「ただいま」
「お母さん!あのね、今日ね、えぇ~っとぉ・・・」
「分かったから、剣聖。・・・みかは?」
「みか?さぁ、自分の部屋にでもいるんじゃないかな?ねぇ、お母さん聞いてよぉ~」
「はいはい。じゃあ、座ってからでもいい?」
「あ・・・うん!」
そういうと、楓は、自分の息子の、剣聖と一緒に、リビングのソファーに腰掛けた。剣聖は、剣城と楓が、結婚してすぐだった時に、できた子供だった。そして、そのまま剣聖を産んだ。剣聖の瞳は、楓のように、二重で、とても透き通るオレンジだった。その瞳の色は、父親の剣城も、母親の楓も同じ、オレンジ色だったため、2人で、よく
「そっくりだね」
などと笑いあった。
楓と剣城が、付き合う様になったのは、中学生の2年目の、秋だった。
とあるパーティーが終わって、剣城が楓の家に残っていた。そこで、剣城は自分の気持ちを整理してみて、楓が出会ったときから好きだと分かり、告白。楓は、自分の気持ちを告白された後に整理して、剣城が好きだと自覚する。
そして、返事をして、付き合うことになった。
そのまま、幸せな時が流れ、2人は高校3年生になり、卒業が、近付いてきた。そして、2人で稲妻大学へと進学した。そんなとき、剣城は楓にプロポーズをすることにした。しかし、様々な想いを抱える楓は、なかなかOK出来なかった。でも、様々な人の協力もあり、2人は結婚することになった。
2人が19歳の時だった。
そして、楓と剣城の間に、子供ができた。それが、剣聖になる。剣聖の出産の時は、難産だった。
その約数カ月後・・・
今度は、長女を妊娠した。それが、みか。みかを産んだ時は、まだ幸せだった。2人して喜んだ。もちろん、剣聖も喜んだ。
しかし、そんな幸せな日々は、突然終わってしまった。
ある日、何の前触れもなく、剣城の行方が分からなくなったのだった。最初は、ただ少し、旅にでも出ているんだろうと、皆が考えていた。しかし、剣城は1年たっても帰ってこなかった。
そんな時だった。
「真・フィフスセクター・・・というものができたらしい」
そんなうわさが、ちまたで飛び交った。楓は、もしかして・・・と考えて、その時の、聖帝の顔を見ることにした。その顔は、前の、イシドシュウジのように、ロン毛になっていたが、間違いなく剣城京介・・・楓の夫の顔だった。
それ以来だった。
楓は、剣城に、目が、瓜二つの娘・みかの顔が、見れなくなってしまったのだった。楓は、みかのことが、嫌いなわけではない。むしろ、愛している。だって、自分の子供の事を、愛さない親なんていないだろう。しかし、見ようとすると、からだが拒否するかのように、頭が痛くなる。
さらに、追い打ちをかけるように、真・フィフスセクターは、日に日に有名になっていった
。そのたびに、楓は、みかの顔を、見ることが辛くなっていき、精神的不安定な状態に、陥ったのだった。
しかし、そういうことを子供たちに見せまいと、楓は、子供たちの前では、なるべく、普段通りにふるまっているのだった。
「・・・さん!・・・あさん!お母さん!」
「へっ?」
「『へっ?』じゃないよぉ~。ちゃんと、話し、聞いてたのぉ?」
「う、うん」
「そう?ならいいよ!あと、みか、部屋で寝てるよ」
「そ、そう・・・分かったわ、ありがとう。じゃあ、もう夜ごはんの支度、するから、もういいかしら?」
「うんっ!」
その、無邪気な笑顔を見たら、楓は「しっかりしなくては、いけないわね」と、自分に、言い聞かせた。