剣城VS楓
この試合を、サッカー部の皆が見守った。
まぁ、もう勝敗は決まっているも当然だったからだ。
剣城の勝利
もちろん俺、神童拓人もそう考えていた。いや、そう考えざるおえなかった。だって、男対女。さらに、男は化身使い。そんな状況だったら、いくら強い楓でも、負けるだろう。
現に、化身使いになったその日に、俺は剣城と試合をしたが、負けた。
だから、絶対勝てるはずがない、そう思った。
試合が始まった。
もちろん、試合は剣城優勢。しかし、ボールを持っている時間は、ほぼ、同じくらいだったから、ほんの少し、剣城優勢・・・といったところだった。
もちろん、びっくりした。
こんなに互角に戦うなんて、俺でも無理だ。やはり、楓は強かった。
しかし、剣城が、化身を出した。
あぁ、もう終わった・・・
皆がそう思った瞬間、楓の背中からも、何かが出てきた。皆が目を疑った。しかし、どこからどう見たって、間違いではなかった。
楓の化身
美しい身のこなしで出した楓の化身「大天使ミカファール」。その威力は、剣城の、「剣聖ランスロット」よりも強かった。そして、化身を出したとほぼ同時に、あっという間にボールを奪い、鮮やかに、ゴール。
その身のこなしは、すべてがスムーズで、美しかった。気がつけば、皆が見とれていた。1年生で、あれほどの威力の化身を出せる・・・その事実を受け止めるのにも、かなり時間がかかった。最初は皆、開いた口がふさがらなかった。しかし、これが現実だと受け止めた瞬間、皆から拍手が起こった。今までに聞いたことのないような大きな拍手だった。
拍手が、止んですぐ、天馬と、浜野が、
「楓!すごいよ!」
「ちゅーか、楓ちゃん、化身出せたんだ」
と、皆の意見を代表して言った。すると、楓は当たり前のような顔をして、
「えぇ。確か・・・サッカー始めた、小5のころくらいから、出るようになったと、思いますが・・・」
と言った。そしたら、霧野が、
「化身って、そんなに簡単に出せるわけ?楓」
と、やっぱりおなじみの質問をする。その質問に、楓は答える。
「いいえ。幼馴染の子と、一緒に練習してたんです。私、昔から、サッカー大好きでしたから」
やっぱり、俺もキャプテンとして質問したかったため、質問した。
「楓は、誰か近くの人で、サッカーがうまい人でもいたのか?」
すると、楓は驚いた。そして、こう言った。
「えぇ。キャプテン、よくわかりましたね。私の曾祖父が、昔、生きていたころ、サッカーがとても上手で、サッカー選手としてプレイしていたらしく、また、祖父も、サッカーの才能を、人から見出すのが得意だったと、総帥・・・じゃなく、従兄のお兄さんから聞いています。きっと、その血が受け継がれたのでしょう」
その後、水鳥が質問した。
「なあ、その、さっき言った『総帥』・・・って誰だ?やっぱ、すごい人なんだろ?」
その答えが、俺が一番聞きたかった答えだった。
「え・・・総帥とは、私の従兄のお兄さんであり、あの名門、帝国学園の総帥・鬼道有人さんです」
「「「「「えぇぇぇぇ?!?!?!?!?!?!」」」」」
皆が叫んだ。鬼道有人と言えば、10年前、サッカーの世界大会・FFIで、日本代表として戦い、チームの司令塔として、作戦を考え、攻略不可能と思われた、必殺タクティスを、何個も破ったと言われる天才であり、天才ゲームメーカーだ。
「えぇ?!楓ちゃん、鬼道有人さんと知り合いだったわけ?!それも、親戚?!」
「えぇ。まぁ、お兄さんも私も、それぞれ養子なので、全く血縁関係はないですけどね。6年間、お兄さんのサッカーを見て育ちましたし、それに・・・」
「「「「「それに?」」」」」
「春奈さんも、サッカー部のマネージャーでしたしね」
「「「「「・・・」」」」」
「春奈さん・・・って誰だド?楓ちゃん」
「え・・・お兄さんの、実の妹で・・・分かりませんか?!」
「「「「うん」」」」
「私のことよ」
「「「「「えぇ?!」」」」」
「お、音無先生?!」
「えぇ!私の兄さんは、鬼道有人よ」
今日は、驚くことばかりだった1日だった。