運命   作:御沢

13 / 36
真の目的

神童や、霧野、葵が帰った後・・・

 

 

「お母様、ちょっと涼みに、外へ行って来てもいいですか?」

「そんな・・・そんな体で外になんか出るものではないわ。せめて、庭くらいにしときなさい。あと、何度言ったら分かるの?『お母様』ではなく、『お母さん』と呼びなさい」

「はい、分かりました、お母さん。でも、今日は庭ではなく、外に出たい気分なのですが・・・」

「・・・分かったわ。外に出てもいいわ」

「ありがとうございます。では、行ってきます」

桜子さんの、許しを得た楓は、剣城との約束を守るため、河川敷の練習場まで走った。しかし、途中で、神童、霧野、葵を見つけたため、少し遅れる・・・というハプニングが起こった。体調が悪かった人が、走ってどこかに行くなんて、変な事だからだ。ようやく、3人に見つからないところまで来て、そこから、また走り出した。

 

 

河川敷の練習場まで来た楓は、剣城を探した。

 

 

「剣城?どこにいるの?いるのなら、出てきなさい」

「隠れてなんかねぇよ」

その声と同時に、暗闇の中から、剣城が出てきた。いつもと違い、普通に雷門中学校の制服を着ている。おそらく、変装だと楓は思った。

「剣城、その格好、どうしたの?変装のつもり」

「いや、変装なら、そのまま帝国学園の制服着てくるに決まってるだろ」

「そうね。なら、なぜ、雷門中の制服を着ているの?」

「ま、一応変装・・・のつもりってことにしとくぜ」

「・・・そう。そうしとくわ。で、何の用?」

早速、本題を切りだした瞬間、剣城が、楓の手を握った。とても強く。

 

 

「いたっ!な、何するの?!」

「おまえ・・・聖帝を裏切るような事、してねぇだろうな」

「して・・・ないわよ・・・」

「嘘ついてないだろうな、楓」

「えぇ。私たちシードは、全てを、聖帝に注ぐ存在よ。そんな、裏切りなんて、するはずないでしょ・・・と言いたいけれど、あなただって、心からは仕えていないでしょう?」

「・・・あぁ、そうだな。だって、俺は、兄さんの・・・」

「言わなくていいわ。分かっているから。聖帝は、ずるいもの」

「あぁ、そうだな」

そして、一息置いてから、本当の本題に入ることにした。

 

 

「あとは、何?あなたが、これだけ伝えるために、私を呼び出したとは思えないわ」

「楓にはわかってたな・・・」

「早く話して」

「あぁ・・・松風の親戚・・・知ってるか?」

「秋さん・・・のことね。お兄さんから聞いた。円堂監督や、鬼道監督の中学校時代の、同級生・・・よね?それで、秋さんがどうかした?」

「秋さんは、聖帝の正体を知っている」

 

 

楓は、心の底から驚いた。

 

 

「秋・・・さんが?!どうして・・・聖帝の正体を・・・」

「ということは、楓も知っているんだな・・・聖帝の正体」

「・・・えぇ。お兄さんから聞いた。いまは、他の人に、口外することは出来ないけれど、これだけは言える。聖帝は、悪い人ではない。黒幕は、他にいる」

「やはりな・・・それだけ、知らせておきたかっただけだ。じゃあな」

「えぇ、さようなら」

そして、剣城と楓は、それぞれの家に帰った。

 

 

その帰り、楓は神童と会った。

やばい、と思ったが、神童からかけられた言葉は、意外なものだった。

 

 

「剣城と、何を話していたんだ」

「・・・みていたんですか。さっきの事」

「あぁ。それで、質問に答えてくれ」

「・・・誰にも口外しないでください。そう約束して下さるのなら、お話します」

「あぁ、分かった。約束しよう。話してくれるな?」

「はい。私は、剣城と同じ、フィフスセクターのシードとして、この学校に入学しました」

「なんだって?!じゃあ、楓は、スパイ・・・」

「はい。でも、私の真の目的は、この前皆で見に行った、フィフスセクターを潰すための組織、『レジスタンス』に、フィフスセクターに侵入して、スパイとして、フィフスセクターの情報を、流す事です。そのことは、剣城は、知りません。だから、少し私の様子が、おかしかったのでしょう。だから、裏切っているのではないか?と質問されただけです。・・・これでいいですか?キャプテン」

 

 

楓は、本当の本題は、神童にも話さなかった。

 

 

「あぁ。ありがとう。それじゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい。また明日」

そして、神童と楓は別れた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。