家に帰った神童は、さっき話した、楓との会話を思い出していた。そして、また、ため息をついた。大体予想はついていた。あんなにサッカーが上手で、化身が、小学校5年生の時から出せるなんて、普通は、信じがたいことだ。
ただ1つ、幼いころから、フィフスセクターに所属していたなら、十分あり得る話だが・・・
だから、楓が、フィフスセクターに入っていたことを聞いても、そんなにびっくりはしなかった。
しかし、その後に話したことには、さすがに驚いた。
楓が、フィフスセクターに入っていたのは、レジスタンスの情報を流すため、つまり、レジスタンスのスパイだったのだ。
噂によれば、フィフスセクターの情報を、他の組織に流したら・・・
殺される・・・
レジスタンスの人は、こんなに幼い子供を、フィフスセクターという、危なすぎる組織に、潜入させているんだ・・・いくらしっかりしている、楓だからといって、そんなことをさせて、いいのか。神童は、ずっと考えていた。
「楓は、ずっと辛い思いをしていたんだな・・・誰にも言えず、だれも、気がつかなくって、ただ1人、悩んでいたのか・・・」
神童は、いつものように、また、抱え込んでしまった。その時、こんない夜遅くに、神童邸に、来客があった。その来客は、拓人に対してだった。
「拓人様、松風様と、剣城様が、来ていますが。お通ししてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、通してくれ」
そして、しばらくしてから、天馬と剣城が、入ってきた。
「「キャプテン、失礼します」」
「あぁ。それで、こんな時間に、2人して、どうした?」
「はい、今日は楓の事を、相談しに来ました」
「楓・・・か。さっき、話したぞ」
「じゃあ、聞きましたよね。楓が、俺と同じ、フィフスセクターのシードだということも、それは、偽りの姿で、実は、レジスタンスの、スパイ・・・ということも」
「あぁ。・・・って、剣城はもちろん、天馬も知っていたのか」
「はい。狩屋や、輝、信助と葵は知りません。1年生は、俺たち2人です。2年生は・・・」
「おそらく、俺だけだ。3年には、いないだろう」
「つまり、俺と天馬、キャプテンの3人だけということか・・・」
「で、楓の相談というのは、やはり、心境・・・のことだろうな」
「「はい・・・」」
その時、また、来客が来た。
その来客が誰なのか、神童自身には教えてくれなかったが、神童の部屋に通された。
「どちら様ですか?」
「お前の家に来るのは、初めてだな。予想を裏切らない、部屋だ」
「!!鬼道監督!」
「「えぇ?!」」
「やはり、剣城には気がつかれたか」
「なんで、キャプテンの家に?!」
「楓の事を、知っているおまえ達だけに、本当のことを話しておこう・・・と思ってな」
「「「本当のこと?!」」」
そして、鬼道は、ゆっくりと話しだした。
「楓は、輝と同じで、影山総帥の血縁者だ。楓の母親は、影山総帥の・・・隠し子だった」
「隠し子?!」
「あぁ。それに、影山総帥は、日本中で知らない人はいないほど、有名だった。いい意味ではなかったが。だから、その隠し子・・・灯さんというのだが、灯さんは、自分の存在を、人に教えることができなかった。とても、辛い日々を過ごすうちに、本名の、影山零佳ではなく、光山灯・・・という、偽名を使う様になった。そして、光山灯として、恋をして、子供を授かった。しかし、父親の男性は、灯さんと、その子供をおいて、逃げた。その時、お腹の中にいた子供は、本名・影山楓、偽名・光山楓、そして、今の名前を、山吹楓・・・そう、楓のことだ」
「「「!!!」」」
神童と、天馬と、剣城は、驚きのあまり、開いた口がふさがらなかった。
「楓の過去に、そんなことがあったなんて・・・」
「びっくりするのも、無理はない。・・・続きを話す。そして、楓を産んで、3年後。俺は、帝国学園に行った。その時、久々に灯さんと、はじめて、その時3歳だった楓と会ったんだ。しかし、その数か月後、飛行機事故によって、灯さんは亡くなった。母親も父親もいなくなった楓が、その後どうなったのかは、知らなかった。その時には、影山総帥はもう死んでいたし、生きていたとしても、引き取ることは出来なかっただろう。そして、その3年後。俺が、高校2年生になったころ、俺の父さんの妹・・・俺の伯母が、跡取りに、女の子を引き取ったと言っていた」
「女の子?」
「伯母の家は、山吹財閥。そして、その引き取った女の子の名前は、楓。そう、今の山吹楓のことだ。そして、今まで7年間、過ごしてきた。その途中、楓が小3の時、始動した、フィフスセクターの一員に、楓がスカウトされた。そして、フィフスセクターの本当の目的を知らずに、フィフスセクターに入った。で、今に至る。これが、本当のことだ。あとは、レジスタンスのことは・・・知っているな」
「「「はい」」」
「・・・この事は、口外しません」
「そうしてくれると、ありがたい。では、もう帰るな。おじゃましました」
「じゃあ、俺と剣城も・・・」
「「おじゃましました」」
そうして、楓の秘密を知る者たちは、それぞれの家へと帰って行った。