バルディッシュを白刃取りしようとして失敗したんでしょう」
「むぐぐ」
「いいですか?二人とも。強がりばかり言う前に、まずプレシアの処へ行ってきなさい。他のことは後回しですっ!」
「わ、わかったから突つくな!」
「ごめんなさいぃ~~~~!」
プレシアの居る治療室へと一目散に二人は駆けて行った。
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数分後
「おや、治療は―――済んだようですね。よかったよかった」
「ミイラ同然なのだがそれは」
「ドクターも今日は休めと言っていました。私としても今日はぐっすりと寝てもらって今後の英気を養って欲しいものです」
「無視!?王たる我に向かってシカト!?」
「レヴィも今日は寝なさい」
「言われなくてもボクは寝るよ~。むにゃむにゃ」
「ここで寝てはいけません」
そう言い、シュテルは半醒半睡のレヴィを寝室に放り込む。
「やれやれです。ではディアーチェも――」
「いい加減にせよ」
「っ!?」
「何を悩んでおる。それは主たる我にも言えぬことか?」
一瞬、瞑目するシュテル。
「―――やはり、王に隠し事は出来ませんね。別に大した悩みではないんです」
「ナノハのことか?」
「えぇ。――ナノハは今日、教え子を撃ちました。勿論殺してはいませんよ。ただ…本人にとっては辛いことに変わりはありません」
ディアーチェは黙って先を促す。
「今もナノハはトレーニングルームに籠っています……。私には、今の彼女に何もしてあげられない」
「戯け」
「にゃっ!?」
ディアーチェのチョップが見事に決まる。
「思い上がるでない。誰しも得手不得手がある。お前が気に病むことでもないし、ここはそういった機微の解る奴に頼むのがよかろう」
「王……」
この案件を私に一任しないのは王なりの優しさ故だ。それが解るからこそシュテルの胸はいっぱいになる。
『なら私の出番ということでよろしいかな?』
突然通信を開いてきたのはムードブレイカー、もとい我等がドクター、ジェイル・スカリエッティ。
「ドクター……あなたが一番向かないのでは?」
『何を言うかね。私のコピーの¨あのジェイル¨は某執務官を言葉責めで陥落寸前まで追い込んだのだよ?』
「ドクター最低です」
『べ、別になのは君を堕とそうなんて考えてないよ?』
「王…どうします?」
「良いのではないか?確かにここにはあやつ以上に言葉に長けた者はおらんしな」
『そうかねそうかね!では行ってくるよ!』
そうして通信は終了する。
「あれでよかったのでしょうか?」
「………あやつも馬鹿ではない。少々マッドなだけだ」
そうして二人も寝室に入っていった。
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私の名はジェイル・スカリエッティ。あの管理局史上最も大きな事件の首謀者――――のオリジナルだ。
私は管理局をテロで潰そうとは¨まだ¨考えていないし、戦闘機人も¨まだ¨作ってはいない。
細々とこの老朽艦で自分の欲望を満たせればそれでいい。
暇などいくらでもある。――傷心のエースオブエースを慰めるなど造作もない。
トレーニングルームに着く。極々自然体でノックして入室する。
「やぁ。精が出るね」
声が聞こえたのだろう。多重展開していたシューターを消して彼女は振り向く。
「あ、ジェイル。何?もう出撃?」
「まさか。それより君は大丈夫なのかね?」
「うん。傷は負ってないし、それにだいぶリンカーコアの調子も戻ってきたんだ。エクシードモードはまだ厳しいけどバスターくらいなら撃てるよ」
「いや、体調面は勿論なのだけどね――」
「ん?体調以外?全然大丈夫だよ?ヘンなこと気にするね」
そう言う彼女の顔はどうしようもなく自然だった。
無理など欠片もしていない清々しさだった。
「ハ――――――」
理解した。諒解した。
彼女は¨問題ない¨
「そうかい。今日はもう遅いし早く寝ることを勧めるよ」
「はぁい。お休みジェイル」
「あぁ、お休み」
トレーニングルームを出る。
『シュテル君、起きてるかい?』
『はい、起きています。ドクター』
『なのは君のことだがね』
『どうでしたか?』
『マッタク¨問題ない¨よ。安心したまえ』
『そうですか……ありがとうございました』
『うんうん。ではお休み』
『お休みなさい』
(お礼を言うのはこっちだよ…ホント)
私の名はジェイル・スカリエッティ。あの管理局史上最も大きな事件の首謀者――――のオリジナルだ。
私は管理局をテロで潰そうとは¨まだ¨考えていないし、戦闘機人も¨まだ¨作ってはいない。
細々とこの老朽艦で自分の欲望を満たせればそれでいい。¨問題なく壊れていく¨女を観察する。そんなことが今の私のささやかな楽しみだ。
忘れるなかれ皆の衆。
確かにオリジナルである私とJS事件の首謀者の彼は別人だ。だがしかし、それは私がコピーのような悪性を孕んでいない理由にはならない。
忘れるなかれ。忘れるなかれ。
¨壊れる少女¨を愛でる悪性を忘れるなかれ。
誤字脱字、文法的におかしいものがあればご指摘願います。