にぎやかな学校生活1日が、ようやく終わった。
「はぁ~っ。疲れたぁ~っ!ね?楓?」
「えぇ、そうね。やっぱり、慣れたとはいえ、化身を出すのは、いくつになっても疲れるものなのよね、全く。・・・で、ですよね?キャプテン」
授業も、部活も終わり、1年皆で帰ろうと思っていたが、天馬と信助と輝と狩屋の、男子達は、
「木枯らし壮に行くから!じゃあね!葵、楓!」
とだけ、言い残して、さっさと帰ってしまったのだった。で、結局、楓と葵の、女子2人と、なぜか2年生の神童と霧野の4人で、帰っている最中なのだ。
「あぁ。化身を出すのは、すごく、疲れる。だから、1試合で何回も出せるものじゃない。その対策として、必殺技を、鍛えなくてはいけないな」
「さすが、キャプテンだな、神童。頑張れよ!」
「あぁ、ありがとう、霧野」
その時、霧野は気がついた。
楓の顔色が、かすかに、学校を出た時よりも悪くなっていて、額には、嫌な汗をかいていることに。最初は、静かに様子を見ていたが、だんだん悪くなるばっかりで、そのことに、神童も気がついたらしく、声を、かけることにした。
「楓、大丈夫か?」
「え・・・何のことですか・・・」
「とぼけるな。顔色が、とても悪い」
「あ、ホント・・・!しかも、とっても汗、かいてるよ?!それも、尋常じゃない!楓、大丈夫?!無理してるんじゃない?!」
「大丈夫よ、気にしないで。先輩方も、大丈夫ですから」
「「「大丈夫じゃない!!!」」」
「!!・・・分かりました。実は・・・今日、朝から体調が悪かったんです。隠すようなことをして、すいませんでした」
「やっぱりな。さあ、送り届けてやるから、早く帰ろう」
「そうだな」
「私も行く!」
「皆・・・ごめんなさい」
皆が、楓のうちに行くと、それは誰もが息をのむような、豪邸だった。それは、神童財閥の息子である、神童でさえも、びっくりした。門の中の敷地内には、ゴルフコースや、50メートルプールや、流れるプール、植物園や、人口の川やバラ園など、普通の家とはかけ離れている光景が、目に飛び込んできた。さらに、玄関のインターフォンを押した瞬間、同じ服を着た人が、何人も出てきて、
「「「「「おかえりなさい、楓お嬢様」」」」」
と言って、迎えに出てきたのだった。しかも、よくよく見ると、皆が来ているのは、帝国学園の制服だった。さすが、鬼道財閥と、つながりのある家柄だ。
部屋に入ると、また、息をのんだ。
薄いベビーピンクの、壁紙に合わせたように、少し濃いピンク色の天蓋が、付いていて、ベッドは、白色のふわふわの最高級品の、天蓋付きベット。天蓋と、同じ色のコーナー付きソファー。そのソファーの上には、様々なこさ・様々な模様の、緑を基調としたクッション。そんなソファーの前には、白をもとにして、ピンクや、金色の線の入った机。壁にはめ込んである薄型液晶TV。何もかもが、現実離れしていた。
「この部屋、すごいでしょう。私には似合わなくて、ピンクばっかり。でも、嫌いではないです。お母様が、用意してくれたから・・・」
「俺も、世界三大財閥の、山吹財閥の家を見ることができて、感動している。なあ、霧野、空野?」
「あぁ。『お嬢さま』って感じだな。まぁ、性格は、全然きつくないけどな」
「うんうん。楓は、なんか、お嬢さまのイメージじゃない!すっごくかっこよくて・・・尊敬する!頭もいいし、運動もできるし、リーダーシップもあって、やっぱ、すごい!」
「葵、褒めすぎよ。私なんか、全然そんな存在じゃないもの・・・。でも、ありがとう。では、私は少し横になるので、皆は、この人について行ってもらえます?すいません」
「あぁ。じゃあ、行こう」
「あぁ」
「はいっ」
そして、神童と霧野と葵は、帝国学園の制服を着た、男の子に案内されて、リビングへと行った。リビングでは、山吹財閥総帥、山吹桜子(やまぶきさくらこ)さんが、待っていた。
「皆さん、こんにちわ。いつも、楓がお世話になっています。母の・・・桜子です」
「こんにちわ。神童拓人です」
「あら、神童財閥の息子さんね」
「はい」
「俺は、霧野蘭丸です」
「私は、空野葵です」
その後、しばらく桜子さんと話した後、楓に見送られて、3人はそれぞれの家に帰った。
「・・・皆、帰ったわね。で、何か用があって、そんなバレバレの変装をしているのかしら。剣城」
「やっぱ、楓にはわかってたか。まぁいい。今から、河川敷の練習場に来い。いいな、絶対だぞ」
「えぇ。約束は守る」
楓の部屋では、変装して、山吹邸に潜り込んでいた、剣城と楓が、何やら怪しい約束を、交わしていた。