『神は死んだ』
昔、そんなことをある思想家が言った。
私は特に信じる神様がいる訳ではないけれど神様がいない、とも思ってはいない。
「神がいるなら何故我々を助けない」
と言う人もいるんだと思う。
「この世の不条理がそのままなのだから、神はいない」
と言う人もいるんだと思う。
私は思う。
神様とは理想だ、と。誰しもが心に抱く、完璧な姿。それこそが神様なのだと。
どうしようもなくなり、ただ救いを願った時に現れる人こそが神様なのだと。
『神は死んだ』
なら私が成ってやる。私が、その神様に代わる“救世主”に成ってやる。
私はそれが出来る力を手に入れた。
私が、やってやる。
どれだけの人を悲しませることになっても。。
どれだけの人を傷付けることになっても。
どれだけの人を、殺めることになっても。
そうだ。殺してでも救ってみせる。
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六課奇襲作戦はほとんど予定通りに終了したらしい。
私達が囮として暴れている間に局に潜りこんだラネルは速やかにターゲットである重役局員を暗殺。第二目標だったらしい違法研究所の研究データが纏められたディスクの奪取にも成功。潜入時同様、見つかることなく脱出したらしい。
作戦の内容及び成果は帰還した翌日の朝知らされたが別段疑念を抱くことはない。
あくまで協力関係。そこまで伝える義理はないだろうし、伝えなくても支障はなかったと思う。だから気にしない。
それとラネルについて。
彼女は一応局員登録があるらしく、今は本部でデスクワークの最中らしい。奪取したデータディスクは既にジェイルに渡っている。
コツコツと船内に歩く自分の足音が響く。
何もすることは無いけれど何もしないのは嫌だった。トレーニングルームで例のユニゾンの練習でもしようと向かっていた。
「……安静にしろと言われていた筈ですが」
私はこれから起こるであろう戦いの為に、強くなる必要がある。強くなるには日々の練習が一番の近道だということはよく知っている。
「トレーニングルームは使わせません。わかってますか?あなたは一度死んだんですよ?」
そして、やるからには命を懸けて取り組まなければならない。もとより生きているかどうかあやふやな存在なのだ。それならば幾ら傷付いても問題はない。
「聞いているのですか」
何度も自分に言い聞かせる。私の決心をより固く、固くするために。そう、私は……!
「ナノハッ!!!」
「……なに?シュテルちゃん」
自分を見上げる自分そっくりの顔を見下ろす。
「何をそんなに焦っているのです。次の任務はまだ先ですよ」
「焦ってなんかないよ。ただ、私はしなければならない事の為に準備をしようとしてるだけだよ」
「しなければならない事とは?」
しつこい。このしつこさには何故か覚えがあった。
「……私はみんなを助けなきゃいけないんだ。どんな手を使ってでも」
「ではこうしましょう。私を倒せばもう何も言いません、代わりに私が勝てば貴女には安静にしてもらいます」
馬鹿だ。勝ち目などあるわけがないのに。
「手加減、できないよ」
「構いません。あぁ…ようやく、貴女らしい」
「はあっ!」
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勝負は終始一方的に進んだ。
地に倒れ臥しているのは…私だった。
「どう、して…」
疑問を投げる私を見下ろす昔の自分そっくりの少女は答える。
「迷いのある攻撃など、造作もなく捌けます。…決意を固めきれていない貴女が私を倒せる筈がない」
「こんなの、だって、おかしいよ!私の方がずっと……!」
起き上がろうとして体勢が崩れる。
が、シュテルが私を抱き抱える。
「私の、ナノハを想う気持ちの方が強かった、そういうことです…」
「でもっ…私はみんなを助ける為に…!」
「何故一人で抱え込むのですか……そこは、昔から変わりませんね……。私では隣に立てませんか?」
「そんな危険なこと…」
「大丈夫です。だって……仲間ですから」
その言葉で何かが救われた気がした。同時に涙が堰をきって溢れ出す。
「うっ……うっ……」
突然の管理局の謀略、瀕死の重傷、教え子への攻撃。これまで我慢していた感情を私はシュテルに吐露し続けた。
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腕の中で泣き疲れて寝てしまったオリジナルを見て微笑む。
「本当に、強くなりましたね……勝つことは、なかなか難しかったんですよ…?」
段々と目蓋が落ちてくる。少し眠って、起きたら今後のことを話し合おう。
私は理の
誤字脱字、文法上おかしなところがありましたらコメントお願いします。